手のひらの京

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 898
レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103326236

作品紹介・あらすじ

なんて小さな都だろう。私はここが好きだけど、いつか旅立つときが来る――。おっとりした長女・綾香は31歳、次第に結婚への焦りを募らせる一方、恋愛体質の次女・羽衣は職場で人気の上司と恋仲になり、大学院で研究に没頭する三女・凜はいずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。奥沢家三姉妹の日常に彩られた、京都の春夏秋冬があざやかに息づく、綿矢版『細雪』。

感想・レビュー・書評

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  • 綾香・羽衣・凛。
    京都を舞台に繰り広げられる三姉妹の物語。

    三姉妹それぞれに共感できる部分があって、応援しながら読みました。

    「京都」というと、よその人はそう容易く受けいれてもらえないような、
    柔らかく押し戻されるイメージがあります。

    生まれた場所で育ち、生き続けるということ。
    その閉塞感のようなものが、転勤族の自分にはよくわからないんですが…
    故郷って、
    たとえ離れて暮らしていても、変わらずそこにあって、
    自分のすべてを包み込んでくれる場所。
    そういう故郷があることが、羨ましかったりもして…。
    ないものねだりですね。

    京都に住んでいらした著者ならではの、
    古都の街並みや、四季おりおりの景色の描写がとても素敵で、
    京都に行きたくなりました。

  • 綾香、羽依、凛。
    京都で生まれ育った3姉妹の、恋と成長をえがくホームドラマ。

    京都のいい面だけでなく、悪い面も。
    筆者自身が京都で生まれ育ったそうで、観光ではない生活感がある。

    妹ふたりの葛藤が、印象に残る。
    特に「聞えよがしのいけず」と対決する羽依が、よかった。

  • 三兄弟の話ってなんとなく
    物語にならない気がするけど、
    三姉妹の話って不思議な魅力がある。

    京都の話なのか、家族の話なのか。
    京都弁が心地よくてふわふわ読んだ。

  • 京都で生まれ育つって大変なことなの。
    京都に住み続けるのもいろいろと大変だし、京都人ってほんっとねちっこくて難しいのよ。

    ・・・ってことが表現したかったのかな?
    すみません、よくわからない小説でした。

    『細雪』と聞いたので楽しみに読んだのですが、谷崎のは「斜陽」「滅びの美学」。こちらはなにがテーマ?

    京都の四季の風景は読んでいて楽しかったです。

  • ちょっと物足りない読後感。京都に暮らす3姉妹の淡々としたそれぞれの日常が描かれているけど非日常的な出来事はほぼ無い。もちろん京都育ちの著者だから京都の祭事や風景や町並みは手に取るように描写してある。所謂 婚期を過ぎた図書館勤めの長女、新社会人で背伸びしながら自我を表したい次女、大学院を出たら専門を活かす勤務先を東京に求めたい三女。たしかに京都住まいの市井の家族は作品のように生活する人が多い。しかし読み物としては少し物足りなかった。

  • 京都に住む年頃の三姉妹、綾香・羽依・凛の3人と両親の姿を描いたホームドラマ。
    京都出身の綿矢さんが初めて書いた京都を舞台とした小説ということで、京都人の視点から京都を見ることができたのがとても面白かった。
    四条でかわいい和小物の店がたくさん開かれているのを見て、ヒロインの一人が「いつの間に京都はこんなに商売上手な街になったんだろう?私の小さい頃は伝統的なお菓子がお土産だったのに」と思うシーンがあるが、綿矢さんもこんなことを想ったりしたのかな?と感じた。

    三姉妹の個性や生き方も様々で、長女の綾香は手堅く紹介で出会った彼氏と結婚に向けて着実に進んでいき、次女の羽依は恋に奔放な姿を見せるが、京都人の一部でまだ残っている「いけず(意地悪)」には決して屈しない。三姉妹の中で羽依の登場するシーンが、一番動きがあって面白かった。
    三女の凛は霊感があるのか、京都の土地に根づく怨念を感じやすいのと、東京に就職先を探していて、京都から離れたがっている。雅やかで素晴らしい文化の残る京都だが、歴史の陰にやはり、何かしらあるのだろう。鳥獣戯画の絵巻の絵が動き回り、おばあさんがつぶやく「ミユキガトオル」の夢はちょっと怖い。あれは一体何だったんだろうか?これが最後まで気になった。
    それぞれの生き方を見つけていき、一見ハッピーエンドを迎えたに見える三姉妹だが、父の病気という不安な予兆を残して物語は終わる。小説の中だけではない、現実のどこの家だってそうなのだろう。

    自分も成長して親の元を巣立つ年齢にあった時のことなどを思い出させる、とても親近感を感じる小説だった。

  • 京都を舞台に、三姉妹が自らの生き様に悩みながらも大人の階段を上って行く。悩める若い子向けかと思いきや、京都という町に根付くどこか霊的でおごそかな空気がよく描かれていて、そこは万人が楽しめるのでは。

  • 結婚に焦る長女、派手で恋愛体質な次女、大学で研究に没頭する三女、京都という小さくも歴史がある街に絡め取られている三姉妹だった。手のひらで包み込まれるような盆地、そこで高見から踊らされるような都人、四季の移ろいとともに揺れ動く三姉妹だった。

  • 低い山々に囲まれた盆地を俯瞰すると、日本の歴史の中心を担ってきた京の都が意外と小さい。思い出も愛も憎しみも手のひらでそっと掬い上げられてしまう。小さな街の3人姉妹の小さな決意。どこにでもありそうな光景だが、それぞれの決意には壁を乗り越えた自信と力が漲っており、激しく勇気付けられる。秀逸な出だしにのっけから酔わされストーリーの面白さも相俟って一気読み。最後まで勢いは削がれることなく楽しませてくれた。生まれてくるパワーを存分に満喫できた。

  • 京都で暮らすある一家。

    ここで生まれ育った両親。

    長女の綾香。
    図書館司書で、しっかり者、おっとり、真面目。

    次女の羽衣。
    OL。奔放な性格だけど、芯はしっかりしている。気が強い。派手なせいか女性に嫌われやすい。

    三女、凛。
    男性と付き合ったことはなく、院で研究に没頭してきた。京都が好きだからこそ、就職を機に一度外に出たいと思っている。


    3姉妹の物語というと、そのうち誰かがダメ男に恋なんかしちゃって、家族もぐちゃぐちゃに〜なんていうお話が多かったのですが、この3姉妹は(ちょっと危うい場面はあったものの、)違ってて、まずとても仲がいい。そして、それぞれの悩みに苦しくなったり、切なくなったりしながら読んでました。



    作者の綿矢さん自身、京都の方ということで、それならではの表現も楽しかったです。

    京都の伝統芸能「いけず」の説明がとても面白かったです。
    京都人が皆、「いけず」の使い手ではなく、学校のクラスでいうと2、3人の割合ということは覚えておこうと思いました。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞して作家デビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞、12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞。ほかの作品に『夢を与える』『勝手にふるえてろ』『ひらいて』『しょうがの味は熱い』『憤死』『大地のゲーム』『手のひらの京』などがある。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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