本屋さんのダイアナ

  • 新潮社 (2014年4月22日発売)
4.16
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784103355311

感想・レビュー・書評

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  • 全ての女子に刺さるお話なのではないでしょうか?
    女同士の友情、そして母と娘の間の葛藤。

    小学生時代に出逢った主人公二人は、それぞれ自分の育った環境に息苦しさを感じていて、お互いを羨ましく感じているけれど、成長してゆく中で結局のところ、親に守られながら生きていることに気付く。「彼女(母)の生き方をなじる日々は楽だった」「母を見下して得意になってばかりいた」と。

    それぞれの母も自分の育てられ方に疑問を持っていて、逆の方法で育児をしている。子供のためを思って良かれと思ってしたことが、子どもには窮屈な思いをさせるだけだったりする。特に同性だとそういう関係になる可能性は高いのかもしれないと思った(父と息子もか?)

    自分の呪いを解けるのは自分だけ。
    自分に命令できるのは自分だけ。

    『赤毛のアン』のアンとダイアナ。「みんながみんなアンのように飛び立てるわけじゃない。」「脇役のダイアナこそが多くの女の子にとって等身大」「アンの良いところをダイアナは自然に引き出してあげた」
    進む道は違っても二人の友情は変わらない。これが本当の友情。

    全ての年代の女子の心に響く作品だと思います。

  • あ、可愛いなと女の子が手に取ってくれるように、花でいっぱいのキラキラした装丁にしたのだと思う。

    物語はあまりにしんどかった。

    読み始めてしばらくは、女の子同士の透明な憧れが尊くて打ちのめされていた。
    それがいつからか風向きが変わっていて、気付いたらもう読み進めたくなくなるほどの場面にいた。

    中高生には読んでおいてほしい。
    ものすごく、ものすごく大事なことなのに、親や先生は教えてくれない。

    大人には、読んで子どもに手渡してほしい。
    アクセサリーをプレゼントするように。
    例えば高校の入学祝いに、例えば15歳の誕生日に。
    この本はきっとそのために装丁がキラキラしている。

  • 400冊めになる本がこの本で良かった。
    表紙の可愛らしいさに読む前からワクワクするのは初めてかも。
    お話は本好きな女の子とその同級生の女の子のです。
    ふたりの家庭環境は異なり互いの環境を羨ましく思います。
    仲の良かった二人は些細な行き違いで疎遠になり、また再会を果たします。
    彼女達が自分自身の事や親に対しての思いが正直すぎて、読んでいる途中何度か刺さってしまいます。
    彼女達の成長する姿に誰もが自身と重ねてみたり、思い出す事があるのではないかと。
    読んでいて、読み終えてからも、応援したくなります。
    今誰かにおすすめするならこの本を紹介したいです。

    • Manideさん
      四季子さん、400冊すごいですね〜
      おめでとうございま〜す(^^)

      私は何冊だろうと振り返ったら、もう少しで350冊になりそうです。もう、...
      四季子さん、400冊すごいですね〜
      おめでとうございま〜す(^^)

      私は何冊だろうと振り返ったら、もう少しで350冊になりそうです。もう、きざんで、350冊で喜んじゃおうかな、という感じです。

      次は500冊ですね〜、忘れちゃいそうですよね。
      2023/11/20
    • 四季子さん
      500冊読み終えた時には何か今とは違う気持ちや生活になっていたりするのかななんて想像したりしています。(笑)

      350冊も凄いです!
      是非お...
      500冊読み終えた時には何か今とは違う気持ちや生活になっていたりするのかななんて想像したりしています。(笑)

      350冊も凄いです!
      是非お祝いにはまた良い本との出会いを。
      2023/11/20
    • Manideさん
      そうですよね、あと100冊というのも、なかなかスゴイですね。良い本に巡り会えるといいですね(^^)


      記念すべきタイミングに何を読むか、、...
      そうですよね、あと100冊というのも、なかなかスゴイですね。良い本に巡り会えるといいですね(^^)


      記念すべきタイミングに何を読むか、、、面白いですね。まったく考えてなかったです(笑)
      2023/11/20
  • 育った環境も性格も違う大穴と彩子。お互い無いものを渇望する関係。読書が大好きな2人は友情を育んでいく。
    友達関係は、些細なボタンの掛け違いで途切れることもあります。距離が離れても、年月が経っても、心の奥底では相手を理解し、信頼があり、支えとなっている。そんな関係は理想です。離れる時間も大切だと教えてくれます。自分を褒めてくれる友達の存在は嬉しく、自信に繋がりますね。若い人が読まれると良いと思います。
    大穴が眩しく、彩子には共感することも多々あり。子を見守る親の姿勢としても、引きつけられるものはありました。これからの2人の関係性が楽しみな、未来が明るく開けそう、というラストが良かったです。読み終えタイトルを見るとじわっとする。

  • 矢島ダイアナと神崎彩子。
    家庭環境も性格も正反対の2人は、小学生時代に深い友情を紡ぐ。
    それぞれの成長15年間を描く。

    このお話はダイアナと彩子の物語だ。
    だけど、すべての女性の物語でもある。
    ところどころ、線を引っ張りたいくらいの文章がたくさんで胸に迫った。
    ダイアナも彩子も、私とは程遠い人物像。
    だけどどちらにも共感できるし、どちらをも応援したくなった。
    いや、そもそも今の私自身は本来の私なのだろうか。
    鎧や嘘や見栄や、そんな呪いを纏って今の私はできている。
    呪いを破ることができるのは自分だけ。
    今こそ、遅いけれど、今こそ呪いを破るときなのかもしれない。
    一歩を踏み出す力を確かにもらった。

  • 可愛らしい装丁からは、想像のつかないお話でした。
    家庭環境や性格も好みもまるで違う2人がお互い読書好きということで親友になり成長していく姿がとてもステキでどんどん引き込まれて一気読みでした。
    改めて赤毛のアンシリーズを読み返したくなりました。日本文学にも興味が湧きました。

  • ずっと気になっていましたが、読んでよかったです!


    金髪に痩せっぽっち、大きな目を持ち、誰もが美少女と振り返る少女 ー
    水商売の母と2人暮らしの【大穴】(だいあな)

    裕福な家庭に産まれたっぷりの愛情で育てるられた同級生の彩子。

    正反対の二人が親友になり、人生を歩んでいく物語です(*^^*)


    話が大穴の視点になったり彩子の視点になったり、コロコロと変わっていくのがとても面白く物語の世界に引き込まれます。

    人生は最高なときもあれば、どん底のときもある!
    登場人物たちの人生が色鮮やかに描かれています


    実際に長く愛されてきた本も数々登場するので、本好きさんにはたまらない1冊でもあるかと思います!!
    素晴らしい1冊でした!

  • 青い鳥文庫のような児童文学好きにはたまらない一冊。
    私もとても大好きな一冊になりました。

    目立つ外見と名前のせいで、幼い頃から好奇の目にさらされてきたダイアナと、両親に大切に守られ、狭い世界の中で疑うことを知らずに生きてきた彩子。
    唯一の共通の趣味である読書を通じて親友になった2人。
    彼女たちは、それぞれ自由な世界に放たれた後、全く異なる人生を歩んでいくことになります。

    私は彩子の人生にとても強く共感しました。
    ダイアナのような生き方に憧れていても、なかなか1人で飛び出すことができない。
    彩子が大学へ入った後のエピソードは読んでいて辛かった。
    無理をして周りに馴染もうとしても、後に残るのは虚しさだけで、本当の友達などできないのですね。

    でも物語のラストは2人の未来に希望を持たせるもので、本当に良かったと思います。

    柚木麻子さん、、同じ学部なんですね!感激です。
    また母が『赤毛のアン』のファンで、ちょうど全シリーズ家にあるので、今度読んでみたいと思います。

  • 女の子二人の友情に、本が絡んで‥
    すごく面白かった!

    矢島ダイアナは、大穴と書いてダイアナと読むという自分の名前が大嫌い。
    キャバクラに勤める母ティアラ(本名・有香子)は世界一ラッキーな名前という意味で父と相談してつけたというのだが。
    その父はおらず、誰かも教えてもらえない。

    小学3年のときに神崎彩子と出会い、仲良くなります。
    真っ黒な髪の優等生の彩子は、前から本好きで有名なダイアナを知っていたという。
    母は優雅な料理教室をやっていて、家も服装もシック。
    上質なものを長く使う、本物がわかる女性になってほしいと彩子に言います。

    ダイアナは彩子の母親の知的で家庭的な様子や、家の落ち着いた雰囲気に憧れますが、彩子のほうは逆。
    キラキラしたものがいっぱいな可愛い家で、ジャンクフードの美味しさや、一緒にゲームをしてくれる金髪の母ティアラに憧れるのがおかしい。

    ダイアナとは、赤毛のアンの親友の名前だという彩子。
    それに、「秘密の森のダイアナ」という日本人作家の本も愛読書でした。
    可愛らしい友情に、思わぬことからひびが入ります。

    私立の中高一貫女子校・山の上女学園に彩子は進み、みんなの憧れの生徒となります。
    狭い世界で守られている自分の臆病さを気にしていました。
    共学の大学に進んだとき、イベントサークルに誘われ‥?
    親の躾けや育ちのよさでは守れない危機が‥!

    ダイアナのほうは、山の上女学園には進めない。
    いじめを跳ね除けながら孤独がちに成長しますが、幼馴染の武田君という味方はいました。
    高校卒業後は本屋の店員を目指します。
    ネットでの書き込みや本の紹介から、いつしか再び知らないうちに近づいていく二人。
    自分の父が誰なのか知りたいと思うダイアナの混乱は‥

    事件もあり、思わぬ距離も出来つつ、互いに自分にない良い面をちゃんと見て感じ取っている二人。
    他の登場人物も個性がハッキリしていて、それぞれ欠点はあるけど根は善良。
    面白おかしく描き出される軽快なテンポがいいですね。
    どうにも出来ないこともあるけれど、皆が互いに気にかけている様子に、心温まります。

  • 児童文学チックな読み心地もある、読後感が良い話でした。
    ないものねだりはしがちだけど、自分の行動次第で変わる部分は多いものだなと改めて感じました。

    また、ダイアナの母は考え方、子どもにあたらず押し付けすぎない接し方など、憧れるかはともかく、、すごく強く、尊敬できる人だと思います。

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著者プロフィール

1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2010年、同作を含む『終点のあの子』を刊行。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほか作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『マリはすてきじゃない魔女』(絵・坂口友佳子)『あいにくあんたのためじゃない』などがある。2022年に初のエッセイ集『とりあえずお湯わかせ』を刊行。2022年、作家の山内マリコとともに「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。」と題した声明を発表する。

「2024年 『柚木麻子のドラマななめ読み!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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