- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103348719
感想・レビュー・書評
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デザイナーとして東京で働いていた瀬尾水樹45歳のところに京都にいる高校の同級生堂林謙吾から連絡が卒業以来初めて入り、上田先生の具合がよくないと言われます。
水樹にはもう一人保育園から一緒だった森嶋信也という家族ぐるみで付き合っていた同級生がいましたが、行方不明です。
水樹は憲吾と遠子先生を見舞います。
憲吾は公務員を辞めて新しい仕事を始めたいと言い、転職を考えていた水樹のデザイナーとしての腕を買って、一緒にしないかと誘ってきます。
水樹は高校まで兄妹、兄弟同士仲の良かった信也のことを忘れたことがありませんでした。ずっと逢いたいと思っていました。
信也には亡くなってしまった兄の正浩と弟の悠人がいて、水樹は一度だけ恋人らしき男性もいたのですが、決して忘れられないことがたくさんありすぎました。
兄の正浩が亡くなった日のこと。
弟の悠人がいじめに遭っていたこと等々…。
そして高校に入って憲吾に出逢います。
遠子先生は卒業後就職を希望していた水樹にデザイナーの道を切り拓いてくれた恩人です。
水樹のもう一人の友だち憲吾にも色々、困難な過去があったことが45歳になった今になってようやく水樹は知ることになります。
信也は「水樹がどこにいても絶対に会いにいくから」と水樹が上京するとき言ったのに、なぜ消えてしまったのか…。
でも45歳になって水樹たち三人は再会することができたのです。
「本当の自分を出せる相手に巡り合ったらそれだけでもう幸せなのよ」遠子先生の遺してくれたものも大きいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どんな話なのか
よく知らずに読んでいましたが
いろいろな人たちの想いが
上手く昇華したような作品で
読んでいてきもちがよかったです(^^)
出てくる人たちの生き様は
それぞれに厳しさがあり
でもどこかに救いがありました
すっと沁みてくるような作品でした(^^)
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読んだような気はしてた。うん。
でもそれを忘れてまた読んでしまう私。
なんか前に読んだ時よりも心にしっかり残ったな。
それだけ私も歳をとったって事かしらね。
昔と今とが交錯しながら明るい方へと向かっていく。
私の人生もそんな風に向かっていけるかなとほんのり勇気をもらいました。 -
ひたむきに生きる、人を思うひたむきさが切ない物語だった。
45歳の水樹の回想は静かで穏やかだが、子どもの頃の水樹も同じ団地に住む信也たち3兄弟、同級生の憲吾にしても家庭状況はかなり過酷だ。
子どもには大き過ぎる悲しみを背負わされている。けれど、どの子も歪むことなく素直で優しい。
回想は優しさに包まれた幸せな時間が散りばめられている。心暖まるエピソードがとても良い。出会う人がまた素敵なのだ。
大人になった水樹がへこたれそうになった時、支えてくれたのは過去のそんな想い出だ。
水樹が信也を思い続ける、ひたむきさにも胸が熱くなった。
人との関わりのひたむきさ、優しさの意味を考えさせられました。 -
もうね~すごく良かったです。
誰しも心の奥にひっそりと生き続けている人、いますよね。
どんな大人になっているのかな~と、ときおり思い出したりしてね。
水樹と信也の絆。 憲吾のせつない恋。 信也と悠人の兄弟愛。
すべて良かったです。
子供時代の話もとても好き。
夢中で走ったリレー、相手から目をそらさないで走るドッジボールの練習。
たがいに支え合い励まし合って、ひたむきに努力する姿の美しさ。
そして、信也の自転車のサドルの秘密…。
あ~なんてやさしい子なんだろう。
最後のレースの場面は鳥肌が立つくらい感動的!
もう無理…と、つい弱音を口にすることの多い自分が恥ずかしい。
自分の信じるものを手のひらにそっと握りしめ、
あきらめないで生きていたら願いは届く。
そんなふうに思える勇気をもらえました。-
いいねありがとうございます!
本棚覗かせてもらいました^ ^
胸がきゅーんとなるレビューで素敵ですね。フォローさせて下さい^ ^いいねありがとうございます!
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胸がきゅーんとなるレビューで素敵ですね。フォローさせて下さい^ ^2016/01/06
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いやぁ、本当に素敵な物語!久しぶりに、素晴らしい物語に出会えた気がする。面白い作品はたくさんあるが、心の奥の方をギュッと鷲掴みされるような物語にはなかなか出会えない。
読み終えた今、この物語のことを口にせずに、いつまでも心の中に閉じ込めておきたくなった。
45歳の水樹は、服飾デザイナー。16年勤めた会社だが、服飾業を撤退することとなり、デザイナーの水樹は来年には職を失うことになる。
そんな時、懐かしい人物から連絡がくる。自分の人生を後押ししてくれた恩師が癌で入院しているというのだ。
その電話をきっかけに、水樹はあの頃に思いを馳せていく。物語は、今、今後の身の振り方に悩む水樹と、幼少期の頃から成長していく水樹が並行して進んでいく。幼少期の頃から、水樹を取り巻く世界は必ずしも良いことばかりではなかったが、周りの人たちに支えられながら、ひたむきに生きていく。そして、水樹の隣にはいつも信也がいた。
水樹は、何も迷うことなく、ただひたむきに生きてきたが、やり残したことがあったことに気づいた。自分で蓋をしてきた過去への想い。水樹は過去に、未来に一歩踏み出すことができるだろうか。
水樹もいいが、信也を始め、周りの人たちがみんな素敵で、読み終えるのが本当に名残惜しくなった。特に信也の言葉は何度も心にガンガン響いてきた。
学生時代の瑞々しい水樹たちを見ていると、ただただ、自分もあの頃に戻りたいと思ったが、自分よりも年上の水樹が素敵な大人になっているのを読んで、自分も頑張らなければ!と素直に思うことができた。
また1人、好きな作家さんが増えた。これからも素晴らしい物語を読んでいきたいと思う。 -
水樹と徹の瀬尾兄妹と、正浩・信也・悠人の森嶋三兄弟の話。
東京でデザイナーとして働く水樹。
しかし16年勤めた会社が撤退することに。
そんな時、高校時代の担任教師・遠子先生が入院したという連絡を同級生の憲吾からもらい、見舞いのため京都へ。
懐かしい景色に昔の様々な思い出がよみがえってくるのだった。
【人にはそれぞれ闘い方がある。
今あかんかってもそれはこれからもずっとあかんということではない。
頑張ろう、自分にもできるかもしれんって思えるんや。】
信也から発せられる正浩の想いも汲んだセリフ。
これがこの小説の1番言いたかったことではないだろうか。
昭和のバブル期から崩壊する時代。
誰もが何かと闘っていた。
それでも自分のため、そして誰かのため、闘い続けるのだ。
【バトンを渡した先に何があるかはわからない、諦めるな。
受け取る側にとっては、バトンを貰う時の順位よりも、どんな気持ちでそのバトンが渡されたか、その方が重要なんだ。】 -
生まれてくる環境は選ぶことが出来ない。
決して恵まれているとは言えない子達の幼少期の描写は、少し辛い気持ちにもなった。
でも、友達や先生との出会いによって、進むべき道を外さなかったのが本当に良かったし、やっぱり10代での出会いって人間そのものを作る糧になるんだなと思った。
大人になった自分には
「このところの日本は…大多数が日本はだめだと思ってるところが、だめだ。」
が刺さった。
手を抜かずに、次の世代を走る人にちゃんとバトンを渡さないと。
いい本に出会えて良かった。