- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103320913
作品紹介・あらすじ
宮城県仙台市から青森県青森市まで、東日本大震災の被災各地を貫く東北の大動脈・国道45号線。震災直後、大量の瓦礫や土砂に塞がれた「命の道」は、わずか一週間でほぼ復旧し、多くの救援物資や救助隊がその先へと向かっていった。それを可能にしたのは、国土交通省、自衛隊、そして郷土を守るべく、甚大な被害を前に自ら立ち上がった地元住民の強い意志と覚悟だった-。早期復旧にかけた人々の、誇り高き矜持。
感想・レビュー・書評
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思いがけず長い休みが取れたこともあり「自分の目で見ておかねば!」とバイクに荷物をくくりつけ訪れた東北。
フェリーで降り立った仙台の港から海岸線を北へ向かうにつれ見えてくる生々しい津波の爪跡…2年も経っているというのにそこには何もないことに計り知れない衝撃を受けた。
しかし今にして思えば何もない風景の中にもしっかりと道はあったのだ、さもそこにあるのが当然が如く。
本書は未曾有の災害の苦境のなか幾多の障害を乗り越えまさに道を拓いた人々のノンフィクション、その決断と勇気がなければ更に多くの命が失われていたことは言うまでもない。
人の力とはかくも偉大である -
ブログに掲載しました。
http://boketen.seesaa.net/article/416265898.html
仙台⇔青森。三陸のリアス式海岸を結ぶ大動脈国道45号線。それが2011年3月11日の東日本大震災でずたずたに切りきざまれた。
大津波で橋が流され、道は瓦礫で埋まって交通不能となる。かろうじて助かった命が、孤立し、寒さのなかで低体温症に倒れる。救急車を、食糧を、ガソリンを、灯油を運ぶ国道45号の回復は、まさに「命をつなぐ」ためのたたかいだった。
江戸時代に道路の掘削を単身おこなった僧侶・牧庵鞭牛とおなじたたかいを、三陸の人びとはまたしてもたたかい抜いた。
本書は、その貴重な記録だ。 -
道路を復旧させたのは、国交省や自衛隊だけではなく、普段から道路の維持管理をしている地元企業の方々が、上部組織の指示を待つことなく、自主的に道路復旧の仕事を始めていたという事を、知りました。
道路は生活の血管なんですね! -
『復興の書店』が印象的であった、稲泉さんの一冊。
国道45号を軸にした、311の時の復旧の様子が描かれています。
“困っている人たちがいるときはとにかく無償で手伝え。それが我々の会社の生き様だ。”
道路といった点では、『前へ!』で述べられていたものと被りますが、
あちらが国交省東北地方整備局の視点で書かれているのと比べて、
こちらは、より現場に近い人々の視点で、綴られています。
あわせて読んでみると、より複層的に感じることができました。
私自身も先月、本書でも取り上げられている被災地の一つ、
気仙沼(と陸前高田)を訪れてきました。
“何もない”、3年が過ぎた今でさえそう感じたのですが、、
それだけに震災当時の様子は、なおのこと想像もつきません。
こればかりは当事者になることはできないと痛感したのですが、
それでも、寄り添っていくことを忘れてはいけないとあらためて。
“啓開”は人々の心にも、なんて感じた一冊でした。 -
よく知っているだけに、一気に読みました。
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「指示されてないから何もしません。何もできません。」
そんな事を平気で言う輩が多いが、登場人物達は違う。本質を理解している。人間として何をすべきかを考えている。自分の事情を決して出さずに。
こんな事、できる人ばかりではないが、こういう時に行くか、逃げるかで、その人間の価値が分かる。
2013.6.5読了 -
世の中「スタープレーヤー」が注目される時代だが、現場の普通の人が自己の判断で「すごい」ことをしていった様子が書かれているように捉えた。このような力が現場にある日本はまだまだイケるのではないかと思う。
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東日本大震災直後の地元の土木業者、土木行政に携わっていた方達目線で書かれたもの。
記者目線、現地にいた作家、外部の人目線の記事は多く発表されていますが、 実際の市民達の、警察や自衛隊が入る前に、いちはやく活動をはじめた地元の人たちの話です。
直後、しばらくして、ほっとしてから、、 必要なものは、どんどん変わっていく
今だって必要とされているものがあるはずだが、報道では、あまり伝わってこない。 -
国道45号線がいかにして復旧されていったのか。
まさにサブタイトルが本書の内容を象徴していると思う。
いわんとすることは、国土交通省や地方自治体のみならず、
被災地の地元の人たち自身が、その道を開いていったからこそ、
とても早いスピードで復旧していったという点だろう。
これは新聞だけではよくわからない。
それだけ、新聞紙面では表現できないエピソードがあるのではなかろうか。