- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103353072
作品紹介・あらすじ
昭和十一年十月、パビナール中毒で入院中、太宰は聖書に耽溺した。「HUMAN LOST」「斜陽」「桜桃」など主要作品の鍵となる聖句の数々を取り出し、鮮やかに解析しながら、太宰にとっての神とは、罪障とは何かを問う。太宰文学にちりばめられた聖書の言葉を鍵に、生き急いだ生涯に新たな光をあてる画期的な書。
感想・レビュー・書評
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聖書は太宰を救ったが、同時に彼の苦悩を深めもした。
彼の聖書理解は自己流で恣意的なものだったが、彼ほど聖書と格闘し、聖書を自己に重ね合わせながら生きた人間は果たしてどのくらいいるだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰治がこんなに聖書を引用しているとは知りませんでした。確かに、正統的な理解のしかたではありません。自分のこだわりに引きつけて、いいように(あるいは、悪いように)解釈している感じがあります。それでも、これほど真剣に聖書に取り組んだ人はなかなかいない、と思わせます。
太宰治の生涯および作品までも通覧できる良書です。 -
太宰治は聖書を読み、生活の指針にし、自らを律し、人間の弱さや人間の罪の問題を深く考えた一人であったと思う。彼の作品中に多く聖書からの引用がある。聖書の言葉は正しく捉えないと人間=罪人=死となり、そこにはなんの解決もなくなる。聖書はその解決をもきちんと示すものなのだ。
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編集者として太宰と親交のあった著者が、太宰と聖書の関係を調査。著者はクリスチャンではないと思われるが、よく調べてある。聖書(キリスト)に慰めを得ていた太宰の一面が良くわかる。
結局、神を拒絶したとする奥山師とはちょっと異なる見方。