紅葉街駅前自殺センター

著者 :
  • 新潮社
3.20
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本棚登録 : 151
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103334118

作品紹介・あらすじ

息子を通り魔に惨殺され、妻とも別れ、生きる気力をすっかり喪った男はそのセンターに足を踏み入れた。再三の説得にも意思を曲げず、淡々と自死への手続を進めていく。そのころ街では、「切断魔」と呼ばれる連続殺人鬼が凶行を重ね続けて…。第8回新潮エンターテインメント大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 自殺志願者を5回面接の末、自死を幇助する期間 自殺センター。
    息子を殺された土井洋介は自殺センターへ行き、5回の面接を終えて、人生に幕を閉じようとする。

    切断魔との関係がどうなるのかが最後まで隠されているので、それが明らかになる辺りから面白かったです。
    ただ、突然の罪の告白は終わらせようと急いでいるようで、もっとじわじわと丁寧に書けばいいのになんて思いました。

    「チーズ 、フォン、デュッ」の人のキャラがよかったです。

    ラストはオカルトチックで、致死性の毒を盛られたのに生き返ったり、何でもありな感じでしたが、そうでもしないと、何の光もない終わり方なので、まあ有りかと。

    やたら強調するための圏点が多いのが少し気になりました。

    辛口すみません。

  • この本のタイトルを新聞広告で見た時、買うしかないと思った。
    「自殺センター」というアイデアは、自殺という問題を「国家が管理する」という方向で考えた時にはわりとすぐに思いつくものだ。
    以前、「KAGEROU」(齋藤智裕著)を読んだ時にも、「自殺センター」という発想が書かれていた。この作品では臓器移植と関連させていたので、非常に興味深く読んだのだが、本作では、臓器移植の問題は「反対者がいるからね」という非常に現実的な理由であっさり否定されていた。
    そう、本作はとてもリアリティがある。もし本当にこういう施設があったら、やっぱりものすごく反対運動が巻き起こるだろうし、宗教関係者もいろいろ活動しようとするだろう。当然、臓器移植だって拒否されるに違いない。
    5回、という設定も絶妙だと思った。短すぎず長すぎず、でもいざとなるととても短く感じてしまう。
    主人公の絶望とか諦観がじわじわと伝わってきて、この世界に引き込まれてしまった。
    もう少し、夢の処理や、切断魔の存在する意味が書き込まれていたらもっとよかったかなあとも思う。ラストはどうなったのかがちょっとわかりづらい気がする。そこだけ急にファンタジーな感じになってしまったように思う。

    本作も、「KAGEROU」もラストは生きる方向に向かっていた。そこが、私が書いたものと違うところだ。
    私が書いたのはショートショートだったので、ほんとにワンアイデアとして書いた。そしてラストは、清々しく死んでいくのだ。
    そういうところに、作者の意向がにじみ出るものなんだろうか。

    それでも、ここまできっちり世界を構築してあると、やはりラストは希望の方向へ行く。
    「なんだよ~」と思いながらも、ほんの少しホッとしている部分もある。

    キャラクターの扱い方がときどき腑に落ちないところもあったが、とても読み応えがあって、小説世界に魅了された。

  • こういう類のセンセーショナルな設定のものは中身が薄っぺらい場合が多いが、この作品は設定自体もきちんとんと辻褄が合っていて、だからこそリアリティもあったし、主人公を含む登場人物たちもしっかり描かれていた。
    途中まで、主人公が自殺を思いとどまってくれればいいのにと思いながらずんずん読み進められた。
    淡々とした日常と、時折でてくるハッとする場面とのメリハリもよかった。キリコのシーンなんかはとくに。
    ただ、だからこそ、唐突にファンタジーチックになってそのまま終わってしまったことが残念だった。
    ほっとするどころか、結局いろいろどうなったんだろうと混乱したままで消化不良な感じ。

  • 結局復活

  • 低迷する日本柔道界に表れた救世主。
    オリンピックでは必ず日の丸を揚げてくれるだろうと期待されていた長田選手は、飛び降り自殺の巻き添えで死んでしまう。
    飛び降りた男は過去に少年をレイプして殺し、有罪判決を受けて服役していた。
    出所したその日に再び同じ手口で少年を殺害、行き場を失った男はビルから飛び降りたのだ。
    何故、輝かしい未来が待っていたはずの若者は死ななければならなかったのか。
    この通称「長田事件」をきっかけに自死管理法案は成立する。

    自暴自棄になった身勝手な犯人により、狭い電車内で妻は瀕死の重傷を負い、まだ1歳だった愛息子は殺された。
    喪失感と憎しみ。
    妻への怒りと自身への怒りと後悔。
    さまざまな感情に押し潰された主人公・土井洋介は、ついに駅前にある自殺センターへと足を運ぶ。
    自殺が認められるためには計5回の面接を経なければならない。
    面接のたびに「思いなおす気はないか」と確認されるが、洋介の決心は揺るがない。
    生きていく意味が見つけられないからだ。
    犯人が生きている間は、洋介にも生きている理由があった。
    だが、犯人がもうこの世にいなくなってしまえば、生きている意味はないと洋介は考える。
    最後の別れを済ませるようセンター側からすすめられた洋介は、世話になった人たちと会ってひそかに別れを告げる。
    また、通称「赤紙」と呼ばれる自死通知書を送付するリストを作るよう言われ、悩みながらもリストを作成する。
    最後の面接を済ませてからの展開がすごい。
    辛いのは自分だけではないと初めて気づく洋介。
    何度も考え直すように言われたのに…。
    そして、「切断魔」と亡き兄との関係。
    どんなに絶望的な状況であっても、それでも自分が出来ることがあるかもしれない。
    自分を必要としてくれる人がいるかもしれない。
    かつて誰かを助けたように、自分もまた誰かを助けられる力が残っているかもしれないのだ。
    再生への一歩をようやく洋介自身の意思で踏み出すラストにホッとする。

  • 自殺請け負いますというアイロニーに満ちた作品。たまたまごはん前に読んでしまったため、すごく気分が悪くなった。
    食前・食後(特に直後)に読まないほうがいいです。

  • なんか主人公が羨ましく思えた。ポジティブな自殺。

  • 設定はすごく良かったし、途中まで引き込まれる展開だったのにラストで台無しとなってしまった。
    「自殺が管理されていて死ぬことさえも勝手にできない日本」という近未来を舞台にしている以上は、その設定にリアリティーを持たせなくてはいけない。だから、いくら夢の伏線があっても、最後にあんなファンタジー展開にするべきじゃなかった。
    自分の幼さと過ちに気付くだけで十分だったはずだ。

    個人的に、光本さんはデビューしてからネット上での活躍を見て気になっていた作家さんだった。
    この作品を書き、私と同じ時代を生きた人が既に亡くなってしまっていることに戸惑いを隠せない。

  • 最後が消化不良。犯人がなぜ死んだのか、主人公はなぜ死ななかったのか。奥さんはどうなったのか?

  • もっとエンタメ的な作品かと思ってたけど、主人公の深層が幻想的な感じで描かれていた。

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