星の民のクリスマス

著者 :
  • 新潮社
3.11
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本棚登録 : 254
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103349112

作品紹介・あらすじ

つらい時、いつも傍らにあった物語。もし、本当にその中で暮らせるなら――。クリスマスイブの夜、最愛の娘が家出した。どこに? 六年前、父親が贈った童話の中に。娘を探すため、父は小説世界へと入り込む。しかしそこは、自らが作り上げた世界と何かが決定的に違っていた……。人は、どうして物語を読むのだろうか? その答えがほんの少し見えてくる、残酷で愛に満ちたファンタスティックな冒険譚。

感想・レビュー・書評

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  • ある小説家がクリスマスに娘に贈ったサンタクロースの物語。その虚構世界に迷い込む話。その世界の住人たちは現実世界を「外」の世界と呼ぶ。金、銀の配達員。キツツキの子。物語との関わり方は読み手の数だけある

  • この世界に入って見たい気がする。

  • 父親から贈られた童話の世界へたどりつき「帰ってきた」と思うほど、10歳の少女カマリにとってそんなにもつらい現実だったのでしょうか。
    彼女がその童話にのめり込んだ理由が、幸福であるのを自覚しながらも「幸福故に寄る辺なさがつらかった」とありましたが、そのあたりがどうもしっくりこなくて、小説の世界観になじめないまま読み終えました。

    最終章のタイトルは「物語が始まる」
    希望にあふれていますが、唯一の肉親である父親は影の存在になっているので、現実に戻ってもたいへんなのでは…。

  • ちょっとびっくりするくらいそつのないファンタジー。ページを繰る手が止まらないというのか、内容が面白いだけでなく文章がするすると飲み込みやすいのが何よりいい。
    主人公というものがいるとすれば「熊じゃない娘」ということになるのだろうが、まずもってキツツキのキャラクター性が強い。強すぎる。次いで銀の人間臭さも味わい深い。というかこの二人のカップリング話じゃないのかこれ?
    他、物語の執筆を世界の創造と結びつけるのも、作中人物がそうと自覚を持つのも、どちらも別段珍しい話ではない。はずなのだが、この作品に関してはそれが結末の開かれ具合にしっかりと作用しているように思う。最後の最後に登場する地の分の語り手の「私」とは、果たして途中から影も形も見えなくなった作家の男か、それとも外部世界の作者か。国語の問題のようでそこがまたテキストという感じがしていい。

    そしてこの記録をつけようとしたら10年前の本でびっくらこいた。

  • ファンタジーなんて苦手かもしれないな、と思いながらも読んでみたのだけれど、まったくの杞憂だった。あまりにも素晴らしいその発想力と筆力に今はただただ感動している。父親が書いたサンタクロースの物語の中に入り込んだズバンエスカマリ。そこで繰り広げられる、金、銀の配達員とキツツキの子ギイたちの冒険活劇である。ここに散りばめられた数々の箴言は、時に自分の現実を思い起こさせ、はっとさせられる。特にキツツキの子のキャラと信念、論理展開は抜きん出て魅力的だ。
    「何を信じればいい?」「何を信じたい?」
    僕たちだって、カゴに丸い穴を開ければ、どこか別の場所へ出られるのかもしれない。

  • 色々納得いかないと思いつつ読みました。最終的に納得いかない部分がそのまま投げっぱなしで終わっちゃってるので、すごくもやもやする。
    折角ファンタジーなのに世界が狭いのも残念。
    カマリの寂しさや、影のお父さんとの気持ちの擦れ違いとかもうちょっと書いて欲しかったなぁ。

  • ブログをこちらに書きましたので、宜しければお読みください。

    http://sommelierofbooks.com/fiction_nonfiction/anotherchristmasstory/

    ある歴史小説家の最愛の娘が行方不明になった。
     
    10歳になった彼の娘は、
    彼女が4歳の時に父親が書いてくれた
    クリスマスの物語の中に迷い込んでいたのだ。
     
    そして、その歴史小説家も
    いつの間にか自分の書いた物語の世界に入り込み、
    娘を探すことになる。
     
    そんな不思議なファンタジーストーリーです。

  • 登場人物の女の子は作中作にのめり込んでしまい、それがこの物語の発端であり核心部なんだけど、俺はこの作品にそこまでのめり込めなかっったのが残念。

    なんだか殻が固いと言うか、おっ入り込めたなと思ったらすぐリズムを狂わされるというか、調子っぱずれのメロディーを横で聞かされると言う感じの違和感が所々に見受けられて…、キャラ設定も物語世界も消化できない部分が多いし。

    ただラスト1行は、落とし方として秀逸、しっかり決まった落語のサゲにも似た終わり方は良かった。だからこそ、このサゲに持ってくるまでの話をもうちょっとしっかり作って欲しかったなぁ

  • 図書館のリサイクル本
    題名だけに12月に読み切りたかったのに、久しぶりに中々読み進めづらい本でした。

    よく出来た内容だとは思いましたが…
    最後影のお父さんだけがどうなったかが気になって...
    幸福そうな裏にホントの凄い影がある感じがどうもしっくりこなくて。

    ごめんなさい酷評です。

  • 可愛いお話、ファンタジー。
    クリスマスとか雪とか星とかってどうしてこうもワクワクするのだろう

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著者プロフィール

1981年、千葉県我孫子市生まれ。2013年、「今年の贈り物」で第25回ファンタジーノベル大賞を受賞、『星の民のクリスマス』と改題して刊行。2017年、『リリース』で第30回三島由紀夫賞候補、第34回織田作之助賞受賞。2018年、「無限の玄」で第31回三島由紀夫賞受賞。「風下の朱」で第159回芥川龍之介賞候補。2019年、『神前酔狂宴』で第41回野間文芸新人賞受賞。その他の作品に『ジュンのための6つの小曲』、『望むのは』など。2022年8月、3年ぶりの新作長編『フィールダー』が刊行予定。

「2022年 『無限の玄/風下の朱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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