本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 396
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103350910

感想・レビュー・書評

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  • 弱者に対する差別や虐待の残虐さは凄まじいものがあったなと、著者とともに古典を振りかえりながら思いました。

    そしてこの「弱者」に子ども、妊婦、老人、障害者、容貌の残念な人が含まれるんです。この中のどれにも該当せずに人生を終えられる人はいません。
    そう思うと、差別がないとは言えないけど、弱者が迫害されたり、直接的に危害を加えられたりせずに済む現代は、確かに幸せだと思います。
    特に驚いたのは、捨て子は野犬に食われるのが当たり前であったということ。
    悪評高い生類憐みの令だが、その中には捨て子を禁じる命令もあり、その点では画期的だった。お上が厳しく禁じるまで、捨て子はありふれた必要悪だったのだということ。
    少しずつだが確かに、日本人は社会をよいものにしてきました。同時に、ほんの少しずつしかよくなっていません。古典の描いた社会と現代の差異を考えるのは、日本人の現実と希望を見据えることだと思います。

  • 大変勉強になりました。
    古典文学からの参照がとても多く、昔の時代の読み解きだけでなくこんな面白そうな作品があるのか、という面でも楽しめました。
    文学からそれが書かれた時期の文化や人々の考え方が紐解かれていて、とてもわかりやすかったです。
    ですが、どの時代が良い・悪い、といった話はどの視点から時代を見るかにより、「一概には言えない」というのが真理だと私は思っています。
    ですから、こういった昔の酷い面だけでなく、逆に素晴らしい面両方学んだほうがよりその時代を理解できるのではないかと思います。
    まあ、タイトルが「本当はひどかった昔の日本」ですから、あえて良い面は書かなかったのだとは思いますが…。

  • よく「昔はよかった」など、古き良き日本礼賛のような話を耳にすることがあるが、倫理観というものが広く人々に知られ受け入れられている現在からは、その実、およそ信じられないようなことが昔はまかり通っていたのだという事実を、古典や史料などを通して明らかにした本書。
    確か、似たようなテーマの本を他でも見たことがあったなあ。

    子ども、障害者、病人、妊婦などに対する人権無視の扱い、現代の比ではないほど多発していた少年犯罪とその残酷さ、動物虐待など、昔の所業や周囲の反応を読むと、現代がいかに倫理的に発達してきた社会かと思う。
    まあ、かといって必ずしも何でも今のほうが優れているというわけでもなく、いつの時代にも、良い面もあれば悪い面もあるということなのだろうけれども。

    今回初めて知ったのは、犬公方として知られた徳川綱吉の発令した生類憐みの令、遠い遠い昔に授業で習った記憶では、犬を過剰に保護する法令ということだったと思うが、実は犬よりも、捨て子や捨て病人、捨て牛馬をより強く禁止、広く徹底しようとした法令だったということ。
    ふ~ん、弱者保護とは、結構先取り感覚の将軍だったのだなあ。

  • 日本の古典から、現代でおこっているえげつない犯罪例を超えるような話をまとめた本。後味はあんまり良くない。内容は、マタハラ、ブラック企業、少年犯罪、介護疲れ殺人、などなど。昔は倫理観が違っていて、弱者に対する扱いは現在から見るとひどい。例えば、重病人を外に追い出して野犬が食べる。後家の娘を遊郭に売るために再婚するといった話。

  • 「古典が伝える深い心の闇」評者:水原紫苑(歌人)東京新聞
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014030902000177.html

    新潮社のPR
    http://www.shinchosha.co.jp/book/335091/

  • 大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本』新潮社、読了。「昔は良かった」と誰もが言うが、本当に昔の日本は良かったのか。本書は古典を材料にその内実をユーモアに検証する。「古典ってワイドショーだったんですね!」(帯)。昔は良かったwとは大嘘。 http://www.shinchosha.co.jp/book/335091/


    『源氏物語』、『うつほ物語』、『日本霊異記』、『古事記』、『枕草子』、『宇治拾遺物語』等々古典中の古典を取り上げ「ひどかった昔の日本」を浮かび上がらせる。「捨て子」、「夜泣き」、「貧困ビジネス」、「妊婦いじめ」、「虐待」、「ストーカー殺人」、「毒親」、「動物虐待」……ワイドショーの「ネタ」は新しくもない。

    「昔の日本はよかった」という主張は常に「今の若い連中は」という当てこすりがワンセット。日本を取り戻す? 取り戻すまでもないのが実情で、本書を読んで「現代に生まれて良かった」とすら覚える。懐古趣味の胡散臭さをテクストから痛罵する好著。

  • 面白い。古典文学を読み込む中で、当時の生活を浮き上がらせ、とりわけ、現代のヒドイとされていることは、昔はなかった。というのは嘘で、むしろ時代が下るにつれて改善されているのだと。 生類哀れみの令は、「犬」だけがクローズアップされている。が、実は、牛や馬、病人、捨て子(人間)などを保護する目的であった。ぎゃくにいうと、それらは放置され見殺しにされていたのだと。 一生添い遂げるのが美しいというのは、過去の日本にはなく、子の絶対権利者(しばしば毒親であった)が離婚させる。嫁姑問題は、離縁させて解決。それだけでなく、わりと結婚に失敗したとおもったら別の所でやり直すのもアリだった模様。キリスト教が日本で布教したときに一番抵抗が大きかったのが、「離婚は許さない」とのこと。 他にも、人間の本性しては、ヒドイ奴は一定数いる。ブラック企業、貧困ビジネス、広くは奴隷売買、女性への管理売春などなど、いまの基準からしたらあり得ない感じ。赤子は捨てられ、野犬が食ったり、育てられないと思ったら、間引く。赤子同様、弱者の病人や介護で、地獄絵図、やっぱり私は現代がいい。2014/10/25 古典に書いてあることを、読んでたら、昔はよかったとかいえねーよ。っていう。のを実例をあげて書いてあるらしい。2014/04/20

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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