何様

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2311
感想 : 315
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330622

感想・レビュー・書評

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  • 『何者』を読んでからだいぶ時間が経ってしまったので、登場人物たちのことをすっかり忘れてしまっていたけど、普通に短編集として楽しめた。

    「水曜日の南階段はきれい」が良かったなぁ。
    自分の夢を高らかに宣言する光太郎と、彼のその言動をきっかけに、夢への一歩を踏み出す夕子。
    でも、そんな夕子の一歩が、光太郎の夢への想いをさらに強くさせるのだ。
    お互いが向上しあっていく関係は尊い!

  • 面接官となった主人公。自分への自問自答は共感すべき感覚でした。先輩女性像が、作者の訴えたい何かなのかと。就活を控えた息子を想像しながら読み切りました。

  • 全体的に何者の話とリンクしていて、読んでいて飽きない。特に水曜日の南階段はきれいは素晴らしい。何度も再読したくなるクオリティ。逆算の仕掛けや発送も好き。朝井リョウさんは初めと最後の一文にこだわっていて、伊坂幸太郎っぽさを感じる。

  • 私はたぶん、朝井リョウという作家がとても好きなんだと思う。
    紡ぐ物語が好きというのではなくて、
    この人が持ってる人に向き合おうっていう覚悟みたいなものがとても好き。
    そしてそれを、自分が必要としているときがあると感じる。

    朝井リョウが書く人間は本当にフラットに人間で、かっこいいとかかっこ悪いとかもなくて、まるまるその人で、きっとこの小説に書かれていないその人物もまだまだあるんだろうと思う。

    朝井リョウが覚悟として持っているのは、自分は人を勇気づけるために本を書いているってことだと私は思う。
    その勇気づけを決してきれいごとにはしたくないっていう意思を感じる。
    人の色んな所をみて、そんな中にもただひとつでも、信じられるコレはどうかなと差し出されているような気持ち。
    主人公たちと同じようなことで悩んだりは決してしていなくても、
    その差し出されたものに、確かに私は勇気づけられて、それで少し前に進む。

  • 「何者」のアナザーストーリーだそうで、彼らの、というよりはリンクしている人達のお話でした。「水曜日の〜」がとても好きです。「逆算」も気持ちいい。「何様」も、確かに何様だよな、と思いつつも着地点がすごく良かったです。既読の「それでは二人組を〜」は辛すぎて再読できませんでした。そのほかの作品でも、ありがちな嫌な女性心理を描き出すところは、男性作者と思えないほどで、自分のどこかをえぐられるようで読んでいて楽しくはないです。若者といわれる時代からは離れてしまった私でも若者たちの葛藤が嫌というほど伝わってきました。

  • 『何者』のような衝撃はなかったが、短編それぞれに何か胸に引っかかる台詞があり、読んだ後自分のいろいろな気持ちが蘇ってきた。

    『それでは二人組を作ってください』はタイトルからして嫌な話になるなと予想していたが、想像したよりキツめの話だった。理香と朋美の会話に恐怖を感じた。理香はだいぶ自意識過剰に描かれているが、合わないグループに所属しているとこういう人間関係のズレって私もあった気がする。えっ、そういうつもりで喋ってたのか、額面通り受け取ってしまってた、みたいな。女子の会話って表向き無意味なくだらないことを話しているように見えて実は高演算機で相手がどれだけイケてるか値踏みしていて、それができない子はおいていかれる。そのことを描いてて怖かった。

    『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』は、MR.TANABEというまさかの人物をとりあげて、真面目に生きてきて行き詰まってしまった女性を主人公に描いていた。案外こういう女性は多い気がする。私も、ずっと真面目に生きてきた人より、破茶滅茶に生きて更生した人の方がより評価されることが不思議だった。きっとみんな、怖いもの見たさなんだろうなあ。自分は出来ないし、そういう人生送りたくもないけど、話は聞いてみたいっていう感じ。だから私個人としてはずっと真面目に生きてきた人のことを信頼したいけど。

    表題作の『何様』。人事って仕事は、確かに大事な仕事だが、いくらでもテキトーにできる仕事のような気がしていた。働いてる時は、あんな数分の面接で何がわかるんだよ、適材適所でちゃんと異動させてるのか、人事って何がわかってるの?といつも思っていた。きっと人事に配属された人もこうやって悩んでるんだろうな。みんな異動した場所でよくわからないなりに"誠実に"仕事してるんだなと思った。

  • 『何者』のアナザーストーリー(スピンオフ短編集)。りかの回はとても心が痛かった。1番気に入っているのは,光太郎のお話。元々光太郎は,登場人物の中で素直で好感が持てたのだけど,彼が出版社を志望した原点がとてもきれいな思い出で微笑ましかった。一見ちゃらちゃらしてそうなキャラクターなのに,その中身はとても真っ直ぐ。そういうところが他の人を惹きつけるのだろうなと。

  • 「何者」のアナザーストーリー。
    6編からなる短編集。

    「何者」を読んでいなくても無理なく読み進められるとは思うけれど、読んでいた方が楽しめる1冊。
    何者を読んだ後のガツンとくる様な衝撃を期待して手に取ったのだけれど、恥ずかしくなるくらいの鋭いヒリつき感は少なめ。

    表題作が良かったなぁ。
    大人といわれる年齢になり、親にもなったものの、
    自分みたいな勝手な人間が何を偉そうに…
    と、ふとした瞬間に思ってしまう。
    初めから100パーセントなんてのはムリなのだ。
    少しずつ、そうなっていくのだろうな。

  • 自分が考えているけと言語化できてないことを綺麗に小説にしてくれている感覚。自分の物語として読み進めることができた。

  • 「何者」の登場人物たちにまつわるアナザーエピソード。
    出来すぎかもしれないけど、光太郎の話がとてもきれいで一番好きだった。
    本編の進路にも納得です。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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