悟浄出立

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 282
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103360117

感想・レビュー・書評

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  • 想像していたお話とは、全く違いましたが、それなりにおもしろかったです。もっと、歴史に詳しければもっとおもしろく読めたのにと思いました。

  • 中国古代史のサブストーリ的な短編集。どれも本編時代は壮大だが、(たとえば、西遊記や三国志等)その、あまり重要ではない一シーンを丁寧に掘り下げて書いている感じ。もともと中国古代史の本も結構よんでいたので、特に面白く感じた。
    食いしん坊で役立たずな八戒の意外な過去だったり、趙雲の胸に積もる鬱積が遠く離れた故郷にあったり(やっぱり諸葛亮はすごい洞察力をもっていたり)、司馬遼太郎の短編集を読んでいるような気分になりました。
    万城目さん、大分作風が変わったように思います。このテイストのものを是非今後も出してもらいたい。

  • 月並みな言葉で言ってしまうと、万城目学の新境地!?
    という物語である。
    本書の舞台は京都でも奈良でも大阪でもなく、当然のことながらホルモーも鹿男もトヨトミのお姫様も出てこない。
    これまでの著者の作風がどちらかというと現実と想像の世界が奇妙に折り重なった舞台で、奇想天外、奇妙なキャラクターが織りなす喜劇的要素が強かったのに対して、本書の舞台は中国の古典である。

    しかも、中国古典の主人公の物語では無く、脇役として登場しているキャラクターが主役を張った今風に言うとスピンオフ作品ということになる。

    本書に綴られた物語は以下の五編。

    ・悟浄出立
    ・趙雲西行
    ・虞姫寂静
    ・法家孤憤
    ・父司馬遷

    西遊記の悟空ではなく、第三者的に傍観者の沙悟浄。
    三国志の桃園の誓いを結んだ劉備、関羽、張飛に次ぐ立ち位置の趙雲。
    項羽と劉邦の両雄ではなく、項羽最後の四面楚歌の場面における虞美人。
    法による中華統一を図る秦王暗殺を謀った荊軻と同音名を持つ京科。
    後に『史記』の作者として歴史に名を残す前の、宮刑を命じられた父司馬遷の娘、榮。

    どれもこれもが静かにしかしふつふつと熱情が滲み出てきそうなところで物語がいったん幕を引く感じだ。
    短編ということがあるからかもしれないが、このあるシーンを切り取った1枚の写真が語りかけてくるような物語というモノが、レイモンド・カーヴァーの短編を読んでいるときのような気分になった。

    けして名を知られるような主人公ではない人々にも、それぞれが自分の物語の主人公であるべく生きている姿が、静かで悲しくはあれど清々しい。

  • ドタバタのなが〜い話をよく書いているイメージがあったけれど、これはもっとストレートな短編歴史小説。1編目よりも2編目、2編目よりも3編目、と読み進めれば進めるほど軽さが抜けて行く感じ。従来の万城目ファンには不満が残る作品かもしれないけれど、僕はこっちの方が断然好み。このままどんどん本格派の方向にシフトしていってほしい。

  • 装丁が素敵です。
    短編集。わたしは「悟浄出立」と「虞姫寂静」が特に好きでしたが、どれも本編を知っていたらより楽しめそう。楽しむというか、味わえそう。これまでの長編に比べたらとても静かな落ち着いた雰囲気です。面白かったです。

  • 中国史や漢文は学校の授業で習った程度なので、少々入り込みづらい所もあった。もう少し詳しくなれば楽しめただろうと思う。その中で良かった話は、西遊記の話、父司馬遷の話である。西遊記の話は(ドラマは見たかどうか定かでないですが)すらすらと読めてしまった。脳内に中国の広大な風景が浮かび、旅の世界に入った気分になった。西遊記を別の角度から見れ、この作品を読んだおかげで身近になったと思う。父司馬遷の話は読後、しんみりとした気分。悲しげな余韻を残す終わり方なので、いつもの作風と違って新鮮味があり、良かった。

  • 短篇集。西遊記の沙悟浄や、項羽と劉邦の虞姫や、司馬遷の娘など、中心から少し外れた人物を主人公に、喪失感や郷愁が静かに語られる。
    史実から大幅には外れていないためか、「ほるもー」などこれまでの小説のように想像力が飛躍していくような内容ではないがやはり文章がべらぼうにうまいのがよく分かる内容。

  • よかった編
    「虞姫寂静」…最後に彼女が取り戻したかったものって何だろうなーと思う。「愛」「誇り」「彼の心」…どれも当たっているようでそれだけじゃ言い足りない感じがする。こういう情感の話は好き。

    もの足りなかった編
    残り4作。決して悪くはない。分かりやすい感動がない分もっと年をとって家族を持ったりすれば、後からずっしり来る話なのは分かる。でも原典と中島敦が分かってないと面白さ半減なんじゃないかと。酸いも甘いもな玄人向けかなあ。

    総評
    バカバカしさゼロ。湖にできた水紋をなぞるような静けさ。とっぴんぱらりの時も思ったけど、このままシリアス路線にいっちゃうのかな。いいんだけど次は笑顔になれる文章がいいなと思う。

  • これは好きな本。
    西遊記はわたしのすきな話だけど、前に読んだ訳のイメージと近い話かな。
    悟空ひとりなら物語にならないくらい話は簡単なのに、お師匠と連れのせいでいつも悟空が苦労する、とゆうのがわたしのなかの西遊記の印象。
    とくに八戒には笑った。
    お師匠はほんとにひどい。悟空かわいそう!と思ってた。
    悟浄出立は万城目さんの解釈だけど、本編に組み入れたいくらいなんか納得した。
    趙雲西行は、なぜこれをとゆう気もする。
    きっと趙雲好きなんだろな。
    三国志って、たいてい、誰が好き!?みたいな話になる笑
    阿呆とゆう点では劉備と張飛抜きん出てるけど、わたし関羽かなあ。
    曹操も割と好き。
    虞姫寂静は、あまりその辺の物語をよく知らないのだけど、これはけっこうぐっとくる。
    潔さとか物悲しさとか、短編だけにつよく残る感じ。
    美しさと哀しさは比例する。
    法家孤憤は、おそらく燕人刺奏からの発展だけど、この物語を全然知らない。
    調べてみよう。
    法治の苛烈さと滑稽さとゆうのは、十二国記なんかでも語られてたけど、みんなの正義なんて存在しないのだから難しい。法なくして国家はないけど、それだけでは人は立ち行かず。
    からの、父司馬遷。
    栄が父を叱咤するところははっとした。
    前編を受けての、ってところあるよね。
    意思を貫くことはいつでも孤独。
    周りからなんと思われても、自分の正義を守れるかとゆうと、本当にそれは辛く過酷なものだろうな。
    でも合理じゃないことでも、それが大切なことだって時もあるんだろうね。

    例によって返却期限の都合もあるけど二晩で読めるくらい、全編面白かった。
    万城目さんはどんどん面白い話を書くようになるなぁ。

  • 人間と言う生き物が変化する存在である

    好きな道を行けよ少し遠回りしたってまた戻ればいいんだ

    父司馬遷

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著者プロフィール

1976年大阪府生まれ。京都大卒。2006年ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『とっぴんぱらりの風太郎』『悟浄出立』が直木賞候補になる。他の著書に『ホルモー六景』『偉大なる、しゅららぼん』など。

「2016年 『バベル九朔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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