忘却のレーテ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 99
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103360315

作品紹介・あらすじ

ここは、どこ? どうして、私はここにいるの? ――「レーテ」。それは、何? 会った人、食べた物、殺人。「昨日」のすべてを忘れさせる記憶消去薬「レーテ」。実用化に向けて最後の実験が、開発者指揮のもと始まった。だが、集められた被験者たちは、ひとりまたひとりと……。スパイ、殺し屋、天才科学者。交錯する意図。その施設では、いったい何が起こっているのか? クローズド・サークル・サスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 目の前で両親が亡くなって以来「死」を想起するものに触れるとトラウマで身体症状が起きる様になった唯。そんな彼女が特定の記憶を消す事が出来る新薬「レーテ」の7日間に渡る臨床実験に参加する事になる。実験の最中には様々な唯のトラウマを発現させる事件が起きるが次の日にはそれを忘れてしまっている。果たして実験の目的は?読んでいると色々違和感満載で途中で投げだそうかと思ったけど、最終的に明かされる真実まで辿り着くと成る程!となり評価が変わった。しかし丁寧な仕掛けで好みのはずなんだが辛かったのは設定のせいか文章のせいか。

  • 記憶を消す忘却薬レーテの臨床実験に参加した少女が殺人事件に巻き込まれる。一日ごとに記憶がリセットする設定がスパイスとして効いており、著者特有の不条理感に付け加えて、本作では不安感という確証の無さが読者に襲いかかる。キャラクターも、天才博士や謎の美人の殺し屋、新聞記者を演じるスパイ、一日ごとに入れ替わる執事など、一癖も二癖もある人物が多く、さながらサスペンス映画のような面白さがある。ただ、この手の記憶喪失系ミステリは『メメント』など数は多く、それらを知っていればオチは大体が予想がつくだろう。主人公の両親を殺した人間の正体も、伏線にはすぐに気づいたし、入れ替わる執事や死んだはずの人間が蘇るなどの多くの謎の真相が、単なる記憶喪失を信じ込ますという理由付けにしかなっていなかったのが非常に惜しい。騙す謎ではなく、隠されているだけの謎というのは読み手にとってはかなり賛否両論であろう。謎は明かされただけではダメで、やはりそれによる変化が大事だと痛感した次第である。文章は相変わらず透明感があり、捻ったギャグの描写や、やや大仰な言い回しなどが違和感なく溶け込んでいるのはこの作者ならではだろう。

  • 2018.11.30読了

  • ラストを読めば納得だけど、実験シーンがかったるくてしょうがなかった。

  • 忘れる基準がわからない。一定期間の記憶を失うのはわかるけど特定の事柄だけの記憶をなくすって…。あ、でも催眠術のショーでその手のあるか。その言葉だけ出てこないみたいなの。

  • 読み終えた直後は「おぉすごい」と思ったのだけど。半日ほど時間をおいてみると細かいご都合主義が気になってくる。フィクションと割り切って結末だけを求める人ならいいけど、明日は我が身なスリルを期待しているならお勧めしない。

  • すっきりしない終わり方…でした。
    薬の製造理由や登場人物の心情などなんとなく理解は出来るけどこんなものなのか?と思ってしまうかんじで、感情移入は出来なかったです。
    でもこの理解出来ない心情が人間のシンプルな感情なのかもしれないなと思いました。

  • 一日だけの記憶をクリアにする薬レーテを開発した小野寺エリス.その実験に駆り出された笹木唯や数人が被る奇妙な体験の物語だが、なんとも妙な感じだ.唯は直前に父母が事故で死亡し、それがトラウマになり「死」に対して異常な反応を起こすようになった.最後に実験の背景やエリスがこの薬を開発した動機が語られるが、メビウスの輪を思い出した.

  • この作家さんはこういうの得意で上手だ。
    ぐるぐるしました。

  • 読んでいるととにかく違和感がつきまとう。読み終わるとそれが伏線であったことがわかる。すでに洋画で似たようなカラクリ(設定)の物語があったが、これはこれで良くできている。しかし違和感はそれだけではなく、やはり文章力にある。もともと同じ日が繰り返すという設定だけに同じ描写が繰り返されるのは仕方ないが、あまりにもそれが頻出するので飽きてくる。キャラもどれもあいまいだし、あまりに現実感が希薄すぎる。隔離された環境、一日ごとに失われる記憶、被験者の死亡、とつかみはいいだけにもう少し脚色がしっかり出来ていればスゴク面白くなっただろうに。これは映画化したらうまく脚本段階で着色できれば面白い一作になるだろうな。

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著者プロフィール

1982年、静岡県生まれ。『バイロケーション』で第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。

「2010年 『バイロケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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