豆の上で眠る

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3393
レビュー : 516
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103329121

感想・レビュー・書評

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  • ある日、大好きだったお姉ちゃんが突然いなくなってしまった。
    まだ小学三年生。
    自らの意志での失踪なんて可能性は低く、
    手掛かり皆無で焦燥しきる家族に、彼女が与えたダメージは計り知れないものだった。

    それから二年、
    まさかの無事帰還である。
    変わり果て、記憶を失った状態で発見された彼女に対して、喜びながらも小さな違和感を抱く妹。

    (この人は本当に私のお姉ちゃん…?)

    何重にも重ねられたシーツの下に隠されたたったひとつの小さな小さな豆。
    その一粒が気になって今夜も眠れないのは(あの人は姉じゃない)と見抜いている私だけ。

    (ある)とは気付いていても
    シーツさえ被せれば、穏やかに眠ることはできる平穏。
    ニセモノの平穏と
    ホンモノの平穏がかけられていた天秤が、ラストでぴたりと吊り合ってしまう物語。

  • 行方不明になっていた姉が二年後に帰ってきた。
    しかし、行方不明前の万佑子ちゃんと帰ってきた姉は果たして。。。。
    久しぶりのミステリー小説。
    なかなか面白かった。
    物語後の主人公たちがどういう行動とるのか気になる。
    これって続編あるのかな??

  • 何をもって"本物"といえるのかを読者に問う小説。
    現在大学生の姉妹。始まりは小学校。大好きな姉の万祐子ちゃんが行方不明になり、2年後に帰ってきたが、妹にとっては別人にしか思えない。

    最後には、希望の万祐子ちゃんに会える。が、その万祐子ちゃんも、期待する万祐子ちゃんではなかった。心の支えとなっていた記憶の中の本物の万祐子ちゃんさえ、最後には幻想になる。妹の結衣子ちゃんの喪失感を思うと辛い。戻ってきた万祐子ちゃんの、努力と健気さが報われないことも辛い。
    でももし、期待通りの万祐子ちゃんが2年後に戻ってきていたとして、その万祐子ちゃんの性格が豹変していたとしても、それは本物といえただろうか?やはり違和感を抱くのではないか。

    「向き合い、時間をかけて、本物の家族となっていけるのではないか」というフレーズが終盤にあった。本のラストでは、読者に本物を問うて終わるが、私はこのフレーズこそが答えだと思う。始めで家族が決まるのではなく、後から家族という関係性になっていくのだと思う。だから、結衣子ちゃんが、ここから家族になっていくことをはじめられたらいいな。

    母親が脱走した猫を口実にして子どもに誘拐犯を探させる件や、誘拐犯を見たと平気で嘘をつく子どもなどが、有り得そうに思える分、嫌な気持ちになった。読者に投げ掛けて、モヤモヤさせて終わらせるラストも好みだった。ただ、終盤にもっとページ数を割いて欲しかった。ラストスパートが早すぎて勿体ない。

  • 回収されていない伏線もあった気がするけど、すいすい読めて物語として面白かった。
    いろんな理不尽が出てくるが、奈美子さんが婚約者の両親から投げつけられた台詞が一番むごく、母方の祖母の台詞が唯一の救い。

  • 湊かなえ独特の、気分の悪い、モヤモヤザワザワする後味の悪い読後感が楽しめる。
    いちばん印象に残った一文、
    「大切な人を失うドラマを楽しめるのは、大切な人を失ったことのない人たちだけだ」

  • タイトル、エンドウ豆の上に寝たお姫様の意味。
    最後の最後にやっとわかった。

    ゆいこは本物の妹だった。

  • 2016.6.27 読了


    なんとも言えん読後感。。。

    現在の話と過去の話が 交互に語られる、と
    あれ?て思いながら読み進める。

    ずーっとモヤモヤしながら。
    気になるから どんどん読む。

    てなことで、すぐ読めちゃいました。

    これは、結衣子の立場なら
    全部 教えておいてくれよー!だよな。


    それなりに 面白かった。

  • 読んでる時は夢中になって先先読んでしまう。
    だけど、大体これはこうなるんだろうという予測はつく。
    その通りにストーリーが進むのにやはり面白い。
    それは作者の力量だと思いました。
    さらに、すごく文章が読みやすいのでスイスイ読む事ができました。

    主人公は幼い頃に姉が誘拐された経験をもつ女性。
    姉は誘拐された2年後に発見、保護されたが、主人公はずっとその姉とは誘拐される前の姉だったのか?と疑問をもって生きてきた。
    そして、実家で再会した姉は真実を語りだす。

    これはこうでないか?とストーリーを予測できたのはタイトルや作中に出てくる「豆の上で眠る」という童話の内容と今回の話がなぞらえているとピンときたから。
    そう思って読んでいるんだけど、それでも読ませてくれる。
    そして、結末は主人公の疑問で終わるけれど、それも私がこの本を読んでいてずっと思っていた事で、お話を通して作者の言いたい事がはっきりしている、かつシンプルで分かりやすい、それなのに深いな・・・と感じました。

    私もそうだけど、これまでこうだったからというこだわりを捨てるのは難しい。
    今だけを見つめて、今の状況だけで判断はできない。
    そんな主人公の女性の気持ちがよく理解できるし、柔軟に対応できるという事は自分を生きやすくするためなのだとする、彼女の両親の対応にも理解はできた。
    生きづらいとしても、人は今だけでなく過去も含めての今を生きているのだと思う。
    例え、それで真実を見る目が曇ったとしてもー。

  • 本ものって何ですか、というテーマより、出来の良い姉のせいで親に愛されない妹の想いが切々と胸に迫った。万佑子と結衣子の姉妹だけではなく、一世代前の春花と冬実についても。だから奈美子と弘恵が助け合う姉妹だったのには違和感を感じる。弘恵の悪意が動機なら満足したかも。春花の母親はいい人だったみたいだけどね。
    結衣子だけが最後まで真実を教えてもらえなかったのは、単に親に愛されていなかっただけだと考える程には私は屈折している。もしかしたら著者にも経験があるのでは、と今頃になってふと思った。

  • 結衣子の心理描写が細やかで、丁寧な印象。
    自分と同じような時代を生きてきた背景も
    共感を呼びやすく、とても楽しめた。
    本物の姉妹、血のつながりってなんだろうと
    考えさせられた。
    ラストのネタあかしでは何とも複雑な気分になったが
    これが湊かなえさんだからなぁ、と納得。

著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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