暗幕のゲルニカ

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  • 新潮社
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  • / ISBN・EAN: 9784103317524

作品紹介・あらすじ

一枚の絵が、戦争を止める。私は信じる、絵画の力を。手に汗握るアートサスペンス! 反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した―― 誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか? ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「楽園のカンヴァス」で、すっかり虜になり
    次に読んだ原田マハさんのアート小説。
    『暗幕のゲルニカ』
    とても重厚なメッセージ性のある作品でした。
    原田マハさんの、この作品に込めた想いの強さ熱量に
    圧倒されながら読了しました。
    1Qさんのお薦め本です。ありがとうございました。

    美術関係の知識が全く無い私でも、興味深く読めるように、史実とフィクションが見事に融合されている
    内容、そして構成は巧みでとても面白かったです。

    ビカソが如何に素晴らしい芸術家であることと、
    強い反戦の想いを込めたアート〈ゲルニカ〉を
    この世に送り出したこと
    そして皆で
    人類の至宝ともいうべき超大作〈ゲルニカ〉を
    必死で逃がし、守り抜いてきた事が、
    ずっしりと伝わる壮大なストーリーで
    ラストの展開にも、息をのみました…

    人は…どれだけ愚かで、
    同じような過ちを、戦争を
    いつまでも…繰り返してしまうのか…
    戦争をやめない一方で、戦争に苦しみ続けるのもまた人類なのに…。
    ピカソが、〈ゲルニカ〉を通して
    ずっと世の中に訴え続けているのに…
    原田マハさんのこの作品を
    読み終って改めて
    嘆かわしく、やるせない気持ちになったりしました。

    群馬県立近代美術館で、
    ピカソ〈ゲルニカ、タピスリ〉が
    2023年8月1日(火)~27日(日)
    特別公開予定らしいです。
    行けたら行ってみたいと思いました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      片品のとうもろこし街道で
      とうもろこし買ってきましたよ!!ψ(´ڡ`♡) オイシー♪
      片品のとうもろこし街道で
      とうもろこし買ってきましたよ!!ψ(´ڡ`♡) オイシー♪
      2023/08/21
    • かなさん
      チーニャさん、そうなんですかぁ(゚д゚)!
      あまりのことに、驚いちゃった!!
      美術館では日にちズレてるからあえなかったけど、
      とうもろ...
      チーニャさん、そうなんですかぁ(゚д゚)!
      あまりのことに、驚いちゃった!!
      美術館では日にちズレてるからあえなかったけど、
      とうもろこし街道とは!!!
      どこかで、もしかしたら
      車で、すれ違うとかはあったかも~
      2023/08/21
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ええ〰️!!
      すれ違ってました〰️かもですか??
      Σ(´⊙ω⊙`)
      それはすごいっ(笑)

      それにしても
      ゲルニカ。
      かなさんと同じの観れた...
      ええ〰️!!
      すれ違ってました〰️かもですか??
      Σ(´⊙ω⊙`)
      それはすごいっ(笑)

      それにしても
      ゲルニカ。
      かなさんと同じの観れたのか…
      と思うと…(✪▽✪)
      それもまた、感動してます〜!!
      2023/08/21
  • ピカソが生きた過去と、MOMAのキュレーター八神瑤子が生きる現代の視点で話が進む。
    このような展開は、無知な者でもアートの世界に導いてくれ、面白くて好きだ。
    しかし瑤子が名画を巡り陰謀に巻き込まれる辺りがげんなりしてしまった。キュレーターとして行動が軽率ではないかと思う場面があり、嫌になってしまった。ごめんなさい(*>ㅅ<)՞՞
    ピカソの名画「ゲルニカ」について、その時代背景、ピカソの作品への思い、ドラ・マーレという人物を知れたのは良かった。

    (余談)
    本書を読んでいる時、家族に、
    「ピカソの“ゲルニカ”知ってる?」と聞いたら、
    「渋谷駅にあるわよ」と言う。(※ありません^^;)
    渋谷駅井の頭線近くの連絡通路に設置されている巨大壁画は、岡本太郎作「明日の神話」。
    しかし無関係でもなさそうなのだ。
    「明日の神話」は、ピカソを尊敬していた岡本太郎の水爆版“ゲルニカ”とも言える、とネットにあった。
    行くことがあったら、よく見てみようと思う。
    岡本太郎さんのメッセージも感じたい。

    • ヒボさん
      なおなおさん、こんばんは♪
      改めて本年も宜しくお願いします(*^^*)
      新年早々に能登半島の大地震、被害が広がらないことを願いつつ...
      なおなおさん、こんばんは♪
      改めて本年も宜しくお願いします(*^^*)
      新年早々に能登半島の大地震、被害が広がらないことを願いつつ...
      2024/01/01
    • なおなおさん
      ヒボさん、こんばんは。
      私も昨年最後の読了はマハさんだったのです。
      こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
      能登の地震が心配です。新年から...
      ヒボさん、こんばんは。
      私も昨年最後の読了はマハさんだったのです。
      こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
      能登の地震が心配です。新年から心が痛みます。
      2024/01/01
  • 何年か前、普通にランチをしていた時のことです。
    ある人がこんなことを言ったのを思い出しました。
    「いろいろ嫌なこともあるけど、家に帰れば温かいお布団で寝られる。
    夜中に銃で撃たれる心配しなくていい。それだけで充分幸せなんだよね、私たち」
    この視点には、ちょっとした衝撃を受けました。

    この作品では、ふたつの時間と場所が交互に描かれています。
    ひとつは、1937年のパリから。
    ピカソの祖国スペインの町ゲルニカが、ナチス軍によって無差別空爆を受けました。
    それに抗議して、ピカソが「ゲルニカ」を制作した、という経緯から始まります。

    もうひとつは、2001年9月11日のニューヨーク。
    アメリカ同時多発テロ事件が起こった日から。
    そして、2年後の2003年、アメリカによるイラク空爆前夜のこと。
    ニューヨークの国連本部で記者会見をした国務長官。
    その背後にあるはずの「ゲルニカ」のタペストリーが、暗幕で隠されていました。
    作品の中では、誰がやったのかについての記述がありますが、
    実際はわかっていないようです。
    隠したことでかえってニュースになり、メッセージが世界中に伝わることになった
    というのは、皮肉なことなのでしょうか。
    それとも、メッセージを伝えるため、誰かが敢えてやったことなのでしょうか。
    想像すると興味深いです。

    作品に出てくる人物は、すべて、とても魅力的です。
    ピカソもさることながら、現代バージョンで登場するMoMAのキュレーター
    八神瑤子が、なんともしなやかで強いのです。

    ところで、この作品では「ゲルニカ」だけでなく、
    「鳩」の絵も重要な役割を果たします。
    ピカソの「ゲルニカ」と「鳩」、対照的な絵です。
    でも、このふたつは共鳴し合い、ひとつに繋がって
    大切なことを私たちに訴えかけてきます。

  • ゲルニカは「私たち」のものよ―。

    各地で闘いが尽きない今の世の中だからこそ、たくさんの方に読んで欲しい。マハさんのミステリーでなければ、もっともっと重く堅苦しいテーマになってしまっていたと思う。

    アートミステリーとしての面白さはもちろん、ゲルニカの持つ強いメッセージも併せて発信されていたように思う。
    充実した読書体験となりました。

    コメントでオススメくださったブク友さんに感謝!

    • ヒボさん
      あんずさん、こんばんは♪
      ☆5つ、(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!

      読了お疲れ様でした(´・ω・)っ旦~
      あんずさん、こんばんは♪
      ☆5つ、(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!

      読了お疲れ様でした(´・ω・)っ旦~
      2023/12/10
    • あんずさん
      ヒボさん、素敵な読書体験を本当にありがとうございました(*ˊ˘ˋ*)
      ヒボさん、素敵な読書体験を本当にありがとうございました(*ˊ˘ˋ*)
      2023/12/11
    • アンシロさん
      あんずさん、はじめまして。

      『楽園のカンヴァス』を読んで衝撃を受けて、原田マハさんを読みたいなと思いつつも読めていません^^;美術に無知な...
      あんずさん、はじめまして。

      『楽園のカンヴァス』を読んで衝撃を受けて、原田マハさんを読みたいなと思いつつも読めていません^^;美術に無知な私でも分かりやすく、面白くて原田マハさん凄いですよね。
      2024/01/11
  • 2020/12/08読了
    #原田マハ作品

    マドリッドのレイナ・ソフィアに在り
    誰も動かすことのできない
    反戦のシンボル、ピカソ作「ゲルニカ」。
    名画を巡る情熱と欲望のストーリー。
    国内と違い、海外ではアートが日常に
    根ざしているんだなぁと改めて思う。

  • ピカソのゲルニカに込められた反戦メッセージが伝わってきました。いまだ世界から争いが消えていないことに憤りを感じます。
    過去と現在を交互に描くのは「楽園のキャンバス」と同じ手法。ティム・ブラウンも出てきたし。楽園のキャンバスがおもしろかった人にはこちらもおもしろいかもしれません。

  • 最近読んだ小説の中で最も衝撃的でした。

    1937年からのパリと2001年9月11日からのニューヨークが舞台です。
    まず『暗幕のゲルニカ』というタイトルはどういう意味だろうと考えながら読み始めました。
    パリのパートでは、世界一著名な芸術家であるピカソと、写真家のドラの芸術家同士の恋愛も面白く、名前だけしか知らなかった、ピカソという人間を初めて知った気がしました。
    2001年からのニューヨークのパートでは同時多発テロでスペイン人の夫を失ったMOMAのキュレーターの八神瑤子が活躍します。
    そして、私も、三分の一程、読み進めたところで、この作品の著者は、この作品で訴えたかったことは、何なのかと考えだしました。読みながら、本の表紙のゲルニカの絵は何度も見直しました。
    緊迫したゲルニカの争奪戦を読み、絵画が、世界にこのような大きな影響を与えうるものだと初めて知りました。
    人類の至宝ともいうべき文化財が政争の具にされてしまっていることも。
    「もうやめろ、とピカソは叫んでいる。殺すな。戦争をするな。負の連鎖を断ち切れ。取り返しがつかなくなる前に」「ピカソが、私たちが、戦っている敵は、戦争そのものなんだ」
    エンターテインメントとしても、大変面白い読み物でしたが、読んでいてリアルな緊迫感がありました。


    以下、完全にネタバレですのでご注意を。

    作者はゲルニカを以下のように描写しています。
    「そこには爆撃機も、戦車も銃も描かれていない。累々たる死体も、破裂した内臓も、血の一滴も、どこにも見当たらない。それでいて、それは、人類が初めて体験した「空爆」の瞬間の再現であり、悲惨極まりない戦争の記録であり、生々しい殺戮の記憶であった。悲しみと怒りに満ちた地獄の黙示録であった」
    この作品を読んだことは、忘れたくないと思いました。

    • まことさん
      暗幕のゲルニカ事件は実際に起きた事実だったのですね!私も読みながら、これは事実なのかフィクションなのかがとても、気になりました。八神瑤子のよ...
      暗幕のゲルニカ事件は実際に起きた事実だったのですね!私も読みながら、これは事実なのかフィクションなのかがとても、気になりました。八神瑤子のような方もいらしたのでしょうかね。
      私にもこの作品のメッセージは強く感じられました。
      マハさんのアート系の作品、もっと読みたい!と思いました。
      コメント、どうもありがとうございました。
      とても嬉しかったです!
      2019/04/23
  • 美術作品には関心が薄いので美術館に行っても強烈にメッセージが伝わって来たことがない。
    ピカソは気持ち悪さを秘めた奇抜な絵を描く画家という程度の認識しか持っていなかった。
    <ゲルニカ>に関しては作品自体を知らなかった。
    だが、この本を読む前と後では、<ゲルニカ>から受ける印象とピカソに対する感情が全く違っている。
    音楽でも体制への批判や反戦のメッセージを込めた作品があり、その曲が生み出された背景を知っているか否かで聴く耳が変わる。
    本書はフィクションとノンフィクションを融合してできた作品であり、美術がよくわからない自分には作品の解説書より役に立ったに違いない。
    ナチス将校の「この絵を描いたのはお前か?」に返すピカソの一言がたまらない。
    本書からは、戦争やテロのない世界になって欲しいという気持ちがひしひしと伝わってきた。

  • ピカソの絵画への拘り、戦争な対する激しい嫌悪、ピカソの魅力に引き寄せられる人物達の感情描写に、著者の美術描写と世界観にどんどん惹き込まれていく、読書でしか味わえない没入感が楽しめた。芸術、文芸の素晴らしさを改めて感じた。ストーリーにミステリアスとノンフィクションなリアリティの風味を漂わせる構成により一層著者のファンになった。

  • ピカソの名作「ゲルニカ」を題材にした作品。
    作者もそうだった、MoMA(ニューヨーク現代美術館)のキュレーターである日本人女性がヒロイン。

    1930年代、スペインのゲルニカが爆撃されました。
    ピカソはスペイン生まれ。義憤を感じて、大作に取り組むのです。
    当時ピカソの愛人だった写真家ドラ・マールは、制作現場の写真を撮り続けます。
    ピカソにもドラにも存在感があり、このあたりのエピソードはとても面白かったです。

    そして、2001年、9.11。
    2003年、MoMAに勤める瑤子は、戦争やテロに負けないというメッセージを改めて発信するため、ゲルニカを展覧会に出品してもらいたいと願います。
    ゲルニカはスペインの至宝として、長年貸し出しはされていないため、交渉は難航しますが。
    美術館の動きは、さすがリアルです。
    現実離れしているぐらい華やかな~有力なパトロンも、意外と実在しているのかと思ったり。

    ヒロインの行動にやや謎があり、クライマックスに向かうあたりがどうもこなれていないので、感情移入できなくなってしまいました。
    この展開、ちょっと肩に力が入っている‥?
    構成や結末で、メッセージは伝わります。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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