BUTTER

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 657
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

感想・レビュー・書評

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  • すぐに影響を受ける私。

    とにかく高級バターが
    食べたい。

    パンや料理に添えて
    そのまま食べるなら
    有塩バターなんですね。

    塩を加えているので
    日持ちもすると。

    料理やお菓子作りに
    使うなら無塩バター。

    塩を加えていないので
    本来の風味を味わえる。
    フムフムと。

    そして、
    濃厚な味わいを欲して
    いるときは発酵バター
    ・・・

    む、
    バターのことしかない
    ではないか。

    ということで方向転換。

    作中の
    「易きを求め、
     困難を求めない」
    という台詞。

    もとはイスラム教の
    コーランの一節ですが、

    本作のなかでは独自の
    解釈が。

    なにもかも自力で
    乗り越えなきゃ
    いけないわけじゃない。

    成長し続けなきゃ
    いけないわけじゃない。

    そんなことより、
    必要なら周りに助けを
    求めて、

    本来の目的を達せよと。

  • 柚木麻子さんって、こんな感じのも書くんだぁ。以前読んだ「ランチのアッコちゃん」とは真逆な感じ。木嶋佳苗の事件をモチーフにした作品。そんな美人でも若くもないカジマナに何故だか惹かれる記者の里佳、彼女の気持ちわからないでもないなぁ。読み進めるごとに、カジマナの得体の知れないねっとりとした感じと、題名にもあるバターを使った料理の表現が、身体に絡みつくような嫌な感じがして、何とも言えない読了感でした。

  •  若くも綺麗でもない女性(カジマナ)が3人の男性の財産を奪い殺害した容疑で逮捕される。週刊誌記者の里佳は事件のことを知るべくカジマナに面会を申し込むのだが、彼女の振る舞いや言動により、里佳は徐々に内側も外側も変えられていく…。
     里佳がカジマナの言動に心を揺さぶられるたび、私も何度も共感してしまうことがあり、なんで私たちはこんなに生きづらいのだろうと考えさせられる。実際にそばにいる人の言動が気になってしまったりもした。一方で、そんなことで生きづらさを覚える自分の生き方って馬鹿らしくも思える。共感と嫌悪感とが交互にやってくる感覚がした。
     これまでカジマナと里佳の面会が中心だった物語は、中盤になり、里佳の親友の伶子が動き始めたあたりからお話はぐんぐん進み出す。そして後半にすすむにつれ、カジマナが男を本当に殺害したのかどうなのか、そんなことはこの話の中でそんなものはどちらでも良いのだと気づいた。
     特に印象に残っているのは「里佳は自分がいないところで自分の知り合い同士が仲良くなって新しい関係が生まれても、〜別に気にならないでしょう?」という伶子の言葉。
     私自身、一人だけ取り残されてしまうような感覚がして、必死に友達作りをしていたことがあるけれど、今でも仲良くしてくれているのは両手で足りるほどしかいない。連絡を取らなくなった友人と不仲になったわけではないけれど、この先彼らと心の距離を縮めることは殆どないのだろうなと思うと、この言葉はグッと刺さった。
     女性視点で描かれる話であるため、多くの女性が共感するところがあると思うが、男性が読んでも共感を得ることができるのか(理解できるのか)気になるところでもある。
     

  • 読まずに積まれていた本でした、町田里佳の名前に共通があり、驚きました。

    バターというタイトルから、バター描写が所々で描かれていて、食べたくなるようでした。

    文章で気になった部分がこちら。
    別にどれか一つで満腹にならなくてもいいし、なにもかも人並みのレベルを目指さなくてもいいのにね。自分にとっての適量をそれぞれ楽しんで、人生トータルで満足できたら、それで十分なのにね。

    完璧を目指すからしんどくなる。

    登場人物たちの生きづらさみたいな描写が所々にあって、読んでいてありありと想像できるものが多くて、すごいなと感じました。

  • 高級バターが食べたくなる。

  • 女性が大きなテーマだと感じた。主人公が容疑者の行動を追う中で少し太った。だが、とても太ったわけではなく、むしろ適正体重になったので、健康になったと言えるのに、周囲はそうではないと感じる様子が、読んでいてリアルだなと思った。あと、バターをたっぷり入れたバター醤油ご飯をすごく食べたくなった。

  • 主人公の記者が面会に行く度に、梶井の見せる表情が変わり、掴みどころのない恐ろしさを感じました。
    その影響をもろに受けて良くも悪くも変わっていく主人公や周囲の人の様子は、飲み込まれていくような印象があります。
    柚木麻子さんは女性らしさや生きづらさを描くのが本当に上手です。
    今回も体型や家事能力といった、この社会でも自然と期待されてしまう部分に対する葛藤や、自分の欲とどう向き合うかが赤裸々に綴られていて、とても共感しました。
    食べ物の描写も特徴的で、エロささえ感じる濃ゆい表現で、どれも魅惑的でした。
    自分をいたわることの大切さや、自分を助けるために人を頼ること、そのためにまず少しでも行動できるのは自分だけということ等、柚木さんらしいメッセージ性もグッと込められていて、とても濃密な一冊でした。

  • 本書のメインの魅力はそこじゃないかもしれないんだけど、家事や料理が苦手な私にはバイブルになりそう。どこでも生き抜いていける力がほしい。

    【抜書ノートから】(頁数記録してなかった)
    ・家事ほど、才能とエゴイズムとある種の狂気が必要な分野はない
    ・自分の暮らしや自分の周辺くらい、自分を満足させるものでかためて、バリア張って守りたい
    ・足りないものを見極めたら、それを自分の手で作り出せるようになった今、明日も明後日も、せめて現状よりはましなものであるという予感しかなかった。

  • 久しぶりに長編を読んだ。ドキドキワクワクざわざわズキズキ…。でも読んじゃう。これがミゾミゾするってことなのか。
    とにかくいろいろ考えさせられた。自分の中にも少なからずある考えで見ないようにしてたり、蓋をしたりしているものが文章化されるとこんなにも揺さぶられるものなのね。

  • 女同士の友情、男女問わない仲間、女性の期待される役割、など考えさせられました。おもしろかった!
    それとは別に、バターを使った料理がとても美味しそうで、読み終わった日の夕飯は、ベシャメルソースを丁寧にバターと小麦粉から作ってグラタンにしました。
    高級バター、食べてみたいなぁ。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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