クローゼット

著者 :
  • 新潮社
3.69
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本棚登録 : 406
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103341925

作品紹介・あらすじ

わたしの心の中のいちばん弱い部分――。そこは誰にも覗かれたくない場所。秘密に束縛され、男性が苦手なまま大人になった洋服補修士の女。要領よく演技するのが得意だけど、好きな事から逃げてばかりいるフリーターの男。洋服を愛している。それだけがふたりの共通点のはずだった――。絶対に消えない記憶を、隠し続けるのはいけないこと? 一歩前に、もっと前に。あなたの勇気を後押しする長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 女性ならば誰しも心を奪われる(?)繊細なディーティルのランジェリー。
    千早茜さんの作品を読むのは『西洋菓子店プティ・プール』に続き2作品め。思わずズルイと詰りたくなる程
    乙女心のツボを突いてくる美しい装丁です。

    本作はそんな美しいさと儚さを併せ持った洋服に魅了された男女3人を軸とした物語。
    過去の体験から男性恐怖症の洋服修復士・繍子
    繍子を守る事で自らの存在意義を見出す学芸員・晶
    要領の良いイケメンのカフェ店員・芳

    物語の本筋から離れてしまうが特に印象的なシーンは
    繍子が男性恐怖症故にパニックを起こした際に『あなたに触れてはいいのは、あなたが選んだものだけ』と繍子に諭した晶の言葉でした。最近、セクハラに関するニュースを目にする機会が多い為印象に残ったのだと思いました。

    洋服もまたジェンダーという先入観や偏見を捨て楽しむものだと晶の言葉を通して再認識。

    100年以上の時を経た洋服の劣化を食い止め、亡き人々の
    一瞬を復元することに全力を尽くしている
    洋服修復士とは何て魅力的なお仕事なんだろう。
    お仕事小説としても楽しめる一冊です。

  • 痛みを抱えた女の子と、それを必死に守る女の子。
    どちらも、読んでいて辛くなる。
    そんな二人が蘇らせる服は、たとえ繊細であっても、どこか寂しく感じられる。

  • あー、本当に千早さんの書く物語が大好きだ。
    読んでいて心が落ち着く。
    この話以外にも主人公が男性に乱暴されたという設定が多い気がしないでもないけど、本作はその設定が生きていて物語を際立たせていた。
    最後は物語が綺麗にたたまれ、すっとしてほっと出来た。
    読んでる最中も読んだ後も、とてもステキな物語を読んでいるのだなという感覚が常にあり、出でくる登場人物がみな愛おしかった。

  • 自分の生い立ちや嗜好、幼児虐待…様々なことやトラウマをそれぞれが抱えながら生きている。

    トラウマを抱えながらも、ヨーロッパなどの歴史ある洋服から現代のものまで、洋服の持ち主に寄り添いながら洋服を修復する女性とこの女性の才能に惚れ込み、守ろうとする友人女性。

    また、男性女性ものに問わず、綺麗な洋服や服飾を身に付けたい、丁寧に扱いたい男性など。

    皆、心に何か抱えながら生きている。
    その中で、今までの自分から一歩踏み出そうとしていく。
    その姿は、彼女たちの、洋服に寄り添う姿に似ている。

  • トラウマから男性恐怖症のまま大人になった引っ込み思案な女と、
    着飾った女の周りをふわふわ漂い 要領良く生きてきた中性的な男。
    洋服を愛している、それだけが二人の共通点のはずだった…。
    洋服の私設美術館、年代物の洋服の傷みを治す補修士、背景が少し特殊な印象です。
    静けさや美しさが感じられますが、もっと独特の世界観があると良かったかな。
    なんとなく小川洋子さん的な内容だなーと思いましたが、あそこまでの世界観はないんですよね。
    登場人物達の感情に引きずられて辛い部分もありました。

  • 物語は子供の頃のクローゼットの中から始まる。
    幼いころの楽しい思い出と辛い記憶。
    それがまた現在、偶然とはいえ謎が解けていく。
    物語の背景の話として全編にわたり洋服について蘊蓄が語られている。今の常識は昔は違っていたという事実にも衝撃を受けると思う。常識と思っているのは実は時代とともに移り変わる価値観に左右されるだけなのかもしれない。
    装丁のランジェリーも素敵。

  • 小さい頃からデパートがスキだった芳(かおる)、綺麗なお姉さんの服を欲しがると「あれはね、女の子の服だから」という母はお父さんに内緒で水色のワンピースを買ってくれた。人前で着てはダメと言われていたけど公園へ行った芳はほかの子には拒絶された。そして現在デパートの婦人服売り場のカフェで働く芳。ある夜特別展示で下着の歴史展の準備に出くわし、翌朝早くに出勤し展示を見ていると「興味があったら見にいらっしゃい」という老人に誘われー

    ◆うわ-、芳を「テーラー伊三郎」の伊三郎さんとアクアマリンちゃんと対面させたい!

    柄アフロをキッチリやりこめた青柳女史カッコイイ!「男には触られる恐怖なんてわかんないんでしょうね」との言葉に
    「わかっていなかった。小さい頃から男の子は粗暴だと思っていたくせに、女の子の気持ちを想像したことはなかった。ただ自分にとったて都合の良い理解と居心地の良さを女の子に求めていただけで、俺はまぎれもなくそこらの男と変わらなかったのだ」
    そうか、そうだな、女性の服が好きなのと女装が好きなのは違うし、それで男性が好きなのとも違う。そして男性が苦手な女性からどう見られているかも、気づいたこの子は偉いと思う。

    白髪に真っ赤な口紅の粋なBBA2人の
    「あんた、服が好きなんだろう。見ていたらわかるよ。気に入った服を長く着続けたかったらどうする?乱暴に扱うかい。靴だって服だって、自分の身体に馴染むまで手入れをしながら大切に使うだろう。人との関係だって同じさ、丁寧に扱えば長持ちする関係を築ける。まずは相手をよく見ることだよ」
    「でも、大事にしすぎてしまい込んでいたって、あたしは駄目だと思うけどね。お気に入りの一張羅も、たまには、えいやって着てやらなあと。異素材の、意外な服と合ったりするかもしれないよ」

    コルセットを体験、制限されることで動きが意識的「女性って作られるものなんだな」マネキンにポーズをつけたらどうだろう?←たしかに、そのアイデアいい!

    2度の世界大戦の激動の時代に生きたシャネルは権力と富をもった男を次々虜に、後ろ盾の元自分の店を大きく、そのくせ男性に媚びない、女性の身体のラインを目立たせずコルセットを排し、デザインは直線的、装飾は最低限、動きやすく頑丈…彼女の作り出した服によって、女性たちは家の中から外を眺めているだけの人形ではなくなった。なるほど-…シャネルの話も知りたくなったわ

    あいつとあいつには、絶対、やり返したい気持ちがするけど!前向きになったラストに救われたからよかった。←また私だけが悔しい…

    私が子供の頃のランドセルは赤か黒かで、ちょっと群青色かピンクが少数派、お洒落だなぁという羨望と、1人だけ目立っちゃって嫌かも…という感じだったけど、今はカラフルな中から好きなの選べる。それでも寒色系は男の子、暖色系は女の子みたいな暗黙の了解があるなと思ってた。長女の同級生の女の子のママに、娘ちゃんは何色選んだの?と聞いた時「夕焼け色」って言ったのが素敵だったな-と思い出した。ちなみに長女は赤いランドセルだけど横型で、やっぱり1人だけでした(笑)それが今は私のバイクのサイドバックに(笑)

  • 初めて読んだ作家の本。
    どうにも文章が私には合わなかった。
    最初は結構面白い話の予感がして読んでたけど、すぐに「うーん・・・」となってしまった。
    登場人物が個性的で魅力的な設定なのに、どのキャラもどこか素通りしてる印象。
    書いている世界観も個性的で素敵なのに、何故か夢中になりきれない。
    真相的な結末が用意されているけど、それも別に無くて良かったのでは?と思う。

    主人公はデパートでバイトで働く男性。
    彼は幼い頃に親に女性用の服を着せられ、それをからかわれた所を年上の女の子に助けられた、という記憶をもつ。
    ある日、スタイルのいいゴージャスな美人と出会い、彼女の職場である服飾美術館に出入りするようになる主人公。
    そこには18世紀から現代までの西洋の服が収蔵されていて、その異色な場所に似合う個性的な面々が働いている。
    その中に、男性恐怖症の女性がいてー。

    ざっくり書くとこんな感じのあらすじ。
    途中で斜め読みしたので拾いだした情報だけで書いた。
    この本が魅力的に書かれていたのは服について書かれている箇所。
    それ以外には結末もとってつけたようだし、登場人物の心情が薄いし、入りこめない話だった。
    雰囲気で読む本かもしれない。
    何となく読んでいて、「パラダイスキス」を思いだした。

  • こんな美術館やお仕事ってあるんだっていうのが第一の感想。
    登場人物一人一人が個性的で実写映画化したら面白そうだと思いました。
    2人の視点が入れ替わって物語は進みますがその中で主要な三人がそれぞれ変わっていく姿が丁寧に描かれていました。
    途中までは星5つつけてもいいかなってくらい引き込まれたのですが、最後がちょっとお粗末な感じがしたので1つ減で。

  • たくさんの素敵な衣装に囲まれた、幸せな時間でした。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2019年 『夜に啼く鳥は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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