赤い追跡者

著者 :
  • 新潮社
4.16
  • (14)
  • (10)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 77
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103341710

作品紹介・あらすじ

二千人を見殺しにした奴は誰だ! 取材の悪魔が巨悪を撃つ迫真の薬害報道サスペンス。強奪、脅迫、色仕掛け。取材の為なら手段を選ばぬディレクター西悟は、罪なきエイズ患者の無念を晴らすため、厚生官僚・医学部教授・製薬会社がひた隠す秘密を暴いてゆく。衝撃的なNHKの薬害エイズ特番を制作し、すべての真相を知る当事者がここまで描き切った! 社会派小説の枠を超えた一気読み必至の極上エンタメ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 二千人を見殺しにした奴は誰だ!
    取材の悪魔が巨悪を撃つ迫真の薬害報道サスペンス。
    強奪、脅迫、色仕掛け。
    取材の為なら手段を選ばぬディレクター西悟は、罪なきエイズ患者の無念を晴らすため、厚生官僚・医学部教授・製薬会社がひた隠す秘密を暴いてゆく。
    (アマゾンより引用)

  • エイズ事件

  • 薬害エイズの話ということで、実話ベースではあるが、筋書はエンタメ小説っぽくしてある。何だか、どこまでが本当(と主張していて)どこまでがフィクションなんだろうとか色々思ってしまうが、エンタテイメント小説として読む分には非常に面白かった。

  • 2014/9 ドラマで観てみたい作品でした。どこまでがノンフィクションなんだろう。一気読みしました。

  • エイズ事件の詳細を改めて思い出した.西悟が縦横無尽の活躍で事件に関わる重要人物のインタビューを重ね、核心に触れる番組を作成する.厚生省の役人の無責任な行動を見るに、この状況は変わっていないのではないかと危惧している.番組作成チームのそれぞれが個性的で楽しめた.特に三崎勝代の活躍は特筆モノだ.

  • 薬害エイズ問題を題材にして書かれた小説。著者はNスペ「埋もれたエイズ報告」を担当。実際に取材にあたっていた人物ならではの臨場感。とても長い小説だが、最後まで集中力を失わずに読めました。評価を5にしたのは初めてかもしれないなぁ。

  • タイトルが良くない。
    女性関係の描写は、ない方がよかったのでは。
    次作は中坊公平がらみの話になるのかな。

  •   まーちさんのブクレポを読んで面白そうだったので読んでみた。

     フィクションの形式をとっているが薬害エイズ問題の真相に迫ったルポルタージュのような本。著者は元NHKのディレクターで「埋もれたエイズ報告書」という番組を作成し、大反響を呼んだ。


     血友病患者のエイズ罹患の責任は誰にあるのか。


     エイズ患者の売血により汚染された血液製剤が製造されてしまったのは仕方ないとしても、それがわかった時点で、なぜ市場への流通を止め、または回収することができなかったのか。そして何よりなぜその危険性が、医師や患者に知らされることがなかったのか。


     実際の事件では、当初は日テレの櫻井よしこによる取材が先行して、薬害エイズの責任は血友病の権威であった安部医師にあるとマスコミ(特にテレビ)は報道していた。製薬会社から利益供与を受け、非加熱製剤から安全な加熱製剤への切り替えを、意図的に遅らせたことにより、感染者を増やした、といった内容だったと思う。


     しかし、自分も以前ブクレポに投稿したが『薬害エイズ事件の真実』という本によれば、安部医師にかけられた嫌疑は冤罪だ。いま思えば偏向報道だった。


     で、本当に悪い奴は誰なんだという原因を探っていくと、厚生省の担当課長に行きつく。この小説では氷室課長という人物だ。実際は郡司とかいう名字だった思う。 
     こいつは本当に悪い。というかダメ官僚そのもの。こいつが様々な情報を握りつぶした。悪意があったというわけではない。ただ、不都合な真実を、なかったことにしてしまった。
     保身と省内利益だけを考えていたこんな小者ではなく、大局に立って判断できる、常識的で正義感を持ち合わせた人物がもし担当だったら、エイズに感染した血友病患者はかなり少なかったはずだ。


     実際のこの担当課長は責任もとらず、その後も出世している。なんなんだこの国は!ひどい話だ。
    殺人者!とのレッテルを安部医師は貼られたが、その言葉はこの課長に浴びせたい。



     小説の最後にはパフォーマンスで人気取りをする政治家が、薬害エイズの真相を突き止める資料を発見したと騒ぎ立てる場面が描かれている。その資料は番組制作者からリークされた情報なのだが、さも自分が発見したかのように演じる。
     実際の事件でもそんなことがあったし、当時を知る人なら菅直人だとすぐわかるが、これまたこんな小人物が原発事故当時の首相でなかったら、違う結果があったのかもしれないと考えさせられた。


     当時、連日テレビで見かけた川田龍平くんはいま議員になっている。テレビで見るたびに薬害エイズを思い出す。彼がまだ生きているということは、エイズの治療法も改善して、もう不治の病ではないのだろうか。そう考えると少しは救われたような気持ちになる。

  • 深い闇を暴くという意味では、事実に基づいたいい話。しかしマスコミの怖い一面が見える。取材対象の印象と偏った編集だけで、一人の人間を悪魔にしたてることができ、それを恥じることがない。恐ろしい。
    以前にシェアハウス主催の方がある雑誌の取材に応じたら、乱れた性の巣窟の実態などと書かれたという。有名になれるかも?なんて下手に取材には応じないほうが身のためという教訓。

  • 相当に分厚いストーリーを一気に読んでしまう。薬害エイズ問題がテーマで、それを追いかけるテレビ局のディレクターが主人公。

    この主人公の欲しいものを手に入れるには何でもありという仕事のやり方が大好きだ。

    ただし女がらみの描写と番組放送というクライマックスの後が蛇足かな。

    今井氏の本「ガラスの巨塔」は読んでみたい。

全16件中 1 - 10件を表示

今井彰の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×