正欲

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330639

感想・レビュー・書評

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  • いわゆるマイノリティ問題を扱う作品ではあるが、単に弱者を救う、理解するといった視点から一歩踏み込んだ切り口は新しく、さらに深く考えさせられる。
    たしかにマイノリティは、マイノリティだからこそ、抱える悩みも細分化されており、どう接することが正解なのか、答えは無くも思える。
    偏見が根強い今は、そういった部分もひっくるめて理解することが大事ではないかと感じた。
    この作品を読んだ社会的少数の立場の人はどう思うのだろうか。

    追記
    「明日、死にたく無い」という表現について。自分の子どもが産まれる日に近づくにつれて、その思いが強まっていったことを、ふと思い出した。
    それほど、痛烈に今を生きることを望んだその結末は、あまりにも切ない。

  • 2019年「死にがいを求めて生きているの」
    2020年「どうしても生きてる」
    そして2021年「正欲」

    1年ごとに向き合う、「生きる」ということ。
    ここ数年、春先はいつも朝井リョウ氏の「生きる」と向き合って、わたしも生きている。そう、わたしは生きている。

    前2作品は、あまりにも直接的に心の中を覗かれて、ずるむけにされたような感覚に陥っていた。
    本作品はどうか。深くて狭くて、暗い穴の中。斜め上から、光が差す。そこから、こっそりと覗かれているような。始まりはそんな感じだった。

    しかし。

    読み進めていくにつれ、一番覗いてほしくないところを覗かれた上に、そこをゴリゴリと押して刺激してくるような感覚が、最後まで続く。
    前2作品は、各主人公が苦しみながらも「生きる」という方向に向かっている姿に胸を打たれたが、本作品は、主人公が人に言えない「生きづらさ」を抱えていて、それは簡単に「死」の方へ振れてしまいそうなレベル感を持っている。帯の『生き延びるために、手を組みませんか』という言葉が、作品を手に取った時とは異なった重さとベクトルで、響いてくる。

    よく耳にするようになった「多様性」という言葉。
    それは、言葉にした時、相手に発した時、共感をしてくれる人がいる時にのみ効力を発揮するものだ。
    自分に都合のいい、マジョリティの作り出した言葉だ。
    平等で受容的に見えて、実は支配的。どうしたって「多様性」にはじかれた者たちは存在する。
    もちろん、それを含めて「多様性」であることは分かっている。
    けれど。
    どうしても入り込まれたくない何か、どうしても大切にしたい何かを抱えていると、それを安易に人に言えなかったりする。
    それを分かりやすいストーリーにされたり、多様性とひとくくりにされることには違和感がある。だから、口を噤む。
    そして語らないことは、時に勘違いされ、その勘違いから傷つけられることがある。
    全員が共感できる作品ではないだろう。でも、目的は共感ではない。

    物語冒頭、ある記事からこの作品がスタートする。
    最後までこの作品を読んでいくと、こんなにも違って見える、この記事。
    違う違う違う、そうじゃないそうじゃない、って思いながら読んでいるから、全然言葉が入ってこなくて、気付けばラストは何度も同じところを読んでいた。

    これは衝撃作。
    「多様性」という言葉を使う自己嫌悪が、じっとりと残る。
    自己嫌悪。
    自分の理解の範囲内で話を聴きたがるところ、相手の開示をすんなり落とし込めなくて、沈黙が相手を傷つけてしまうところ。こうした話の聞き方は、相手がせっかく開いてくれた口だけでなく、心をも閉ざす。
    多様性、多様性なんて言って、自分に都合のいい多様性のレールに乗せて、自分が理解できるように誘導しているだけ。
    結局わたしが理解できる多様性なんて、自分を勝手に被害者のポジションに置いて、それを受け入れて、愛してと叫ぶ多様性だ。その被害者のバリエーションを多様性と言っているにすぎないのだ。
    自分の理解の範疇をこえる「多様性」を目の前にした時、わたしはそれを理解できないかもしれない。でも、理解したいとは思っている。受け入れようとも思っている。

    途中、話についていけなくなった自分は圧倒的マジョリティなんだろう。
    厄介なのはたぶん、マイノリティのフリをしているマジョリティだ。
    彼らが、マイノリティを深く傷つけている。
    わたしもたぶん、それに該当する。
    八重子のような人間。話せばわかると相手に開示の圧力をかける。これはマイノリティからしたら明らかなハラスメント、暴力だ。
    そんな大っ嫌いな八重子が、自分と重なった。
    「多様性、多様性」と声高に叫びながらも、自分の描いたストーリーにない多様性が目の前に現れた時、動揺する。その動揺こそが、相手を傷つける。
    これまで、様々な話を様々な人から聞いてきて、多少のことでは動揺もしないし引くこともなくなった。
    ではそれを聴いた上で、事実と受ける止めることができなかったとしたら。
    開示された以上、そこに向き合う責任が生じる。
    人のことを理解したふりをして、話を聞くよと近づいて、なにも出来ないことなんていっぱいあるのに。
    当事者は、常にそれを抱えている。
    話を聞くことは、その苦しみを、常に一緒に抱えるということだ。
    わたしに、その責任が負えるのか。
    結局分かりやすいストーリーに落とし込んでいるだけなんじゃないのか?
    わたしは理解したい、受け容れたい。
    だけど、きっとその責任を負うのは怖いのだ。だから、仕事のような責任の所在がはっきりした場所でしか、多様性の責任を負おうとしてない。
    でも、じゃあ、それが自分だったら。自分と関わらざるを得ない人だったら。
    逃げずに向き合うことができるだろうか。目をそらすことができないところに存在する、多様性に。
    矯正する必要なんてない。むしろ共生したい。
    だけど、マジョリティはそれを許さない。だからこそ、マイノリティは口を噤んでしまうのだ。時に、自分で自分を殺そうとする。結局、マジョリティの勝利だ。

    マジョリティになる必要なんてないと思う。でも、マジョリティにいないと生きていけない社会なのだ。

    • naonaonao16gさん
      たけさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます^^

      本当に、衝撃作です。
      是非、読んでいただきたい作品です。

      こ...
      たけさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます^^

      本当に、衝撃作です。
      是非、読んでいただきたい作品です。

      このレビュー、ここに載せるまでにかなり揉みました…やっと、という感じです。
      なので、もう一度読んでいただける機会があるのはとても嬉しく思います!

      そして、探してもなかなか出てこないのでリンクを貼るのは諦めましたが、「多様性」という言葉の意味から再度検討していく必要があるなと感じるネットの記事がありました。
      日本と諸外国では「多様性」という言葉に含まれる意味が異なっているので、そもそも多様性という言葉を、どう捉えるべきか。
      捉え方によっては、必要な新しい意見が古い不要な意見に呑まれてしまいます。

      日本において多様性とは、ジェンダー平等!とか訴えながら「女らしく」「男らしく」も求められていて、その考え方も多様性の枠の中に入れてしまうと、結局慣れ親しんだ「男らしく」「女らしく」がマジョリティになってしまうんですよね。

      と、長々と書いてしまいましたが、是非読んでみてください!
      レビュー楽しみにしています^^
      2021/05/16
    • ぬーんさん
      もう一度本を読見直してるかのような感覚になるどころか、『正欲』のもうひとりの登場人物として楽しめる様な素晴らしいレビューですね!
      本をもう一...
      もう一度本を読見直してるかのような感覚になるどころか、『正欲』のもうひとりの登場人物として楽しめる様な素晴らしいレビューですね!
      本をもう一度楽しませてくれてありがとうございます。
      2021/09/06
    • naonaonao16gさん
      ぬーんさん

      こんばんは!
      フォロー&コメントありがとうございます^^

      とても嬉しいお言葉をありがとうございます!
      『正欲』の...
      ぬーんさん

      こんばんは!
      フォロー&コメントありがとうございます^^

      とても嬉しいお言葉をありがとうございます!
      『正欲』のもうひとりの登場人物として、というのは大変おこがましいような気持ちではありますが、光栄です!
      本当にありがとうございますm(__)m
      また是非遊びにいらしてくださいね!!
      2021/09/06
  • 水の噴出する映像に性的欲求を感じる夏月と佳道を通して、多様性について描かれた物語。

    「自分がマジョリティ側にいて、マイノリティを受け入れる」という上から目線の気持ちでいることを真正面から指摘されて衝撃だった。多様性について考えを改めないといけない。

    自分は誰が何を好きだろうとあまり興味はなく、人に「迷惑」をかけなければ自由だと思っていた。ところがその「迷惑」の物差しの1つである法律を「誰に説明したって分かるように作られた法律」とあくまでもマジョリティの常識に基づいて作られたものであると言っている。考えたこともなかった。

    じゃあどうすればいいのか。答は分からない。でもこういう考えがあるということを知るだけでも、何か変わるかもしれない。

  • 繋がりという関係や言葉の理解の難しさ。ありのままを受け止めあえることの寛容さや純粋さ。この時代で浮き彫りになってきている、個の感性や考え。他者を理解するためには、何が大切かを考える。

  • 薄っぺらな私の頭をガンガンガンガン叩かれているような、そんな感覚で読み続けました。
    分かった“ような“フリをしている人間にとっては、居心地の悪くなる一冊だと思います。
    「まとも。普通。一般的。常識的。自分はそちら側にいると思っている人はどうして、対岸にいると判断した人の生きる道を狭めようとするのだろうか」
    そうだ!そうだ!その通りだ!と読み進める。
    「自分だけかもしれない」分かる。
    「私はあんたが想像もできないような人生を歩んでるんだ」分かる。
    ‥‥でも、それが想像以上だったら、『分かる』と言えるだろうか?
    物分かりのいい顔をして『うん、うん、分かるよ』なんて言っていたところを横からハンマーで殴られたような、そんな感覚。
    「人間は結局、自分のことしか知り得ない。社会とは、究極的に狭い視野しか持ち合わせていない個人の集まりだ」
    潔くこれを認めるべきだと思った。中途半端に分かったフリをするのはやめて。
    でも、作中の「どうしよう。私もう、ひとりで生きてた時間に戻れないかも」の言葉がとても印象的で。
    人は、みんなに分かってもらえなくてもいい、たった一人の人に分かってもらえれば生きていけるんだ、そう思います。
    だから八重子のような人はとても大切なんだと思う。
    大也が最後、「自分でも驚くほど素直な気持ちで一度、頷いた」ことが私には希望の光のような気がしました。

    「あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人なんてこの世にいないということだ。」

    本当に衝撃的な一冊でした。読後、いつまでも頭の中がグルグルしている。なかなか消化しきれそうにありません。ぜひぜひ読むべき一冊です。

  • ブクログのフォローしている方々の評価が高かった本書を購読。
    "多様性"について深く考えさせられる衝撃的な小説でした。

    LGBTにもあてはまらない特殊性癖の登場人物の生きづらさを描いたストーリー。
    "多様性"をテーマとした本は今までも読んできたけど、自分としては本書が1番しっくりきた。
    自分が想像できないことがあるので、自分のものさしで人を測ってはいけないと感じた。

    朝井リョウさんの作品は初読みでしたが、こんな衝撃的な小説を書ける著者はすごいと思いました。
    次は、著者の最新エッセイ"そして誰もゆとらなくなった"を読みたいです。

  • 本書のタイトルは「せいよく」だ。
    ダブルミーニングというか、そのまんまというか、「正しい性欲」がテーマだ。

    「正しい性欲」って?
    性に正しいも正しくもない。
    なぜなら、性は多様性が認められるべきだからだ。
        ↑
    今日的には、たぶん模範解答。

    でもね、「多様性」って言葉が曲者なんですよ。
    「多様性」って響きが良いから、使うと安心してしまって、そこで思考停止になる。

    だけど、例えば、性癖。
    もし犯罪的な性癖を持っていて、それを抑えることが死ぬほど辛い人はどうすればいい?

    性犯罪を犯さざるをえないような性癖。
    それも性の「多様性」だと受け入れることができる?

    まあ、それは法がある以上、守らねばならないと整理するとして…

    法に抵触しないけど、なんだか嫌悪感を感じる性癖。
    理解ができない性癖。

    「自分はあんなヘンではない」と排除しがちだ。
    そして陰で他のマジョリティと思われる人に確認したくなる。
    「あの人のヘンな趣味持っててヘンな人だよね」と。
    確認して、自分がマジョリティであることを確認したくなる、そんな弱い自分がいる。

    本書では「多様性」について、以下のように述べている。

    ー 都合よく使える美しい言葉ではない。想像力の限界を突きつけられる言葉のはずだ。

    この本を読むと、自分たちマジョリティの同調圧力に従わざるを得ず、本当の自分を隠して生きるマイノリティがいることに気づかされる。

    自分をマジョリティの側に置いて、マイノリティに同情するように「多様性」という言葉を使うのはやめるべきだ。

    かく言う自分だって、いつマイノリティになるかわからない。正しい側(マジョリティ)にいた昨日の自分が禁じた項目に、今日の自分がマイノリティとして苦しめられる可能性がある。

    あるいは、すでにマジョリティの同調圧力に苦しめられているにもかかわらず、それに気づいていないだけかもしれない。
    人は皆、マイノリティの一面も持っているものではないか?




    いやー、やられた!
    非常に画期的な小説。
    「桐島、部活やめるってよ」でスクールカーストに着目した朝井リョウさんらしい小説だ。
    一気に読まされるし、考えさせられる。

    • naonaonao16gさん
      たけさん

      こんにちは!

      ついに読まれましたかー!!
      レビュー拝見させて頂きながら、うんうんと、1人カフェで大きく頷いております。目の前に...
      たけさん

      こんにちは!

      ついに読まれましたかー!!
      レビュー拝見させて頂きながら、うんうんと、1人カフェで大きく頷いております。目の前にはシフォンケーキ!

      多様性という言葉や社会は悪くない。でも、その言葉で全部片付けることが出来てしまうものでもあるんですよね。
      犯罪でいうと、酒鬼薔薇聖斗の事件を思い出しました。彼も「変わった」性癖を持っていました。多様性という言葉で、彼を包括的に社会で受け止めることができるかどうか。
      事件に直接関わっていない立場からすれば受け止めることはできるかもしれません。でも、被害者とか加害者の関係者の立場なら、それはきっと出来ません。

      性癖もしかりです。
      どんなに普通(ここで使うと定義づけが難しくなりますが)の性癖でも、性癖って大体変です。それがさらに理解できないものだとしたら。わたしは理解することから逃げてしまうかもしれません。

      マジョリティであることを確認する弱さ、
      いつひっくりかえるかわからない、マジョリティとマイノリティの立場。
      年齢を重ねるにつれ、自分が禁じた側にいってしまうことがあります。
      誰かに自分を理解してほしいって、傲慢なんでしょうか。どうして、こんなに誰かに何かを伝えるのが怖いんでしょうか。
      いろいろ突きつけられる作品でしたね。
      2021/06/05
    • たけさん
      naonaonao16gさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      僕の拙い文章を、おしゃれなカフェで読んでいただいて、非常に光...
      naonaonao16gさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      僕の拙い文章を、おしゃれなカフェで読んでいただいて、非常に光栄です!
      そして、レビューに共感いただいたようで嬉しく思っています。

      さて、性犯罪については、再犯率が高いと言われていて、痴漢とか完全に病気だと思うし、この問題をどうするかとかって非常に根深い話になってしまいますよね。一案としては、バーチャルリアリティで被害者の辛さを追体験してもらうとか、どうでしょうかね?

      性癖も…相性がばっちりの人と巡り会えたら幸せだよねと言う感じですかね。話が合う人よりも体が合う人…ってなんの話だ(笑)

      いろいろと突きつけられる作品、そうですね、朝井リョウさんの真骨頂ですね。朝井さんの本読むといつも感心してしまうんですね。若いのに本質突くなぁ…と。
      2021/06/05
    • naonaonao16gさん
      たけさん

      拙くないですよ~!!読みやすくてわかり易くてわたしは好きです^^
      カフェはおしゃれでした(笑)

      性犯罪、卒論で取り上げたんです...
      たけさん

      拙くないですよ~!!読みやすくてわかり易くてわたしは好きです^^
      カフェはおしゃれでした(笑)

      性犯罪、卒論で取り上げたんですが結局性教育が根っこにあり、日本ではなかなか表に出てこなさそうです。
      バーチャルリアリティ、面白いですね!せっかくAI等のテクノロジーも進化していますし、実現可能な感じがします!

      性癖ばかりは…開示もなかなか難しいですしやってみるしか方法が…←おい(笑)

      朝井リョウさん、最初は若い作家さんでちょっとウェイウェイした印象しかなかったんですが、本当に本質をついた作品が多く、読んだあとはいつもざわざわします。とてもいい意味で。これからが楽しみな作家さんですね^^
      2021/06/06
  • うーん、すごい読み応え。
    読み終えてから冒頭の記事を見返すと、違う違う!!と、本人たちの代わりに説明したくなってしまう。
    でも当人たちは理解してもらわなくてもいい、と思っている。だから弁明もしない。

    読み進めるとやっぱりそれぞれの生きづらさに同情してしまう。特に「パーティ」へ出かける前の大也と八重子のやりとりは圧巻。夢中で読んだ。ぎりぎりのところで繋がった佳道と夏月もよかった。

    「多様性」なんていう言葉では簡単にまとめられない人たち。受け入れる、排除するというマジョリティ側のエゴは押しつけてはいけない。
    ただ、知ること。

    • shukawabestさん
      同感です。
      「ただ、知ること」
      そこから先へ出過ぎてはいけない、と感じました。とてもいい作品でしたが、しんどかったです。
      同感です。
      「ただ、知ること」
      そこから先へ出過ぎてはいけない、と感じました。とてもいい作品でしたが、しんどかったです。
      2024/02/25
    • ムク助さん
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。
      しんどかったですよね。
      知った気になってあれこれ言うのは違うなって思いました。
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。
      しんどかったですよね。
      知った気になってあれこれ言うのは違うなって思いました。
      2024/02/25
  • 文庫本発売したら買おう〜って前から思っており、読んだものの。。ある程度こんなお話にのかしら?の想像を遥かに超えた破壊力でした。考えさせられるという意味で。

    多様化、多様性、最近ではよく使われて言葉。
    多様性の時代だからね〜なんて軽く使ってはいけないと強く残った読後感。
    共感と理解は違うけれど、理解というワードも幅広いなと……
    登場人物の心の中を、文字にもしていて、朝井リョウさんらしいと言うか、訴えかけれてる気がして何度も何度も。疲れ果てて読了後は頭痛です。


    朝井リョウさん、数冊読んでますが
    しばらく控えますw
    脳内の破壊力と疲労感が^^;

    どうしても生きてる
    もう一度生まれる
    この2つは割と好きだったけど、
    当作品は頭の整理がおいつきません。

    とりあえず、色々あるだろうし、色々を全て理解できないこともあるけれど、

    毎日、屋根ある家に住めて雨風防げて、ご飯食べれて、お風呂入って寝れることは幸せだ!
    読書することも幸せだ!

    眼精疲労だな。最高成分量配合とアピールしている目薬さして、次の本へ。

    ちょいとこの本は内容が難しいとか読みにくいとかではないのだが、どのように整理して捉えたら良いのか、正解はないけど難しい。。。

    • なんなんさん
      1Q84O1さん、読む時期大事ですっ!(^◇^;)
      朝井リョウ氏が、かなり破壊力持って攻めてきますので、ご注意くださいませw
      1Q84O1さん、読む時期大事ですっ!(^◇^;)
      朝井リョウ氏が、かなり破壊力持って攻めてきますので、ご注意くださいませw
      2023/06/04
    • 1Q84O1さん
      かなりの破壊力!
      なんなんさんのアドバイスを心に留めておきます(`・ω・´)ゞ
      かなりの破壊力!
      なんなんさんのアドバイスを心に留めておきます(`・ω・´)ゞ
      2023/06/04
    • ひまわりさん
      こんばんは。フォローしていただき、ありがとうございます。
      よろしくお願いします
      こんばんは。フォローしていただき、ありがとうございます。
      よろしくお願いします
      2023/07/07
  • 朝井リョウさんの新作。
    良作との噂を聞き購入、読了。

    いやぁ……激ヤバですね…
    面白い、おもしろい、オモシロイ…(´∀`)

    読み終えた後、しばらく放心状態…
    久々の感覚…震える…

    今までの朝井さん作品の中でも、ダントツの最高傑作です。

    そして大袈裟ではなく、この本に命を救われる人もいるのかもしれないと思いました。

    「全て」の人間の存在を「肯定」してくれる。
    そんな本なのではないかと思います。

    誰しも少なからず意識したことのある「性的嗜好が異なる人との共存」というのが主題です。
    けっこうな「パンドラの箱」的なテーマに対して、ズバズバと真理に切り込んでいきます。

    「多様性」という耳障りの良いワード。
    ただ、「小児愛」等の抱えきれない異質なものは排除する前提の言葉。
    ぐぅの根も出ないくらいのド正論だなと…
    自分も同じ考え方をしていました。

    特異な性的嗜好を持つ人の生き辛さも巧み表現されています。

    でもコレって、根深い問題だよなぁと…
    そういう人がいると知ったとして、じゃあ100%受け入れられますか?って問われたら…

    例えば、噴水見て自慰してる人とかどう感じる?…と聞かれたら…
    いや、やっぱ怖ぇなと…ちょっと気持ち悪いなと…やっぱりそう思ってしまうところはあるなと。
    自分の想像を超えるものに相対したときは、人間というものはそういう反応にならざるを得ないのかなと。

    ただ、一方で「性」っていうものはそもそも、そういった側面があるようにも思いました。
    自分だって他人に話す内容はある程度選択するし、そもそも全てを人と分かち合う必要は無いのかなと。

    どんな人も「持ってはいけない感情なんて無い」し、それを「共感できる仲間」さえいれば、人生を歩んで行くことはできる。
    作者が伝えたかったのは、そういうメッセージなのかなと思いました。

    あと、八重子の存在も物語の上で重要な役割を果たしていると思いました。

    「はじめから選択肢奪われる辛さも、選択肢はあるのに選べない辛さも、どっちも別々の辛さだよ」とか…もう刺さりまくるなぁ…と(笑)

    生きて行くことが辛いのは、何も特殊に生まれてきた人だけでは無いのだと。
    そこを代弁してくれているようにも思いました。

    そういう意味で「全て」の人を救う物語なのかなと。

    あと、改めて自分の「のほほん」と生きてる具合も痛感しましたね(笑)
    普通の家庭環境で育って、仕事があって、家があって、飯が食えて…それだけでも十分ありがたいことなんだなと。

    昔は「努力で手に入れたもの」って思ってた気がするけど、最近は「たまたま運が良かった」なぁ…と、歳を取るほどそっちにシフトしてる気がする(笑)
    本作を読んでより一層その気持ちが強くなった気がしました。
    恵まれた環境に感謝かなぁ…( ´∀`)

    そして、最後の一文…「両目を善意で輝かせた友人が」…これがまたもう…
    この問題の根深さ、その全てを表現しているように思いました。

    逃げない作家だなぁ…朝井リョウさんは…

    <印象に残った言葉>
    ・その〃大きなゴール″というものを端的に表現すると、「明日死なないこと」です。(P4)

    ・多様性、という言葉が生んだものの一つに、おめでたさ、があると感じています。自分と違う存在を認めよう。他人と違う自分でも胸を張ろう。自分らしさに対して堂々としていよう。生まれ持ったものでジャッジされるなんておかしい。清々しいほどのおめでたさでキラキラしている言葉です。これらは結局、マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない言葉であり、話者が想像しうる″自分と違う〃にしか向けられていない言葉です。想像を絶するほど理解しがたい、直視できないほど嫌悪感を抱き距離を置きたいと感じるものには、しっかり蓋をする。そんな人たちがよく使う言葉たちです。(P6)

    ・自分とは違う人が生きやすくなる世界とはつまり、明日の自分が生きやすくなる世界でもあるのに。(P282)

    ・なんか人間って、ずっとセックスの話してるよね。それはきっと、誰にも本当の正解がわからないからだ。(P323)

    ・はじめから選択肢奪われる辛さも、選択肢はあるのに選べない辛さも、どっちも別々の辛さだよ(P343)

    ・「あってはならない感情なんて、この世にはないんだから」それはつまり、いてはいけない人なんて、この世にいないということだ。(P346)

    ・異性の性器に性的な関心があるのは、どうして自然なことなんですか(P371)

    ・いなくならないからって伝えてください(P373)

    ・両目を善意で輝かせた友人が″頭おかしい人の暴走″と断じたニュースは、いつの間にか、ブラックアウトした画面の奥へと消えてしまっている。(P379)

    <内容(「BOOK」データベースより)>
    あってはならない感情なんて、この世にない。
    それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

    息子が不登校になった検事・啓喜。
    初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
    ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
    ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

    しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、 ひどく不都合なものだった――。

    「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、 そりゃ気持ちいいよな」

    これは共感を呼ぶ傑作か?
    目を背けたくなる問題作か?

    作家生活10周年記念作品・黒版。
    あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

朝井リョウの作品

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