脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103324614

感想・レビュー・書評

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  • 引っ越しの時に業者に頼まずに友人に謝礼を払って手伝ってもらう、外食せずに好きな食材で弁当を作る、遊園地で遊ぶのをやめて公園で自然を感じて遊ぶ、CDを買わずに友人から借りる、というようなことを辞めて逆を目指すとGDP(=豊かさの数値)が増える。ってこれってどうよ? 人とのつながりを楽しむほどにGDPが減り、日本が貧しくなって行く? 経済成長を優先してできあがった今の貧しい先進国が、手を差し伸べるふりをして、新興国を巻き込み、経済的に貧しい人を陥れている現状を見直そう、ということが詳細なデータとともに書かれている。

  • 「経済のためだから、理想論ではなく現実問題として仕方がない。」こんな言葉の前に我々はどれだけ多くのことを諦め思考を停止させられてきたことだろうか?
    ⇒金のためなら思考が停止するのか?

    経済の仕組みがばら撒いている被害

    この地球上で永遠の成長を目指しているのはヒトだけである。
    我々だけが右肩上がりのグラフを理想としている。

    我々の食べ物はすべて自然界からやってくる。我々は植物の葉に光合成をしてもらって、太陽の光を食べて生きている。

    日本では年間117万トンの服が買われ、同時に106万トンが捨てられている。

    一人あたりでは9キロ買って、8キロ捨てられている。
    参考:激安ファッションの犠牲者に救いの手を
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20130504-00024719/

    時代遅れを生み出しては新たに買わせる「計画的陳腐化」の戦略を練り上げていった。

    綿花栽培で干上がるアラル海

    ・アメリカは低金利で資金を貸してまで、韓国や台湾に原発を勧めた。
    ⇒北が南に原発を売り込んだ。

    ・混乱をつくり出す戦略
    価値の判断を鈍らせる。例:3個で100円。無料サービスの添付、ファストフードのセットメニュー、通話料金の割引制度

    ・コーヒーは「南」が作り「北」が消費する商品の代表だからだ。

    ・「日本には資源がない」「輸入するしかない」という話が「いくらでも輸入で賄える」「輸入で増やせ」という奇怪な論理にすり替えられている。

    ・GMはNY,ボルティモア、セントルイスなど全米45の都市で同じように鉄道会社を買収して電車を廃止させ、有罪判決まで受けながらも55年までにこの戦略をやめなかった。

    ・自販機がたくさんあるのは日本だけということは「ある程度それがなくてもやっていける」ということだ。

    ・せんみつ・・・飲料業界には千に三つぐらいしか残る新製品はない。

    ・タバコ・・・「自分たちは健康によくないものを売っている」と認めながらも、売上を落とす気がない。「北」で売れなくなったら、「南」で売ればいい。タバコに限らず、さまざまなジャンルのグローバル企業が獲っている手口がここに露呈している。

    ・ある調査によると日本人が一年間に外食する回数は、一人あたり196回で、アメリカを抜いて世界一 by 食糧の世界地図 エリック・ミルストーン他著
    (貧困のための政権ラッシュ)
    ラテンアメリカ諸国は、70年代から世界に先駆けて新自由主義の実験場となり、また何世紀もの長きにわたってアメリカに搾取され続け「アメリカの裏庭」と呼ばれてきた。

    資本家は、資源を取ってきたり、ゴミを捨てるなどして環境を汚した後始末も安く済ませようとする。ある国での環境破壊への規制が強くなれば、コストがかかるので、より規制の甘い国に移動してしまう。

    今強調すべきなのは分業のメリットではなく、行き過ぎた分業を見直して、より多様で自給自足的な方向に戻すことだ。我々は社会の生産性を上げるために生きているわけではない。

    80年頃からイギリスのサッチャー首相やアメリカのレーガン大統領が取り入れた。IMF(国際通貨基金)や世界銀行といった国際金融機関も借金が返せなくなった国々に金を貸す代わりに新自由主義の政策を強制して、これを世界中に広めてしまった。

    ◎ここで一歩引いた視点で見てみよう。もしもっと大きな金融危機が起きて世界中の銀行が潰れたら、人間界だけは大惨事になるが、他の生き物は一体何が変わったのか気づきもせず生きているだろう。ヒトだけがカネを使い、カネに依存しきっている。この先はカネや経済により依存しない、他の生き物に近い生き方を目指すべきなのだ。そうしないと、この先もカネを操っている連中に翻弄され続けるばかりだ。◎

    世界的なネットワークを持つ市民団体ATTACが導入を呼びかける「トーピング税」がその代表的なもの。

    自国の企業のインフラなどを買わせるためにカネを貸すことは‘ひも付き援助’と呼ばれ批判されている。

    ・1%の人々が世界の家計資産の40%を独占している。
    ・2%の人々が世界の家計資産の半分以上を独占している。
    ・貧しい半分の人々が所有する資産は、世界の家計資産の1%に過ぎない。
    ・国所得国でも純資産がマイナス(負債)で、世界の最貧困層にランクされている人が数多くいる。

    今地球上では人類の全員が食べていくために十分な食糧が作られている。しかし食糧が足りない地域と余っている地域が共存している。つまり食糧の場合も総生産量がたりないのではなく、単に配分の仕方が間違っているのだ。これは「富」全体のこととしていえる。

    貧困とはもともと配分の誤り

    ヒトの身体の95%以上は、炭素、水素、酵素、窒素というわずか4つの原子からできている。

    太陽のエネルギーは空気や水を動かし植物によって物質に閉じ込められそれを取りだすことで生物が生きている。つまり太陽のひかりを分け合っている。(中略)これらは増えも減りもしない

    人間界の仕組みは不自然で苦しいのだ。そんな時に自然界に触れると、ヒトは‘本来の仕組み’を思い出して落ち着くのかもしれない。

    日本で農業に従事している人は総人口の2%。その平均年齢は65・8歳

    「身土不二」・・・身体と土はひとつのもの、生き物とその生きる環境は切っても切れない環境にある

    ホウレンソウは収穫して室温で1週間置いておくだけで半分のビタミンが失われる。

    応援する店や物に対しては思い切ってお金を使う。カネ儲け主義の経済を終わらせることは、連帯する経済を作ること。

  • ひとつひとつの話題が読みやすく、現代社会が抱える問題がよくわかる。
    きちんと読み手のことを考えてやさしく解説しているところは
    好感を持てる。
    ただ、このタイトルは人を選ぶし、
    端々で著者の活動や主張が描かれるところは
    賛否がわかれるんじゃないだろうか。

    文中で『いのちの食べかた』を話題に出すなら、
    この映画のように現代の矛盾や生活している上で見えないこと(見えにくくなっていること)を
    主張を織り交ぜずに淡々と綴るだけでもインパクトがあったかもしれない。

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