著者 :
  • 新潮社
3.47
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本棚登録 : 282
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103336433

作品紹介・あらすじ

それぞれに無限の輝きを放つ、15の小さな場所。待望の短篇集。ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。葦。鶴。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある不条理と喜びを鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15篇の物語。芥川賞受賞後初著書となる作品集。

感想・レビュー・書評

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  • この作者の本は「穴」に続き2作目だけど、やっぱりよくわからなかった。改行なくぎっしり文字が埋まっていて目が疲れる。ただ何となく不穏というだけで意味がわからなくてモヤモヤした。
    自分には合わない作家のようです。

  • 「うらぎゅう」
    自分の生まれ育った故郷が、まったく見慣れない場所に変化し、しかも聞いたこともない怪しい行事が行われている。それになかば強制的に参加させられるまでを克明に描いているのだが、何も起きないにもかかわらずこれが怖い。

    「彼岸花」
    彼岸花は果たして毒か薬か。すべてにおいて、毒か薬か判別がつかないことの怖さが漂う。

    「延長」
    そう、これも、なじみあるもの(恋人)が、突如見慣れない他者としての相貌をあらわにするという話。

    「動物園の迷子」
    あえて迷子になる子供。それより、迷子になる言葉たちの奔流が暴力的である。

    「うかつ」
    夫には見え、妻には見えないヤモリ。出産という出来事の不気味さ。

    「叔母を訪ねる」
    他者というモチーフと合わせて、分身のモチーフがよぎる。

    「どじょう」
    夫の知らないあいだに醸成された、女たちの秘密。賃貸一軒家の地下には、いったいどんな水脈がながれているのか。

    「庭声」
    谷崎潤一郎の「鶴唳」へのオマージュというか、ほとんどそれをなぞったストーリーだが、庭の描写がこれまた不穏で美しい。

    「名犬」
    温泉での、老婆たちの会話が圧巻。また、それに巻き込まれて行く語り手の行動も面白い。

    「広い庭」
    幸福な自然描写。大人の表層的世界と、子供のでこぼこな世界を、みごとに描き分けている。

  • 結局は、作品と読者の相性だとは思うのだけれど…。
    残念ながら全く合わなかった。
    不条理な作品集で、改行無しのダラダラ書き。表現したい状況は理解出来るが、全文字を追う必要が有るのだろうか?と疑問になり、イライラし、結局飛ばし読み。
    最後には小篇自体を飛ばした。普段なら意地でも読み切るんだが…
    ひたすら疲れた。

  • 短編がほぼ掲載の古い順に並んでいるが、その約4年の歳月の経過の内に作家の変貌が見て取れるのが興味深い。冒頭の数作は「穴」や「工場」に通ずるいわゆる彼女らしい作品が続くが途中からはもう、格調高い文豪的日本文学短編の趣きすらさえある。これは進歩なのか、後退なのか?今後の作品を見守ってまいりたい。そんな中、幻想的な作風の「広い庭」が個人的推奨です。71

  • 4/28は庭の日
    風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を描き出す15篇の物語。

  • 短編集。『工場』『穴』でもそうだったように、昆虫、爬虫類などが頻繁に登場する上に描写が執拗で、どじょう、カエル、おたまじゃくし、ヤモリ、蟹、蟻などは平気なのだけど蜘蛛だけは私も苦手なので参った。

    基本的にはどれも、設定自体は現代的なリアリティに溢れており(不妊や子供にまつわる夫婦の話が多かった)、そのものすごくしっかり構築された現実、日常、生活のリアリティの中に、突然不条理な出来事をしれっと紛れ込ませるのが小山田浩子はとても上手い。細部の現実がリアルだからこそ、そこで起こる違和感、異質感が際立つのだと思う。悪夢的でもあるけれど、内田百けんの作風に通じるような。

    個人的にはしょっぱなの「うらぎゅう」がやはり一番インパクトがあった。夫との離婚を告げるために郷里の田舎へ帰った女性が、生まれ育った故郷であるにもかかわらず全く知らなかった「うらぎゅう」という風習を突然知る。

    民俗学的なニオイがするものが好きなので「どじょう」も好きだった。引っ越した中古の一軒家の裏庭にある古い井戸の跡、夫の知らないところで妻は近所の女性たちとその秘密を共有している。一緒に暮らしている妻がまるで赤の他人のように思える瞬間にひやっとさせられる。

    掌編も面白く、交際中の彼女の実家の納屋掃除を頼まれた男性の何気ない一日に待ち受ける謎のオチにぞっとする「延長」、叔母さんを訪ねただけなのに次元が混乱したかのような「叔母を訪ねる」など、ある瞬間くるっと日常が裏返るような感覚が癖になりそう。

    2013年から2018年に書かれた短編がほぼ年代順に収録されているのだけれど、実は後半、最近の作品になるほど、私の好きなテイストと離れていくような感覚があり、なんだろう、巧くなりすぎて一種の「あざとさ」を感じてしまった。不条理よりも、人間のいやらしさのほうがクローズアップされすぎていたのかもしれない。

    「庭声」は「谷崎潤一郎「鶴唳」によせて」とサブタイトルがついていて、そのせいかちょっと他とはテイストが違った。谷崎の「鶴唳」を未読なので、読んでから読み返してみたい。

    ※収録
    うらぎゅう/彼岸花/延長/動物園の迷子/うかつ/叔母を訪ねる/どじょう/庭声 ― 谷崎潤一郎「鶴唳」によせて/名犬/広い庭/予報/世話/蟹/緑菓子/家グモ

  • 「不穏さ」が合わず読了断念。好きな人にはたまらないのだろうか。

  • 庭とか公園、動物園みたいな、人工の自然を舞台にした、ぞわぞわする掌編15編。

    方言で語るおばあさん、おじさん、地方の不思議な行事、近所の人、親戚。現代の普通の生活と、すぐ隣にある非日常、気持ちの悪い、恐ろしい、だけど淡々としたなにか。

    世界観はぜんぜん嫌いじゃないのだけど、ものすごく読むのに時間がかかった…

  • 芥川賞受賞からずいぶんの間待たされた小山田さんの短編集、これがまた恐ろしく出来が良い。
    川端三島を読んでいる錯覚に陥ってしまう美しく繊細で精緻な描写力に加え超絶技巧のピアノの速弾きを楽しんで弾いているかのような溢れくる言葉の圧倒的な文章力は素晴らしいのひと言に尽きる。
    そして初期の作品にあったシュールさは抑え気味にリアルさを増したことで話のひとつひとつがより身近になり魅力的になったことも今回の特徴だろうか。
    しち面倒臭い説明は抜きにしてとにかく面白くて小説を読んでいる感は満点、今年初の激推しの一冊

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著者プロフィール

1983年広島県生まれ。2010年「工場」で新潮新人賞、織田作之助賞、広島本大賞を受賞。14年「穴」で芥川賞を受賞。他の著書に『工場』、『穴』、『庭』がある。

「2020年 『小説版 韓国・フェミニズム・日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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