本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社
4.16
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本棚登録 : 4320
レビュー : 600
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355311

作品紹介・あらすじ

私の呪いを解けるのは、私だけ――。すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。

感想・レビュー・書評

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  • 全ての女子に刺さるお話なのではないでしょうか?
    女同士の友情、そして母と娘の間の葛藤。

    小学生時代に出逢った主人公二人は、それぞれ自分の育った環境に息苦しさを感じていて、お互いを羨ましく感じているけれど、成長してゆく中で結局のところ、親に守られながら生きていることに気付く。「彼女(母)の生き方をなじる日々は楽だった」「母を見下して得意になってばかりいた」と。

    それぞれの母も自分の育てられ方に疑問を持っていて、逆の方法で育児をしている。子供のためを思って良かれと思ってしたことが、子どもには窮屈な思いをさせるだけだったりする。特に同性だとそういう関係になる可能性は高いのかもしれないと思った(父と息子もか?)

    自分の呪いを解けるのは自分だけ。
    自分に命令できるのは自分だけ。

    『赤毛のアン』のアンとダイアナ。「みんながみんなアンのように飛び立てるわけじゃない。」「脇役のダイアナこそが多くの女の子にとって等身大」「アンの良いところをダイアナは自然に引き出してあげた」
    進む道は違っても二人の友情は変わらない。これが本当の友情。

    全ての年代の女子の心に響く作品だと思います。

  • 女の子二人の友情に、本が絡んで‥
    すごく面白かった!

    矢島ダイアナは、大穴と書いてダイアナと読むという自分の名前が大嫌い。
    キャバクラに勤める母ティアラ(本名・有香子)は世界一ラッキーな名前という意味で父と相談してつけたというのだが。
    その父はおらず、誰かも教えてもらえない。

    小学3年のときに神崎彩子と出会い、仲良くなります。
    真っ黒な髪の優等生の彩子は、前から本好きで有名なダイアナを知っていたという。
    母は優雅な料理教室をやっていて、家も服装もシック。
    上質なものを長く使う、本物がわかる女性になってほしいと彩子に言います。

    ダイアナは彩子の母親の知的で家庭的な様子や、家の落ち着いた雰囲気に憧れますが、彩子のほうは逆。
    キラキラしたものがいっぱいな可愛い家で、ジャンクフードの美味しさや、一緒にゲームをしてくれる金髪の母ティアラに憧れるのがおかしい。

    ダイアナとは、赤毛のアンの親友の名前だという彩子。
    それに、「秘密の森のダイアナ」という日本人作家の本も愛読書でした。
    可愛らしい友情に、思わぬことからひびが入ります。

    私立の中高一貫女子校・山の上女学園に彩子は進み、みんなの憧れの生徒となります。
    狭い世界で守られている自分の臆病さを気にしていました。
    共学の大学に進んだとき、イベントサークルに誘われ‥?
    親の躾けや育ちのよさでは守れない危機が‥!

    ダイアナのほうは、山の上女学園には進めない。
    いじめを跳ね除けながら孤独がちに成長しますが、幼馴染の武田君という味方はいました。
    高校卒業後は本屋の店員を目指します。
    ネットでの書き込みや本の紹介から、いつしか再び知らないうちに近づいていく二人。
    自分の父が誰なのか知りたいと思うダイアナの混乱は‥

    事件もあり、思わぬ距離も出来つつ、互いに自分にない良い面をちゃんと見て感じ取っている二人。
    他の登場人物も個性がハッキリしていて、それぞれ欠点はあるけど根は善良。
    面白おかしく描き出される軽快なテンポがいいですね。
    どうにも出来ないこともあるけれど、皆が互いに気にかけている様子に、心温まります。

  • 可愛らしい装丁からは、想像のつかないお話でした。
    家庭環境や性格も好みもまるで違う2人がお互い読書好きということで親友になり成長していく姿がとてもステキでどんどん引き込まれて一気読みでした。
    改めて赤毛のアンシリーズを読み返したくなりました。日本文学にも興味が湧きました。

  • おもしろかった!
    柚木麻子さんはアッコちゃんシリーズが代表作だと思うけれど、
    私的にはこの本の方がよかったな
    女性というのは、( もしかしたら男性も?) いくつになっても、きっかけがあれば、ポーンとたちまち少女時代に戻れるんだなというのをこの本で実感した
    「赤毛のアン」や「若草物語を」読んで、想像の世界で遊んでいた少女時代が蘇ってきて、読み始めるや否や、ガシッと心を掴まれ虜になった

    本が大好きで、本としか向き合えなかった孤独な少女ダイアナ(大穴)、金色に染められたパサパサの髪の痩せっぽちの女の子が彩子と出会ったことにより、憧れていた世界を知り、輝き始める
    聡明な両親の愛情をいっぱいに受けて育っていた彩子もまた、ダイアナを知ることにより、全く未知の世界を知り、輝き始める

    しかし、よくあるふとした誤解から二人の関係は途絶え、全く別の道を歩むことになるが・・・
    二人の人生の支えになってくれるのは、二人が大好きな本「 秘密の森のダイアナ」
    折につけて、その中のフレーズに自分を投影させながら、大人になっていく

    そして、15年後・・・

    周囲の押しつけや思い込みに縛られて、知らず知らずのうちに自分で呪いをかけている自分に気づき、自分の手で呪いを解き、本当の自分の生き方を見つけていく二人のダブルヒロイン物語

    ダイアナが上品で落ち着いた彩子の両親や家庭に憧れる様子や彩子がビーズやシールで彩られたダイアナのアパートの部屋に憧れる様子が生き生きと描かれていて、おもしろかった

    ダイアナ、彩子それぞれの親の子育てぶりは、正反対でありながら、お互いの環境の違いを認めあっているのも好ましかった
    大学生になってからの彩子の変わりようは、あまりにドロドロしていて、同じ本の中身とも思えなかったが、ちゃんと落ち着くところに収まったかな

    15歳でダイアナを産んだヤンキーのシングルマザーティアラの見た目のキャピキャピさとは裏腹の地に着いた自由で柔軟な考え方に感動し、ティアラのファンになってしまった

    子供の頃や青年期に読んだ本がたくさん登場するのも嬉しいし、
    図書館や彩子の家の壁一面の本棚、ダイアナが念願の書店員になった書店隣隣堂など至る所に本・本・本が出てくるのも本好きにはたまらない






  • とっても良かった。親友同士だったダイアナと彩子。
    ちょっとした誤解で彩子に絶交を言い渡され、ずっと会わないまま。
    中学・高校といろんな経験をしながら、たまに相手の事を思い出しながら、2人は成長していく。
    キーワードとなる「秘密の森のダイアナ」。
    彩子の両親、ダイアナの母ティアラ。
    登場人物が凄く良くって、読みながらとても大切な事を学ばせてもらった気がする。
    とても素敵な本でした。

  • ダイアナ、しかもそれが漢字の“大穴”なんて名前をつけられたら、どんな気持ちになるだろう。
    僕なら、とても学校に行けない。
    小学校の一学期から、もう登校拒否だ。

    競馬好きの父親がラッキーな娘になるようにとつけられた名前。
    人前で呼ばれるたび、恥ずかしさが募る。
    それでも、めげずにダイアナは強く生きる。
    そんなダイアナを何故か眩しく見つめる彩子。
    お金持ちで何の不自由もなく育った彼女なのに、箱入り娘の状態が不満で、正反対の環境のダイアナに秘かに憧れていたのだ。
    二人の交流は順調に続くが、小学校卒業前の出来事をきっかけに喧嘩をし、ダイアナは公立に、彩子は私立の名門お嬢様中学に進学し離れ離れになることもあって、二人は10年以上も会わないようになる。
    その後ダイアナは、キャバ嬢をしながら育ててくれた母親ティアラの少女時代の秘密を知ることになる。

    二人の少女が全く違った環境でそれぞれ葛藤し、紆余曲折の道を歩みながら成長していく姿が心に響く。
    特に、ダイアナの奔放で、かと思えば堅実で、ひた向きな姿に感動を覚える。

    彩子のほうは、大学生になると。10年ほど前に社会事件にもなった大学サークル「スーフリ」を思い起こさせる出来事に遭遇して悩む。

    二人の成長の対比の仕方やエピソードが絶妙で、どんどん話に引き込まれていく。
    所々に張られた伏線が後半に回収されていく様も見事で、読んでいて爽快感がある。
    最近の柚木さん、作品の構成やキャラ立てが一段と上手くなり、やはり一皮も二皮もむけた。
    直木賞も遠くないだろう。

    実に面白い小説でまさに一気読みでした。
    次作にも期待だ。

  • いかにも女性が惹かれるような作品ですね。これ 決して女性差別発言ではありません(笑) 境遇の全く相反する二人の小学生女児がお互いに相手の特性を憧れる設定は、まさしく赤毛のアンを想起させてくれます♪ しかも母子家庭育ちのダイアナ(大穴)と裕福な家庭育ちの彩子が紆余曲折を経て、やっぱり変わらない友情を維持していたことが確認できる終盤の展開が待っていました。中盤では おやおや と思う運びだけれど終わりの展開で挽回してくれましたね。
    たくさんの所謂 少女小説タイトルが出てくるけれど辛うじて映像化されたものくらいしか内容を知らないのは、やっぱり私も差別世代で辞意を表明すべきしょうかねぇ?(笑)

  • “正しい”“いい子”だけの人生に、「ラム酒のような、ほんの1滴の刺激が欲しい」

    そんな風に思っている、中・高校生のあなたへ、そしてかつて高校生だったあなたへ、この本を贈ります。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「大穴」と書いてダイアナと読む主人公のひとりダイアナ。
    父が誰かも知らず、母親のティアラと暮らしている。

    一方、世間から見ると「育ちのいい」家で育ったもうひとりの主人公・彩子。
    2人は互いの存在の中に、自分にはないものを見つけ、憧れている。

    ある出来事をきっかけに交差した2人の人生だったが、とある誤解で再び、2人の距離は離れていき…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    物語はダイアナと彩子が小学3年生のときから始まります。
    そしてこのたった1冊の中に、それからのダイアナと彩子それぞれの濃密な人生がつまっています。

    1冊におさめるために、エピソードを削って無理矢理詰め込みました、なんていう感じは1ミリもなく、でもこの濃い内容がたった1冊の単行本におさまっていることに驚いてしまいます。

    わたしはどちらかというと、彩子の考え方や悩みが、すごくしっくりきました。
    彩子ほど美人でも裕福でもないわたしですが(苦笑)、でも明日も食べ物があるか?!寝るところがあるか?!みたいな暮らしではなかったし、大きな失敗も就職するまではほとんどせずに育ちました。

    だからこそ高校3年生になり、進路に悩む彩子が感じたこの気持ちが、すごくよくわかりました。

    「親を困らせたり、誰かを傷つけたりしたいわけではない。でも、大人が眉をひそめるような悪いことをほんの少しだけこの体に取り込みたい。ホットミルクに一滴だけラム酒をたらすとたまらなく美味しくなるように、毒とされるエッセンスを『いい子』の人生に溶け込ませて魅力ある女になりたい。」(124ページ)

    人生を踏み外すような悪いことはしたくないけれど、でも何もなく正しい道だけを知っている人生でいいのだろうか?
    だからこそ、不安定な暮らしのダイアナがうらやましく、自分にないことができて自分の知らない世の中を泳いでいるダイアナに、嫉妬してしまうのです。

    ダイアナからしてみたら彩子もまた、自分にはないものばかりで、うらやましく、憧れの存在なのですが…
    そういう2人の複雑な憧れ、将来への不安が、時間を進ませながら自然と書かれていて、とても共感できてしまうのです。

    「本屋さんのダイアナ」は、、中学・高校生に、特にオススメの1冊です。
    ダイアナ、彩子、どちらの視点で物語を読むにせよ、読んでいる自分が「この気持ち、すごくよくわかる…」という瞬間にきっと、出会えます。

    親には言えない気持ちを、ダイアナや彩子が言い表してくれる。
    それを読むことで、自分のなかの言い表せなかった思いを自覚できるのです。

    この物語を知らずに生きるのは、まさに「ホットミルクにラム酒をたらす」生き方を知らずに生きるようなものです。
    ラム酒のような、ほんの1滴の刺激がいままさに欲しいあなたへ、この本を贈ります。

  • 柚木作品はお初でしたが久しぶりに先へ先へと…勢いのある読書ができました。

    キャバクラ勤めのシングルマザーを母親に持ち、しかも名前は「大穴」と書いてダイアナと読ませる金髪少女ダイアナと、大手出版社の編集者の父と料理教室を開く母を持ち、洗練されたものに囲まれて育った裕福な美少女彩子。育った環境や性格の全く異なる二人の女の子の小学生時代から20代前半までの友情の変遷がそれぞれの視点から描かれています。
    『秘密の森のダイアナ』という一冊の本がキーであり、フレーズが随所に取り上げられているのですが、本の中のヒロインはダイアナや彩子のその時々の姿に通じているような。。それ以上にダイアナとティアラの母娘の関係が面白く、途中から父探しも密かに進むダイアナとティアラの隠された過去が明るみになるにつれ、彼女の魅力が増し、本を愛し夢を抱くダイアナ共々、いつしか本気で二人を応援していました♪

    現代版『赤毛のアン』?とも言われる本書、年令問わず楽しめると思います。
    置かれた環境や境遇を受け入れ、呪縛を解くの自分自身。
    二人の少女の成長物語と一言で片付けるには勿体無い面白さでしたよ!

  • 現代の日本を舞台にした赤毛のアンだった。

    大穴(ダイアナ)と彩子。
    ダイアナは、彩子のようなシックな家に住んで「ほんもの」を愛す母親のいる女の子に憧れていた。ダイアナなんてイタイ名前は当然嫌いだった。水商売の母親も嫌い。
    彩子は、ダイアナのようなドールハウスみたいなキラキラした家で、キラキラしたものに囲まれて住む女の子に憧れていた。彩子なんて古臭い名前は嫌いだったし、「ほんもの」という、地味なデザインの服や小物は魅力的に思えなかった。
    お互い、自らの家庭環境を嫌い、相手を心の底から羨んでいた。

    どちらの気持ちもわかるなぁと思いながら読んだ。
    ダイアナは、名前や家庭環境にめげず、本屋で働きたいと真っ直ぐに進む。
    彩子は、順調に女子校や名門大学に進学するが、両親にしっかり守られてきたことが仇となって、道を逸れ始める。

    ダイアナの母のティアラは、実はしっかりとした家庭で育ち、薄っぺらいと思われてきた彼女にもいろいろ考えがあって、芯を貫いて生きてきた。
    実は誰よりも、どの母よりもダイアナを、本当の意味で娘を大切に育ててきた。

    呪いは自分でしか解くことができない。未来は自分自身で切り拓かなくてはいけない。

    小さい頃仲の良かったダイアナと彩子は、成長するにつれて距離ができる。
    だけど、それぞれで自らの呪いに立ち向かう。
    どちらの人生も、そして2人の関係にも、希望が見える終わり方だった。

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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