何者

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 1442
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330615

感想・レビュー・書評

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  • 心が一気に大学時代まで引き戻されて、ざらざらザワザワした気持ちで読み進めました。
    こんな風な若い感性豊かな男性作家は珍しい気がします。時代の風を盛り込んだこの一冊は、新鮮だけれど、ずしんと重たい。

    新卒の切符を使って就活をしたことがない私ですが、就活といえば壮絶な戦いというイメージが尽きません。
    どこかで就活は情報戦だなんて言葉を聞いたことがあるけれど、私の頃と今とではその意味合いも違ってきそうです。

    本書のタイトルである「何者」、
    自分が何者であるかが問われる、なりたい自分を演出する、という面ではネットも就活も同じかもしれないですね。

    ところどころぐさりと痛くて、はっとします。
    ツイッターが世に出回り始めた頃、そんなにひとり呟くことなんてないよ、と思ったのに、世界ではこんなにもオープンにたくさんの言葉が呟かれている。
    一昔前なら外に出なかったであろう言葉が溢れていることに今更ながら驚きます。

    若さが放つ爽やかさが折り混ざっていることに救われました。誰の言葉も少しずつ胸に響いて残っています。傷付かないために動かない人より、カッコ悪くても動いた人のが人生きっと輝きますね。

  • 中盤までダレ気味だったが、
    ラストに向かって畳み掛けるスピード感にドキドキ。
    これって「若者あるある」なんだろうな。

    何かしらの信念があって、それに反するから批判するんじゃなくて、
    批判するためにそのネタを探し求める。
    自身の虚栄心を満足させる、ただそれだけの為に。
    そして、誰にも認められない自分が可哀想で、
    でもその気持ちを自分で認めたくなくて、
    就職できないんじゃなくて、したくないんだと自分に思い込ませて。

    どうしてそこまで周りを気にするのか、
    「自分は自分、他人(ひと)は他人」と言われて育った私は理解に苦しむ。
    SNSの功罪は大きいと改めて思うばかり。

    現代の若者の腹黒さ全開だけど、それをぐうの音も出ないほど叩っ切ってくれるし、
    光を予感させる終わり方だったから、読後感は悪くない。

  • 昔SNSはやってたけど、今はFacebookもTwitterもしていないアラフォーのオバサンだから、序盤は若者の世界を客観的に、それこそ少し冷めた傍観者的な視点で読み始める。
    最近の直木賞は内容もタッチも軽いねぇ~なんて、
    評論家でもなければ大した読書家でもないくせに、なぜか少し上から目線で、若いサクシャサンの受賞作だから読んでおこうかしら、的に。

    本当に終盤の終盤で、心をえぐられた感じ。

    多かれ少なかれ誰にでもある、他人に見られたくない感情。
    認めたくないけど私も例外なく持ち合わせてるということを見透かされた気分になった。
    何だか私は理香さんでもあり、隆良でもあり、拓人でもあるなぁ。。。

    レビュー書きながらどんどん自己嫌悪に陥りそう。

    この作者の他の本も読んでみたいです。

    もう一つ思ったのは、私の頃と就活の事情が全然違うんですね。
    そもそもネットなど使ってなかった。
    もしかしたらツールも多様で情報溢れる今の方が過酷なのかもしれませんね。

  • 作者と同世代の自分にはやっぱりリアルで、SNSとか、それで「何者」かになろうとする人への嫌悪感とか…一気に読んでしまいました。

    俯瞰してる男子が語り手の小説って好きなんですが、これはいかんせん最初は良くても読んでるうちにしっかりとイラ〜としてきましたもんね。お前どんだけ劣等感抱いてるんだ!と。笑
    それであの最後ですから、やっぱり作者すごいと思います。

    自分の中にも主人公いるなー、と戒めになりました。サワ先輩の言葉が心に染みます。
    上の世代の方には、今の就活と学生の実情を知るのに是非。
    この世代なら、戒めに、是非。

  • 就活含め、全く共感も入り込みも出来なかった。ただ他の方々のレヴューを読む限り、僕の感覚が違うんだろうなぁとは感じたが、だから何?と。サラっとした暗さや汚さを表現したいのだろうなと思われる表現が多々あるが、言葉の重みとか人間の関係とかも含め、切れ味鋭い言葉を使っていたとしても全てが軽く感じるんだよなぁ。。。

  • 読み応えあると思いました。
    もう一度生まれるとは全然違う。

    朝井さん節
    角砂糖の比喩や一人暮らしの星座など
    吐きたくなる部分はあるのだけど、
    最近飲み会とかいくと、こういう男は嫌だとか
    こういう人ってイタいよねーとか
    甘ったれのでも今の心の闇みたいなのが見えてたのが
    小説にぐさぐさ書かれている感じ。
    登場人物全員嫌いな感じの小説ってむしろ珍しい。
    でも、こういうFBとかTwitterとかやった事ある人とか身近な人がいるとこういう仕組みとか、わかるけれど、
    もっと上の世代にはこういうゆとり世代のセンチメンタルとしてわかるのか、新しいものの見方として認識しているかどう思うのか、話せたら面白いやろうなあーと思いました。

  • 溝の口の古本で購入。
    朝井リョウ、初体験ですがすごい人ですね。

    「想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。他の人間とは
    違う自分を、誰かに想像してほしくてたまらないのだ。」

    このような大学生だけでなく、誰にでもドキリとさせられる表現や
    共感できる表現が多数あって、小説として入り込んでしまいます。

    そして隆良、ギンジ、それほど多くない登場の中で、
    彼らのキャラクターを完全に立たせる技術。これも上手いなぁ。

    共感を持たせる人物の視点を活かして、最後にがらりと
    そこが崩れる仕掛け。皆さんが書かれていますが、
    これは完全にミステリーの仕掛けですよね。
    程度は軽くても、残酷な裏切りと言う内容を含んで・・・。
    この展開に、私ははまりました。

    「就活が上手くいかないだけで、その人まるごとがダメになる」

    今の就活生にはリアルすぎて敬遠されている傾向があるみたいですが、
    この話を読むことで、上っ面の就職活動と、内面から向かい合う
    活動の違いが分かるので意外と効果あるかも、です。

    最後に、朝井リョウ、引き出しはどこまで持っているかは
    未知数ですが、これからの活動が本番ですので注目ですね。

  • 就活の、いらない知識ばかり教えられた感じ。
    読んでいて、なんだか腹が立ちました。確かに現代の若者描写は素晴らしいと思う。年輩の人からしたら掴めない若者像を知る目から鱗の機会になるのかもしれないけど、同世代からしたら、だからなに?詳しく描写するだけして、結局何が言いたいの?って感じ。

  • 自分が経験した時よりさらに過酷な就活。子どもの頃から自分をアピールする練習なんて誰もしてないのに、就活になった途端自分をプレゼンしなきゃいけない現実。不採用通知に自分を否定されたようないらないと言われたような、あの絶望感。いろいろリアルに思い出しつつ、一気に完読した。

    ツイッターとか、フェイスブックとか、ああいうものが普及して、人間関係もめんどくさくなっているように思う。

    それは私がツイッターで友達の実名を打つことに抵抗のある、時代遅れな人間だからかしら。

  •  自分の就活から30年。昨今の状況は、表面的にみると隔世の感があるけれど、学生たちの内面は案外当時と変わらないのでは?と、読みながら思った。やはり自分の生活を第一に、学生生活からの決別、独立を念頭に置いている人は強い。反面、自分探しを繰り返している者、劣等感を知識の鎧で防御している者は、その迷いをどこかで見抜かれてしまう。主人公を取り巻く学生たちの中に、30年前就活していた頃の自分を見つけてちょっとドキリとした。
     さて就活時期に何者?と自分を分析していた者たちは、その後どんな人生を歩むのだろう。私はいまだに自分が何者であるかわかっていない。いろいろな肩書を鎧にしていた学生のように、今は○○の母とか、○○の妻とか、あるいは仕事上の役割とか、さまざまな立場が呼称となっている。個人としての自分が何なのか…。自分探しの旅はまだまだ続く。
     本書の新鮮なところは、ツィッターのつぶやきではない。常に優位に立っていた主人公の立場が、最後にがくっと崩れるところである。彼の中にある砂上の楼閣がばらばらと崩れ落ちる音が、私の耳にもはっきりと聞こえてきた。
     本音をぶつけた者、ぶつけられた者。ほんとうの関わり合いができたのは、案外それが初めてかもしれない。大丈夫。君たちならきっと自分の道を見つけられるはず。そして30年後には気持ち良い再会ができるだろう。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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何者(新潮文庫) Kindle版 何者(新潮文庫) 朝井リョウ
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