- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103341949
作品紹介・あらすじ
男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰の中に――戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
感想・レビュー・書評
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戦国時代、良くも悪くも性別で全てが差別される環境でたくましく生きる女性、ウメの生涯が描かれています。
自分のやりたいこと、やりたくないことを意思表示することは大事だが、どうやっても大勢に抗えないこともある。
葛藤に折り合いをつけながら生きてきた現在が手放し難い大切なものになっているウメの姿がリアリティがあり、現代に通ずる部分を感じました。
終わりよければ全てよし、なんて言葉もありますが、人生において全ての選択を思い通りにできることなんてないと思います。
最後に笑えるように、今を頑張ろうと思える小説でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
千早茜さんは、石見銀山遺跡を観光で訪れ、本書の着想を得たのだそうです。本書を読みながら、実際に世界遺産に登録された島根県の当地を、ゆっくりと訪ねてみたくなりました。町並み、間歩(銀採掘坑道)など、400年の栄華が感じられるんでしょうね。
この物語の舞台である銀(しろがね)の山や自然が織りなす色、静謐さの中に響く音、澄んだ空気に混じる匂い、果てはそれらの湿度まで、文章から立ち上がるように感じられることが、現地を訪れたいと思わせる最大の理由かなと感じました。
またストーリーも、戦国末期の銀山で天才山師に拾われた少女の人生の機微が、生身の人間として濃密に描かれています。穢れを避ける間歩(坑道)、女であることの理不尽さ、闇と死など、大きな時代の流れと共に重厚かつ繊細な筆致で表現され、性と死の湿度まで意識させられます。
銀の気を吸い光る羊歯の葉脈の美しさ、山に葉脈の様にある銀、そこで間歩の闇と暮らす定めを背負った男たち、支える女たち、全て時代のうねりに取り込まれて盛者必衰の感を漂わせます。しかし、主人公・ウメは架空でも、確実にこの闇に抗いながら生きた女性がいたことの証を、本書は示してくれている気がしてなりません。
千早茜さんの作品は3冊目でしたが、本作が時代小説というだけでなく、女性の人生を描く凄みが冴え渡った新境地(多くの作品を読みもしないで、どの口が言える!)と言えるのかなと思いました。直木賞受賞も納得しました。 -
戦国時代末期から江戸時代初期の石見銀山に流れ着いた幼いウメとそれを助けた山師の喜兵衛と銀堀の仲間たち、同世代の隼人、ヨキ。
そして読み手の自分がそこにいて、同じ空間で同じ空気を吸っている感覚に落ちるほどの文章表現が素晴らしいと思った。
前半はウメの山で生きて行く強い生命力、後半は銀山の間歩の中で体が毒されると分かりながらも自分の何かを貫くため短い一生を行く覚悟すること。生きることの理について、深く考えた。
石見銀山にはまだ行ったことがないが、実際に足を運び、山に入り、そこの空気を感じてから、もう一度読んでみたい。 -
戦国末期の石見銀山を描く大河小説。
親と逸れた5歳の少女ウメは、天才山師の喜兵衛に拾われる。
喜兵衛を慕い山を闊歩し、植物の知識を覚え、薬となるものも覚える。
幼い頃から夜目は利くのだが、女であるが故に銀掘にはなれない。
喜兵衛への思いは、親よりも深いものであったと思う。離れたくないという強い思い。
だが、銀掘たちの命は短い。
みんな肺を病み、血を吐き死んでいく。
そこで生きている限り、女は子を産み育て、息子までも間歩に入り、咳に苛まれ、死んでいく。
銀の山から離れない限り、続いていく。
喜兵衛、そして隼人、最後に龍。
繰り返し訪れる愛する者との別れ。
龍がウメに言ったことばが、胸の奥に残る。
「ウメさんは離れられないですよね、銀の山から。間歩には入れなくとも、銀が尽きるまで見守るつもりでしょう。喜兵衛さんが見つけた最後の鉉が掘り当てられるまで。最後の銀掘が血を吐いて死ぬまで。だったらおれは傍にいます。居られる限り」
燃えるように熱くて強さを感じる小説だった。
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湖永さん、初めまして。
この作品、直木賞受賞しましたね♪
読んでいてこの作品すごい!って思いながら
読む手が止まらなかっただけに、嬉し...湖永さん、初めまして。
この作品、直木賞受賞しましたね♪
読んでいてこの作品すごい!って思いながら
読む手が止まらなかっただけに、嬉しくなりました。
私がレビューを投稿すると、その作品を結構な確率で
湖永さんも読まれていてレビューが投稿してあるので
いつかお声をかけたいと思っていました!
フォローさせて頂きますので、よろしくお願いします。2023/01/20 -
かなさん はじめまして。
コメントありがとうございます。
とても心が揺れ動かされた小説です。
共感していただけると嬉しいです。
直木賞受賞...かなさん はじめまして。
コメントありがとうございます。
とても心が揺れ動かされた小説です。
共感していただけると嬉しいです。
直木賞受賞も嬉しいですよね♪
これからも宜しくお願いします。
2023/01/21
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物語の舞台は戦国末期の石見銀山…両親とはぐれたウメは天才山師の喜兵衛に拾われる…ウメは喜兵衛から間歩のことや山の植物のことなどの知識を得て、自ら望んで間歩に入り手子として働き出す…年月が経ち成長したウメは、女であることから間歩に出入りすることを禁じられてしまう…。喜兵衛もまた山師としての采配を振るうことが世の変化によりできなくなったことから、石見銀山を去ることになる…。ウメはそれに不条理を感じながらも、女として銀堀を支え家族を持つことになったが…銀堀はやがて肺を病み短い命を閉じるのが常だった…。喜兵衛、隼人、龍…ウメを愛した男達と、そのウメの一生を描く…。
読み終えた日にこの作品が直木賞を受賞したとの発表がありました。大河小説なので読みにくいだろうと思っていましたが…そんなことは全くありませんでした!読んでよかったと思いました。
千早茜先生の文章には、鮮やかな色があります。喜兵衛が緑で、隼人は赤、龍は青かな…特に隼人との別れの場面では、胸が痛くなりました…。せつないけれど、「男は女がおらんと生きてはいけんのじゃ」と思わせるウメの魅力、読み終えたときの静かな読後感も堪能できました!-
辛4さん、おはようございます!
そうなんです…北海道、行ったことがないんです( ;∀;)
だからこそですねぇ…憧れはあるんです。
時計...辛4さん、おはようございます!
そうなんです…北海道、行ったことがないんです( ;∀;)
だからこそですねぇ…憧れはあるんです。
時計台とか、あとは小樽運河とか、網走刑務所とか、
函館の夜景とかぁ~!(^^)!
おいしいものも沢山あるし、ぜひぜひ行きたいっ!
でもなかなか、機会がなくって…あとは時間とお金ぇ…
まぁ、こればかりはしょうがないですよねぇ…
でも、ホントいつかは行ってみたいです♪
金星の本…こちらもいつか読んでみますね!!
辛4さん、よかったら本のタイトル教えてください。
辛4さんの本棚、見てみたけれど
ごめんなさい、わからなくって(^-^;2023/01/26 -
おはようございます~
それでは極寒の北海道はいかがでしょう?
普通では体験できない世界があなたを待っています。
金星は夕方にしかみ...おはようございます~
それでは極寒の北海道はいかがでしょう?
普通では体験できない世界があなたを待っています。
金星は夕方にしかみることができません。
そして、そこにはどんな暮らしがあるのでしょう。
そんなことを思いながら、先日は夜空をみました。
私の本棚にある金星の本は、
「金星人オムネクの答え」
「私はアセンションした惑星からきた―金星人オムネク・オネクのメッセージ」
です。
見つからなければお貸しできますよ~♪2023/01/27 -
辛4さん、こんにちは!
今朝、ニュースで北海道が出てました。
-20℃、濡れタオルがバットのように一瞬で凍る寒さ(@_@)
確かに、こ...辛4さん、こんにちは!
今朝、ニュースで北海道が出てました。
-20℃、濡れタオルがバットのように一瞬で凍る寒さ(@_@)
確かに、ここでは体験できないでしょうねぇ…
うちの方は、最強寒波のときに-12℃くらいだったかな、
それ以上が通常ですもんねぇ…
金星の本、教えて頂きありがとうございます!!
冬は空気が澄んでいて、星空もキレイに見えますよね(^_^)
これでもか!くらいに着込んで私も星空、見上げようと思います。
コメントありがとうございました。2023/01/27
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直木賞受賞作。
著者の作品は『透明な夜の香り』だけ既読でしたが、タッチが違いすぎて驚きました。
表現が豊かで、辞書を片手に読まないと進まないくらいの読み応えと深みのある作品でした。
大人な純文学です。 -
抉り揺さぶり続ける一冊。
石見銀山という男の世界で始まったウメの人生。
どう足掻いても銀堀として生きられずただ一人の男を心に棲まわせるしかないウメの生き様が荒々しく時にせつなく心揺さぶり続ける。
そして葛藤と衝動が渦巻く中でウメが模索していく自分の存在意義、生きる意味についてさえも言葉の鑿で抉り揺さぶる。
誰かに必要とされることも命を見届けることも生きる意味の大切な一つ。
銀堀の男たちにとってのウメの存在の尊さも愛おしい。
永遠という間歩に還る各々の輝き携えた男達が目に浮かぶ。
螺灯がゆらめくウメという安らぎの間歩に。 -
この話は、絶対石見銀山を訪れてから読むべき。私が訪れたのは、コロナの前の4年前だが、あのひんやりとした採掘後の洞窟の空気、かつての賑わいの影を残す町並み。自分の記憶の景色の中にウメが浮かんでくる。
一気読みしようとしたら、テレビで石見銀山の冬のドキュメンタリーが、始まってびっくり、テレビに出ていたヒダカというお店は、訪れたとき、焼き立てのパンをサービスしてくれたパン屋さん。おみやげに買ったラスクもかわいくラッピングしてくれて、、、。
読書って、新しいことを知るだけでなく、過去の思い出もよびおこしてくれる。
著者プロフィール
千早茜の作品






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