罪の終わり

  • 新潮社 (2016年5月20日発売)
3.51
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784103346524

作品紹介・あらすじ

読書の興奮を希求する紳士淑女の皆様へ。心配ご無用。東山彰良は裏切らない! 小惑星衝突後の世界。恐怖や暴力が蔓延し、他人を信じることも難しい。罪だけ増え続けていた。そこに彼は降り立つ。価値観を破壊し、悩める者を救済する。数々の奇跡、圧倒的な力。誰もが知りたがった。後世、神とよばれた男の人生は、どんなものだったのか――。『流』から一年。進化し続ける著者が放つ、世界レベルの最新長編。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

崩壊した世界での善と悪の価値観を問いかける物語が展開され、読者は深い感動と興奮を味わうことができます。小惑星衝突後の恐怖と暴力が蔓延する中、神と呼ばれる男の救世主としての姿が描かれ、彼の行動が周囲に与...

感想・レビュー・書評

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  • 『ブラックライダー』に引き続き再読。途轍もない傑作。2173年の救世主伝説。自分が六・一六後の世界に生きており、ナサニエル・ヘイレンという実在の人物に関するノンフィクションの翻訳を読み、福音に自分の罪を許されているような気になった。なぜ日本人(台湾生まれの)にこのような物語が書けるのだろう。それ自体も奇跡であるように思える。僕はこれからもこの二書を読み返すのだろう。

  • ふむ

  • 2022/4/30
    ナサニエル・ヘイレン。

  • アメリカが舞台のSF小説、の中でもディストピア小説に分類されるもの。ジャンルも作者も初挑戦ではあったが、予想していたより鬱々とすることもなく楽しめた。堅苦しいとまではいかないが、慣れれば咀嚼が心地よく思えてくる程度の硬さの文体。唯一無二と思わせるほどぴったりな比喩表現が印象的で、諸所に光る。

    「神」が如何にして産まれるか、全編を通してその過程に重きを置かれているので、頽廃し、食人が横行するようになった絶望的な世界が舞台でも、その雰囲気に呑まれることなく、むしろ興味深く読み進めることができた。"辛い"という意味ではむしろナサニエルの少年時代の方が刺さる。自分自身を否定する"空っぽ"のナサニエルが、いかに「神」の依代として有用であり、時代が、人々が、いかに食人の神を必要としていたか。キリストの例を擬えての考察も面白い。結果的に、暗い霧の中に差し込む幽かな光よりも僅かな希望を抱き、"空っぽ"ではなくなりつつあったナサニエルがその矢先に死んだのは、彼にとっても、「神」を必要とした周りの人々にとっても、良いことだったのだろう。人々が勝手だとは思わない。食事や排泄と同じく、生きていく上で必要なことだと思うので。

    惜しむらくは、原罪という観念がいまいち身に沁みて理解できないので、食人やその他の罪に対する宗教的な罪悪感が切迫してこないこと。それにしても、皆川博子さんのときも思ったけど、生まれ育ってない国の世界観をこれだけ作り込めるのは本当にすごいと思う。日本が核兵器を隠し持っていてアメリカが激怒したとか、アフリカに逃げたアメリカ人をイスラム原理主義者が殺したとか、世界観を作り込む設定が、いかにも現実に起こり得そうなのも面白かった。

    気が遠くなるような長いスパンで、人間社会が頽廃したり発展したりを繰り返す、そのことこそが人間の営みである、という主張も多少あるように私には感じられた。ディストピア小説って、絶望的な状況下で人々がただ痛めつけられるだけのものだと思っていたので、考えを改めます。それにしても、カールハインツがユダの役割を担ったのはすごく切なかったなあ、、、

  • 文学

  • 『ブラックライダー』と
    この『罪の終わり』の2冊しか
    読んでいないけれど
    東山彰良氏が描かれる作品は
    どうも私の心に引っかかり
    この方の書かれる物語は
    好きなんだと認識。

    『ブラックライダー』の前日談としての
    『罪の終わり』も宗教的な部分があるけれど
    これは、舞台をアメリカにしているからで
    日本に置き換えても語られるべきことは
    同じ罪の重さであり、人間の卑しさ悲哀弱さ。

    デストピア小説・ポストアポカリプスでもある
    同じような背景の名作『ザ・ロード』に
    匹敵すると思う。久々に泣ける作品を読んだ。

  • ☆4つなのは、自分に知識や読解力が不足しているから。作者のせいではありません。
     台風の被害が予想される中読んだので、もう世の中は滅びつつある気がしてならない。

  • 前の本のレビューには、邪宗門とかいてあった。

  • 伝えたい神とは、なんとなくわかるが、
    東山の持つ 独特の文体が失われてしまっていると感じた。

    いわゆる人間味があって、オシャレで笑える発言について、
    登場人物達ができていなかったように思った。

  • ブラックライダー同様、こちらも評価が別れそうな作品。私としてはこちらの方が受け入れやすく読みやすかった。ウディや犬(カール)の設定がありきたりところと、ネイサン(語り手)の口調は気に入らないけれど、景色感はわりとすき。

  • 「ブラックライダー」の前日譚。前作のインパクトには及ばないし、語り手の説明口調も気になった。ただ、「食人」に及んだ人々の絶望、恐怖が「黒騎士」という聖人を作り上げていく過程や、ナサニエル・ヘイレンの底無しの悲しみには胸を打たれる。兄と母を自らの手で殺し、彼らに置き去りにされた感覚でただ生きているだけのヘイレンが、最後に追ってきてくれた犬のカールに救われるラストは忘れられない。

  • 主題がなんなのか見失う

  • ブラックライダーを読んでなかったけど、なにこれなにこれこの面白さ。

    終末が訪れたのちの世界。人が人を食べて生きる凄惨な荒野を舞台に、神の子としてあがめられていく青年ナサニエルの神話。
    無垢な兄を殺し、絶望した母を殺し、罪にまみれて流浪していくナサニエル。その姿に人々は何をみたのか。
    カールハインツがね、ああ、いいよね! 賢くて強い三本脚の天使。

  • 純粋と虚無と無垢に泣いた。クライマックスのシーンがとてつもなく鮮烈。
    「流」もとてもよかったけれどこちらもとても良かった。

  • 「ブラックライダー」のプロローグ的な物語。
    黒騎士伝説はどうして生まれたか…。

    人間をどうしようもなく苦しめ壊してしまうのが罪悪感なんだろうな。そして誰もが救い―赦されることを求めている。
    自分の中でひとつずつ何かが死んでいく。それを背負い目指す場所は本当に正しいかどうか判らないけど、その道のりには希望も存在するのだと胸が熱くなった。

    それにしても、なんてかっこいい作品なんだろう。SF映画を観ているように鮮やかにシーンが浮かび上がってくる。
    危険を感知してぐいと動くナットのVB義眼を想像するたびにしびれてしまった。

  • 思い出したのはマキャモンの「スワン・ソング」。
    こちらでは、何が起きて何が設定(キャンディ線)されたのかのはっきりした記述がなくぼんやり。まぁ、書きたかったのはそこじゃなかったからだと思うんだけど、気になって集中できなかったのが現実。残念なわたし。

  • アルファベットの題名はBeyond the Block Rider:JESUS WALKING ON THE WATER~私は白聖書派の追跡者で、最初は食人鬼ダニー・レヴンワーズを追っていたが、一緒に行動しているナサニエル・ヘイレンがリストの上に上がってきて変更した。ナットは6.16以前にNYでダンサーになろうとしてヒッチハイクを続けてきた母が男3人に暴行を受け、障碍を持つ兄ウッドロウと共に生まれてきた、母と同じ美貌を持つ男性だ。2173年6月16日小惑星ナイチンゲールが核攻撃で粉々になりながらも地球に衝突して世界は一変した。その時、母親殺しで刑務所に入っていたナットは、政府が東部住民を守るために設定したキャンディ線を越えて西部に踏み出した。食糧が供給されない地域では、人を殺して食べる状況が生じており、人と牛の遺伝子を組み合わせて新たな食肉を生産しようと言う計画もある。南西部に住む人々は罪を背負い、エルモロの落差900mの水場に至る階段を一人で作ったナサニエルを黒騎士と呼ぶようになり、湖を歩いて渡ったイエス様と同じように、救世主と考えるようになったのだ。彼の生い立ちは…、双子の兄はどのように死に至ったのか…、如何に監獄からニューメキシコに至ったのか…、どのように亡くなったのか~台湾を舞台にした小説は何だったっけ? そうそう「流」だった。台湾籍の儘らしくて本名は王震緒で警察の中国人通訳をしていたり、今は大学でも中国語を教えているらしい。未来ものを書くとは思わなかった

  • 2173.6.16ナイチンゲール小惑星破片の衝突で破壊された北米大陸では食人が生きるすべとなっていた。この世界観に入り込むの時間がかかり、前半はてこずった。序文で概略が示されているので、途中で戻ってもういちど読みこむべきだった。後から知ったのだが、ブラックライダーという作品で設定された世界らしい。

    その世界で神格化されていくナサニエル・ヘイレンの贖罪の旅のはなしが、イエスキリストの行跡にも重ねられていく。

  • 出だしから、中二感が半端無いです。
    それを乗り越えられれば、読めます。

  • 表紙が見えるように並べられた中から、気になり借りた本。
    著者の追憶から書かれる出だしに、あれ、エッセイだったかな?と混乱したものの、見慣れる西暦に創作だと気付く。
    遥か未来の話なのに、そこでの世界も今と代わり映え無く、なんだか夢もない。
    更には世界が荒れ果てていき、世紀末の世界へと変わる。
    しかし物語が進につれて、面白く読み進められた。

    飢餓になった時、人を食べるということ、罪の意識、などなど、重いテーマを考えさせられる話だった。

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著者プロフィール

東山彰良(ひがしやあきら)
1968 年台湾生まれ。福岡在住。
2002 年に第 1 回「このミステリーがすごい!」大賞の銀賞・読者賞を受賞し、翌年『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。
『路傍』で第11 回大藪春彦賞、『流』で第 153 回直木三十五賞、『罪の終わり』で第 11 回中央公論文芸賞、『僕が殺した人と僕を殺した人』で第 34 回織田作之助賞、第 69 回読売文学賞、第 3 回渡辺淳一文学賞を受賞。
そのほか『怪物』『わたしはわたしで』『邪行のビビウ』など著書多数。
猫とお酒をこよなく愛し、ラジオ番組のパーソナリティーも務める。
絵本の翻訳は本作が初めてとなる。

「2024年 『まぼろしの雲豹(ウンピョウ)をさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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