本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 398
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103350910

感想・レビュー・書評

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  • よく「昔はよかった」など、古き良き日本礼賛のような話を耳にすることがあるが、倫理観というものが広く人々に知られ受け入れられている現在からは、その実、およそ信じられないようなことが昔はまかり通っていたのだという事実を、古典や史料などを通して明らかにした本書。
    確か、似たようなテーマの本を他でも見たことがあったなあ。

    子ども、障害者、病人、妊婦などに対する人権無視の扱い、現代の比ではないほど多発していた少年犯罪とその残酷さ、動物虐待など、昔の所業や周囲の反応を読むと、現代がいかに倫理的に発達してきた社会かと思う。
    まあ、かといって必ずしも何でも今のほうが優れているというわけでもなく、いつの時代にも、良い面もあれば悪い面もあるということなのだろうけれども。

    今回初めて知ったのは、犬公方として知られた徳川綱吉の発令した生類憐みの令、遠い遠い昔に授業で習った記憶では、犬を過剰に保護する法令ということだったと思うが、実は犬よりも、捨て子や捨て病人、捨て牛馬をより強く禁止、広く徹底しようとした法令だったということ。
    ふ~ん、弱者保護とは、結構先取り感覚の将軍だったのだなあ。

  • 日本の古典から、現代でおこっているえげつない犯罪例を超えるような話をまとめた本。後味はあんまり良くない。内容は、マタハラ、ブラック企業、少年犯罪、介護疲れ殺人、などなど。昔は倫理観が違っていて、弱者に対する扱いは現在から見るとひどい。例えば、重病人を外に追い出して野犬が食べる。後家の娘を遊郭に売るために再婚するといった話。

  • 大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本』新潮社、読了。「昔は良かった」と誰もが言うが、本当に昔の日本は良かったのか。本書は古典を材料にその内実をユーモアに検証する。「古典ってワイドショーだったんですね!」(帯)。昔は良かったwとは大嘘。 http://www.shinchosha.co.jp/book/335091/


    『源氏物語』、『うつほ物語』、『日本霊異記』、『古事記』、『枕草子』、『宇治拾遺物語』等々古典中の古典を取り上げ「ひどかった昔の日本」を浮かび上がらせる。「捨て子」、「夜泣き」、「貧困ビジネス」、「妊婦いじめ」、「虐待」、「ストーカー殺人」、「毒親」、「動物虐待」……ワイドショーの「ネタ」は新しくもない。

    「昔の日本はよかった」という主張は常に「今の若い連中は」という当てこすりがワンセット。日本を取り戻す? 取り戻すまでもないのが実情で、本書を読んで「現代に生まれて良かった」とすら覚える。懐古趣味の胡散臭さをテクストから痛罵する好著。

  • 2015.5.27

  • 図書館で借りた本。
    前回「昔話はなぜお爺さんとお婆さん~~」を読んで、気になった同著者の前作。
    「昔話は~~~」とかぶっているところもあって、するっと読み終えることができました。
    それにしても、現代に生まれて良かったと思う。冒頭の「はじめに」を読んだだけでも、そう思う。
    昔は良かったっていうのも、良かった所だけ思い出して、現状の嫌な部分と比較しているというのが、タネあかしなのかな。(あくまでも個人の感想です)

  • 江戸時代以前の日本人は、今のアラブやアフリカ人程度の下劣さだったのか!?
    子供の待遇や命は相当軽視されていたようで、代わりに親を今より大切にしなければならない「人の目」があったようだ。
    心身症や鬱患者も比率的にそんなに現代と差が無かったのかも。
    「日本人の誠実さ」が形成されたのはいつ、何によってなんだろう?明治時代の教育?

  • 勿論、昔の日本の社会が、今よりも生きるのに良かった訳は無い。軽々に、昔は良かったという話ではないと言うこと。
    それこそ、神代から江戸時代までの古典文学から、生活を浮かび上がらせる。
    色んな考え方の違いも見えて来て、面白い。

  • こういう風に読むこともできる、という程度に。

  • なんか途中からファミレスで気さくな物知りねーちゃんから蘊蓄利いてるような気分になった。身近な人の話や個人的な感想がちょいちょい挟まれるようになったせいか?

  • 表紙は「ねぎぼうずのあさたろう」の飯野和好さん。なんだか勝手にひどい話からほのぼのした話に転じるのだろうと想像して読むが、どうにもひどい話ばかりである。古典から読み解く、日本人のひどいところ。
    捨て子、子殺し、妊婦いじめ、ブラック企業。ただ、ところどころに、人や人外のやさしさというか間抜けさみたいなものが描かれていて、それが古き良き、という想像をさせてしまうのかもしれない、と…。
    でもさあ、美人は前世の罪が軽く、醜い人は罪が重い、などと宗教で定義されてはたまらない。そういうわけで、昔はよかった、なんてことないんじゃないの?って。
    日本神話はいきなり蛭児を捨ててしまうし、かつての日本は子どもをはじめ、命が軽かったし、差別がしたくてしたくてたまらなかったのだ。でも、決して「昔」と「今」の境目があるわけでもないし、僕らの間に脈々と受け継がれているんじゃないかなあ。

著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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