爪と目

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103345114

感想・レビュー・書評

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  • こわい

  • 『しょう子さんの忘れていること』
    本当の名はしょう子さんではないしょう子さんの姿をありありと想像できる。何もかも荷物をおろしたのに揺らされる苦痛を思うと顔が歪んだ。

    『ちびっこ広場』
    主人公の大樹への想いが、左の肋骨の下から3本目の辺りが、がじっとするくらい伝わってきた。
    生々しかった。

    『爪と目』
    読み進めるほどに血の温度が一気に下がるような小説だった。

    見られている。
    罰は必ず与えられる。
    あなただけが傷つかなかった今までは、もうお終い。
    そう言われているようだった。

    長年的確に説明出来なかったあらゆるタイプの異性に強めの恋愛感情を抱かれやすい人の特徴が的確に説明されていて、ああこう言えば良かったのだと思った。

    レーシックをする前に、ソフトコンタクトレンズを長年愛用していた。数年前まで、外さずに眠ってしまいソフトコンタクトレンズが目の中で膨張する悪夢をみることが度々あった。
    昔、爪を噛む癖のある友人が2人いた。2人ともベビースモーカーだった。噛む時は、煙草をくゆらせる時より、目が見開かれていた。
    子どもを産んでしばらくしてからは、ベランダにでる時は、必ず跨いで入ろうと思えば入れるが、背丈が小さい子には届かない小さい方の窓を開けて出ていた。その時のざわざわした砂つぶのような小さいけれど確かにある恐怖に近いもの。

    そんなことを思い出した。

  • 不穏な空気が漂う文章が好き。


    エンタメ性というよりは、文章そのものを
    楽しむような作品に感じたので、
    芥川賞受賞作なのも 納得。

    藤野さんの作品は、エンタメ性の高いものも
    あるので、その時々の求めるものを読めるのも良い。

  • 149回(2013年上半期) 芥川賞受賞作

    わたしの爪とあなたの目の痛々しさ
    どちらも自傷
    爪は他傷にも及ぶ

    あなたとわたしの間には
    笑いや愛情などのあたたかなもの
    は育まれない

    死んだ母のブログがとてもリアル
    そういう人っているいるって思う
    ある意味無個性
    でももっと無個性なあなたが
    その無個性を模倣してそれっぽい
    生活を築き上げていく

    わたしも与えられたお菓子やジュースを
    もくもくと消費していく

    現代社会の闇というか
    現代社会を生きる普通の人たちの不気味さを描いた
    作品なのかなと思った


  • 父親との不倫相手を、娘の視点で書いた小説。そのため、「あなた」という二人称で書かれていた。娘の視点にあどけなさはなく、妙に大人びていたのが印象的だった。気持ち悪い描写もあったが、引き込まれた。芥川賞受賞の表題作のほか、2作品収録。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00525835

  • 3歳の女の子を「わたし」、義母を「あなた」と表現する文体。読み辛いという感想を持つ人が多いようだけど、私にはすんなり入ってきた。文章も読みやすいし、さくさく読み進められたんだけど、肝心な何を伝えたいのかが全くわからなかった(ーー;)

  • 「あんたもちょっと目をつぶってみればいいんだ。かんたんなことさ。どんなひどいことも、すぐに消え失せるから。見えなければないのといっしょだからね、少なくとも自分にとっては」
    ときには図太い神経を持つことも必要だと感じた。子どもは感受性が高いために、大人の細かな態度の変化や心情に気づいてしまう。3歳児視点で進むのが恐怖をより掻き立てている。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/791794

  • 感想
    嘘と間違い。個人の視点から抜けられないがなんでも語る。虚偽を差し込めばそこに矛盾はない。故意に、話に一貫性を持たせるために、嘘をつく。

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著者プロフィール

藤野可織(ふじの・かおり)
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』でフラウ文芸大賞を受賞。著書に『ファイナルガール』『ドレス』『ピエタとトランジ』『私は幽霊を見ない』など。

「2022年 『青木きららのちょっとした冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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