ひとつむぎの手

著者 :
  • 新潮社
3.97
  • (89)
  • (170)
  • (80)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 1139
レビュー : 163
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103343820

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 医療ものは感動よりも辛く苦しい事が多い。子供の病気、これは辛いです。
    人として一番大切なものは何か。ヒューマンドラマ、いい作品だと思います。

    子供が苦しんでいる姿を見ている親の気持ちを考えるともう…。
    どの治療の選択が娘のために1番いいのか、何度話し合ってもなかなか答えは出ない。
    必死に悩んで、苦しんで両親は結論を出す。
    医者はそこに深入りしてはいけない。家族の前で泣いてもいけない。
    いつだって1番悲しいのは辛いのは患者家族だから。

    平良先生は患者と真摯に向き合う優しい先生。
    平良先生が患者さんの顔の汚れを拭いてあげるところがとても印象に残りました。

    だけど、心臓外科医として成功したいがため、時に損得勘定で動いてしまうことも。
    そして、どうしていいかわからず悩んでは失敗する(笑)
    平良先生はありのままの自分でいいのに。

    ミステリの部分は少しで物足りなかったけど、平良先生らしい医療に関連づけたお裁きでいい終わり方でした。

    医師だからこそ書ける医療もの。医師不足、過酷な勤務、地域医療の過疎化、派閥、医局制度、医療現場の厳しさが伝わってきました。
    ただ、研修医ってあんなに生意気な態度が取れるのか、不思議に思いました。

    • くるたんさん
      こちら、図書館予約数がすごくてまだまだ数ヶ月先になりそう。

      治療の選択、医師が向き合うべき姿、けいたん♪の感想でじーんときちゃった。
      こちら、図書館予約数がすごくてまだまだ数ヶ月先になりそう。

      治療の選択、医師が向き合うべき姿、けいたん♪の感想でじーんときちゃった。
      2019/03/31
    • けいたんさん
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/
      この作品は医療ミステリーと思って読んだからちょっとあれれ?だったけど、医療ものとして読んだらザ...
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/
      この作品は医療ミステリーと思って読んだからちょっとあれれ?だったけど、医療ものとして読んだらザ・現場って感じだったよ。
      変に怪文書なんか入れない方がよかったな。
      また読み終わったらお話ししましょう♪
      2019/03/31
  • 「ひとつむぎの手」というタイトルの意味は心臓外科医がただ血管を紡ぎ合わせているのではなく、患者の人生を、ひいては『人』そのものを紡いでいる。ということだそうです。

    純正医大、心臓外科医の平良祐介は指導にあたる研修医三名のうち二名を心臓外科に入局させれば一流の病院に出向できるという条件で、三名の研修医の指導にあたります。
    最初は、祐介に反感を持つ者もいました。
    一番好きだった場面は、小児心臓外科を志望している宇佐美麗子が重篤な子供の患者の絵里香のこころをひらこうとする場面で、反抗的だった絵里香が宇佐美になついて初めて「宇佐美せんせー」と呼びかけたところでは、思わず感涙しました。
    しかし、大病院に出向の話は、元々赤石教授の甥の針谷が行くことになっていた事実が判明し、祐介は沖縄の田舎の病院にとばされることになっていたことがわかります。祐介は落ち込みますが、妻の美代子がとても前向きなので救われます。
    そしてつい針谷に不平をもらした祐介は、針谷に非常に痛いところをつかれ、余計に落ち込みます。
    しかし、驚くべきことに、祐介の担当した三人の研修医は三人とも心臓外科の入局願いを提出していて、院内に出回った怪文書を出した、犯人捜しをしているらしいことがわかります。
    その後、また一度心筋梗塞の手術を針谷らが担当した赤石教授が手術の失敗で再び倒れます。
    そのあとの、祐介の行動はすばらしいものでした。
    赤石もちゃんと祐介の資質がわかっていて沖縄に派遣することにしたこともわかります。

    安心して最後まで読める、正統派なヒューマンな小説でした。
    作者の知念さんは、医師だそうで、細部の医療の描写などもちゃんとした裏打ちがされています。

  • 女手ひとつで育ててくれた母親を冠動脈バイパス手術で救ってくれた赤石教授のもとで、心臓外科医になりたいという夢に向かって、ひたすら努力する平良祐介

    治療方針を決める医局のカンファレンスでも、平良先生の視点は患者と患者の家族に寄り添い、どうすることが患者にとって最良の方法なのかの一点に絞られ、全く揺るぎない

    しかし、そんな平良先生に魔の手が忍び寄る
    研修医3名のうち2名を心臓外科に入れたら・・・
    怪文書の犯人を突き止めたら・・・冠動脈バイパス術で全国有数の実績を持つ富士第一総合病院の出向させるという人参をぶら下げ、惑わせる

    心が揺れ、振り回される平良先生 それだけ本物の心臓外科医になりたい!という表れなのだろう

    心臓の進行癌に侵された14歳の少女に対して、もうこれ以上娘に痛い思いはさせたくない! 安らかに最期を迎えさせてやりたいと
    心臓移植を断った両親の苦渋の決断とその意向に沿うべく静かに最期を看取った場面では涙が出た

    一人の人生の最期に医師としてだけでなく、人間として礼を尽くしている姿が素晴らしかった

    医者は患者に対して親身になるべきだ。けれどその一方で患者を一歩引いた位置で眺める冷静さも持ち合わせていなければいけない。感情に引っ張られすぎると、患者にとって最も適した治療を見失う可能性がある
    もし、親しい患者が亡くなっても、医者は泣くことも許されない患者のために泣くのは、家族の権利だからだ。俺はそう教わってきたし、その通りだと思っている

    表題『ひとつむぎの手 』は、尊敬する赤石教授の言葉からきたものだ
    冠動脈は心臓に血液を送る血管、つまり命に栄養している血管だ
    私たちはただ血管を紡ぎ合わせているんじゃない。患者の人生を
    ひいては『人』そのものを紡いでいるんだ

    平良先生のような先生ばかりなら医療訴訟など起こらないのかもしれない




  • 医局ものはいろいろあるから、
    そこは目新しさはなかったが、
    研修生を育てるというのは、初めてか。

    人を育てるのは難しい。
    でも、見てる人は見てて、
    別に明言されなくても、
    自分の行為が相手の行為に繋がってるのは確実。
    自分もそうやって育ててもらったから。

  • 中盤すぎ辺りまではかなり面白い展開のヒューマンドラマの趣で一気に突っ走りそうに思ったけど、終盤の減速感は否めなかった。
    苛酷さ随一の心臓外科医に拘りながら寝食を忘れるほどに勤める平良医師に更に3人の研修医が預けられる。彼らが不人気な心臓外科を望んでくれるように研修せよ とのミッションに応えられれば望んでいる病院に異動させると言われ、懸命に指導するも裏腹な状況が到来する。しかし常に患者側の立場からの言動の平良に心が開かれていく研修医達。タイトルの ひとつむぎ の意味合いも判る終盤、スキャンダラスな事案や妬みや嫉妬等で平板な作品になってしまった感じがザンネン。

  • 2019.5.1.巷の話でいうと、令和最初に読み終わった作品!ということになるのだろうか。全く意識していなかったがそれにふさわしい読み応えがある作品だったと思う。
    純正医大心臓外科学講座に所属する中堅医局員平良祐介はそろそろ市中の病院に出向の時を迎え、第一希望の静岡県の病院と沖縄県の病院のどちらかを提示され、研修医3人のうち2人を心臓外科に入れることが希望を叶える手段と提示される。心臓外科に入れるべく姑息な手段をとって、最初は研修医にそっぽを向かれながら医師としての本分を果たしていくにつれて信頼を取り戻していくが…。ともに教授の論文改竄疑惑の解明の命を受け、真相に迫ろうとする祐介の姿が描かれる。
    自分の希望を叶えるために姑息な手段を取り研修医にそっぽを向かれる情けない姿から、信頼を取り戻す過程がとてもよかった。結末にはがっかりはしたが、全てめでたしめでたしといかないかほうが現実感があるのかもしれない。
    これもストーリーに引き込まれて一日で読めてよかった。

  • 熱かった!!!
    医療ミステリだと思って読んだら熱いお仕事小説だった。

    覚悟をもって医療に従事する心臓外科医とその卵たちの物語。
    主人公が的確な判断で手術を行い患者を助けるシーンに胸が熱くなった。
    普段は温厚でヘタレなところもある主人公が患者のこととなると毅然とした態度で話すギャップもいい。
    あれは研修医も惚れるわ。
    終盤の患者の容体が急変、医者の人手も足りないっていうシーンの『研修医を三人ほど』のセリフにはキタ――(゚∀゚)――!!っ思わず叫んでしまった。


    確かに組織で働くうえでは上司に取り入ったり根回ししたり、患者の方以外を向かなければいけない時もあるかもしれない。
    人間なのだから判断ミスをすることもあるだろう。
    けれど医療現場の多くが医者の熱意によって支えられているのも事実だと思う。
    心臓外科医は血管を紡ぎ合わせて患者の人生を紡ぎ人そのものを紡いでいく。
    今作の主人公は患者だけでなく、病院も後輩も紡いでいった。
    『ひとつむぎの手』いいタイトルだと思う。

  • わかりやすい内容で先が読めているにも関わらずついつい引き込まれてしまうのは作者の筆力故なのだろう。
    3人の研修医が平良先生に心酔したように軽いミステリータッチの内容や手に汗握るオペシーン、患者さんの心に寄り添う優しさをふんだんに盛り込んで
    やはり読み応えがあったように思う。

  • 面白い!ヒューマンドラマ。平良カッコいい

  • 患者と患者家族の意思を尊重し彼らにとって一番と思う方法を選ぶ心臓外科医の平良。三人の医局の指導を指示されるが、二人以上心臓外科医に入局させれば、自分が望んでいたより腕を磨ける病院に出向できるという。人間ドラマ。
    病院内の人間関係や医師の考え、映し出されていました。医師の苦労も出ていましたが。最後は自分の心のままに進めてよかったと思います。平良先生のようなお医者さんがいてくれたらね。平良さんの人間臭さがよく描けてたと思います。

全163件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

知念 実希人(ちねん みきと)
1978年、沖縄県生まれ。医師。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『螺旋の手術室』(『ブラッドライン』改題作)、『優しい死神の飼い方』(死神シリーズ)、『天久鷹央の推理カルテ』シリーズなどがある。
近刊として2018年9月刊行の『ひとつむぎの手』。

ひとつむぎの手のその他の作品

ひとつむぎの手 Kindle版 ひとつむぎの手 知念実希人

知念実希人の作品

ひとつむぎの手を本棚に登録しているひと

ツイートする