せいめいのはなし

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103322115

作品紹介・あらすじ

いつも好奇心に目を輝かせている自由闊達な四人が、「福岡伸一」の生命観に化学反応を起こしていく。相互につながる四つの「はなし」と、躍動する動的思考で語る著者の「はなし」。

感想・レビュー・書評

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  • 福岡先生といえば「動的平衡」。
    それをテーマに色々な人と対談されています。
    相手は内田先生や養老先生なので、ここでもいつもの話が聴けるわけです。

    「私たちの体は確固たる物質の塊のようで、時間の尺度を千年、一万年単位にして見ると、分子のゆるい淀みでしかない」という。

    そう思うと、日ごろつまらんことで悩み過ぎだとも思うし、細かいことに執着するのはやめようと思う。

    「生物体内のすべての物質は高速の代謝回転の中でたえまなく分解されているので、記憶が物質レベルで保存されていることはありえない」のなら、

    自分の記憶や考えが正しいと意見を押し通すことも控えようと思うし、自分がいい加減な奴でも許そうと思う。

    「世の中は因果関係がありすぎて複雑で見えないのではなくて、もともと因果関係がないことが多い。原因が結果を生むのではなくて、結果と原因はたえず逆転し、相補関係にあって、どちらが先でどちらが後か特定できない」中で、

    因果関係に縛られて窮屈な思考なんかせずに、その場その場の雰囲気や、偶然の出会いに身を任せてみようかと思います。

    以上、引用と感想でした。

  • せいめいとは何か、「動的平衡」を書かれた著者が
    文系と理系の垣根を越えて、あるいは別分野へにも共通する事項を挙げて、
    人間の世界と歴史、それを認識するシステム自体、それとそれをとりまく地球や
    生命の客観的な姿の対比、生命自身である人間や人間社会の流れについてを
    口語の対談形式で考えている本。

    半ば哲学的な物も感じながら、素敵なナード(オタク)の天才達の思考を垣間見える
    面白い体験が出来ました。

    ガン細胞、ES細胞のような物が、目的を失う原因と、
    多元世界によって、可能性を多く持つ事が出来る事により、
    (だからこそ福岡さんは検査を受けないという、)選択をしない行為をする
    のですがそこには矛盾のような関連性を感じます。

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  • 福岡伸一の対談本。語り合った相手は、内田樹、川上弘美、朝吹真理子、養老孟司の四人。
    大変申し訳ないんだけれど、川上さんと朝吹さんの小説はどうもワタシにはフィットしない。(これはただただ趣味の問題。)だから、このお二人との対談もワタシ的には今ひとつ。
    でも、それを補って余りあるほど面白かったのが内田さんと養老さん。特に内田さんとの対談がいい。以前、内田さんの著作で「グルグル回る」という考え方に触れたとき、これは福岡さんの動的平衡とシンクロするんじゃないか、と実は思っていた。そこへ持ってきてこのお二人の対談。案の定、「グルグル回る」がしっかり語られていて、きっとワタシはそのページをドヤ顔で読んでいたんじゃないかと思う。

  • 動的平衡をキーワードに4人(内田樹、川上弘美、朝吹真理子、養老孟司)との対談集。養老孟司との対談は秀逸。時間及び意識の考え方はなるほどねと思うこと多数。筆者の著書「動的平衡」を事前に読んで、その概念を理解しておいたほうが解りやすい。

  • 新聞、本等で今一番読んで気持ちいい人は「福岡伸一」さん。「動的平衡」、この言葉がなんとも魅力的で、心地の良さを感じてしまう。

    <本から>
    シェーンマッハはこの現象を、「dynamic(=動的な)state(=状態)」と英語で述べました。「生命とは代謝の持続変化であり、この変化こそが生命の真の姿である」と、新しい生命観を誕生させました。私はこの概念は非常に大事で、機械論的な生命観に対するある種のアンチテーゼになるのではないかと考えて、日本語で「動的平衡」と名づけました。

    分子も同じで、相補性があるのです。

    宇宙の大原則はエントロピーの増大の法則というものに支配されています。

    世の中は原因関係がありすぎて複雑で見えないのではなくて、もともと因果関係がないことが多い。原因が結果を生むのではなくて、結果と原因はたえず逆転し、相補関係にあって、どちらが先でどちらが後か特定できない。そういう共時的関係があるから動的平衡が維持されている。

    動的平衡は長い時間軸でとらえないといけない。

    今ここにいる「自分」という存在は一種の気体のようなものなんです。つまり、そこにあるのは流れそのものでしかない。そうした流れの中で、全体として一定のバランス(恒常性)が保たれた状態のことを「動的平衡」といいます。

    科学哲学でいう「理論負荷性」

    「生命とはなにか?」という問いへの解は、「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである」。言い換えると、可変的でサスティナブルであることを特徴とする声明システムは、物質的な分子という構造基盤にではなく、この流れに依拠しているということです。よく考えるとこの「流れ」は「効果」であるといえます。実体がなく、システムでしかない。だから、一輪車に乗るように、バランスを取りつつ小刻みに分解と再生を調整しながら自分を作り変えていくことで環境に対応できるのではないかと考えました。(略)
    環境への小刻みな対応が、後々に見ると軌跡となって「合目的」と呼べるものになっているのではなかいと考えていました。

    バージニア・リー・バートン
    『せいけいのれきし』原題は"Life story”

  • 福岡伸一ハカセは、
    『動的平衡』世界観の普及をするために、
    四人の使徒とはなしをする。

    内田樹との対話
    顕微鏡をつくった アントニレーウェンフック 
    アムステルダムの市役所の職員。公務員は暇なのだ。
    あらゆるものを見て、精液さえ視る。
    病気かどうか心配する。
    そして 同時代のオトコ フェルメール。
    光のささやき方。

    ユダヤ人 ルドルフシェーンハイマー 動的平衡を発見した
    『生きていることはどういうことか?』
    『生命とは代謝の持続的変化であり、
    この変化こそが生命の真の姿である。』
    経済とは 貨幣や商品価値ではなく
     『ぐるぐる回すシステム』
    『系;システム』こそが生命活動で、
    回す結び目が多ければ多いほど地球の動的平衡は安定する。

    変わることが変わらない方法である。
    パスを如何に渡すか?『その人の前にスペースが空いているヒト』にわたす.
    『自分らしくいきるためには自分らしさを誇示する商品を買うためにお金がいる』
    お金がないヒトは、自分らしく生きられない。
    お金を持っていないヒトは、未だ自分になっていない。
    『君ね.自分の中に自分を捜してもダメだよ』
    自分とは 他者との関係性で生まれる概念.

    分子生物学者が顕微鏡の向こうに見ているのは、科学者自身の自画像ではないか。
    科学者は 自分の見たい物を選択的に視る。
    もともと 因果関係がないことを因果関係があるように語る。
    ジャックラカンがいう
    『原因とはうまくいかないものにしかない。』

    医者は、病人を減らすことを使命としながら、病人が増えることを期待している。

    花粉症 異物を認知して ヒスタミンがでる。抗ヒスタミン剤を打ち、ブロックする。
    すると、過剰に更にヒスタミンがでる。そして、抗ヒスタミン剤の効き目がなくなる。

    川上弘美
    大学は生物学科で ウニの発生を研究して、その後教師になった。
    『どこから行っても遠い町』

    外なる『輪廻』、内なる『動的平衡;輪廻』
    小説とは 時間をどう描くのか?
    『時間』があることで、つながりが生まれる。

    ES細胞とがん細胞は どこに行ったらいいのかわからない 永遠の旅人
    どこに行ったらいいのか がわかるには 関係性が必要となる。

    朝吹真理子『きことわ』

    羽生善治はいう。『記憶とは淀みである』
    『未来とは、明日を壊していく感覚』

    記憶は物質レベルで保存されていない。
    →再生可能な記憶貯蔵物質
    →スライドのようなアーカイブで保存する。
    記憶とは、蓄積されていたものが蘇るものではない。

    『生きていることは現象であり、作用です。
    もともと物質的な基盤は何もなくて、どんどんいれかわり、つねに動く機能。
    自己同一性を担保しているものはない。』

    『未知なものを理論的に知りたい欲求と感情の領域の問題での欲求』

    設計図があることと『数珠つなぎのように、前の1行が次の1行を支える形ですすんで、
    一文字先がわからない状態のまま書いていく』

    ミクロとマクロのつながり。
    ミクロとマクロが等価にしてフラットに見えることこそ生きることの本意がある。
    善悪や真偽ではなく 『これは美しいなぁ。』

    可聴領域ギリギリ、すれすれ。
    『認識できない音はわからないから、その限界ギリギリのところにふれる音楽』
    崇高さにひかれるのは、ある秩序への愛

    ネオトニー ウーバールーパー。
    子供時代が長くなったことが プラス。
    あそびそして学ぶ時間が増えた。

    養老孟司
    見えるもの。見えないもの。
    『どこに連れて行かれるのか?』

    擬態 は ニンゲンから見た擬態であって、同じ虫から見た擬態であるのか?
    形ではなく 動作が 擬態となる。
    また 動きと合わせて 音が重要では。
    種の多様性とは。
    洞窟に目のない生物が生まれるが 必要ないから退化したのではなく
    暗闇で目を開けているのが 疲れるので退化した。

    動的平衡とは 意識の問題と記憶の問題。

    現実と言葉の矛盾。言葉は現実を補完する役割。
    現実を言葉で説明することがむつかしいが
    言葉で 炎上(呪いの言葉)したりして 現実を補助する役目でなくなる。
    情報過多とは 言葉過多になり 言葉ですべてが判断されてしまう。
    『どこかで見たことがある』
    『オレにも経験がある』
    それが 言葉でつながったりする。

    生きている状態が死んでいない状態で、死んでいる状態が生きていない状態。
    生と死は補完しあっている。

    なぜ、右利きと左利きがあるのか?

    効率化。余った時間。
    効率化を求めるならば 握り飯をトイレに流せばいい。

    『具合が悪い』『腹が立つ』『イライラする』
    『風邪を引いても世界観が変わる。ゆえに世界観とは風邪の症状だ。』

    『そうに違いないと考えていたことが、実は全然そうなっていない。』

    まとめ
    生命とは『自己複製できるシステム』
    動的平衡とは『生命のありよう自然の振る舞い方について、
    絶え間なく要素が変化、更新しながらもバランスを維持するシステム』

    関係性。コミュニケーションをする。
    物質の交換、エネルギーの交換、情報の交換。それぞれの相補性。

    美しいウニなどない。ウニの美しさがある。

    おいしい野菜などない。野菜のおいしさがある。

    私が私であること。一貫性や自己同一性というものをつなぎ止めているのが、記憶である。

    動的平衡にこだわり、
    どう発展するのか?
    先人の歩いたことのない道をあることするが故に
    戸惑い、拡張させ、発展させ、共有しようとする。

    一時期の 茂木健一郎の クオリア を想起させる。

  • 動的平衡という言葉、考え方を軸に内田樹、川上弘美、朝吹真理子、養老孟司と対談。

    経済、文学、記憶、虫…動的平衡の文脈で語る。


    p.207
    本当は私は「 私」であるという本性を言い当てることはできず、常に指紋や記憶といった属性でしか自分というのは規定できないのです。

  • めちゃめちゃ面白かったです

  • 1度目はだらだら借りて、延長もなんとなく面倒くさくて返却。でも、やっぱり、ふと借りたくなった。三木清の『人生論ノート』のだから何?の未読からの今回は、とても楽しく読めた(笑)

     ざっくりというと、“せいめい”はコミュニケーションで成り立っているということ。
     “せいめい”は他とのコミュニケ―ションによって出来るという。それにならって、福岡さんも細胞同士にとどまらず人間同士のコミュニケーションにより、“せいめい”の本を出版したのかな?と思った。

     4人との対談でなりたっている本で、目次がとてもよくまとまっている。対談相手の名前と共に話題がキャッチコピー的にまとめられていて、お題の詳細が記されている。目次だけであらすじを理解出来るようにまとめられていて、まさに見本だと思った。
     「こういう人がこんなこと言っていて」という具体例は、分かりやすいし、説得力があって、今後の参考にもしたいと思わせる力が強いと思う。

     最後に「献辞バートンの黄色い本に」という言葉があったが、ずっと私が気にしていた絵本を意識して書かれていた本だったとは驚きだった。バートンの本、慶君にあげようと思った(笑)

    ■内田樹~ぐるぐる回る~
    福岡P91600年代は科学と芸術にパラダイムシフトが起った時代。ガリレオ天動説→地動説、レーウェンフック顕微鏡でミクロへの視点、ルネッサンス→バロック生々しい表現
    内田P21「クラ貿易」
    内田P23経済活動は人間を成熟させるための装置だった。
    ■川上弘美~この世界を記述する~
    川上P61人間の体は主に酸素、水素、炭素、窒素→水、二酸化炭素、アンモニア
    ■朝吹真理子~記憶はその都度つくられる~
    福岡P79記憶は瞬間瞬間で新たに作られているもの
    福岡P89スピノザの世界の捉え方は、この世界はあまりに複雑でさまざまなことが起るし、予想することはできないけれども、どこかに「神の摂理」があるはず。出来事には複雑過ぎて見えないとしても、かならず因果性があり、常に原因と結果を結ぶ通路があるはず。後にアインシュタインがある宗教家にあなたは神を信じますか?ときかれ、「私はスピノザの神を信じます。世界の秩序ある調和として現れている神を」と答えている。
    レーウェンフックとフェルメールとスピノサ(レンズ磨き)とアインシュタイン
    朝吹P92細胞が周囲とのつながりで人体の形にまとまっていく生命現象の比喩と似た形で作品を作ったのは、フランスのシュヴァル。
    ■養老孟司~見えるもの、見えないもの~
    養老P112DNAで分かるのは時間的な系統関係。DNAの違いだけでみると完全に塩基配列要するに、数の話になる。
    養老P162解剖学「死体を分けて名前にしてる」
    養老P167『プルーストとイカ』メアリアン・ウルフ著ソクラテスの考えを紹介しながらプラトンを槍玉に挙げて、文字言語は信用ならないという。
    福岡P174個性なんてどんなものか分かったものじゃないし、環境次第で変わる。チェーホフ「風邪を引いても世界は変わる。ゆえに世界観とは風の症状だ」。
    福岡P178生命とは何か。20世紀のDNAの構造解明で幕が切って落とされた分子生物学の大発展は生命を「自己複製できるシステム」と定義。
     動的平衡のキーポイントは絶え間なく入れ替わっていることと同時に、その要素と要素の関係性が相補的な関係性を保っているという、関係のあり方。
     細胞と細胞、たんぱく質とたんぱく質による、物質の交換・エネルギーの交換・情報の交換が相補性をつないでいる。
     ☆まとめ 平衡はジグソーパズルが互いに他を認識し合いながら、補完し組み合わさっているような構造。常に新しいピースと交換されているけれど、ピースとピースの関係性(細胞と細胞、たんぱく質とたんぱく質)は、空気を読みあって・コミュニケーションをとって(物質交換、エネルギー交換、情報交換)、保たれているから全体がつながっている。だからこそ、全体の絵柄がそれほど大きく変わらない。
    P182交易や交換が相補性で担保されていれば、組織論を動的平衡から説明しても間違いないでしょう。
    P192自分のサイズでしか科学者も科学をできないし、芸術家も芸術を描けない。

    ■追記
    P9 1632年10月レーウェンフックとフェルメールがオランダのアムステルダムのデフルトにて生まれる。

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著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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