ニュータウンは黄昏れて

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 255
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103333715

作品紹介・あらすじ

バブル崩壊前夜、4LDKの分譲団地を購入した織部家。都心から1時間、広大な敷地には緑があふれ、「ニュータウン」と持て囃されたが、築30年を過ぎ、母の頼子は理事会で建替え問題に直面。が、議論は住民エゴの衝突で紛糾、娘の琴里は資産家の息子と出会い、一家は泥沼からの脱出を夢見る…。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭
    ━━━━━━
    なんで彼氏をここに連れてくるわけ?
    今日は女子会のはずだよ。
    ------久しぶりに女三人で会おうよ。
    そう言って電話してきたのは、三起子、あなただよね。


    琴里、三起子、朋美は、中学時代同じコーラス部に所属していた仲間だ。
    大学卒業後、別々の道を歩んでいた三人。
    久々に三人だけで女子会を行うはずだったのに、三起子は突然イケメンで資産家の彼氏を連れてきた。
    何故?
    そこには彼女の隠された目論見があった。

    ニュータウンが楽しい家庭の象徴として持て囃されたのはいつ頃だっただろうか?
    しかし、バブルの崩壊とともにもはやその面影はなく、老朽化と共に住人の間に持ち上がる様々な問題。
    将来に対する不安。
    資産価値の暴落。
    居住者が減り、歯抜けのようになった棟。
    変わりゆくニュータウンの姿に、主人公琴里の人生を重ね合わせながら、物語は進んでいく。

    作者垣谷美雨の作品は、日常の何気ない風景の中から人間模様を炙り出し、ストーリーを展開させていく。
    その目の付け所が、なかなかに面白い。

    バブル崩壊後のニュータウンという社会現象と、それに絡ませた三人の女性の生き方。
    そして、そこに関わってくる、どこか不思議な雰囲気を持った資産家の不労所得イケメン男子や団地の様々な住人たち。
    これらが見事に融和し、最後まで読者を飽きさせない。
    登場した三人の女性たち。
    本当に幸せをつかんだと言えるのはいったい誰なのだろうか?

    彼女の作品は二作目だが、これからも追っていきたい作家だ。
    デビューが遅いので、結構年齢いってるんだよな。

  • 駅から遠く資産価値がない。
    バブル期にそんなおいしくない物件を買い、その支払いに悩まされる母親、娘、その関係ある2家族を描いた話。

    最初の方は面白かった。
    バブル期についついマンションを買ってしまい、そのせいで今の生活が困窮している、八方ふさがりの様子がリアルに描かれていて共感できた。
    そんな内容だけど、何故か読んでいて重苦しくないのもいい。
    だけど中盤あたりから「やっぱフィクションだな~」という展開になって失速。
    特に、主人公の一人である娘の方のある行動に「えっ!この子ってこんな事する子だったんだ・・・」と失望した。
    それまではセクハラを受けながらけなげにバイトして懸命に生きているという印象だっただけに・・・。
    むしろ、打算で結婚した彼女の女友達の方がいっそ潔いと思う。

    この本を読むとお金の力は大きいとつくづく思う。
    先に書いたような、普通ならそんなひどい事をしない人が思い詰めてらしくない行動をしてしまったり、誰かに隷属しそうになったり、卑しい思いがもたげたり・・・。
    だけど、この本は読んでいる時もそうだけど、読み終わった後も考える所を残しながらも希望をもたせてくれる。
    ちょっとご都合主義的な所もありつつだけど・・・。

    主人公の女性が住宅ローンの支払いに追われていた時、パートの時間を増やし、節約に励み・・・と頑張っていたけれど、そこを脱して暮らしが上向いた時にその頃の事を振り返る。
    ローンは主婦の節約程度で追いつく金額ではなかったのに、節約、節約で自分の心が晴れない生活を送っていたと。
    その思いが納得できた。
    未来の自分のために節約は大事。
    でも、節約して今の自分の生活を制限しすぎるという事は日々をつまらなくさせてしまう。
    何のために生きているんだろう・・・と疲弊してしまう。
    未来の自分と今の自分、どっちも大切にしたい。
    そんなメッセージを彼女の心情から受け取った。

  • またしても切実!垣谷美雨ハマる!
    バブル時に買ったニュータウンのマンションを背景に母頼子と娘琴里と家族、マンションの住人、琴里が三起子から譲り受けた資産家の黛と結婚した朋美。
    それぞれ家に対する想い、幸せの指針がお金や愛、他人との格差で揺らぎ悩む、読む人すべてに感慨深いものを残すだろう。一気読みでした。

  • 図書館で借りました。

    ニュータウンと来れば、あれよあれよと我先にと売れた時代がありました。
    年収は確実に上昇。
    今は駅から少し遠いけど、近い将来は始発駅が出来ますよ。
    なんて、甘い言葉!

    そんなこんなで購入した分譲団地を巡る、二世代に及ぶお話。

    それでもいきなり女子会がどーの、とかいう話の進め方にはびっくりΣ(゚ロ゚ノ)ノ
    関係ないやん、と思いつついやはや関係ありあり(笑)

    一番リアルな箇所は、新聞を解約したところ(笑)
    我が家も真っ先にソチ五輪後解約ました!

    団地の立て替え、補修、それについて回る資産価値。
    運悪く団地役員が回ってきた時だったもんだから、嫌でも関わる事に…。
    その理事長決めがまだ秀逸(笑)
    うちの町内会の会長決めの時と同じ光景(笑)

    ただ家族で寝て、食べて、ちょっとゆっくりしたいだけの場所なのに何故ここまで振り回されなければならないのか。
    娘の恋人の援助にすがってまで返済したくなる、それが住宅ローン。

    「上等な男と結婚しなさい」

    なんて解りやすい親心。
    しかし、その条件をクリアする男には更なる条件がついてきた…。

    この薫がとりあえず凄い!(笑)
    こいつだけで一本の別の話が出来るんじゃないかと思うくらい凄い!(笑)

    やはり自分で稼いだお金じゃないと、自分の話に深みがでないんですね。
    今はいいけど、リーマンショックもありました。
    その辺はどうなったのか…。
    しかし、紆余曲折を経て妻になった朋美には知識も経済の荒波を乗り切る知恵もあるし、親子だけは立派に生きて行けるだろうな。

    最後の女子会は本当に三人の様々な思いの入り混じった、濃い時間だったでしようね。
    女って怖い(笑)

  • 多くの日本人にとって、人生最大の買い物である「家」を主軸に、重くのしかかるローン返済、住人の思惑が交錯して進まない建て替えなど、家族で幸せになるために買ったはずの家が、家族を縛るというジレンマを描く。
    田舎から出てきたおばあちゃんがマンションの建て替え問題に詳しいわけないだろ、とか突っ込みどころはあるものの、物語のなかに惹きこまれる展開。

    読後、思わず、住宅ローンの返済表をシゲシゲと眺めたw

  • 最後、琴里が朋美の暮らしぶりを見て、自分の選択した人生に対してちょっと揺れるところ、あぁ人間てこういうものなんだよなぁと、妙にリアルに感じたのでした。

  • いつか私も家を持つ時がきたら、きっと読み返すだろう。その時私は登場する女性の誰の気持ちに近いのだろうか。私は小さくも暖かい家が欲しいと思うがそれも建前の偽善的な考えなのかもしれない。立派な家に住めば勝ち組?海外に行けは勝ち組?上等な男と結婚すれば勝ち組?人生の勝者は誰なんだろうね。

  • お金持ちだけれど問題のある彼や団地の理事といった嫌なものを人に押し付け合う人たちが、気持ちもわかるだけに悲しかった。住宅ローンや建替えの問題等、難しいことはよくわからなかったけれど、そういう人がこんな筈ではってなったりするのかな。最後のゴミ箱になったような朋美が上手くやっているようで少しほっとした。

  • 狭小邸宅みたいに這いずるような辛さのある読書体験を求めて読んだので、ちょっと期待はずれだった。
    値崩れした団地でバブル期に組んだ住宅ローンを払い続ける悲哀にはとても現実感があり良かったが、それ以外の部分はかなり乙女チックなファンタジーだった。
    黛というキャラはさすがに話の展開に都合よく作られすぎで残念だったし、雪子あたりも大分現実離れしたキャラになってしまっている。
    黛に関するくだりはいらなかったような…… 半分ラノベみたいな小説。

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著者プロフィール

垣谷 美雨(かきや みう)
1959年生まれの小説家。兵庫県豊岡市出身、明治大学文学部文学科(フランス文学専攻)卒業。
ソフトウェア会社勤務を経て、2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー。代表作としてテレビドラマ化された『リセット』『夫のカノジョ』の他に、文庫化されてベストセラーとなった『老後の資金がありません』、『ニュータウンは黄昏れて』『子育てはもう卒業します』『避難所』『農ガール、農ライフ』『あなたのゼイ肉、落とします』『嫁をやめる日』『後悔病棟』『女たちの避難所』など著作多数。
『結婚相手は抽選で』が2018年10月に野村周平主演でドラマ化される。

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