- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103314714
作品紹介・あらすじ
ヘタレ大学生スーツアクター・水野葉一が拾われたのは、変人揃いの鞍馬からかさ一座。この劇団の着ぐるみキャラには、なんと…選ばれし者を見抜く"力"があった!?ライバル劇団との大勝負を懸けた大晦日のパレードで、主役に抜擢された葉一の「葉隠吉田丸」が弾け舞う。京都を舞台に繰り広げられる最高に幸せな青春小説。第23回「日本ファンタジーノベル大賞」優秀賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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隣町の図書館でようやく見つけて一気読み。
面白かった!
このテンポ、この勢い、いい感じ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
男性には多いとかなんとか、ストレスからうんこ出ちゃうー、てか実は出ないけど、なんか出そうでたまらん、ていうやつ。知り合いにもけっこう困ってる人がいて、自分は大丈夫だけど、でもノロの時の強烈なやつがしょっちゅう来るんだと思うと、恐ろしくて夜も眠れない。というわけで、主人公がこのうんこの恐怖に震えているのが、まぁ本編と直接関係ないけど、微妙なリアリズムを生んでいて、なんともはや。
でもこの話はうんこにはあんまり関係ないわけで、ともかく臨場感がすごくて、本を読みながら、しかも言っちゃなんだけど地味とも言える演劇の世界をぐいぐい持ってくるのがなんとも気に入りましたわけで。普段は演劇とかパレードとか見ても、ちょっと遠くから見てる感じなわけですが、一緒に楽しもうというのはね、これ大事なんですね、という淀川長治的な感想を持ったわけです。というか、ともかくちょっと引いてしまったりせずに、この勢いに一緒に乗るのが粋というやつですかね。 -
万城目に似た雰囲気。
何でもないことの表現が面白い。
前半は面白くってぐんぐん引き込まれたけど、後半は少し失速した感じかな。 -
p179『芝居ってのはな、役者が着飾ってやるもんじゃねえんだ。着てるもん脱いで丸裸になってやるもんなんだよ』
数年前に新聞で大賞が発表されてからずっと読みたかった、第23回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作品。
京都の大学生は、不可思議な青春をすごすものなのでしょうか。
これもまた、京都の大学生が、奇妙な着ぐるみ劇団で舞台をする物語です。
学生時代、演劇と関わっていた身なので、序盤のジョニーさんの台詞は嫌いじゃないです。
なによりもゴッツァンの、王様に言われた言葉と、ゴッツアンの言葉に感動した。
「役ってのは、自分の方に引き寄せるもんなんだ」
次第に小説というより台本読んでるイメージになっていました。
葉一の青臭さが随所染み出てる感じ。青春って恋愛のイメージがあったけど、これもすごく青春してるなぁ。(恋愛フラグも無きにしも非ず?)
ただ、ファンタジーらしい奇妙が起こるのが中盤なので、少し遅めです。雰囲気を作る前に飽きそうでした…。
後半のパレードの華やかさとかお祭り騒ぎという盛り上がりは良かったです。 -
まとまっているなとは思ったけども全体的に地味な印象。
主人公も特に魅力が無く、作中の劇もそんなに面白くなさそうに映りました。 -
大学にほとんど行かずにヒーローショーでアクション活劇をすることに力を注いでいた葉一は、自分の弱点でもある腹痛が原因でヒーロー役をクビになってしまう。
その後先輩の紹介で、『吉田スタジオパーク』という映画セットのテーマパークで着ぐるみに入って芝居をする劇団一座を紹介された葉一は、着ぐるみで芝居をするうちに奇妙な体験をする。
年季の入った着ぐるみたちが繰り広げる楽しく不思議なお話だ。 -
京都の着ぐるみ一座の摩訶不思議な青春活劇。
設定は面白いが、作風が万城目もどきなのが気になる。
高度な等身大着ぐるみは劇団カッパ座(たっくんのオモチャ箱が懐かしい)、
戦隊ショーはまさしく東映ものやJACを彷彿させられてうれしかったです。
ただファンタジー部はスターウォーズのフォース、
エンディングはTDLのパレードやがネタ元と思われ、
もっと昇華させて、オリジナルな力強さがほしかったです。 -
京都の鞍馬でスーツアクター(着ぐるみかぶる人)のアルバイトをする大学生のお話。
きぐるみにファンタジー要素がちょっぴりふりかかっているけど、
基本は劇団員の青春物語でした。
わたしは四畳半規模のファンタジーが好みなので満足ですが、
ひとつの世界をまるまる作る! みたいな
本格的なファンタジーを期待している方は肩すかしを食らうでしょう。
1人称の語りが読みやすく、
次どうなる? 次どうなる? と展開が気になって一気に読みました。
ただ、最初の方の軽妙な語り口では何度か噴き出したりしたのですが、
後半にいくにつれ、熱血が勝ってずいぶんまっとうな主人公になっちゃった。
(個人的には)残念です! 徹頭徹尾オモロイ子でいてほしかったかも。
「京都」で「大学生」で「ファンタジーノベル大賞(優秀賞)」と聞くと、
どうしても森見登見彦を思い浮かべてしまうので。
比較されると、不利ですね。