機巧のイヴ

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  • 新潮社 (2014年8月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784103361916

みんなの感想まとめ

テーマは、機巧人形と人間の存在意義や孤独を描いた物語で、独特の世界観が魅力です。作品は、時代背景にSF要素を取り入れた連作短編集で、それぞれの物語が深い感情を呼び起こします。特に「機巧のイヴ」では、予...

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの再読。やはり面白い。
    時代物とSFの融合。江戸時代をモデルにしたパラレルワールド。
    ロボットでもAIでもなく機巧(からくり)。ここまで精密に作られるのか、動けるのかと思うほど精巧な機巧人形。
    政争に陰謀に諜報に長年隠されてきた秘密。
    機巧人形といってもそれぞれに性格が違うのが面白い。
    イヴの願いがいつか叶うと良いけれど、それには甚内の腕も上げなければならないし、後継者も必要だし。
    そのうち機巧師の機巧人形なんてのを生み出すことも必要かも。
    五話それぞれにオチがあり、また五話に連なる本筋が見えてくるのも楽しかった。
    こういうタイプの作品をまた読みたい。

  • 初読みの作家さん。時代小説とファンタジーと恋愛小説の融合というか、なんとも不思議な味付けです。

    5つの連作短編集。1話目『機巧のイヴ』でのっけからやられてしまった。まさかこんなどんでん返しがあるとは・・・。単なるどんでん返しに留まらず、スゴく切なさが残る余韻です。
    1話目で読者を引き付けて、どんどんその背景を表していきます。
    正直、今の時代とは異なる時代設定なので、言葉や描写でわかりづらいところもありましたが、面白い作品ということはわかりましたf^_^;

    とにかくラストが秀逸で、素晴らしい作品に出会えたと、気持ち良い余韻に浸れます。

    • chie0305さん
      ひとしさん、読み終えたんですね。
      確かに、難しい言葉が沢山出てきましたよね。でも、この本好きです!

      ごめんなさい、言葉足らず。夫は転...
      ひとしさん、読み終えたんですね。
      確かに、難しい言葉が沢山出てきましたよね。でも、この本好きです!

      ごめんなさい、言葉足らず。夫は転勤族なんです。家を買って引っ越しが面倒になり…。トータルで8年位は単身赴任してもらってます。本社、横浜なんですけどね。一人で子育てっていうのは当たってるかも?(子供が)入院したり、不登校になったり、大変な時にいつもいなかったので!
      それより、やっと木曜日ですね♪
      2017/12/07
  • 江戸時代の日本に少し似たような世界観。
    人間そっくりの機巧人形が存在している世界で、伊武と甚内の関係が好ましかった。
    様々な事件や思惑が暗躍して伊武を創った釘宮久蔵は死んでしまうが、死ぬ間際に天帝の機巧人形の修繕を甚内と共にやり遂げて、少しは報われたと思った。
    甚内を拷問した梅川喜八が神器の機巧人形によって殺されて、甚内はほっとしたと思う。
    人形とは、人間の心とは、を問う物語だった。
    伊武のお百度参りが叶うといいな。

  • パラレルワールドな江戸時代を舞台にした和製スチームパンク。っちゅうても蒸気機関は出てこないな、あっ風呂屋が結構重要な舞台となるのでええか(笑

    一番最初に掲載されている表題作がなんせ素晴らしい。SF短編として秀逸でこれがあまりに素晴らしいから世界感を踏襲して、残りの4作品が書かれたって感じを受けた。ってことで、所謂短編集という感じではなく5章だての長編として考えた方が良い感じ。実際表題作以外は短編としては(説明不足という意味で)独立して読むには弱いと思う。

    といってもそれは欠点ではなく(少々のダレ感は否定しないが)ページを繰るごとに、伏線や謎や背景が見えてきて、活劇シーンだけでも前半と後半では視野が違うという味の変化を楽しめる。この広がり感は実におもろい。

    風呂敷を広げすぎず、程よいところで収束させてるのも良い。続編はあっても良いと思うけど、本作で続編をあからさまに予感させるような下品さがないのも良い。イブがこれまた随分と可愛くて、荒んだシーンの後でもほっとできたり。その辺のさじ加減は実に上手いなぁ。

    似たような作風の「黄金機械」も良かったが、こっちの方がヒロインロボット(笑)の可愛さも含めて一枚上手だと思った。乾緑郎、要注意やな。

  • 時代設定は江戸時代辺りと違うけれど、攻殻機動隊が好きな人には気に入る内容だと思います。ストーリーの逆転、隠密、転換が起きるので自分は二度読みました。ぜひ続編が出ることを期待している満足の一冊です。

  • 2021.02.03 図書館

  •  この機巧に命がないというのなら、では命とは何を指すのかと逆に問いたくなるような、妙な気持ちに仁左衛門は囚われた。
     人の形に宿った命とは、どこからやってきたものなのか。
    (P.30)

     人の形をした命の宿らぬものと、命が宿っているだけのただの四角い箱。
     面白い組み合わせだが、例えば自分なら、どちらも愛することはできぬと久蔵は思った。
     そこでふと気がついた。すると人は、人を愛する時、形でも命でもない、別の何かを愛しているということになる。
     だが、それが何なのか、久蔵は思い浮かばなかった。
    (P.87)

     命が宿らぬにも拘わらず……いや、命が宿らぬからこその美しさなのだろうか。老いることもなく、またその形を失うこともない、侵すことのできぬ美しさのようなものが、そこにあるような気がした。
    (P.233)

    「頭でっかちなだけの他の弟子たちとは違い、お主の手には機巧を産み出す技と心が宿っている。これは希有なことだ。知識は嘘をつくが、技は嘘をつかぬ。神は手の中に宿ると思え」
    (P.247)

  • 機巧人形といえばミルハウザー(私的に)。確かそんな物語があったような。まぁまぁありがちだが、実権を握る公儀と象徴としての天皇という江戸時代っぽい時代背景と、機巧人形をめぐる謎がかみ合ってさらさらっと読めた。エンタメ小説なんだけど、ときどき、ロボットものならではの問い=心とは何か、人間とは何か、生とは何か、が差し込まれてくるので、何だか引っかかる。特に心に残ったのは、相撲取りが腰掛け(じゃないんですが)になってしまう「箱の中のヘラクレス」。出てくるたびに、天徳さんは幸せなのかなぁと思って胸が詰まる。最後の「終天のプシュケー」はイマイチでした。

  • 完全なる首長竜の日、忍び外伝等、素敵な作品に続き、本作も楽しませてもらいました。
    イヴが伊武で、創生の女人であり、永遠の美として話を回す展開がワクワクさせてくれました。
    読んでみてよと薦められる作品です。

  • ふむ

  • 時代SF小説、とでも表現すればよいのか。

    時代劇の世界にオートマタといったSF要素を取り入れた作品。

    短編集だが、全ての話は繋がり合い、ひとつの長編となる。

    面白い。最後まで楽しんだ。

    もし続きがあるなら、積極的に読みたいと思う。

    星は4.0くらいか。

  • 期限4/25

  • ああ~~~~カラクリ式美女・・・なるほど・・・

  • 江戸時代風の世界で精密に作成された機巧(オートマタ)の女。ヒトとモノとの境界はなんなのか…。特殊設定の世界がしっくりと馴染み惹きこまれて読み進めました。分類としてはSFのような気がしますが、一話目はミステリとしても凄く良くできていて、ラストもとても綺麗です。その後は登場人物たちの過去やその後に触れながら連作の形になっていて、最終話のラストは一話目のラストとは違った意味で安心して読み終えられました。ちょっとしたラブストーリーでもありますね。内容も印象深く長く残りそうです。楽しみました。

  • 機巧の伊武を巡る短編集。第1話には度肝を抜かれたが、2話目以降は予定調和を越えられなかった。機巧の心はどこから来るのか?それでは人の心はどこから来るのか?人間だってしょせんは自然の機巧ではないか。いったいどこが違うというのか。これをテーマだと思えば、深淵な作品なのだが。話が入り組みすぎているのと、神業が簡単に継承されすぎなことにに少し冷めてしまった。
    第1話だけなら大傑作。

  •  サイバーパンクの定義はよくわからないが、個人的には「過剰な技術」と「過剰な欲望」が必須である。
     「機巧の〜」人間と見紛うほどの精巧な機械人形を作れる「過剰な技術」のある江戸時代があったとしたら?との設定での中編5本である。

     主人公の伊武(イヴ)とその製作者・釘宮を中心に展開していく。
     日本の治世を揺るがす秘密が釘宮の過去と伊武に隠されており、忍びも出てきて、アクションシーンもちゃんとある。
     さいごは、ピグマリオン的(自分の彫った彫刻に恋をする)な結末となる。

     江戸時代のからくり人形は字を書いたり、弓を放ったりと精巧にできている。
     この場合の「精巧」とは機能としての意味合いも大きいが、過剰に洗練されたそれらは「よくぞこんなに無駄なことに労力を!」という驚きである。

     この話の一つのギミックとして、「闘蟀(とうしつ):オスの蟋蟀同士を戦わせる」が出てくる。単なる賭け事としてではなく、藩同士のメンツをかけた闘技にまで発展している。
     蟋蟀は基本、1年しか生きず、強いものを選別するために城下から何千というコオロギを捕まえて選別する。
     これもまた、文化という名の「過剰な洗練」である。

     感想としては、エンターテイメントとしてアレコレ盛り込んだ筋も素敵だが、そこかしこにある背景としての江戸時代の「過剰な文化」が面白かった。
     ことしの「佳作」。

  • まあ面白かったけどテクノロジーの説明が何もない

  • 時代小説とSFが混じりあったような不思議な雰囲気の世界観を感じる。神話をベースにしたサブタイトルも興味を引き立てる。

  • 江戸時代を模した時代設定。
    確かに江戸期は和算などが発達し、からくり人形など精緻な工作物も多く作られた。
    だから本書の設定はありえないほど突飛なものではないのだ。

    本書はイヴ、ヘラクレス、テセウス、ジュペット、プシュケーと、時代小説風なのに、神話を組み合わせた副題がつけられている。
    これだけでワクワクが止まらない。

    イヴの章では、遊女に似せた機巧人形を作って欲しいと、任左衛門と言う侍が久蔵に依頼しに来る。
    「人の形に宿った命とは、どこからやってきたものなのか」
    命を生み出し、命を見送った私はここで立ち止まった。
    この子たちと、あの子は、どこからきて、どこへ行ってしまったのか、と。
    当たり前のように話し、動き、笑っている人の心は、どこから生み出されているのだろう?

    物語は連作になっており、全ての話が一つの終わりに向けて進んでいく。
    魂を与えているものはなんなのか。
    からくりと人の違いは何か。
    AIと人、そんな最近の課題のようでいて、実はずっと昔から答えを出せないでいる謎。
    これからはAIが、人の代わりを務めることもあるだろう。
    ものに心は宿るのか。
    ものと人とを分けているものとはなんなのか。
    SF、ミステリーという形をとりながら、本書は哲学的な問いを読者に投げかけて来る。

  • 機械人形のお話。
    江戸っぽい時代の世界なのに技術は先んじていて、雰囲気というか、世界観がすごく好き。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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