- 新潮社 (2015年2月20日発売)
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感想 : 34件
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784103318521
作品紹介・あらすじ
しぶとく生きよ! 諦めることを最も嫌った幕臣、大鳥圭介の知られざる生涯! 「負けてたまるか」大政奉還の江戸城で独り気を吐く男がいた。貪欲な学究精神で、彗星のごとく歩兵奉行に上り詰めた大鳥圭介である。わずか四尺九寸(一四九センチ)の短軀にみなぎる反骨の気概と仏式軍学の圧倒的知識。実戦未経験ながら江戸から五稜郭まで幾度も窮地を切り抜け、土方歳三や榎本武揚にも信頼された指揮官を描く。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
諦めない生き様が描かれたこの物語は、幕末の激動の中で奮闘した大鳥圭介の知られざる人生を追っています。彼は身分にとらわれず、未来の国を見据えた柔軟な考えを持ち、決して逃げることなく逆境に立ち向かう姿勢が...
感想・レビュー・書評
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戊辰戦争、箱館戦争を戦い抜いた、大鳥圭介の物語。
武士の義が一番だった世の中で、
こんなに柔軟で、身分なども念頭になく
未来の国のことを考えていた人が龍馬の他にもいたなんて…。
私の中の、見つけた感がハンパないです。
もっと保身ばかりの、考えがグラグラな人だと思ってましたから。
この伊東潤さんの大鳥圭介像にゾッコンです。
幕府軍の敗戦、他の物語でも、何だかあまりにも
あっけない感じがしていましたが、
こんな色々が重なって、不運な方不運な方に
どんどん行ってしまっていたんですね。
それを言い訳にしない、大鳥圭介。
人のせいにもせず、逃げる者も恨まない。
どんな場面でも諦めずにとことん考え込むこの姿勢。
…この頃仕事で、無理無理、出来ないを連発していた私。
深く反省です。諦めなければどこかに突破口がと
敗戦敗戦でも諦めない大鳥さんに教えられた気がします。
しばらく、「たまるか、たまるか」を
口癖にしていこうと思う一冊です。
どんな幕末の物語を読んでも、土方さんは格好良い。
でもこの物語の大鳥さんは脇の土方さんより
男らしく感じました。
この物語を読んでから、五稜郭に行けばよかったです。
土方さんの写真に「イケメンだ~~」と
ミーハー気分で見学したのは不謹慎でした。
こんなに多くの、こんなに思いの詰まった場所。
改めてまた訪れてみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死んでたまるか 諦めない大鳥圭介の覚悟
2015/4/8付日本経済新聞 夕刊
大鳥圭介といえば、『燃えよ剣』(司馬遼太郎)では、実戦経験がないにもかかわらず、仏式幕軍の将校にまで登りつめたことを鼻にかけ、土方歳三のことを「あれは剣術屋だよ」と見下す、敵役的存在。本書はその大鳥を主人公とした初の長篇(へん)。
2人のどちらが格好良く描かれているかといえば、それは土方の方で、しかしながら、そこには作者の周到な計算がある。
決してブレない土方は、苦悶(くもん)しつつも官軍と戦う大鳥を映し出す鏡であり、やがてその鏡に映っている大鳥の像は、次第に土方を脇へと追いやり、実像として(ヽヽヽヽヽ)の主役の座を勝ち取っていく。
両者の違いは、滅びの美学=死地を求める土方と、決して諦めない=敗北を喫しても生を続ける覚悟を決めた大鳥との差異だ。
先日、東日本大震災4周年のニュースで、母親を見捨てざるを得なかった女生徒が、犠牲者たちの祭壇の前で、自分の心情を朗読するのを見て、涙が止まらなかった。そして同時に、思わずこれだ、と本書の大鳥を思わずにいられなかった。生き残る側を引き受け、負の力を正に転換した時、見えてくるのは何か。堂々たる傑作である。
(縄田一男) -
久々に涙させられた作品だった。大鳥圭介が土方歳三から「お前たちは生き延びろ」と言われるシーンは圧巻だった。通勤電車で計らずも落涙…
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「死んでたまるか」の感想文
(1)私は今まで 幕末から維新にかけての物語をいくつか読んできました。
特に 西郷隆盛とか大久保利通に関する 薩摩の偉人の話を戊辰戦争とか 西南戦争を舞台に薩摩からの見方での小説を読んできたわけです。
(2)この「死んでたまるか」 は伊東潤先生が書かれた小説です。
日本初の金属活字を作るなど 貪欲な学究精神で彗星のごとく歩兵奉行に上り詰めた大鳥圭介を 主人公にした 東北、箱舘戊辰戦争に関する物語です。
わずか149cm の短い 体にみなぎる武士の反骨とフランス式 軍学の圧倒的知識で実戦未経験ながら 陣頭指揮をとり、幕末最後の激戦を戦い抜き、怒り、笑い、涙する 快男児を描くまさに、 熱血歴史長編で、面白すぎて、2週間で読み切りました。自分はこの方については、ほとんど予備知識がなかったです。
(3)この本は、帯にあるように「諦めることを最も嫌った男 」
主人公が言動で示している通り、人間は諦める、無理とか思うと、思考停止になるということに大感動です。自分も少しでも、参考にしていきたいと思った。
(4)榎本武揚、新選組の土方歳三との関係を細かく描写しています。
もともと、榎本武揚 とか 土方歳三の名前は知っていましたが、 彼らは戊辰戦争の東北の場面で出番が多い人だとわかり、意外でした。特に 東北の会津戦争、さらには函館戦争について色々と知識を得ることができました。
特に 函館戦争の時に、 榎本武揚 が蝦夷帝国を作るという野望に燃えて突き進んでいくわけですが、それは立派なことであったと思います。しかし、この頃になると戦争を何のためにしているのかということが、主人公を始め幕軍幹部にも、戦っている戦闘員にもわからなくなってきたのではないかと推察します。
(5)戦争はあってはならないと思います。
徳川幕府に恩顧のある人たちが、徳川慶喜が上野で謹慎してるにもかかわらず、自分たちは北に向かって官軍部隊と戦争をやって、ほぼほぼ負け戦で終わってしまう。本当に悲しいことだと思います。やはり 戦争はあってはならないと思います。
(6)幕末・明治維新に対する感情の変化
自分は今まで 薩摩や 西郷隆盛 などから見た幕末と明治維新、 戊辰戦争は官軍が正しく 西郷隆盛が正しいという身びいきな見方をしていました。
しかし、 やはり 薩摩など官軍も江戸の薩摩藩邸焼き討ち事件 のように相手をそそのかせて相手がやったというような汚いやり方をしたり、色々と残虐なことをしていたと分かりました。現在のウクライナ紛争のロシアの偽旗作戦とか、あるいは日清戦争、日露戦争、その後の 満州事変 、上海事変における日本軍のトリガーによる中国 侵略などに通じるものがあるのかと思って愕然としています。
(7)2023夏にこの傑作本に出会えて幸福です。
とにかく、新たな発見や考え方の変化もあって、この本を読んで本当に良かったと思いました。
以上
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「何事も『無理だ、駄目だ』と思ってしまうと、人の思考はそこで止まる。頭を絞れば知恵などいくらでも湧き出てくるのだ」負け戦を続けた大鳥圭介だからこそ、説得力のある言葉だ。土方も相変わらず格好良い。函館の地で乱れ飛ぶ武士の矜恃。あまりにも愚直な彼らの様々な「幕引き」は、終演ではなく、始まりの準備にも思えるほどに美しい。伊藤潤さんは面白いや。
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さほど名前の知られていない大鳥圭介(兵庫県民の俺も知らなかった)を主人公とした戊辰戦争物語。あくまでもフィクションなんでしょうけど、実直で真っ直ぐな主人公の生き方には素直に感動します。これを読むと薩長の有名人達が悪者のように思えてくるから不思議です(笑。機会があれば、薩長側から見た戊辰戦争の物語を読んでみたい。
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大鳥圭介
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幕末戊辰戦争での、幕府方の大鳥圭介を描く。
医師の息子に生まれた大鳥圭介は、漢学、医学、西洋砲術を学び、その博学から幕府に用いられて、幕府方の参謀として、戊辰戦争へと対峙していく。
実戦経験はないが、フランス式軍学の圧倒的知識と、149センチと言われる身体ながらもみなぎる武士の反骨精神で戦い抜いていく。
勝とも親交があり、この有望な人材は、戊辰戦争以後も、新政府に登用され、活躍していく。 -
20240121
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2019.6.5完了
幕末の話は好きではない。
新政府軍に比べて幕府側が弱すぎるからだが、幕府側の酷い状況に耐えられない。
最後まで読んだけど、五稜郭あたりの腹をくくったあたりからは読めたかな。 -
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2018.02.11
最近、伊藤潤の明治初期の作品にはまってる。大島圭介を初めて知った。 -
水滸伝のように英傑がどんどん倒れていく敗走劇。幕末の歴史は嫌いだったがこれほど面白い戊辰戦争の小説なら楽しんで読める!
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「死んでたまるか」
幕末の幕府側の旗本として函館で最後まで戦った大鳥圭介を主人公とした小説である。
フランス陸軍の軍学知識を活用してよく戦ったが、北関東から東北、最後は函館まで、これほど戦闘で負けに負けた人物も少ないのではないか。最後まで戦ったが生き残り、その才能を買われて明治政府内で出世し男爵にまでなっている。
一般的には大臣となって子爵に叙せられた榎本武揚の方が有名であるが、榎本は海軍、大鳥は陸軍であり、函館では早々と戦艦を失った榎本は活躍の場が少なかったように思う。
途中何度か出てくる勝海舟がまた面白い。いったいどれだけ幕府の金を持っていたのか知らないが、何度となくあちこちに資金援助している。幕臣たちが気概を持って生きていけるように適当なところで戦いをやめさせようとするが、土方歳三をはじめ徹底抗戦を叫ぶ連中にはその声は届かない。
結局、函館でにっちもさっちもいかなくなり黒田清隆がいたおかげで命を長らえることができた。かつての同学の士とはいえ、戦う相手にも一目置かれ、理解されるというのはやはりかなりの人物であったのだろう。
タイトルの「死んでたまるか」はどちらかと言えば「負けてたまるか」という大鳥の気概であり、その一方でフランス陸軍の「いけるところまで行き、しかるべきところで死ぬ。」と言う覚悟もあったのはいかにも武士らしい。
エピローグで彼は日本の近代化に力を尽くし、晩年には後進の指導をして大学の学長にもなっている。日本をなんとかしようとして戦ってきたこういった人たちが明治以降の日本を作ったことが感慨深い。 -
幕末、徳川家は薩長を中止とする新政府軍に恭順の意を示すが、一部の幕臣たちは反発。彼らは新政府軍に武力抵抗を決意し、東北・北海道を戦場とする内戦が勃発する。この内戦の中心人物であったのが大鳥圭介。滅びの美を称える武士道の時代において、フランス式軍組織を学んだ彼は敗戦を経験しても、被害を抑え、次の戦いに備えることを重視する異色の指揮官だった。
ということで、彼は「死んでたまるか」「たまるか」と叫んでは敗戦に敗戦を重ねつつも、逃走しては新たな戦いにチャレンジする。これだけ負けまくる人物を主人公にする小説も珍しい。大鳥の負けっぷりの極めつけは、函館で政府軍の軍艦を奪おうとするところだろう。
数少ない自軍の軍艦を政府軍の軍艦に接近させ、決死隊を送り込み、その軍艦を乗っ取るという作戦を大鳥と盟友榎本武揚が企画。が、敵艦に飛び乗った決死隊は射殺され、逃走する自軍の軍艦は燃料切れで沈没する。軍艦をプラス1にする目論見が、マイナス1になるという冗談みたいな負け方だ。
この小説が敗者の美を描く目的なら、負けっぱなしでもいいのだけど、大鳥は戦死することなく、明治政府の官僚となって、生き続ける。この人の「死んでたまるか」というモットーが生き残った彼を肯定するのだが、多くの仲間を死なせてしまった敗軍の責任者としての苦悩をもっと掘り下げてほしかった。
主人公の大鳥圭介よりも、知略で政府軍と対決した勝海舟、死地を探しながら勝利を求めた土方歳三の2人の方が主人公っぽい。 -
幕末、旧幕臣である大鳥圭介を主人公に、戊辰戦争を五稜郭落城まで追ったもの。
大鳥の目からは、奥羽越列藩同盟を戦った各藩は会津も含めて日和見に見える。
むしろ、祖国軍籍を離脱してまで五稜郭まで同行した旧幕軍事顧問のフランス軍人たちの方が、余程筋が通っている。
大鳥が嘆くこと、頻りである。 -
こういったことが、こういうメンツでおこりましたよ~っていう内容。
会話とかもあるけど、…う~ん。単調かな?
足早に物語がすすんでいく。
大鳥さんが地味なのかな…? -
幕末 大鳥圭介
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大鳥圭介が主人公。
名前は勿論知っていた。が、あくまで脇役の人かと思っていた。読んでみてもその印象は変わらない。戊申戦争で突如表舞台に飛び出てきたが連戦連敗、時の流れにそのまま流され函館戦争で降伏する。
土方歳三の上官にして榎本武揚の部下、それ以上でもそれ以下でもない。伊東潤が描くんだからそれなりには面白かったけどね。函館戦争を詳しく描いた小説は読んだことなかったから、その点は興味深かった。司馬遼太郎も描いてないよね。
鳥羽伏見の戦いから宇都宮を経て東北戦争~函館戦争まで幕府軍は連戦連敗だった。モチベーションを維持するのは大変だったろう、そこは偉い。板垣退助と同じく明治以降は文官になってしまった事が余り記憶されていない所以でしょうか。まだまだ幕府にも逸材はいたのでしょうね。伊東潤さん、頑張ってください。
著者プロフィール
伊東潤の作品
