本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社
4.14
  • (522)
  • (626)
  • (252)
  • (30)
  • (4)
本棚登録 : 3863
レビュー : 557
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355311

作品紹介・あらすじ

私の呪いを解けるのは、私だけ――。すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 女の子二人の友情に、本が絡んで‥
    すごく面白かった!

    矢島ダイアナは、大穴と書いてダイアナと読むという自分の名前が大嫌い。
    キャバクラに勤める母ティアラ(本名・有香子)は世界一ラッキーな名前という意味で父と相談してつけたというのだが。
    その父はおらず、誰かも教えてもらえない。

    小学3年のときに神崎彩子と出会い、仲良くなります。
    真っ黒な髪の優等生の彩子は、前から本好きで有名なダイアナを知っていたという。
    母は優雅な料理教室をやっていて、家も服装もシック。
    上質なものを長く使う、本物がわかる女性になってほしいと彩子に言います。

    ダイアナは彩子の母親の知的で家庭的な様子や、家の落ち着いた雰囲気に憧れますが、彩子のほうは逆。
    キラキラしたものがいっぱいな可愛い家で、ジャンクフードの美味しさや、一緒にゲームをしてくれる金髪の母ティアラに憧れるのがおかしい。

    ダイアナとは、赤毛のアンの親友の名前だという彩子。
    それに、「秘密の森のダイアナ」という日本人作家の本も愛読書でした。
    可愛らしい友情に、思わぬことからひびが入ります。

    私立の中高一貫女子校・山の上女学園に彩子は進み、みんなの憧れの生徒となります。
    狭い世界で守られている自分の臆病さを気にしていました。
    共学の大学に進んだとき、イベントサークルに誘われ‥?
    親の躾けや育ちのよさでは守れない危機が‥!

    ダイアナのほうは、山の上女学園には進めない。
    いじめを跳ね除けながら孤独がちに成長しますが、幼馴染の武田君という味方はいました。
    高校卒業後は本屋の店員を目指します。
    ネットでの書き込みや本の紹介から、いつしか再び知らないうちに近づいていく二人。
    自分の父が誰なのか知りたいと思うダイアナの混乱は‥

    事件もあり、思わぬ距離も出来つつ、互いに自分にない良い面をちゃんと見て感じ取っている二人。
    他の登場人物も個性がハッキリしていて、それぞれ欠点はあるけど根は善良。
    面白おかしく描き出される軽快なテンポがいいですね。
    どうにも出来ないこともあるけれど、皆が互いに気にかけている様子に、心温まります。

  • とっても良かった。親友同士だったダイアナと彩子。
    ちょっとした誤解で彩子に絶交を言い渡され、ずっと会わないまま。
    中学・高校といろんな経験をしながら、たまに相手の事を思い出しながら、2人は成長していく。
    キーワードとなる「秘密の森のダイアナ」。
    彩子の両親、ダイアナの母ティアラ。
    登場人物が凄く良くって、読みながらとても大切な事を学ばせてもらった気がする。
    とても素敵な本でした。

  • ダイアナ、しかもそれが漢字の“大穴”なんて名前をつけられたら、どんな気持ちになるだろう。
    僕なら、とても学校に行けない。
    小学校の一学期から、もう登校拒否だ。

    競馬好きの父親がラッキーな娘になるようにとつけられた名前。
    人前で呼ばれるたび、恥ずかしさが募る。
    それでも、めげずにダイアナは強く生きる。
    そんなダイアナを何故か眩しく見つめる彩子。
    お金持ちで何の不自由もなく育った彼女なのに、箱入り娘の状態が不満で、正反対の環境のダイアナに秘かに憧れていたのだ。
    二人の交流は順調に続くが、小学校卒業前の出来事をきっかけに喧嘩をし、ダイアナは公立に、彩子は私立の名門お嬢様中学に進学し離れ離れになることもあって、二人は10年以上も会わないようになる。
    その後ダイアナは、キャバ嬢をしながら育ててくれた母親ティアラの少女時代の秘密を知ることになる。

    二人の少女が全く違った環境でそれぞれ葛藤し、紆余曲折の道を歩みながら成長していく姿が心に響く。
    特に、ダイアナの奔放で、かと思えば堅実で、ひた向きな姿に感動を覚える。

    彩子のほうは、大学生になると。10年ほど前に社会事件にもなった大学サークル「スーフリ」を思い起こさせる出来事に遭遇して悩む。

    二人の成長の対比の仕方やエピソードが絶妙で、どんどん話に引き込まれていく。
    所々に張られた伏線が後半に回収されていく様も見事で、読んでいて爽快感がある。
    最近の柚木さん、作品の構成やキャラ立てが一段と上手くなり、やはり一皮も二皮もむけた。
    直木賞も遠くないだろう。

    実に面白い小説でまさに一気読みでした。
    次作にも期待だ。

  • 柚木作品はお初でしたが久しぶりに先へ先へと…勢いのある読書ができました。

    キャバクラ勤めのシングルマザーを母親に持ち、しかも名前は「大穴」と書いてダイアナと読ませる金髪少女ダイアナと、大手出版社の編集者の父と料理教室を開く母を持ち、洗練されたものに囲まれて育った裕福な美少女彩子。育った環境や性格の全く異なる二人の女の子の小学生時代から20代前半までの友情の変遷がそれぞれの視点から描かれています。
    『秘密の森のダイアナ』という一冊の本がキーであり、フレーズが随所に取り上げられているのですが、本の中のヒロインはダイアナや彩子のその時々の姿に通じているような。。それ以上にダイアナとティアラの母娘の関係が面白く、途中から父探しも密かに進むダイアナとティアラの隠された過去が明るみになるにつれ、彼女の魅力が増し、本を愛し夢を抱くダイアナ共々、いつしか本気で二人を応援していました♪

    現代版『赤毛のアン』?とも言われる本書、年令問わず楽しめると思います。
    置かれた環境や境遇を受け入れ、呪縛を解くの自分自身。
    二人の少女の成長物語と一言で片付けるには勿体無い面白さでしたよ!

  • 『この本すごく好きだなぁ~。』と思いながら読んだ。
    ダイアナと彩子、二人が成長するにつれ変化していく心理描写がうまい。また、二人を取り巻く環境(家族や学校など)についても丁寧に描かれていて、読んでいる私も気持ちがほっこりあたたかくなった。
    「秘密の森のダイアナ」が架空の小説なのが残念だけど、「アンの愛情」など、この本に出てきた作品をいつか読んでみたい。

    柚木さんを読むのは「ランチのアッコちゃん」に次いで2作目。
    共にさらっと読みやすく、でも心に残る。読後感グッド!
    気になる作家さんの一人になる予感(*^_^*)

  • 2人の少女が大人になるために通り抜けなければならなかった道の険しさ、払った代償の大きさ、を思い胸が痛む。
    自分をまるごと受け入れ、そして肯定する事。多分、誰もが(意識していなかったとしても)どこかでそれを超えて生きているのだろうね。
    自分にかけられている呪いに気付かず、それを解くこともせずに生きているヒトは幸せなのかどうなのか。
    女の子が何かを乗り越える力を、本と本屋が与えらえたら、それが一番うれしい。

  • 大きな穴と書いてダイアナ…その名前のせいで思うように生きられないと思っている少女と、何もかも与えられた理想の友人のお話。どの世代が読んでも、呪いをといて自分を解き放つ勇気が持てる、そんな気がする。
    ちょっと彩子は苦手だったなぁ。浅はかと言うか、意外と精神的にバカな子なんだとがっかりした。

  • 私の呪いを解けるのは、私だけ。「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人は、一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に―。少女から大人への輝ける瞬間。強さと切なさを紡ぐ長編小説。
    -------------------
    素直に面白かった!
    対照的なダイアナと彩子の、お互いの「ないものねだり」の様子が、人の本質を表している気がする。
    そんな二人が少女から大人に成長していくなかで、与えられた環境だけでなく、自分の力で進んでいかなければならないとき、一般的に不幸と言われそうなダイアナの人間力の強さと、一般的に幸せと言われそうな彩子の人間力の弱さなど、いろんな部分の対比の描き方が素晴らしかった。著者はどちらの気持ちにもなることができて、それを表現できるんだなぁ。

  • 思っていたよりずっとずっとおもしろかった。

    本が好きで、自分にはないものに憧れを抱く二人の少女。
    強く明るく前向きにドラマチックな人生を生きる主人公ではなく、その陰に隠れがちな親友役をヒロインにした、少女から大人の女性への成長記的なお話でもあります。
    両極端だからこそ惹かれあい、と同時に嫉妬してしまう。
    複雑な心の振れ幅を両方の目線から描いた等身大の女の子たちがかわいくも切ない。
    とは言いつつも、ダイアナ(大穴)も彩子もめちゃくちゃ物語のヒロインタイプですけどね。

    ティアラはいいよね。かっこいい。
    どの子ももっと自分を大切に愛してあげてとは思う。

    「秘密の森のダイアナ」を読んでみたい。

  • 描かれている「少女」がとても魅力的
    描かれてている「物語」たちのチョイスがまた良い
    描かれている「友情」が無理なく迫ってくる
    描かれている「大人」たちが格好いい

    等身大の主人公たちに「自分」を投影して
    わくわくしながら読んでいる人たちの声が
    いっぱい 届いてきそうです

    また 素敵な作者と巡り逢えました
    私にとって柚木麻子作品、第一作目です。

全557件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

本屋さんのダイアナのその他の作品

柚木麻子の作品

本屋さんのダイアナを本棚に登録しているひと

ツイートする