大地のゲーム

著者 : 綿矢りさ
  • 新潮社 (2013年7月31日発売)
2.65
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  • レビュー :153
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103326229

作品紹介・あらすじ

私たちは、世界の割れる音を聞いてしまった――。大地はまた咆哮をあげるのか? 震災の記憶も薄らいだ21世紀終盤。原発はすでになく、煌々たるネオンやライトなど誰も見たことのないこの国を、巨大地震が襲う。来るべき第二の激震におびえながら、大学キャンパスに暮らす学生たちは、カリスマ的リーダーに未来への希望をつなごうとする。極限におかれた人間の生きるよすがとは何なのか。未来版「罪と罰」。

大地のゲームの感想・レビュー・書評

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  • 綿矢りさの最新中編ということで雑誌「新潮」3月号に掲載されたものを読んでのレビュー。
    なので、実際の単行本は加筆修正されて、より精度の高い作品になっている可能性もあるが、とりあえず。

    綿矢りさの作品はすべて読んでいる私だが、やはり彼女の魅力は、
    地の文の瑞々しさ、誰も思い浮かばないような巧みな比喩や破裂極限までに肥大させた自意識の表現にあるのは明らかだ。
    読んでいる途中、至るところで名文に出くわす。

    この作品は、大地震が原因で、大学構内に留まり。暮らし続ける女子大生が主人公の物語。
    その共同体の中で。リーダーが生まれ、新たな秩序が形成されていく。
    2年前の東日本大震災に、綿矢りさが初めて触れた小説になる。
    いとうせいこうの「想像ラジオ」や、重松清「また次の春へ」など、震災を取り扱う作品がようやく増えてきた。
    直後では、あまりにも生々しすぎ、腫れ物に触るように、やや扱いかねていた文学者たちも、やっと文学がどう向き合うべきかを作品の俎上に乗せることが出来るようになってきたのだろう。
    綿矢も同じ試みに挑んだのだろうが、消化不良な感は否めない。
    私には、この小説の面白さは読み取れなかった。
    やはり彼女は、世の中の時流や事件などに流されることなく、自由奔放に描きたいものを描いていくのが良いのではないだろうか。
    文学者みんながみんな、核や震災や世の中の事件に向き合う必要はないと思うのだ。
    彼女の魅力はそういうところにあるのではないのだから。
    残念な気がする。次作に期待したい。

  •  世の「作家」や「芸術家」なんて言われる人たちは、ともすれば、さきの震災に対して自分なりに向き合わなければならないと思い込んでいる。それは被災地でボランティアをしているような実践家たちからすれば、「意味の無い向き合い方」だと批判すべきことなのかもしれないし、実際の被災者は「被災してないくせに何がわかる」と憤ることなのかもしれない。このレビューを書いている私でさえ被災していないのだから、震災文学のレビューをして何を言われるかわからない(し、何を言われても仕方が無い)。
     でも、じゃあ無関心でいいのか。と、私は思う。

     綿矢さんは別に娯楽小説を書いている訳ではないのだから、人を楽しませることに徹する義務も無いわけで、関心のままに、訴えたいままに小説を書くのが仕事であり、すべきことなのだと思う。この作品が彼女の震災に対するひとつの向き合い方であって、あくまで震災を馬鹿にしたり、パロディックに利用しているわけでは無い。
     ただ、震災文学としては、「つかず離れず」で非常に居心地の悪い感覚があるのは確かかも知れない。3・11を確実に意識させつつ(というよりもこちらが先立っていて)、それでいて近未来の時代設定やアノミー的な状況は確実に現代のそれとは乖離している。
     でも、これが精一杯なのではないか。所詮私たちは被災者の身にはなれないし、かといって変に同情するのも間違っているように思う。彼女なりの落としどころが、『大地のゲーム』だったのではないだろうか。そして私は、勝手ながらもそう酌み取りたい。

  • 綿矢氏の小説は割と好きなんだけれどこれはダメだったな。久しぶりに途中で読めなくなった。

  • 表紙の絵が可愛くて読んでみた作品

    最後いい話風にまとめてたけど
    久しぶりに「結局何が言いたかったんだ?」と思った
    全体的に極端過ぎる
    それは大地震がまた来るって鬼気迫る状況だからって言うなら
    もっと丁寧に掘り下げて書いて欲しい

  • 今までの綿矢りさとは全く違う、村上春樹のような現実逃避と空想空間が入り混じったもの。
    面白いかそうでないかで言えば、綿矢りさファンの私からすると後者になる。とういのも、彼女らしい共感できるフレーズやシーンなどがないから。窮地に追い込まれた人間とはという卒論を物語形式として発表しましたみたいな感じかな、
    映像化すると面白そうかなと思った。例えばバトルロワイアルのようなサバイバル映画、はたまた岩井俊二のような情景が美しい映画とか。ニムラに追いかけられているマリの姿とか映像化すると綺麗なのにと思った。

  • 相変わらず比喩の使い回しが上手いんだけど、今回の作品の設定というかテーマが僕には難解過ぎた。芥川賞作品を読んでいるような感じだったかな。次作に期待。

  • うーむ。
    相変わらず卓抜した比喩を使う人だなあ、と思うのだけれど、しかし、それと今回のストーリーがうまくマッチしていない気がする。
    と言うより、何故に綿矢りさがこのような(内容の)作品を書いたのか、そこがイマイチ掴めない。
    ストーリーも、どうやら近未来のニッポンを舞台にし、東日本大震災のような(というかいつか来ると言われる関東大震災が来たという設定なのか)大きな地震の後の大学生たちの姿を書いているのだけれど、それと同時並行的に学生運動みたいなことも起きていて、主人公は彼氏がいるけれどもそのリーダーみたいな人が好きで、何やら得体の知れないドラッグが蔓延しはじめていて、と、随分こんもりと内容が盛り込まれているのだけれど、それでもやはり文章のせいか、それとも主人公の思考のせいか、なんだかスカスカな感じがする。
    ただ、このままこじらせ女子みたいな恋愛小説一辺倒になるには勿体ない実力を持っている人だと思うので、こうやって色々チャレンジしてくれるのは歓迎かな(上から目線)。

  • 震災後の発刊だし、震災を受けての本だと思われる。震災より後の世界で、さらに大きな地震が具体的に記述されてはないけどたぶん東京で起きたよって感じの。学生団体のリーダーに啓蒙しつつちゃんと自分の彼もいて、未曽有の危機に遭遇して頭がおかしくなっちゃった人たちの中でどう自我を保ちつつ生きていくかーみたいな。マリっていう超絶モテモテ不思議な美少女が出てきて、女子から追っかけまわされ(いじめられ)てるんだけど、主人公はかばってたり。このマリって子以外は全員名前が出てこないんだけどそのあたりどうなんだろ。マリはマリで周りに依存しないで自己を持ちつつt生きてるから一人の少女として名前がついてたとかそういうことなのかな?宗教とかって言うのは、やっぱりこう、弱った人がいるから成り立つんだろうな。支えになるものにどうしてもよっかかりりたくなっちゃうんだろうな。リーダーなはずのリーダーがマリには入れ込んでしまったのも、まりがしっかりと自分を持っていて、リーダー自信が自分を肯定するだけでは足りない部分をまりに求めてしまった結果なのかな?きちんと自分の頭で考えて行動できるようになるトレーニングは必要だなと改めて思いましたまる

  • 綿矢りさはやっぱり怖いな。

    引用
    《身動きできなくて腕で頭をかばうけれど次々物は落ちてきて、まだ揺れはおさまらなくて もういつまで こんなくるしみ いつまで》
    ここがすごいと思う。

  • とにかく読みにくかった。
    綿矢りさの文体は比較的読みやすいと思っていたけど、これは読みにくい上に内容が頭に入ってこない。
    「あれ?今どういう状況だっけ?」と混乱することがしばしばだった。


    やはり彼女は、どこにでもありそうな小さな世界を描いてこそ、文体の美しさ、繊細さが光ると思うね。この小説でも、ささやかな場面でこそ、彼女の微細な感性は光っている。


    近未来は彼女が描くにふさわしい世界じゃないし、震災というテーマを持ってきたのも取ってつけたような感が強く、必然性が感じられなかった。
    終盤は可能性を感じさせる美しさだっただけに、残念。

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