BUTTER

著者 : 柚木麻子
  • 新潮社 (2017年4月21日発売)
3.46
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  • 本棚登録 :1628
  • レビュー :227
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

作品紹介・あらすじ

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

BUTTERの感想・レビュー・書評

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  • 雑誌記者って職業は大変だ。
    取材対象の半生を調べ、自分がその人になってしまう勢い。
    主人公だけじゃなく、親友も半端ない。
    だけど里佳は殺人こそしないけど、梶井を超えた気がする。

    タイトル通り、とっても濃い内容だった。
    私は本当に美味しいバターを食べた事はあるのだろうか・・・

  • 男性3人を殺害した容疑者・梶井真奈子。
    特別に若くも美しくもない彼女のどこに被害者は引き付けられたのか。
    週刊誌記者・里佳は、カジマナの取材をすることに───

    「バター」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは『ちびくろサンボ』のとらバターです。
    年齢とともに、食べることに抵抗を覚えるようになってしまったけれど、今でもホットケーキには絶対にバター。

    柚木麻子さんが好きで、ほとんどの作品を読んでいますが、
    特に食べ物の描写が、いつも本当に美味しそうで、大好きなのです。
    今回も「エシレバター」と「カルピスバター」は、すぐに買いに走りたくなるほどでした。
    が、しかし、
    濃厚なバターを白いご飯に乗せて醤油を垂らす。
    サッポロ一番の塩ラーメンバターのせ。
    その他にも、これでもか!というほど”濃厚”のオンパレード。

    そして、以前読んだ『ナイルパーチの女子会』で感じたような、
    あの心がざらざらする読後感。

    「食べたくないものは決して食べず、その時食べたいものだけ食べる」
    圧倒的な自己肯定感とともに、自分の本能のおもむくまま生きるカジマナ。
    カジマナのような人には近づきたくないと思っていても、
    いつの間にかその人のペースに巻き込まれ、翻弄されてしまうことってあるのかもしれない。
    決して首肯できるものではないけれど、彼女に巻き込まれたことによって、
    理佳と伶子がそれぞれの呪縛から解放されていくさまが、
    ほんの少し羨ましくも思えました。

  • ここにオンナの一生の全てがある。
    母と娘の、父と娘の、女と女の、そして男と女の、愛と憎。
    子どもの、思春期の、適齢期の、女としての価値とその揺らぎ。
    シングルマザーの、働く女の、子を欲する女の、悩みと迷いと決意。
    その全てを濃厚なバターでくるみ、これでもかこれでもかと突きつけて来る。
    あの、木嶋佳苗の事件があった時、私は何を思ったか。なぜ多くのオトコがあの決して若くも美しくもないひとりの女に溺れ、そして死んでいったのか、と首をかしげたはず。なぜだ?と。
    なぜこんな女に、と。そこに彼女を、そして男たちを見下す視線はなかったか。
    この物語を読んでいる間ずっと、肌を突かず離れずの距離でなでる生温かい手を感じていた。気持ちよくはなく、かといって鳥肌が立つほどでもない、そのざわざわとした得体の知れない居心地の悪さは自分が木嶋がモデルの梶井真奈子にからめとられていく恐怖だったのかもしれない。
    普段、自分のためだけに食事を作る事なんてほどんどない。外に出かける予定のない休日には化粧もせずだらしない時間を過ごしている。
    私も「自分のために」何かをすることを放棄している女のひとりだった。もしもどこかで彼女と出会っていたら、間違いなくその圧倒的肉感的楽観的自己肯定感にひれ伏し、嫌悪しつつも飲み込まれていっただろう。もしかすると彼女から見放されることに恐怖し、ひたすら動かされる駒になっていたかもしれない。そしていつか彼女に興味を示されなくなったとき、この命を落としていたかもしれない。どこかでとどまらなければ、飲み込まれるなと自分を引き止める声を聞きつつ読んだ。おいしそうな料理の数々に恍惚となる、けれどその裏側に人間の恐ろしく弱い業が口を開けて待っている。
    クチから始まりクチで終わる。自分を現実につなぎとめるために今日も私は料理を作り、そして食べる。

  • 柚木さんの本は8冊目。
    ファンの多い作家さんですが…
    これまで読んだ7冊のうち2冊も☆2つを付けている。
    『嘆きの美女』と『ナイルパーチの女子会』
    『ナイルパーチの女子会』は第153会回直木賞候補作。
    王様のブランチで紹介された際、同期の作家である浅井リョウ氏、窪美澄氏らが「柚木麻子がやっと本気を出した」と評していた本。
    でも…、私の好みではなかった。
    途中リタイアした本もある。
    それが『伊藤くん A to Z 』
    最近、岡田将生くん主演で映画化されたばかり。
    なので世間の評判は上々なのだろうが、私はダメだった。

    うすうす柚木麻子さんの本は苦手かも…、と気づいてはいたのだが、帯の「各メディアで大絶賛!!」の文字に引き付けられてしまった。【BUTTER】は2007~2009年に発生した首都圏連続不審死事件、木島香苗をモチーフにしている。
    犯人の木嶋佳苗は2017年最高裁で死刑が確定している。
    この本の主人公は結婚詐欺の上、3人の男性を殺害したとされる梶井真奈子。
    週刊誌の記者である里佳は梶井の獄中インタビューをとるために、彼女の懐に入り込もうと努力するうち、里佳自身が梶井に取り込まれていく。
    この本に出てくる高級”バター”
    知らず知らず、頭の中を占領されていく。
    普段、思ったこともないのに「美味しいバターが食べたい!」と。
    そのタイトルであるバターのように濃厚なこの小説。
    本の内容だけでなく、文字のレイアウトもギッシリ濃厚!
    途中で何度もリタイアしかけたのだが、何とか読み切った。
    でも、しんどかった…

  • タイトルのBUTTERそのままに
    こってりと胸焼けしそうなストーリーがどこまでも続き、
    このまま読んでも読んでも終わらないのではないかと思えてくるほど濃厚な物語でした。
    なぜこんなにも読んでいて胸につかえるのか・・・
    自分の価値すら自分で決められないことにもがく主人公の姿は身に覚えがあるものばかり。
    「~でなければならない」ことばかりがどんどん増えて窮屈になっていく世の中で
    まわりの価値基準に合わせて生きていたら
    自分の「適量」さえも見失ってしまうだろう。

    小説のモデルとなった木嶋佳苗が逮捕された時
    私たちが心穏やかでいられなかったのは
    彼女が犯したとされる犯罪そのものよりも
    自分の容姿や生活を他人の尺度ではかることなく
    自分はそれだけの価値のある美しい女だと揺るぎない自信を見せつけられたからだったのではないか。

    心の中に投げ込まれた小石の波紋が
    読み終わった後いつまでも広がり続けています。

  • 木嶋佳苗をモデルにした連続殺人犯梶井真奈子と、獄中の彼女に人生を狂わされる女性記者、里佳とその友人で妊活に悩む玲子。3人の女性の物語は、読み進めるにつれ濃厚に展開していく。カジマナが愛して止まなかったバターのように。女性として生きていくときに課せられるハードルやレッテル。そんなものに立ち向かう2人を、奔放な獄中の女が翻弄する。「羊たちの沈黙」のような印象。実際の事件を下敷きにしながらも、この小説で語られるのは今を生きる女性たちの生きる息苦しさ。いくつかエピソードが多い気もして、読み進めるのが苦痛なところもあったが、筆致は見事。他の作品も読んでみたい。

  • 濃密、という言葉がぴったりの作品だと思います。
    460ページなので長編としては標準的なページ数だと思いますが、読み終えるのにそれなりに日にちを要しました。
    面白くなかったとかいうわけでは全然なくて、どんどん読み進めるタイプの作品ではなかったからです。
    とにかく主人公を含め、カジマナに翻弄される人たちの心情の揺らぎがリアルで、かつ重い。
    本書は個人と世間体といわれるものとの距離感の取り方もテーマの一つになっていますが、自身の常識、価値観と照らし合わせて読むとより心に響くと思います。
    柚木さんって読者の気持ちをぐらつかせるのがうまいですね。
    個人的には物語中盤、主人公の友人の女性が単身である行動を起こすところが読んでいて一番スリリングで面白かったです。
    ただ、それ以降はやや平板というか、心情の変化という意味では予想を超えるものではなかったかな。
    物語の展開自体はカジマナの復讐があったりしてそれなりに起伏に富んではいるものの、できればもうひと驚きさせて欲しかったと思いました。
    それでもこのテーマを描ききった柚木さんの勇気に敬意を表して、星5つとさせていただきました。

    それと、本書は装丁も素晴らしいですね。表紙の紙質もこれしかない!っていう手触りでGOODです。

  • *結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説*

    とにかく豊潤にして濃厚、まさしくバターそのものの味わい。十重二十重に塗り込められた、圧倒的な世界観。カジマナの揺るぎない信念にぐいぐい引き込まれ、呑み込まれてしまう里佳と同化しながら落ちていく感覚。男女平等と声高に主張する女を否定し、「男を支えケアして癒すことが女の使命」と言い切るカジマナよ、あっぱれの一言です。数々の選ばれし料理の描写、爽快さと脱力感が同居する読後感含め、全てが絶妙に味付けされた、素晴らしく美味なる傑作。

  • 結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。30代の女性記者・里佳は梶井への取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に翻弄されるようになっていく…。

    あの木嶋佳苗の内面、人物像にどう迫るのか期待して読み始めたけれど、力が入った描写はバターを使った料理ばかりで肩透かし。ストーリーも蛇行気味で途中から斜め読みした。
    (Ⅾ)

    • g2altさん
      同感です。デブにちょっとだけ興味がわいただけでした
      2017/12/19
  • 柚木麻子 と 柚月裕子 がいつもごっちゃになってしまう・・・
    柚木麻子というと、アッコちゃんシリーズの印象が強くて、マンガ的なキャラでご都合よく事が運んで、さくさく読めて楽しく軽いイメージ。

    しかし、BUTTER はなんだかすごくこってりと重すぎる。内容も文章も重すぎて、なかなか進まなかったです。
    食べ物の表現は素晴らしかったけれど、
    お話は、う~ん、よく分からないなぁ。
    連続殺人事件犯の深層を探る話なのか、友人の無茶な行動の話なのか、主人公の成長話なのか?
    3つの話がうまくまとまってなくて、結局???って感じ。

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