著者 :
  • 新潮社
3.48
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本棚登録 : 315
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103336433

作品紹介・あらすじ

それぞれに無限の輝きを放つ、15の小さな場所。待望の短篇集。ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。葦。鶴。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある不条理と喜びを鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15篇の物語。芥川賞受賞後初著書となる作品集。

感想・レビュー・書評

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  • この作者の本は「穴」に続き2作目だけど、やっぱりよくわからなかった。改行なくぎっしり文字が埋まっていて目が疲れる。ただ何となく不穏というだけで意味がわからなくてモヤモヤした。
    自分には合わない作家のようです。

  • 「うらぎゅう」
    自分の生まれ育った故郷が、まったく見慣れない場所に変化し、しかも聞いたこともない怪しい行事が行われている。それになかば強制的に参加させられるまでを克明に描いているのだが、何も起きないにもかかわらずこれが怖い。

    「彼岸花」
    彼岸花は果たして毒か薬か。すべてにおいて、毒か薬か判別がつかないことの怖さが漂う。

    「延長」
    そう、これも、なじみあるもの(恋人)が、突如見慣れない他者としての相貌をあらわにするという話。

    「動物園の迷子」
    あえて迷子になる子供。それより、迷子になる言葉たちの奔流が暴力的である。

    「うかつ」
    夫には見え、妻には見えないヤモリ。出産という出来事の不気味さ。

    「叔母を訪ねる」
    他者というモチーフと合わせて、分身のモチーフがよぎる。

    「どじょう」
    夫の知らないあいだに醸成された、女たちの秘密。賃貸一軒家の地下には、いったいどんな水脈がながれているのか。

    「庭声」
    谷崎潤一郎の「鶴唳」へのオマージュというか、ほとんどそれをなぞったストーリーだが、庭の描写がこれまた不穏で美しい。

    「名犬」
    温泉での、老婆たちの会話が圧巻。また、それに巻き込まれて行く語り手の行動も面白い。

    「広い庭」
    幸福な自然描写。大人の表層的世界と、子供のでこぼこな世界を、みごとに描き分けている。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00583330

    ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。葦。鶴。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある不条理と喜びを鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15篇の物語。芥川賞受賞後初著書となる作品集。(出版社HPより)

  • 独身、結婚、離婚、妊娠、出産、子育て、老い…それぞれのライフステージにある男女の生活の断片をちょっとした日常からの離脱ですくい取った短編集。ありそうで、なさそうな浮遊感が気持ちいい。

  • わー、また、すごい、私好みの作家を発見してしまったよ。。。という気持ち。
    装丁の雰囲気もすき。
    夢とうつつが淡く混ざっていて、でも手触りがリアルで。寓話のような打ち明け話のような。怖い夢のような。


  • 図書館で「穴」を借りて読んだ。返す時「庭」も読んでみたくなって借りた。少し読んだところで飽きてしまった。

  • 結局は、作品と読者の相性だとは思うのだけれど…。
    残念ながら全く合わなかった。
    不条理な作品集で、改行無しのダラダラ書き。表現したい状況は理解出来るが、全文字を追う必要が有るのだろうか?と疑問になり、イライラし、結局飛ばし読み。
    最後には小篇自体を飛ばした。普段なら意地でも読み切るんだが…
    ひたすら疲れた。

  • 短編がほぼ掲載の古い順に並んでいるが、その約4年の歳月の経過の内に作家の変貌が見て取れるのが興味深い。冒頭の数作は「穴」や「工場」に通ずるいわゆる彼女らしい作品が続くが途中からはもう、格調高い文豪的日本文学短編の趣きすらさえある。これは進歩なのか、後退なのか?今後の作品を見守ってまいりたい。そんな中、幻想的な作風の「広い庭」が個人的推奨です。71

  • 4/28は庭の日
    風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を描き出す15篇の物語。

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著者プロフィール

1983年広島県生まれ。2010年「工場」で新潮新人賞を受賞してデビュー。2013年、同作を収録した単行本『工場』が三島由紀夫賞候補となる。同書で織田作之助賞受賞。2014年「穴」で第150回芥川龍之介賞受賞。他の著書に『庭』『小島』、エッセイ集『パイプの中のかえる』がある。

「2023年 『パイプの中のかえる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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