BUTTER

著者 :
  • 新潮社
3.48
  • (99)
  • (288)
  • (300)
  • (68)
  • (23)
本棚登録 : 2409
レビュー : 341
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • BUTTER
    読んでみました

    男たちから次々に金を奪った末
    三件の殺害容疑で逮捕された女
    梶井真奈子

    世間を賑わせたのは
    彼女の決して若くも美しくもない容姿だった

    週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は
    梶井への取材を重ねるうち
    欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく

    木嶋佳苗事件がモチーフになったなと
    一目瞭然ですが
    そこからの 柚木風の料理の仕方が
    素晴らしかったと思いました

    ただ単に 木嶋佳苗似の梶井真奈子の
    事件を解明したり
    原因を究明したりしたら
    興ざめかな と思っていましたが

    女性記者・里佳と
    友人 玲子が梶井真奈子を
    解明しようするあまりに
    取り込まれて 自分を見失う様

    ある事件 ある人物に対して
    どうしても違和感 反発 嫌悪を
    押さえられないこと ありますよね

    それが 嫉妬なのか好奇心なのか
    それとも 羨望なのか

    普段蓋をして 底にしまっている
    そんな 自分の感情をみる
    そんな 追体験があります

    里佳と梶井真奈子の
    拘置所でのインタビューのやりとりは
    まさに女の真剣勝負

    濃厚なBUTTERかけ
    醤油ご飯からはじまり
    数々の美食と 
    脂への嫌悪感ぎりぎり
    まさに梶井真奈子に
    ぴったりの食材でした

    ページの密度が濃いのか
    スピードに乗って読んでいるつもりでも
    なかなかページ数が進まなくてびっくりします

    最後が すっきりという
    印象ではないので
    読み終わった後に
    胃もたれ感が残ってしまうのですが

    なんともいえない
    複雑な味のある小説です
    色んなものを粉々に砕いて
    潰して漉した ビスクスープみたい

    とにかく 
    バターラーメンやら
    七面鳥やら
    キャトルカールやら
    美味しいものが
    これでもかっ
    と出てきますので
    なにか 食べながらじゃないと
    読めない小説でした

    しかし バターの売り上げに
    貢献したかどうか・・・
    意外に あっさりしたものばかり
    食べてしまいそうです
    私は 柿ピーたべながら
    読んでました

    気長にゆっくり読むと
    面白かったです

  • バター、買いました。バター醤油ご飯、作って食べました。
    序盤〜中盤は出てくるご飯もシンプルで、梶井が言っていることもシンプルでぐいぐいよめた。怜子が暴走したあたりでだんだんついて行けず、サロンドミユコの料理パートは???ってなってしまった。
    思った以上にボリュームがあった。
    色々な話、色々な角度が入り乱れていて、なかなか混乱するけれど、それでも先が気になって読んでしまった。

  • バターというタイトルに引きずられたようなこってり感、どろっと感のある作品。
    毒を持つ女とその毒に当てられた女と、女とか夫婦とかの生き方在り方に囚われた人たちのお話。
    寒い時期に読んだ方がいい。

    濃厚で朝方まで読み耽ってしまいました。

    2017.10.8

  • 木嶋佳苗をモデルにした作品だし、直木賞候補にもなったしで、期待していたのだが、読み終わってバターの濃厚さだけが残った気がする。ウェストのケーキが食べたい。

    決して若くも美しくもない容姿に、自信に満ち溢れた言動に絡め取られていく様子は、ある種の宗教にも思えてくる。

  • ▼どんなに美しくなっても、仕事で地位を手に入れても、仮にこれから結婚をし子供を産み育てても、この社会は女性にそうたやすく、合格点を与えたりはしない。こうしている今も基準は上がり続け、評価はどんどん尖鋭化する。この不毛なジャッジメントから自由になるためには、どんなに怖くて不安でも、誰かから笑われるのではないかと何度も後ろを振り返ってしまっても、自分で自分を認めるしかないのだ。(p.425)

    単行本で450ページ余りの小説は、読もうと思えば一晩で読めるが、日々の疲労感が強く、数日かけて読んだ。冒頭の数十ページを読んだときには、バターがおいしそうでおいしそうでたまらなかった。仕事帰りの電車で、立って本を読んでいたら、前の席に座っている人がエシレの紙袋を持っていた。(あの中にはバターが…?)と思いながら、バターがこってりと出てくる文章を読んでいた。

    『蜜蜂と遠雷』(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-6004.html)を読んで、文章で音楽を描けることにおどろいたように、食べるもの、口から入れて自分の身になるものを描いていく表現力にまず惹かれた。

    読んでいくうちに、多かれ少なかれ「ジャッジされること」にさらされている女の位置を思い、自分はどうかと振り返り、登場人物の言動にどこかで自分を重ねるところがあった。そういうものに、時にはがんじがらめになってしまう。どうにもこうにも動けない気がしてしまう。そんな経験をしている女がほとんどではないかと思う。

    そんな縛りから自由になるすべは、自分自身のうちにあるのか。風穴を開けるてだては、自分でつかみ取れるのか。

    参考文献の1番にあがっている『毒婦。』(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4449.html)は、5年前に読んでいた。

    柚木麻子『BUTTER』新潮社
    http://amzn.to/2xKxFGG

  • 3人の男を殺した容疑者の女へインタビューを試みる週刊誌記者が、どんどん容疑者の不可思議な話術に嵌っていき変化していきながらも、事件の真相、容疑者のほんとうの姿をあぶりだそうとする物語。

    実際の事件をモチーフに、掘り下げたのは「なぜ男たちを殺したのか」ではなく、「彼女はどういった女だったのか」という部分。魔女のような得体のしれない存在として興味を惹いた彼女を、あくまで生身の一人の女として扱い、彼女がいったい何を考え、そう疑われるに至ったか、を解明していく物語だと、そう感じました。

    さんざん弄ばれた記者が、終盤に至って「可愛いと思った」とぽつりと言うところがありましたが、そこで容疑者の彼女の姿が解明された、ああいろいろ思い悩み苦しみ喜びもするただの一人の「女」だったんだ、という理解に及んだのでした。もっとも、それでも彼女がしたたかすぎる特異なキャラクタの持ち主なのは、間違いないのですが。

    それにしても女の心情を描かせたらドロドロも爽やかも巧い作者だと感心するばかりなのですが、今回は食事の描写も力が入っていてお腹が減るのを感じるばかり。

    いろんな食材にじんわり染み込み姿をなくしつつも、その独特の主張は消えないバター。この世の中で生き抜いていくうえで、そんなバターの持つ「コク」のような存在感を持っていければな、と思ったりもしました。

  • 2013年に捕まった首都圏連続不審死事件という戒名の木島佳苗事件をモチーフにした物語。

    週刊秀明の記者、町田里佳はスクープを連発する敏腕記者。彼女が梶井真奈子の事件を追っていくうちに、梶井の追体験を経験して崇拝していってしまう。しかしそれを止めようと親友の伶子が体を張って突っ走り止めようとする。突っ走るあまり、自分も梶井の罠にはまる。
    その後の取材により、梶井真奈子の心の闇を正確につかめるようになる。
    その心の闇とは、自分が大嫌いな女性と友達になりたいけどなれなかった…という悲しいお話。
    無事に梶井からのインタビューを勝ち取り、連載にこぎつけ、週刊秀明は完売と勢いにのる。
    そこからまた梶井真奈子の復讐が始まり、里佳は他社に逆に嘘を書いた記者として掲載されるという罠にはめられ、記者からとりあえず離れることになる。
    しかし、里佳は諦めることはせず、梶井にできなかった10人前のターキーを焼き決意表明をする。

    小説の中では梶井真奈子は殺人をしたかははっきりしなかった。そこがいいのか悪いのかもやもやとする結末だったけど、とても面白い物語だった。
    物語も色々と完璧に構成されていて、ん?と感じる矛盾が全くなくて、なるほどなるほど。と思えるものだった。
    ひょっとしてこれがこうなって……という期待を見事に裏切り完結していくいい意味の肩透かしを食らって楽しかった。

    重ねて、この作家さんの食の知識が素晴らしい。
    この本を読んでいる時、マネしてバター醤油ライスを食べました。そしてウェストのバタークリームケーキを食べたくなり、新潟のルレクチェも食べてみたくなってしまった。
    困るくらい、おいしそうな物語を書く。

  • 強烈で濃厚だけど緩急までつけてくる、本当にこってりしているけどあっという間に溶けてしまうバターそのものみたいなお話だった。途中でやめられなくて朝方までかかって読み切ってしまった。

    女性という性、社会や人々の目、欲望、寂しさ、見栄、仕事、そういうものはぐちゃぐちゃに混ざって人の中にある。ひとつずつじゃなく。そして他人から影響を受けて考えや行動が変わってしまうからこそリアル。人格をぶれさせずそれを描くってすごいなー。そしてこれを書くという勇気。ものすごいなあ。代表作と言えるのではと思いました。ものすごい。

  • 「人は見たいと思う現実しか見ない」とはガリア戦記でのカエサルの言葉ですが、2000年経ってもこの真実は変わらない。連続殺人犯の梶井真奈子の物語には都合の良い「現実」に溢れている。その中から何を切り取って読者に伝えるのか、週刊誌記者の町田里佳との真剣勝負に親友が割り込み、物語は展開していく。
    それらの時間のかかるプロセスを彩るのが、バターをふんだんに用いた料理の数々と、女性の人間関係を巡る葛藤。筆者は女性の生き難さを様々に挙げつつ、特に男に対してはかなり否定的。登場する五組の夫婦のうち、三組が離婚乃至破綻しているというのは、筆者らしいリアリズムも少し勢い余った感すらある。
    里佳がカジマナの勢いに押され感化される前半から、その正体に辿り着きつつ自らの生き様を見い出す後半へ。ここに共感できるかどうかでこの本の評価が変わってくるのだけれども、個人的には若干の退屈感は否めなかった。小説の終わりに救いなりカタルシスなりを求めるのだとしたら、女性にはともかく、男性には少し苦味が残る。それを筆者らしいリアリズムと感取できるかどうか。

  • BUTTERというだけあって全体的に重かった。心理描写が上手だと思いますが重かった。
    確かに「適量」「家庭的」って何でしょう。いろいろ欲望に正直にする大切さも考えたりしながらどうにか読み終えました。

全341件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

BUTTERのその他の作品

BUTTER Kindle版 BUTTER 柚木麻子

柚木麻子の作品

ツイートする