徴産制

  • 新潮社 (2018年3月22日発売)
3.71
  • (18)
  • (31)
  • (26)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 286
感想 : 44
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784103353522

作品紹介・あらすじ

満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換を義務付け出産を奨励する【徴産制】を施行する――。2092年。新型インフルエンザの蔓延により10代から20代女性の85%が喪われた日本では、深刻な人口問題を解決するため、国民投票により【徴産制】の施行が可決された。住む場所も立場も異なる五人の【産役男】たちが、産役によって見つけた「生きる意味」とは。前時代的な価値観を笑い飛ばし、未来に託すべき希望を描く感動作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時は2092年、18歳から30歳までの日本国籍を有する全ての男性に課せられた「徴産制」。
    それは最大2年間「女性」への性転換が義務付けられるもの(産役)だった。
    新型インフルエンザの蔓延により10代から20代の女性の85%が亡くなった日本は、深刻な人口問題に直面していたのだ。
    「徴産制」の目的はあくまで「子づくり」。
    子育てが嫌なら国が養育施設で育ててくれ、産役が終了した者はお望みとあらば再び男性に戻れる、という。
    国からの報奨金目当て、跡継ぎ欲しさ、出世のため、好奇心等々産役を課せられた産役男達の「徴産制」に対する目的・考え方も人それぞれ。

    一度きりの人生で男性にも女性にもなれるとは。
    読む前はもうちょっとコミカルな物語かと思ったけれど、産役男を通して日本における男尊女卑をこれでもか、というくらいに意識させられ凹んでしまった。
    実際の日本もいずれ、こんな風に簡単に性転換できる日が本当にくるのかもしれない。

    なかなかパンチの効いた設定にドキリとした。
    新型コロナが大流行の今、新型インフルエンザに右往左往する未来の日本人達の姿はとても他人事とは思えない。
    しかも首相がソガさんなんて…ま、まさか?!

    「人間は中身が大事っていうけど、外見って中身の一番外側って意味らしいよ」
    「人間は、オトコのコとオンナのコの二つに分かれてるんじゃなくて、ひとりの人間のなかにオトコのコとオンナのコの両方がいるんです。そのどっちが多いかは人によっても違うし、どっちを多くしたいかは自分で決めればいい」
    「最終的に人を立ち直らせてくれるのは、人でしかありえない」

    男性も女性も同じ「人」。
    大事なことも教わりつつ、遠い未来…いやひょっとしたらそんなに遠くないかもしれない…と未来の日本を憂いつつ本を閉じた。

  • 「スミダインフルエンザ」という若い女性しか発症しない病気が爆発的に拡大した未来の日本では、出産年齢にある女性の多くが死亡してしまいます。事態を憂いた日本政府は性転換技術を活用して男性を女性へと性転換させ、出生率を向上させることを決定、国民投票を通じて18歳から31歳の未婚の男子を女性へと転換させる「徴産制」を成立・施行させます。
    この作品では、徴産制によって「産役」につくことを命じられた5人の元男性(性転換により女性(産役女と呼ばれる)になった)それぞれのエピソードが収められています。
    基本的には1話完結型で、他のエピソードと関連して一つの大きな物語が展開している、という作品ではありません。

    作品ではそれぞれの短編の登場人物の心理描写が綿密で、説得力のある文章が多かったです。
    なぜ「産役」に就く決心をしたのか(招集だけでなく「志願」した主人公もいました)という点も納得がいきましたし、「ひとつの制度には”見えない闇”が存在している」ということも他人事ではなく理解することができたと思います。

    「男性らしさ」「女性らしさ」だけでなく、それぞれの性を選択することが一般的になったときの社会の受け止め方としてどのような立場が「理想」なのか、という点も読者一人ひとりに考えるきっかけを与えてくれると思います。

    小説作品としては十分に楽しむことができましたが、具体的な性体験や出産の描写はなく、一抹の「物足りなさ」も感じる読後感ではありました。

  • 2093年。感染症により妊娠可能な若年層の女性の大半が死亡した日本で、国家の存亡をかけ、18歳から30歳までの男子全員に最大2年、性転換と妊娠活動を義務づける徴兵制ならぬ「徴産制」が施行される。

    なかなか興味ある設定(感想は後日に書き足します)

  • 男も子供を産める時代が来たら、男女の性差というのは次第に無くなってくるんだろうなと思いましたが、この本読むと「元男」という新たな性(セクシャルマイノリティーではなくて性別的に完全に女性になった男性という意味で)が差別の対象になりえるんだなあと。
    子供を産むという喜ばしい部分には全然触れていない所に全く触れていない事に何かの意図はあるのかなあ?

  • 男性が女性になって、社会を見たり、自分を顧みたりすることで、各章の主人公は、人間としてより深くなれたのだと感じました。

    「人間は、オトコのコとオンナのコの二つに分かれるんじゃなくて、ひとりの人間のなかにオトコのコとオンナのコの両方がいるんです。そのどっちが多いかは人によって違うし、どっちを多くしたいかは自分で決めればいい」というセリフがあります。確かにそうかもしれないと思いました。

    物事、何でもきっぱり2つに分かれるわけではないのだし、男女という線引きはさほど重要ではないのかもしれないと感じました。

  • 2087年、日本で「スミダインフルエンザ」と呼ばれる新型インフルエンザが発症、女性のみに感染し若ければ若いほど致死率が上がるこの病により、日本の若い女性は壊滅状態に陥ってしまう。2年後ワクチンが開発され感染は収束するが、10~20代の女性は85%が死亡、当然出生率は下がる。このとき画期的な性転換技術が開発され、男性が女性になることが可能になった。出生率向上のため政府は徴兵制ならぬ「徴産制」を提案、国民投票で可決され2093年より施行されることに。

    対象者は18歳から30歳の男性、既婚かつ子供がいる場合は免除されるが、子供のいない既婚者も対象(懲役逃れのための偽装結婚防止のため)子供がいても、志願者は対象となり、志願すればかなりの額の報奨金がもらえる。徴産された男性は性転換して2年間女性の体で生活し、パートナーをみつけ出産すればさらなる報奨金がもらえる。人工授精もあり。子供は自分で育ててもよし、産むだけで政府に引き渡してもよし、その後女性のまま生きることも、男性に戻ることもできる。もちろん出産は奨励されてはいるが、建前上義務ではないので、産まない選択もあり。

    上記のような設定のもと、さまざまな事情と立場の男性が、徴産制を体験する連作短編となっています。東北の限界集落で農家を営むショウマ、野心家のエリート官僚ハルト、徴産逃れを幇助したため懲罰としての産役で女性にされた「逃産男」のタケル、妻子がいるがお金のため志願したキミユキ、裕福だが男性だったときの外見コンプレックスから整形美女となるイズミ。

    疫病についての部分はコロナ禍の今読むと、ちょっと身につまされる。最初の感染者がコウモリに噛まれたことや、ある自治体では判断力のあるトップが移動を制限したため感染が広がらなかったとか、思い当たることがいくつかあったりして。まあそれはさておき。

    よしながふみの『大奥』は、男性のみが感染する病気で男性の人口が激減してしまったせいで女性が男性の役割も果たすようになるわけですが、こちらはその逆バージョンで、女性のみが感染・死亡し女性人口が激減してしまったことで、本来女性の役目とされていた出産や男性の性欲処理(…)を男性が強制的に担わされることになる。

    ディストピア小説が大好物なので、かなり期待して読み始めたのですが、正直なところちょっと掘り下げが甘かったような印象。せっかくの面白い設定を生かし切れていないようでもったいない。もちろんあれこれ広げすぎたら収集つかなくなってしまいそうだけど、痒いところに手が届かないもどかしさが個人的には少々残ってしまった。

    もちろんさまざまな問題が織り込まれてはいる。ジェンダー、フェミニズム、LGBT、ルッキズム、etc...男女の比率がイビツになったことで、浮かび上がってくるそもそもの不平等。

    いちばんハードだったのは第三章「タケルの場合」で、タケルは徴産制逃れで亡命しようとした教え子を助けた罪で、懲役としての性転換を受けさせられる。刑務所で手術を受け、短期間で出所後、核廃棄物の受け入れをしている田舎の町で産役についている男達の寮に入れられる。別の産役男に裏切られ陥れられたタケルは、核廃場で働く男たちのための売春宿に拉致され強制的に売春させられる。慰安婦、という言葉が出てくるが、某国とのいざこざはさておき、こういった性的搾取の仕組み自体はどの国のどの時代にもあることだ。

    そこでタケルは気づく。政府は「徴産制の目的は子づくりだが、出産そのものは義務ではない」としているが、つまり若い男性に限り性転換させるその真の目的は、出生率増加ではなく、単純に他の男たちに性欲のはけ口を与えるためではなかったのか、と。

    生き残った僅かな若い女性は、できるだけ隠れて過ごしている。四章のキミタカには妻がいるが、彼女はけしてスカートをはかないようにしている。生き残った引け目と書かれている部分もあるが、稀少な若い女性をめぐって起こるであろう犯罪抑止のほうがきっと大きいだろう。正直、そこももっと掘り下げてほしかったなあ。ふつうに男女比半々でも若い女性は日々性犯罪の被害にあっている。それがわずか15%になったらどういうことが起こるのか。もちろんその抑止として若い男性を女性化する法案ができたわけだけど、この制度で得をするのは、つまり31歳以上の男性だけだ。制度の対象となった若い男性たちは恋する相手の女性がいないばかりか、自身が年上の男たちに女性の代替物にされ、青春を奪われることになる。

    タケルの章はヘヴィだけど読み応えがあって良かったが、最終章のイズミの話がややモヤる。性転換してやり手事業家となった彼女はテーマパーク『スミダリバーランド』の企画にかかわる。このスミダリバーランドのコンセプト、あり方がどうしても私には共感できなかった。生き残った女性や産役男だちが安心して働ける場所を作るのはいい、しかしそこに女性を眺めに男性客がやってくるというのは、いったいなんの解決になっているのだろう?共存の道を模索するポジティブな終わり方になっていたけれど、過激な設定のわりに、小綺麗なところに落とし込んじゃったのがなんだか惜しいと思ってしまった。

    基本的には面白く読みました。同じ設定でもっとさまざまな角度から掘り下げられるような続編があったら読んでみたい。

  • とても面白かったです。田中兆子さんは初めて読みました。図書館の棚にあって、タイトルと表紙の文で選びました。
    2087年から、女性のみ発症する「スミダインフルエンザ」が猛威をふるい、2090年に終息しましたが10~20代の女性の85%が死亡。その後、通称「徴産制」という、満18歳以上31歳未満の男子全てに、最大24ヶ月間「女」になる義務が課された世界のお話です。
    「徴産制」ですが、女性になることは義務ですが、出産そのもの、と育児は義務ではありません。産役を終えても女性のままでいてもいい。
    なんてこった…嫌いな言葉の「女性は産む機械」を描くとこうなるのか、というお話たちでしたが、産役男たちの生活、今の女性の生きづらさを思わされてうううとなって読みました。
    どのお話もそれぞれ心にきたのですが、ハルトのお話が一番好きでした。ラストの会話が刺さる。
    「女としての価値」を「楽しく生きてれば、そんなもんどうでもいいってこと!」と笑い飛ばすジョージが良いです。
    キミユキの娘のユリも良い子だし、保育所のペニャ先生の言葉も良かったです。キミユキのお話は、父…と始めは引きましたが、父は予想外の展開になりました。
    タケルのお話が一番辛かったです。慰安婦問題。「(憎んだり怨んだりする)そういう私を見て、あんた、生きる希望が湧いてくるかい?」という言葉はショックでした。老婆、残りました。
    イズミのお話のラストは薄ら寒かったです。徴産制の真の目的はこれだったのか。
    全く知らなかった作品でしたがとても面白かったです。性別問わず、生産性!と言ってる人も読んだらいい…と思いました。
    この世界は極端ですが、男と女を自由に選べる世界は良いです。

  • 設定は荒唐無稽なようだか、新型インフルエンザの発生は、有り得ないことではない。
    様々なパターンの徴産制当事者たちについて語りながら、慰安婦問題やトランスジェンダー、DV、食料自給問題、核のゴミのことなど、目を背けてはいけない現代の問題までが語られていて、スゴイ。

  • よく考えようシリーズ。「徴兵制」ならぬ「徴産制」。伝染病により、出産適齢期の女性のみが著しく減少した近未来の日本で、適齢期の男性に性転換手術を義務化し出産を促進しようとする法律が可決・施行される。法律により女性になった5人の元男性の物語のなかに、単なる近未来サイエンスフィクションとして笑い飛ばせない現代の闇が表現されていて考えさせられる。国のために性転換することになったのは適齢期の若者だが、法律を可決したのは圧倒的に人数が多い中年以上の人々で、世代間闘争が見え隠れする。性転換の義務は2年間でこれが終了すると男性に戻ることが認められているが、その間に当然起こる大きな変化に対し、その後の保障はない。該当者に対する職場における差別。拉致され「慰安夫」にされて男性から性暴力を受ける。「女性」になった該当者に対する教育期間に、国家の意思を刷り込まれる、など。男性時代に冷凍保存した精子と、女性化した後に手に入れた卵子と子宮で受精した子の父母は?今ある価値観や常識が揺らぐ一冊。

  • ぶっとんだ設定なのね、と思いながら読みすすめました。
    それぞれの章で(悲惨すぎて辛い章も有り。。)
    様々な事を考えさせられた。

    現代社会の問題。ジェンダーの問題。
    様々な差別問題。
    立場や性の違い等で起こる人間関係の問題。

    この小説は読者に沢山の事を問いかけているんだと思った。

  • 話の流れとしては村田沙耶香さんの書くようなとんでもない未来に近い世界。

    スミダインフルエンザという感染症で若い女性が激減し、男が産役を課せられて子供を産むようになる時代。

    でも男が女になるというのはやはり簡単には行かなくて、偏見や差別にあったり、その裏で若い女性も平和な生活が脅かされていて…

    一番最後の話が終わり方も微妙だったけど、それ以外は世の中の嫌な部分にもスポットを当てて書かれていておもしろかった。

  • 男性が女性になるという話しだけど、女が一段低いと見られているからというだけじゃない色々な問題があって考えさせられる。一話ずつ主人公が違って抱える問題も様々なので、あれこれ興味深かったです。

  • ★3.5
    再読

    2093年。
    世界的な食糧危機により、中国との不平等条約を結ばざるを得ず、中国の傘下になった日本に、スミダインフルエンザが猛威を奮い若い女性人口が激減。
    出生率上昇の為、日本国籍を持つ18歳から30歳までの若い男性に可逆的な性転換手術を施し一定期間「女」になる事を義務付ける
    「徴産制」施行。

    ディストピア小説のような設定、なかなか面白かった。
    ジェンダーを扱った話なのだけど、シンプルな
    「人と人との関係、交わりによって起こる変化」
    が丁寧に書かれているので、設定だけが先走る事もなく。

    第2章、官僚の「ハルトの場合」が小説新潮掲載、
    あとは書き下ろしとのこと。
    成果主義のエリートのハルトが己の変化といわゆる弱者的存在との触れ合いによって、
    今までとは違う生き方を選ぶ、「個」の幸福に立ち返る。

    第1章、ゴツくてデカイ、見た目の良くない産役男のショウマが1番印象的だったかな
    子供から上手に「娘」にスイッチング出来ない事は
    女にだってあるもんね。
    その心の柔らかさも一緒よね。それに接する親の反応もあるあるでさ。
    里帰りした時のお母さんとのやりとりが泣ける。

    第3章、慰安婦の「タケルの場合」
    タイムリーというか何というか…。
    人間はやはり「状況次第でいとも簡単に残酷になれる、薄汚い平凡な悪になれる」もので、
    誰もが、どの民族もが「そう」なんだよな、と。

    奥さんも子供もいる「キミユキ」、
    自分の中に冴えない男も理想の女もいる「イズミ」

    どう生きても、どう幸せになっても、ひょっとしたら、ならなくったっても
    いい、のかもしれない
    ショウマの母の「子供を持つのはすっごくええぞ」が
    やっぱり、とても力強く美しく感じた。

    あ、ひとつだけ、p155「タケルの場合」で
    「新しい地獄の釜の蓋を開けるようなものではないか」
    と恐ろしい事が起こる、の意で使ってるけど、
    これは誤用ではないですか、校閲さーん!

  • 2092年━新型インフルエンザの蔓延により10代〜20代女性の85%が喪われた日本では、深刻な人口問題を解決するため、国民投票により【徴産制】の施行が可決された。
    日本国籍を持つ満18歳以上、31歳に満たない男子すべてに最大24ヶ月間性転換により「女」になる義務を課す制度だ。
    農家の一人息子・ショウマ、エリート官僚のハルト、妻の死から立ち直れないタケル、「仕事のできない夫」キミユキ、引きこもりだったイズミ……
    年齢も立場も考え方も異なる5人の【産役男】たち、それぞれの「生きる意味」とは━

    ハルトのお話がいちばん読みやすかった-
    タケルのは重かった…

    ショウマの場合
    お金が欲しいを理由に志願したショウマ。他の地域、他の仕事を体験したいとの思いもあって━
    うどん屋さん故郷に来てくれるといいけど、過疎で流行らなそうなところに商売人が移動するだろうか…?

    ハルトの場合
    召集令状が届いたハルトは、どうせなら産役男の中でトップを目指すことにした。が、同時期に召集された見下していた同僚・ヤマダさんが妊娠しても自身は妊娠出来ずにいた━
    お化粧で繋がっていくキャッキャした感じが楽しかった、一方で、不妊とか、男時代のヒエラルキーに付随する見栄や足の引っ張りあい、ネットストーカー等、今現代にも普通に起こってるような事が身近な感じ。

    タケルの場合
    元教え子の産役逃れ・日本脱出の幇助の罪で三年間の産役に就くことに。送られた地は高レベル放射性廃棄物の最終処分場のある村で、拐われ監禁され━
    さが。性。
    重かった……
    暴力的で苦しい

    キミユキの場合
    主夫だったキミユキは性転換した後、妻子と半身麻痺の父親の住む家に家政婦として通うことに。しかし、女性になると妻・サクラとの仲がギクシャクしだして━
    父親が覗きとかスキンシップ多くなって嫌な感じ…と思ったら。
    男女の性を越えての(というか逆転して)愛なのね。
    でも側、見た目の威力効果は結構あるよね-
    子世代がさらに柔軟そうで、ちょっと楽観的になれたかも。

    イズミの場合
    知り合いの実業家と共にテーマパークをつくることになったイズミは、ビジネスデビューの日、昔の自分を知るマルオと再会し━
    このお話に出てくる人物たちがそれぞれ自分の欲望に従って行動していて、特にマルオは凄いと思う。
    作中で漫画のタイトルと登場人物(『銀魂』の六転舞蔵)になぞらえられたのは…その人物を覚えていなくて微妙でした。(私がそういう“物語の中に現実世界の二次元”が混ざってるのが嫌いなだけなんだけど…)
    ハルトが首相候補となっていたり、徴産男の性の搾取がクローズアップされたり、各話の主人公たちが自身の決意を行動で示しているっぽい描写があって…良かったです。
    でも、明るい?未来と共に、政府の思惑が示唆されて…ちょっと怖い-

  • 面白い設定だけど、将来的にありえそうな内容。男性が女性になる事によっての政治的、経済的な部分を書いてあるのは男性には読みやすいのかな。出産の大変さとか書かれてたらいいのにな。。と思った

  • 怖かった。こんな未来だとしたら、って考えるとすごく怖かった。
    新型インフルエンザの蔓延により10代から20代女性の85%が喪われた日本では満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換を義務付け出産を奨励する【徴産制】を施行。
    反対したり逃げたりするものがいる中、受け入れる人も多く、5人の視点から描かれた物語なのだが、深いんですよね。設定は壮大だけど、男女についてのあれこれや、現状問題、差別とか。怖いくらいに。
    だけど、生きる意味っていうのがわたしには見つけられなかった、かな。。

  • 文学

  • 18歳以上31歳未満の男性が強制的に可逆式で性転換され、子どもを産む話。女性に対する憧れから、女性になれる話ってのも良いなと思って読んでみたが、実際に女性となった場合の軋轢や差別などなど、今のLGBTの受容を問うている社会にとって、結構現実的な話なのかな、とも思った。

  • 2018/4/9初読
    2018/5/3再読

  • 「SF超入門」で興味を持った。
    こんな設定考え付いたのは
    作者が女性だからこそなのかもとも思った。

    短編で、様々な主人公の視点で書いてあるのもよくて考えさせられた。
    この本をたくさんの人が読んで、性別について考えたらいいと思う。
    てか、もっと話題になってもよいのでは?

    最後『日本漫画大系』(全百巻)で(これってあの『銀魂』ですよね??)と小説内の話がメタって焦った。笑
    銀魂は歴史に残る名作だよなー

    読みながら貼った付箋の数は、今年最多。
    少し経ってから再読したら、違うことを考えそうで楽しみ。
    ------
    ・古今東西、十代から五十代くらいまでの女のほとんどが、一ケ月に一週間程度、股の間から血をだらだらと流しながら、平気な顔をして食ったり笑ったりしゃべったり仕事をしたりしていたという事実に、ショウマは驚愕した。24
    ・男に媚びない強い女になりたい、という者はいなかった。26
    ・男だったときのショウマは、女に面と向かってブスと言うことはなかったものの、自分の容姿は棚に上げて平気でブスという言葉を使っていたし、それについて何とも思っていなかった。29
    ・疎外感という鋭利なナイフで少しずつゆっくりと身を切り裂かれるようだった。42
    ・「妊娠や出産という頭を使わない任務を、この僕がやる意味はないですからね。72
    ・若い男に産役を課す一方で、卒パに参加する男に不妊検査を義務付けていないのは、いかにも男の考えそうなことだと75
    ・母は本物の女であり、妊娠出産経験済みの勝者である。77
    ・養われているわけでもないのに、好きでもなく上手でもない同じ男と何度もセックスするのは、苦痛すぎる。78
    ・「子供を産んだ男はえらい。子供を産んで働いている男はもっとえらい。子供を産まず仕事だけしている男は、男として不完全である。子供も産まず自由だけ謳歌した男が、年を取って『税金で助けてください』というのはおかしい。ヒコクミンである」81
    ・「あのときは、子どもを産まないと女として価値がないと思ってた。それって国にとって都合のいい価値観に過ぎないのに、自分が国に一体化しちゃって、自分の価値観だと思い込んじゃって」113
    ・国は、子どもの数を増やすことが目的で徴産制を施行したと主張している。けれども、裏の目的は、若い男が女に代わって、若くない男を慰安するためではないのか。日本国の平和と安全のため、女不足でストレスをためている日本国内に住む男の性欲を満たすため、命を懸けて働く男たちの必需品としてのセックスを与えるためではなかったのか。・・・十八歳から三十歳までの男は、産役男という名の慰安男にさせられるのだ。147
    ・憎み続け、怨み続けることは、自分もまわりにいる他人も暗い世界へと引きずりこむ。156
    ・でもさ、女らしさって、世の中が平和で安全でないと伸び伸びと発揮できないよね。戦争なんかしてたらミニスカートも水着も振袖も着れないし、男の人だって強さばかり求められて、女々しくなれないでしょ。男も女も、女らしくふるまえるのは、自由がある証拠!」194
    ・人生はままならず、キツイことも多いですが、たったひとりでもいい、そういう信頼できる人がいるだけで、生きることはずいぶん楽になります。242

全35件中 1 - 20件を表示

田中兆子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×