ひとつむぎの手

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2523
感想 : 301
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103343820

感想・レビュー・書評

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  • 大学病院の医師もの。
    ドラマで親しんでいる要素もあり、初めて知るような側面もあり。
    リアリティも楽しめて、さわやかな感動もあり、の読後感。

    平良祐介は、純正会医大付属病院の医師。
    良心的で熱心だが、それだけにひたすら忙しい。内心にはもっと認められたい葛藤もありました。
    研修医を3人担当して指導することになり、忙しさには拍車がかかります。三者三様の研修医の指導に苦心することに。
    トップの赤石教授から、3人のうち2人を心臓外科へ来させるようにという指令が。
    達成出来れば、かねてから念願の病院へ出向してさらなる可能性を広げるチャンスが訪れたのです。

    いまどきの若者の相手をしつつ、患者それぞれの事情にも親身に向き合う平良。
    病院での事件に巻き込まれ、右往左往するうちに、ある点では成果が。しかし…?

    平良の不器用さや苦悩にこちらもはらはらしますが、温かな人柄と誠意ある行動にほっとします。
    そして、合う道へと進むエンディング。
    いい話でした☆

  • 心臓外科の平良祐介は、三人の研修医のうち2人を心臓外科への入局を決意させれば、希望している富士第一病院への出向を考慮すると言われ、3人の指導を引き受ける。しかし、その一人にはそっぽを向かれ、他の2人への指導にも自信を無くす。主人公の祐介は、患者のことを親身になって考えるいい医者なのだが、うじうじといろいろ悩み、適当に力を抜いてリラックスすることもできない。読んでるこちらとしては、おいおい大丈夫かと情けなくなってくる。すると、医局の不正を糾弾した怪文書がばらまかれ、事態は思わぬ方向に進展していく。最後は、感動の結末を迎えるので安心して読んでください。いいお話でした。

  • おもしろい!
    夢中になって読んだ。

    2019年本屋大賞ノミネート作品。
    図書館で半年前に予約してようやく自分の順番になった。
    長い間待ったけど、ほぼ1日で読み終わってしまった。

    純正医大附属病院の勤務医・平良祐介はとても多忙で週に1日しか家に帰れないほど。そんな中、最高権力者の赤石教授から、3人の研修医の指導を命ぜられる。しかも、最低でもそのうち2人を心臓外科への入局に導くことを求められる。このミッションを遂行することができれば、心臓外科医としての技術を磨くために希望している富士第一総合病院への出向を考えてくれるというが…

    個性豊かな研修医の指導に奮闘する中、赤石の不正を告発する怪文書が出回る。平良は赤石から怪文書の作成者を調べることも依頼される。

    …って平良君、大変です。

    宿命ではあるけど、優しくて真面目で仕事ができる人には、厄介ごとも引き寄せられるように集まってくる。
    平良が迷いながら、時に傷つきながら、挫折しそうになりながらも、医師として、人間として成長していく姿を描く。
    なによりも、平良の人に対して真摯なところが素敵だと思った。

    「話がよくできすぎ」という意見もあるとは思うが、ストレスから逃れるための、気分転換の本としては完璧。モヤモヤした気分が読後スッキリとなる。
    そういう意味では「半沢直樹」に近いものがあるかな。

    知念実希人さんの小説は初めて読んだ。
    医療や病院に関して、なかなかリアリティがある描写だなぁ、と思ったら、現役の内科医でもあるということ。
    他の小説も読んでみたい。

    • やまさん
      たけさん、こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      いい本に巡り合えてよかったですね。
      たけさんのレビューを見て私も読んでみたくなりま...
      たけさん、こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      いい本に巡り合えてよかったですね。
      たけさんのレビューを見て私も読んでみたくなりました。
      2019/11/06
    • たけさん
      やまさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      レビュー読んで「読んでみたい」と思っていただけたのなら、とても嬉しいです。

      今後も...
      やまさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      レビュー読んで「読んでみたい」と思っていただけたのなら、とても嬉しいです。

      今後も良い本を紹介してくださいね。
      2019/11/06
  • 正直驚きました。ミステリー少な目ファンタジーなし。真向から医療ヒューマンドラマで勝負している。現役医師としての知識や経験を基にリアリティのある描写、医局内の派閥争い、人手不足の問題など説得力のある話が続く。前・中・後半へ向けてのストーリー展開も非常に素晴らしい!3人の研修医とのストーリーにとても感情移入して心を持っていかれる。思わず涙が頬をつたう。そしてエンディング。あぁと唸ってしまう温かい終わり方。タイトルの意味も分かってまた感動。今年のマイベスト10入り確実。是非この素敵な話を読友さんに紡いでいきたい。

  • 「ひとつむぎの手」というタイトルの意味は心臓外科医がただ血管を紡ぎ合わせているのではなく、患者の人生を、ひいては『人』そのものを紡いでいる。ということだそうです。

    純正医大、心臓外科医の平良祐介は指導にあたる研修医三名のうち二名を心臓外科に入局させれば一流の病院に出向できるという条件で、三名の研修医の指導にあたります。
    最初は、祐介に反感を持つ者もいました。
    一番好きだった場面は、小児心臓外科を志望している宇佐美麗子が重篤な子供の患者の絵里香のこころをひらこうとする場面で、反抗的だった絵里香が宇佐美になついて初めて「宇佐美せんせー」と呼びかけたところでは、思わず感涙しました。
    しかし、大病院に出向の話は、元々赤石教授の甥の針谷が行くことになっていた事実が判明し、祐介は沖縄の田舎の病院にとばされることになっていたことがわかります。祐介は落ち込みますが、妻の美代子がとても前向きなので救われます。
    そしてつい針谷に不平をもらした祐介は、針谷に非常に痛いところをつかれ、余計に落ち込みます。
    しかし、驚くべきことに、祐介の担当した三人の研修医は三人とも心臓外科の入局願いを提出していて、院内に出回った怪文書を出した、犯人捜しをしているらしいことがわかります。
    その後、また一度心筋梗塞の手術を針谷らが担当した赤石教授が手術の失敗で再び倒れます。
    そのあとの、祐介の行動はすばらしいものでした。
    赤石もちゃんと祐介の資質がわかっていて沖縄に派遣することにしたこともわかります。

    安心して最後まで読める、正統派なヒューマンな小説でした。
    作者の知念さんは、医師だそうで、細部の医療の描写などもちゃんとした裏打ちがされています。

  • 臨床医でもある知念さんの作品を初読み。

    中堅の心臓血管外科医が主人公。
    医局が舞台。気が付くとあっという間1冊を読み終えていた。

    大昔、医局のどろどろの人事抗争を描いた『白い巨塔』の田宮二郎版テレビドラマを見て、知らない世界があるものだと、度肝を抜かれたが、現場をよく知る現役医師である知念さんが繰り広げる展開に、それぞれが抱える葛藤や欲望の奥深さを知る。

    頑張れば報われる。正しくあれ。
    言うは簡単だが、正しさは一つではないのは、いつの世もどの社会でも一緒。

    心臓血管外科の専門用語や病名、或いは医局人事の構造など、物語の展開を邪魔しない説明が加えられ、流れるように出来事が繰り広げられる。

    若干会話が多めで進展させる場面が気になったが、人物造形も表層的なものと、内実との乖離がそれぞれ次第に露わになり、人間の奥深さにも触れられた気がする。

    以前近くの書店の閉店時、畑野智美さんや額賀澪さんら若手作家さんたちが集いサイン会を開かれ、手持ち無沙汰にただ静かに佇んでいたのが、知念さんでした。勝手に親近感を覚えています。

  • 不器用に人間らしく少し悪い心もありつつ、ここぞというときは正しく行動する主人公の姿が印象的でした。

  • 女手ひとつで育ててくれた母親を冠動脈バイパス手術で救ってくれた赤石教授のもとで、心臓外科医になりたいという夢に向かって、ひたすら努力する平良祐介

    治療方針を決める医局のカンファレンスでも、平良先生の視点は患者と患者の家族に寄り添い、どうすることが患者にとって最良の方法なのかの一点に絞られ、全く揺るぎない

    しかし、そんな平良先生に魔の手が忍び寄る
    研修医3名のうち2名を心臓外科に入れたら・・・
    怪文書の犯人を突き止めたら・・・冠動脈バイパス術で全国有数の実績を持つ富士第一総合病院の出向させるという人参をぶら下げ、惑わせる

    心が揺れ、振り回される平良先生 それだけ本物の心臓外科医になりたい!という表れなのだろう

    心臓の進行癌に侵された14歳の少女に対して、もうこれ以上娘に痛い思いはさせたくない! 安らかに最期を迎えさせてやりたいと
    心臓移植を断った両親の苦渋の決断とその意向に沿うべく静かに最期を看取った場面では涙が出た

    一人の人生の最期に医師としてだけでなく、人間として礼を尽くしている姿が素晴らしかった

    医者は患者に対して親身になるべきだ。けれどその一方で患者を一歩引いた位置で眺める冷静さも持ち合わせていなければいけない。感情に引っ張られすぎると、患者にとって最も適した治療を見失う可能性がある
    もし、親しい患者が亡くなっても、医者は泣くことも許されない患者のために泣くのは、家族の権利だからだ。俺はそう教わってきたし、その通りだと思っている

    表題『ひとつむぎの手 』は、尊敬する赤石教授の言葉からきたものだ
    冠動脈は心臓に血液を送る血管、つまり命に栄養している血管だ
    私たちはただ血管を紡ぎ合わせているんじゃない。患者の人生を
    ひいては『人』そのものを紡いでいるんだ

    平良先生のような先生ばかりなら医療訴訟など起こらないのかもしれない




  • まず、面白かったー!
    医者が主人公で病院内で話が進んでいく。
    医療用語とか難しい単語も多々出てくるが、全然苦にならずスラスラ読める!

    研修医を育てて心臓外科に入れること、怪文書の犯人探しが主な話の軸やけど、その中で患者との関わりや研修医との問題もあったり。

    宇佐美さんと14歳の女の子の所が印象に残った。
    会社の昼休みに読んでたので、泣くかと思ったわ!

    祐介の夢は叶わなかったが、自分にあった道を見つけハッピーエンドってのも◎

  • 2019年本屋大賞8位。
    要領が悪く、苦労を背負いがちだけれど、真面目で患者のためを考えられる平良。
    心臓外科という、命と直結し、かつリスクも高い医療現場のエピソードは、じーんとくる。
    それぞれ目指すものがちがう、3人の研修医たちとの絆の深め方も、ぐっとくるものがあった。
    医療もののヒューマンドラマとして、泣けた。
    怪文書まわりの対処には、ややもやもや。

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著者プロフィール

1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー(19年『レゾンデートル』として文庫化)。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーに。『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi(上・下)』で、18年、19年、20年本屋大賞連続ノミネート。『優しい死神の飼い方』『時限病棟』『リアルフェイス』『レフトハンド・ブラザーフッド』『誘拐遊戯』『十字架のカルテ』『傷痕のメッセージ』など著書多数。今もっとも多くの読者に支持される、最注目のミステリー作家。

「2021年 『硝子の塔の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

知念実希人の作品

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