機巧のイヴ

著者 :
  • 新潮社
3.63
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本棚登録 : 194
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103361916

作品紹介・あらすじ

あの婀娜な身体が、秘術を尽した機巧だとでも!? ドンデン連発の格ミステリー! 十三層の巨大楼閣に君臨するという噂の遊女・伊武。千年の秘術を求めて彼女を追う幕府配下の機巧師・釘宮久蔵。遷宮と幕府転覆計画の帰趨を見定めつつ、目も綾な衣裳の下匂い立つ肌の奥で回転を続ける、精緻な歯車の心臓部へと探索は進んでゆく――。連載当初から話題をさらった、エロスの薫る長篇時代ミステリー小説!

感想・レビュー・書評

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  • 初読みの作家さん。時代小説とファンタジーと恋愛小説の融合というか、なんとも不思議な味付けです。

    5つの連作短編集。1話目『機巧のイヴ』でのっけからやられてしまった。まさかこんなどんでん返しがあるとは・・・。単なるどんでん返しに留まらず、スゴく切なさが残る余韻です。
    1話目で読者を引き付けて、どんどんその背景を表していきます。
    正直、今の時代とは異なる時代設定なので、言葉や描写でわかりづらいところもありましたが、面白い作品ということはわかりましたf^_^;

    とにかくラストが秀逸で、素晴らしい作品に出会えたと、気持ち良い余韻に浸れます。

    • chie0305さん
      ひとしさん、読み終えたんですね。
      確かに、難しい言葉が沢山出てきましたよね。でも、この本好きです!

      ごめんなさい、言葉足らず。夫は転...
      ひとしさん、読み終えたんですね。
      確かに、難しい言葉が沢山出てきましたよね。でも、この本好きです!

      ごめんなさい、言葉足らず。夫は転勤族なんです。家を買って引っ越しが面倒になり…。トータルで8年位は単身赴任してもらってます。本社、横浜なんですけどね。一人で子育てっていうのは当たってるかも?(子供が)入院したり、不登校になったり、大変な時にいつもいなかったので!
      それより、やっと木曜日ですね♪
      2017/12/07
  • とんでもない作品だった。
    これだけの世界観を作り上げた作者に脱帽……

    人に薦められなければ知らなかった本作。
    こんなにすごい小説なのに、この作品を語る人が少ないことに出版界の落ち込みを感じてしまう。
    本来ならこういう作品こそ、本屋大賞に名前が挙がるべきなのではないだろうか。一体、書店員の方々は何を読んでいるのだろうか……

    時代小説とSF小説を掛け合わせた、サイバー時代小説とでも言えばよいだろうか。
    架空の時代と世界の中で、一人の機巧師(自動人形師)の数奇な運命を描いた連作短編集。

    最初の一編からすでにどんでん返し。
    『完全なる首長竜の日』で見せたミステリー作家としての手腕で、いきなり驚かせられる。そしてそこから物語が大きなうねりを見せる。

    最後までこの独特の世界に夢を見させてもらった。

  • 機巧のイヴ
    箱の中のヘラクレス
    神代のテセウス
    制外のジェペット
    終天のプシュケー


    乾さんの作品好きだと改めて思った。『完全なる~』も良かったけど、この話も圧倒された。時代もの(でもSF要素あり)なので言葉や時代背景が難しかった。。。


    めくるめく歯車世界観。酩酊感。美しい万華鏡をのぞいていたら、いつの間にか自分が万華鏡の中にいました、みたいな雰囲気が好き。


    機巧人形(オートマタ)。闘蟋(とうしつ。闘う蟋蟀。薬水虫)。機巧蟋蟀。遊女・伊武(いゔ)。幕府精煉方手伝・釘宮久蔵。「神代の神器」。天帝陵。



    機巧人形に限らず…『魂』『心』『生』とは何なのか。どこからやってきて、どこに宿るのか…。年を取らない永遠の命を宿す機巧人形と年を重ねて老いゆく人の姿がうまく描かれていました。


    密室に閉じ込められた「神代の神器」の永遠のような孤独。唯一、孤独を共にしたのが<鳶梅>。その<鳶梅>を探し求めて誤って踏んでしまう場面では、思わず涙があふれ出てしまいました。


    どの話も好きだけど…一番は「箱の中のヘラクレス」でした。ヘラクレスとイヴ二人でしあわせになれると願ってしまいました。「機巧のイヴ」は混乱して思わず二度読み。二度読みしても頭がぐるぐるになった。


    最後は畳み掛けるかのようにサーッと終わってしまったので、もっとこの世界観に浸っていたかった…と思った。乾作品好きです。



    「ブラックマジックM-66」「銀河鉄道999」「アップルシード」や「攻殻機動隊」、「からくりサーカス」(「しろがね」とか「あるるかん」)を思い出しちゃいました♪「からくりサーカス」最初から読みたくなる。

  • 江戸時代の日本に少し似たような世界観。
    人間そっくりの機巧人形が存在している世界で、伊武と甚内の関係が好ましかった。
    様々な事件や思惑が暗躍して伊武を創った釘宮久蔵は死んでしまうが、死ぬ間際に天帝の機巧人形の修繕を甚内と共にやり遂げて、少しは報われたと思った。
    甚内を拷問した梅川喜八が神器の機巧人形によって殺されて、甚内はほっとしたと思う。
    人形とは、人間の心とは、を問う物語だった。
    伊武のお百度参りが叶うといいな。

  • パラレルワールドな江戸時代を舞台にした和製スチームパンク。っちゅうても蒸気機関は出てこないな、あっ風呂屋が結構重要な舞台となるのでええか(笑

    一番最初に掲載されている表題作がなんせ素晴らしい。SF短編として秀逸でこれがあまりに素晴らしいから世界感を踏襲して、残りの4作品が書かれたって感じを受けた。ってことで、所謂短編集という感じではなく5章だての長編として考えた方が良い感じ。実際表題作以外は短編としては(説明不足という意味で)独立して読むには弱いと思う。

    といってもそれは欠点ではなく(少々のダレ感は否定しないが)ページを繰るごとに、伏線や謎や背景が見えてきて、活劇シーンだけでも前半と後半では視野が違うという味の変化を楽しめる。この広がり感は実におもろい。

    風呂敷を広げすぎず、程よいところで収束させてるのも良い。続編はあっても良いと思うけど、本作で続編をあからさまに予感させるような下品さがないのも良い。イブがこれまた随分と可愛くて、荒んだシーンの後でもほっとできたり。その辺のさじ加減は実に上手いなぁ。

    似たような作風の「黄金機械」も良かったが、こっちの方がヒロインロボット(笑)の可愛さも含めて一枚上手だと思った。乾緑郎、要注意やな。

  • 時代設定は江戸時代辺りと違うけれど、攻殻機動隊が好きな人には気に入る内容だと思います。ストーリーの逆転、隠密、転換が起きるので自分は二度読みました。ぜひ続編が出ることを期待している満足の一冊です。

  • 久しぶりの再読。やはり面白い。
    時代物とSFの融合。江戸時代をモデルにしたパラレルワールド。
    ロボットでもAIでもなく機巧(からくり)。ここまで精密に作られるのか、動けるのかと思うほど精巧な機巧人形。
    政争に陰謀に諜報に長年隠されてきた秘密。
    機巧人形といってもそれぞれに性格が違うのが面白い。
    イヴの願いがいつか叶うと良いけれど、それには甚内の腕も上げなければならないし、後継者も必要だし。
    そのうち機巧師の機巧人形なんてのを生み出すことも必要かも。
    五話それぞれにオチがあり、また五話に連なる本筋が見えてくるのも楽しかった。
    こういうタイプの作品をまた読みたい。

  •  この機巧に命がないというのなら、では命とは何を指すのかと逆に問いたくなるような、妙な気持ちに仁左衛門は囚われた。
     人の形に宿った命とは、どこからやってきたものなのか。
    (P.30)

     人の形をした命の宿らぬものと、命が宿っているだけのただの四角い箱。
     面白い組み合わせだが、例えば自分なら、どちらも愛することはできぬと久蔵は思った。
     そこでふと気がついた。すると人は、人を愛する時、形でも命でもない、別の何かを愛しているということになる。
     だが、それが何なのか、久蔵は思い浮かばなかった。
    (P.87)

     命が宿らぬにも拘わらず……いや、命が宿らぬからこその美しさなのだろうか。老いることもなく、またその形を失うこともない、侵すことのできぬ美しさのようなものが、そこにあるような気がした。
    (P.233)

    「頭でっかちなだけの他の弟子たちとは違い、お主の手には機巧を産み出す技と心が宿っている。これは希有なことだ。知識は嘘をつくが、技は嘘をつかぬ。神は手の中に宿ると思え」
    (P.247)

  • 機巧人形といえばミルハウザー(私的に)。確かそんな物語があったような。まぁまぁありがちだが、実権を握る公儀と象徴としての天皇という江戸時代っぽい時代背景と、機巧人形をめぐる謎がかみ合ってさらさらっと読めた。エンタメ小説なんだけど、ときどき、ロボットものならではの問い=心とは何か、人間とは何か、生とは何か、が差し込まれてくるので、何だか引っかかる。特に心に残ったのは、相撲取りが腰掛け(じゃないんですが)になってしまう「箱の中のヘラクレス」。出てくるたびに、天徳さんは幸せなのかなぁと思って胸が詰まる。最後の「終天のプシュケー」はイマイチでした。

  • 完全なる首長竜の日、忍び外伝等、素敵な作品に続き、本作も楽しませてもらいました。
    イヴが伊武で、創生の女人であり、永遠の美として話を回す展開がワクワクさせてくれました。
    読んでみてよと薦められる作品です。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。2010年『忍び外伝』で第2回朝日時代小説大賞、『完全なる首長竜の日』で第9回『このミステリーがすごい』」大賞を受賞し、デビュー。2013年『忍び秘伝』が第15回大藪春彦賞候補となる。他の著書に「鷹野鍼灸院の事件簿」シリーズ、『海鳥の眠るホテル』『機巧のイヴ』『思い出は満たされないまま』『ライプツィヒの犬』など。

「2017年 『決戦!賤ヶ岳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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