かけらのかたち

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103335436

作品紹介・あらすじ

私は何が欲しいんだろう? 欲望の先にある、自分なりの満足はどこにあるのか。SNSに彩られて、恋人、夫婦、親子関係に新たな変化が兆している……見栄や虚栄心がこぼれて広がる不信と無理解。年の差恋愛の実態、夫婦間の葛藤、妊活の悩ましい現実。恋愛がうまくいっても、結婚できても、いつも新たに迷い、何かが問われている――現在進行形の不確かないまの、その先の生き方に気づいていく人びとの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「これ面白いな」と思う作家さんの紹介文を読むと女による女のためのR-18文学賞を受賞されてる方が多い、と本紹介系のポッドキャストで言ってて確かに〜って思ったので(大好きな町田そのこさんも受賞している!)、受賞作家さんの既刊で気になるものを選んでみました。
    妙齢の女性たちの仕事、夫婦、人間関係の在り方。別のアンソロジーで『アドバンテージ・フォー』だけ読んだことがあったのだけど、これ連作短編の1部だったのねw優子みたいな人種はやっぱりどこにでもいるし嫌われるよなぁと。
    あるある〜わかるわかる〜って部分はあったけれど、気に入ったフレーズ(金言)はあんまりなかった印象。でもサラサラと入ってくる文章で読みやすくはあった。機会があれば別の作品も読んでみたいかな。

  • 大学時代に同じテニスサークルだった友人達。
    そろぞれ結婚もし、子供がいたりいなかったり。
    表では話を合わせ、心の中ではよく思わず。

    価値観はなかなか同じにはならない。
    目を瞑ってうまく合わせてやっていくか、付き合わないか。
    ドラマになりそうな話。

  • 元大学のテニスサークルの仲間とその周囲の人たちの連作短編。

    年の離れたバツイチの夫の友人、元妻に揺れるリサ。
    昔の仲間との女子会で子供自慢をする友人に嫌悪感を感じるアカリ。
    不妊治療を経て子を持たないことを決めた志津子。
    職場の若い同僚に気持ちの揺れる亜希。
    年上妻を支える双子のイクメンパパ桜井。
    アメリカのハイスクールに留学している美魔女の母を持つ安奈。

    共通のテーマがSNS。
    facebookやインスタグラムなどで、自己顕示をするもの、人の投稿から情報を得るもの、嫉妬や妬みがうずまきます。

    存在の強烈な優子自身はどう思っているのかが彼女の章がないためわからない所が面白い。

    実際の友人のSNSを見ると微妙な気持ちになることがあるので、あちこちに共感できる部分があり面白かったです。



  • 「マドンナとガガ」「アドバンテージフォー」「かけらのかたち」
    「ミ・キュイ」「まーくんとふたごと」「マミィ」
    6話収録の連作短編集。

    SNSの普及によって恋人、夫婦、親子関係に新たな変化が兆している。

    見なければ良い!やらなければ良い!
    それなのについ誘惑に負けて見てしまったが最後。
    嫉妬したり落ち込んだりを繰り返す。

    そんな女性達の姿がリアルに描かれていて少しづつ心の中に澱が沈殿して行く様だった。

    上手く使えば豊かなコミュニケーションツールだが1歩間違うとそれぞれの関係にヒビが入ってしまう諸刃の剣となる怖さを潜んだ作品。

  • 登場するテニスサークルの女性が、なんだかね、みんな一癖あり。なんだか意地悪。
    年を重ねても美しくいる努力を惜しまないのは素晴らしいけれど、私はちょっとそちら側には行きたくないな、と思った。
    最後のお話、杏奈ちゃんが一歩抜け出せてよかった。

  • ハラハラドキドキする内容。
    抱く気持ちや感情の揺れが痛いほどよくわかる。

  • 卒業して20年以上経っても付き合いのある大学時代のサークル仲間。その夫婦達の姿を描いている。連作短編集。
    それぞれの家庭がさまざまな問題を抱えていて、それをどう乗り越えるか、または上手くやり過ごすか身に染みる。読みやすくて面白い。

  • この作家の初めて読んだけど面白かった。出てくる女性たちがどれもこれもリアル。いるよねーこういう人…と思う人物だらけ。

  • 日本経済新聞社

    小中大
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    あとがきのあと「かけらのかたち」 深沢潮氏 想像できぬ他人との「ずれ」
    2019/2/23付日本経済新聞 朝刊

     大学時代のテニスサークルのよしみで鍋パーティーに同窓生やパートナーが集まった。楽しくなるはずの場に不信や嫉妬が渦巻く。年の差婚の夫婦、親子間の不和など家族の内情は互いに理解しきれないからだ。それぞれの人物の視点から個人が抱える悩みを掘り下げ、連作短編にまとめた。







     「細かい人間関係のすれ違いは、相性ではなく環境に左右される。人は自分の置かれている環境の中でしか想像できない」


     表題作では不妊治療に通う女性が無神経な言葉を投げかけられ、もう同じ集まりに行かないと決める。夫は彼女に寄り添いつつ、また自分だけ行こうかなと言う。「結局は完全に分かりあえないけれど、空気みたいに、もしなかったら生きていけない関係が夫婦なのかな。地味だけど、お気に入りの作品です」


     ママ友同士の格差や在日コリアン社会を描いてきたが、心がけているのは普通の人を主人公にすることだ。「最初からみな違う背景があるという認識の土壌が存在すればいいのですが、日本は『同じである』ということが出発点の社会です」。伝え方として「一緒のはずだと思っていたところからずれが生じる物語のほうが読んでもらいやすい」と感じている。


     自身、結婚中は誰かの妻として、母親になると子どものママとして、離婚するとシングルマザーとして見られてきたが、「カテゴライズされてしまうのは嫌い」。しかし、米国に留学する娘の言葉にハッとさせられた。「一緒に遊んでいる友達は何ジンなの? と聞いたら、『そういう質問自体がありえない』って」。自分も無意識に属性にとらわれていたと気づいた。


     離婚した翌年の2007年からブログで小説を書き始めた。強烈な体験や身の回りで面白いと思った人を、設定を変えながら題材にしている。「離婚していなかったら小説を書いていなかったと思う。書くことで感情を出せるようになりました」(新潮社・1600円)




     (ふかざわ・うしお)1966年東京生まれ。日本語講師などを経て、2012年「金江のおばさん」で作家デビュー。著書に『ひとかどの父へ』『海を抱いて月に眠る』など。

  • 女性のちょっとドロリとした感情に、共感できる部分もあり、面白かった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2022年 『わたしのアグアをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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