狂書伝

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103314424

感想・レビュー・書評

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  • 初めての作家だが、なかなかいい味わいの小説を書くなあ。中国・明時代の江南常松の何とも言えないというか、じわっと怖いというか、えぐいというか、不思議というか、そんな物語を淡々と描いている。権力を握っている地方高官・書家の陳遷が自分勝手で傲慢で、その息子の陳鋼が無茶苦茶な乱暴者で、なんとも胸糞悪い。幼いころに仙人に攫われて修行させられ、歳を取らなくなった斑娘が陳家のもとから曰くのある手紙を手に入れるために、陳遷の娘を誘拐する。それやらなんやら、いろいろな人物が入り乱れて物語は展開する。若い女性の手紙を偏愛する変な趣味の男なども出てくる。視点人物もしょっちゅう変わるし、そんなごちゃごちゃ感がかえって面白い。悪い奴の陳遷は結局罰せられない。勧善懲悪というのでもないのもいい。

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