BUTTER

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

作品紹介・あらすじ

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • すぐに影響を受ける私。

    ちょっと高級バターが
    食べたいかも。

    ところで、作中にある
    「易きを求め、
      困難を求めない」
    という台詞。

    もとはコーランの一節
    だそうですが、

    なにもかも自力で乗り
    越えなきゃダメよ、と
    いうわけじゃない。

    常に成長し続けなきゃ
    ダメだ、なんてだれが
    言ったのか。

    そんなことより、必要
    なら周りに助けを求め、

    目的を達成することの
    ほうが大事なのでは?
    という解釈に、

    なるほど!と、ポンと
    膝を打ったのでした。

  • エシレバターのご飯食べてみたくなりました。

    こうでないといけない!誰が言ったわけではないけどそういう風潮のある世の中、自分を見失わず、頑張り過ぎず時には人を頼ってもいいじゃないか...なんか、気持ち的に楽になれた気がしました。
    読み終えた後は、清々しく感じました。
    人との関わり方、自分の在り方を考えさせられました。

  • 男性3人を殺害した容疑者・梶井真奈子。
    特別に若くも美しくもない彼女のどこに被害者は引き付けられたのか。
    週刊誌記者・里佳は、カジマナの取材をすることに───

    「バター」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは『ちびくろサンボ』のとらバターです。
    年齢とともに、食べることに抵抗を覚えるようになってしまったけれど、今でもホットケーキには絶対にバター。

    柚木麻子さんが好きで、ほとんどの作品を読んでいますが、
    特に食べ物の描写が、いつも本当に美味しそうで、大好きなのです。
    今回も「エシレバター」と「カルピスバター」は、すぐに買いに走りたくなるほどでした。
    が、しかし、
    濃厚なバターを白いご飯に乗せて醤油を垂らす。
    サッポロ一番の塩ラーメンバターのせ。
    その他にも、これでもか!というほど”濃厚”のオンパレード。

    そして、以前読んだ『ナイルパーチの女子会』で感じたような、
    あの心がざらざらする読後感。

    「食べたくないものは決して食べず、その時食べたいものだけ食べる」
    圧倒的な自己肯定感とともに、自分の本能のおもむくまま生きるカジマナ。
    カジマナのような人には近づきたくないと思っていても、
    いつの間にかその人のペースに巻き込まれ、翻弄されてしまうことってあるのかもしれない。
    決して首肯できるものではないけれど、彼女に巻き込まれたことによって、
    理佳と伶子がそれぞれの呪縛から解放されていくさまが、
    ほんの少し羨ましくも思えました。

  • 2021/02/12読了
    #柚木麻子作品

    醜い女の周りで連続する男性の不審死。
    女は事件に関与しているのか。
    描かれる料理描写が食欲そそる。
    細かな男女の人間心理も共感できる。
    構成は料理7ミステリ3。
    なんかフワッと終わった。。

  • 最初から最後まで濃厚なバターの香りたっぷりな作品でした♪ 実在の連続男性不審死亡事件を下地にしたフィクションですがけっこうミステリー感覚も充分に盛られた 料理満載な楽しめる小説です。決して美人でも若くもないポッチャリのカジマナ梶井真奈子の事件を深掘りすべく、とある週刊誌の敏腕女性記者 里佳は拘置中の被告人に接触を図る。彼女の核心に迫るべく告げられるままに同一グルメ体験をするうちに徹底的に翻弄されていく里佳と親友の伶子! リアリティーに欠ける印象だけど読み物として十二分に味わい楽しめました。

  • ここにオンナの一生の全てがある。
    母と娘の、父と娘の、女と女の、そして男と女の、愛と憎。
    子どもの、思春期の、適齢期の、女としての価値とその揺らぎ。
    シングルマザーの、働く女の、子を欲する女の、悩みと迷いと決意。
    その全てを濃厚なバターでくるみ、これでもかこれでもかと突きつけて来る。
    あの、木嶋佳苗の事件があった時、私は何を思ったか。なぜ多くのオトコがあの決して若くも美しくもないひとりの女に溺れ、そして死んでいったのか、と首をかしげたはず。なぜだ?と。
    なぜこんな女に、と。そこに彼女を、そして男たちを見下す視線はなかったか。
    この物語を読んでいる間ずっと、肌を突かず離れずの距離でなでる生温かい手を感じていた。気持ちよくはなく、かといって鳥肌が立つほどでもない、そのざわざわとした得体の知れない居心地の悪さは自分が木嶋がモデルの梶井真奈子にからめとられていく恐怖だったのかもしれない。
    普段、自分のためだけに食事を作る事なんてほどんどない。外に出かける予定のない休日には化粧もせずだらしない時間を過ごしている。
    私も「自分のために」何かをすることを放棄している女のひとりだった。もしもどこかで彼女と出会っていたら、間違いなくその圧倒的肉感的楽観的自己肯定感にひれ伏し、嫌悪しつつも飲み込まれていっただろう。もしかすると彼女から見放されることに恐怖し、ひたすら動かされる駒になっていたかもしれない。そしていつか彼女に興味を示されなくなったとき、この命を落としていたかもしれない。どこかでとどまらなければ、飲み込まれるなと自分を引き止める声を聞きつつ読んだ。おいしそうな料理の数々に恍惚となる、けれどその裏側に人間の恐ろしく弱い業が口を開けて待っている。
    クチから始まりクチで終わる。自分を現実につなぎとめるために今日も私は料理を作り、そして食べる。

  • 木嶋佳苗の事件をベースに、濃密な小説世界を構築している。容疑者に迫る取材記者の主人公が、容疑者に絡め取られていきつつ、自分を見つめ、周囲の人々を巻き込みながら(自主的に巻き込まれる人も)、呪縛を解くべくもがく姿は、悲壮というより、爽やかささえ感じる。途中暴走しすぎなきらいはあるものの、それすら受け入れさせる流れがある。体調のいい時に読むのが吉。

  • 「すごい大変だったなあ」というのが読後直ぐの感想
    何が?読むのが
    自分ではわりと読むのが早い方だと思っているんだけどかなり時間がかかりました
    前半は退屈なストーリー展開、中盤以降は目まぐるしく登場人物たちの関係性がかわる

    あ、うまい表現思い付いた
    バターをふんだんに使いすぎたような物語だった
    (うまいか?)

    いや違う、バターを吸って重くなった(©にゃんちびさん)ような物語でした

    あと、気のせいかしらんけど紙質がバターのようだった

    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん

      使って下さったー!!笑

      いやぁ、悪いですよ、お礼に焼肉奢ってくれるなんて〜!
      いつにします?笑

      ありがとうございま...
      ひまわりめろんさん

      使って下さったー!!笑

      いやぁ、悪いですよ、お礼に焼肉奢ってくれるなんて〜!
      いつにします?笑

      ありがとうございます!!光栄です!!
      たらこバターパスタ食べたいですよね、これ読んだら。
      紙質がバターのようだったと。ほんと…なんでしょうね、持ち上げたらポタポタ滴るような。
      2022/03/17
    • ひまわりめろんさん
      にゃんちびさん
      こんばんは

      おかげざでなんかレビューに深みが増した気がしますw

      焼肉まであと7ポインツです
      頑張ってください!
      にゃんちびさん
      こんばんは

      おかげざでなんかレビューに深みが増した気がしますw

      焼肉まであと7ポインツです
      頑張ってください!
      2022/03/17
  • 【あらすじ】
    男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    序盤、物語の流れに入っていくのにかなり苦労しましたが、中盤以降は一気読みでした。どちらかというと、女性向けの内容だと思います。
    物語全体を通じてテーマとなっているのが「欲望」というワードです。特に食欲・性欲というものにスポットライトが当てられています。
    現代社会において、人間は欲望に対し様々な制限が課されていると思います。特に「婚姻」という他の動物にはないルールと、社会性が生んだ「常識」という概念が、欲望と現実の間を歪ませているのではないでしょうか。
    私自身も、自分が本当にやりたいことは何なのか、それを考えるのがすごく難しいと考えており、仮に何かやりたいことを考えついても、それが自分が本当にやりたいことなのか、それとも周りが「こうあるべき」と要求している(であろう)ことに迎合しているだけなのか、わからなくなってしまうことがあります。
    自分の欲望に従順な人が生み出すパワーは、とても強く感じられます。なぜなら、婚姻や常識を正面からぶち抜く力があると、周りはそれができない自分の無力さを痛感するからです。でも、この物語を読んで、その強力なパワーは、裏を返せば独りよがりでとても悲しいものなのだとも思いました。何に憧れるかは人の自由ですが、極端な考えに憧れそうになったときは一歩立ち止まって「本当に大丈夫?」と自分自身に問いかけられるようになりたいと思います。

  • 表紙絵とタイトルと作者で、軽く読み始めたけど、重かった。長かった。
    バターを食べたい欲求、丁寧に料理したい欲求に埋め尽くされているけど、今ほんとに胃が痛い。偶然なのか必然なのか。。。

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著者プロフィール

1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2010年、同作を含む『終点のあの子』を刊行。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほか作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『マリはすてきじゃない魔女』(絵・坂口友佳子)『あいにくあんたのためじゃない』などがある。2022年に初のエッセイ集『とりあえずお湯わかせ』を刊行。2022年、作家の山内マリコとともに「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。」と題した声明を発表する。

「2024年 『柚木麻子のドラマななめ読み!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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