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Amazon.co.jp ・本 (552ページ) / ISBN・EAN: 9784103328155
作品紹介・あらすじ
空襲で焼け落ちた明治宮殿に代わる、戦後日本、象徴天皇にふさわしい「新宮殿」を――。敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行!
感想・レビュー・書評
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全体を通せば面白かったが、上下巻1100頁はとてつもなく長い。中弛みもあって苦痛に感じる所もあった。
ある程度史実に沿った内容と思われるが、官僚を悪者にした方が話として盛り上がるように仕立て上げた感じがする。
村井とされる建築家は初めから宮内庁関係者に関与されないように基本設計から見せないようにしていたそうですね。施主と建築家との関係が最初からそうでは起こるべくして起こったトラブルだったように思う。 -
昭和の新宮殿は、設計者が降りるという事態になる。そういう事だったのか…。
昭和の建築史と思って読んでいたのだけれど、昭和の皇室と宮内庁の歴史小説、という感じだった。
現実の皇室は、次期天皇となるであろう方の大学進学で、女性週刊誌を中心にニギニギしくなっているけれど、少しづつ変わっていくのだろうか? -
堪能した。「沈むフランシス」、「光る犬」、を読んで、「火山のふもとへ」を読み返してから「天使も踏むを畏れるところ」(上)を読んで、一気に下巻も読み終えた。堪能した。
池澤夏樹「また会う日まで」
松浦寿輝「名誉と恍惚」
小川哲「地図と拳」
は昭和100年3小説だなあと勝手に思っていたのだけれど、昭和100年4小説になった。 -
上下二冊本の長篇天皇小説。著者のデビュー作『火山のふもとで』の前日譚にあたるという。いちおう読まないといけないか。
物語としては、1968年に完成した皇居新宮殿の設計と建築をめぐって、「戦後天皇制」をどう表象するのか、「天皇」が現前する空間をどのように体験させるのか、設計者の建築家と予算を仕切る宮内庁の担当官、「技術」一辺倒の建設省の若い技官とが陰に陽にしのぎを削り合うプロセスが読みどころになっている。特定の視点人物の語りで一貫させず、立場の異なる人物それぞれに語りを担わせてそれを組み合わせていくというスタイルだが、不思議と多声的なテクストとは感じられない。その点がこの小説のポイントであり、問題点だろう。 -
「火山のふもとで」の村井さんが、戦後に新宮殿を設計した時のお話。史実を元に書かれたエピソードが多々あり、昭和史の一部分を知ることができた。
牧野の振る舞いには苛立ちを覚えたが、宮内庁造営責任者としての立場からすると、そうしたくなる理由もあったのだろう。村井さんの外部告発以降の話からなんとなくそう思えた。
上下巻合わせて1000ページ以上の大作。上巻はなかなか読み進められなかったが、下巻はなかなか面白く読めた。ある意味、牧野を悪者とした書き方が作品を面白くしたと思う。 -
いよいよ設計図が確定し工事が始まる。堀の外では安保闘争やオリンピックなどで騒がしく、工事にも影響が。宮内庁の責任者の幼少期が語られる唐突感もあるがのちに納得。紆余曲折あるが、静かに丁寧に物語が進む。物語としては無駄なことも多いのだろうが、その細かな書き振りが真実味を増している。最後は驚いたが、この作者ならではの締めかたでなるほど。
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戦後の天皇制に対する国民感情、建築、芸術、デザインなど表現者たちの思考のプロセス、組織論、などなど多岐にわたるものごとたちについて、変わったことや、変わらなかったことたちについて建築物が出来上がっていく長い過程を通して語られるという構成は、まさに建築のように立体的に物語が立ち上がっていくような新鮮な読書体験だった。
ちょっと長かったけど笑
高度経済成長に向かう上向きの空気感の中で、村井(吉村順三)のような地に足のついた価値観をもった建築家に「新宮殿」造営を依頼したのはあらためて慧眼だったと思う。
これでもかと粘着質に描かれる牧野の暴走は、凡庸とした人物に能力と権利を持たせたらこうなるのだということだろうが、自身を返り見るに残念ながらこれが最も近そうだなと、、、
「火山のふもとで」も読み返してみよう。 -
やと、読了。上下巻と長いが、いろいろな立場の方の心情や行動が丁寧に淡々と描かれているせいか、飽きずに最後まで読めた。
吉村順三先生の建築に対する思いが伝わった。
今の社会や会社にも通じる社会の澱が見事に描かれていて、今もありそうだと納得しながら読了。 -
興味深い情報がたくさんあった
というだけだった -
下巻2巡目。
新宮殿造営の話ばかりでは窮屈だな
そう思っていると、美智子様と衣子の
何気ないやり取りに心がほぐれほっとする。
P223
〈宮殿はくつろいでもらう場ではない。宮殿はハレの舞台なんだよ〉
一向に交わることのない村井と牧野。
ズレはおおきくなるばかりだった。
読んでいて、牧野を理解したいという気持ちはあったが
最後まで寄り添うことはできなかった。
今作はフィクション。
でも、新宮殿建設に尽力した人々の名は歴史に残り
この後も消えることはない。
名を残すことなく去った人たちも
みな、誇りを持って仕事をしていたのだろうな。 -
上巻よりスラスラ読めた。
防弾ガラスが後から付けられたものとは知らなかった。
村井の立場になって読むものだから、ホントに腹立たしくなった。
でも牧野は悪役に描かれ過ぎているような。モデルになった人も、あんな感じだったのか。そうでないなら、ちょっと悪役に寄り過ぎてる感じがする。牧野が「田舎出身」のエリート、さもありなんって感じで書かれてるのだが、作者が東京出身のようで、これもさもありなんって感じ。
不倫関係が爽やかに描かれているのもちょっと…
村井が都会的で、洗練されて、冷静で、対応が大人ででも肝心なところは譲らない、筋の通ったセンスと才能のある人であることはわかった。
侍従長のパートが一番ホッとした。なければ読むのも辛かったと思う。 -
下巻は⭐️⭐️⭐️⭐️にしたけど、穏やかな上巻では5つ。
女性の登場人物がほぼ2人なのにも関わらず、優雅で静かな時が流れる… -
侍従西尾氏ほかが殿下、妃殿下のことを語り合う場面でそれぞれ長男、お嬢さんと名付けるのが何ともよく、いっぽう美智子妃のご結婚以降の生活を思うに辛いものがある。
著者プロフィール
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