シッダールタの旅

  • 新潮社
3.57
  • (2)
  • (7)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 77
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103340317

作品紹介・あらすじ

ヘッセの旋律のような美しい文章を道標に、原作のイメージ世界を写真で旅する! 「人間の生きる意味」を問うヘルマン・ヘッセの不朽の名作『シッダールタ』に魅せられて、文庫本をポケットに、舞台になったインド北部の仏跡・聖地をバイクで遍歴した写真家が、小説に描かれた世界を追って撮影。修行、欲望、生と死、そして「川の流れ」を追った詩情豊かな写真に、ヘッセが紡いだ文章を添えた、小さな写真集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ヘッセの『シッダールタ』を元にした写真集。以前、ヘッセの『シッダールタ』を読んだのだが、ところどころピンとこないところがあったように思う。この本ではヘッセのシッダールタの足どりとともに、仏陀の足跡を辿ることもできる。
    この今の生活がすでに完全性を備えていること、人生のある場面どのときにおいても全てが完全であること、時間は存在しないこと、など言葉だけではなんとなく抽象的でわかりにくいことを写真で表現しているように見える。私の今の生活に不満足であり、これから何かを成したいといまだに考えてしまうことがあるのはまだ悟りきれていないからだろう。できることを丁寧に見つめることが私の生活には足りないのかもしれない。
    仏陀の悟りとシッダールタの悟りに違いはあろうけれどもその心持ちには同じものがありはしないか。あらためてもう一度仏陀の教えとヘッセの『シッダールタ』を読みたいと思う。若い頃にはまだわからなかったことも、またあらためて読めばわかるようになっているかもしれない。

  • ミニコメント
    ヘッセの名作を美しい風景の写真で再現

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/552219

  • ☆ヘッセのシダールタの旅に写真を
    (著者)『茶馬古道の旅』(県立 7FT292.2タ 市立292タ) 大長江(市立292タ) 長江文明の探求

  • 写真を見ているだけでも気持ちが落ち着く。

  • 水は流れ流れ、絶えず流れて、しかも常にそこに存在し、常にあり、終始同一であり、しかも瞬間瞬間に新た。夕日に輝くガンジス川のきらびやかな川面が眩いばかりに美しかった。ガンジス川は、ヒンドゥー教のみならず、仏教、ジャイナ教にとっても信仰の川。川は何でも知っており、何でも学ぶことができる。仏陀と語りヘッセに心を沿わせ写真に見入らせられた。

  •  著者が同志社大学神学部在学中に深い感銘を受けた、ヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』に、北インドの聖地を旅して撮った写真を配して、物語のビジュアル化を試みた一冊。
    『シッダールタ』からの印象的なフレーズの引用、物語のサマリー、そしてゴータマ・ブッダの言葉が、『シッダールタ』の世界をそのまま映すかのような写真と融合し、この詩的な物語を立体的に浮かび上がらせる。中でも物語の終盤、シッダールタ(シッダールタはゴータマ・ブッダの俗名だが、本書の主人公は別人)が川のほとりで悟りを開くシーンは圧巻で、ヘッセのたどりついた悟り、つまりは世界への溶々たる理解が、夕日を映す川面のさざ波のように読者の胸に迫ってくる。

  • ヘッセ『シッダールタ』のビジュアル化を試みた小さな写真集である。

    著者は同志社大神学部卒の写真家。青年期に『シッダールタ』を読み、非常に感銘を受けたという。以来、何度も読み返してきたそうだ。

    北インドの仏跡・聖地を巡礼し、物語の心象風景を写し取った写真を撮影した、シッダールタの旅、シッダールタを追う旅である。物語のあらすじや抜粋が添えられている。

    色鮮やかな花。子どもが遊ぶ姿。カジュラホの寺院群。それぞれに美しい写真が続く。圧巻はやはりガンジスとそのほとりの火葬風景だろうか。

    著者は、この物語はシッダールタを通して、読者と仏陀が対話をする書だという。
    内なる俗。内なる聖。内なる宇宙。内なる仏性。
    それはおそらく、心の内で、終生続く旅だ。


    *実をいうと、新聞の書評で見かけて、『シッダールタ』本編の前にこちらを読んだ。物語の流れが大まかに掴める、親切な作りではあるものの、やはりいささか隔靴掻痒だった。本編を読み、もう一度本書を見直して、ようやく落ち着いた。

    *火葬後の遺灰をガンジスに流すと、輪廻から解脱し、二度と生まれ変わることはないのだそうだ。永遠の煉獄よりも無が勝るのか・・・? それとも解脱した先は無ではないのかな・・・?

  • 写真がイメージを定着させる。ヘッセの作品を読み返してみようかと思わせてくれた。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「2022年 『無伴奏男声合唱組曲 蒼穹の星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヘルマン・ヘッセの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×