「本屋」は死なない

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 324
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103313519

感想・レビュー・書評

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  • 本屋に勤めて早15年(くらい?)…ついつい忙しさにかまけて理想を追い求める事をさぼってきていた事を痛感。
    この本に描かれている書店員の方々の情熱は凄まじい。
    「本屋に勤めて…」なんて言うのが恥ずかしくなってくる。

    社内において、なんとなく「詳しい人」に分類されてたりして(そうでもないか…?)、それらしく振舞ってはいるものの、内心は日々ひやひやの連続。 
    なんとも情けない現状ではあるけれど、少しでも先人に近づけるように頑張っていこうと思った。

    色々勉強させてもらいました。 
    本としても楽しく読めます。 子どもの相手をさぼって一気読みしました。

  • いくつか本の本を読んできたけれど、この本が一番ガツンと来た。

    出版業界紙である新文化の元編集長が本を伝える「本屋」とはどうあるべきで、どうあろうとしているのかを各地の本屋を訪ねインタビューを行っていく。

    本書の中で「本屋」として登場する人物たちは本には何かしらの力があると信じており、本というカテゴリーではなく、一冊一冊の「本」を売る仕事をしている。

    目の前にこの本を置いて本屋のこれからについて考えることができるのも本の持つ魅力の一つだと思える。

  • 死なない!し、死ねない!
    わたしもがんばろう!

  • 「本屋」は死なない!と声高に叫んでいる内容ではない。死なないで欲しいと切実な悲鳴に似た内容である。
     
     独自の選書眼で地方発のベストセラーを連発した「盛岡さわや書店」のカリスマ書店員・伊藤氏とその弟子たちの話は、とくに興味深かった。
     さわや書店には12,3年前に行ったことがある。大した広さでもないのに東洋文庫が棚一面に陳列されていた。東京ではジュンク堂などの書店でしか品ぞろえしていない商品群だ。盛岡の人の読書欲のすごさにびっくりした。
     全国的にも有名なさわや書店も近くにジュンク堂書店が出店してから苦境に立たされ、それを機に伊藤氏は書店業から引退する。

     取次のPOSデータによる配本まかせ、本部一括仕入れによる地域色を排した全国一律の棚構成、俗に言う『金太郎飴書店』と対極の店として存在感のあったさわや書店も、経営が厳しくなってからは「普通の本屋になろう」と方針転換しているらしい。それはつまりベストセラーを前面に押し出し、経費節約のためにパート・アルバイトで店を切り盛りし、支払いのために月末には返品を大量に出すとうことか。

     個性的な書店がなくなるプロセスが非常によくわかる。おそらく全国的にこういう現象が増えているのであろう。
     
     書店は明らかに衰退産業である。個性ではなく資本力がものを言うつまらない業界になりつつある。
     
     しかし、もし本屋という業態がこの先、新しい展開を見せるとしたら、その先鞭をつけるのは、おそらくここに登場するあきらめの悪い曲者たちだろう。
     抗い続けて欲しいと思う。 

  • 書店員の中に「本屋」を発見した著者の視点が素晴らしい。
    本文中では、書籍の中に「本」を発見しようかという考察もあり、新刊発行点数が多過ぎると言われるいまの出版業界に投げかけるメッセージの重要性は計り知れない。
    ここに紹介されている書店以外でもこの「本」を面陳にしているところが多いことを、金太郎飴的な新刊書店ばかり作っている業界人は知るべきであろう。
    事業の維持、安定した経営ということで考えれば、ここに描かれる書店が本来あるべき姿というわけでは決してない。が、僕はそこにいる「本屋」に憧れを禁じえない。
    「本屋」は死んではいけない。祈りに近いそうした想いに応えてくれるリアルが、本書には詰まっている。

  • どんな本がどんなふうに読む人に伝わるかわからない
    そうだよな〜って思った言葉。
    人には一人一人解釈の世界がある。
    同じ本を読んでもその日との解釈の世界によって
    感想も大きく違っていると思う。

    やっぱり楽しい本屋にいきたい。
    何か発見がある。

著者プロフィール

解説:石橋 毅史
1970年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。
出版社勤務を経て、出版業界専門紙「新文化」の記者、編集長を務める。2010年フリーランスの出版ジャーナリストとなる。
著書に『「本屋」は死なない』(新潮社)、『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)、『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)、『本屋な日々 青春篇』(トランスビュー)、『本屋がアジアをつなぐ』(ころから)など。

「2022年 『韓国の「街の本屋」の生存探究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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