- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103362128
作品紹介・あらすじ
この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。
感想・レビュー・書評
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6篇からなる短編集。各短篇は独立したものだが、科学的な話題(理解は難しくない)が編み込まれている。①月②雪の結晶③化石④地球温暖化⑤素粒子⑥火山。「アンモナイトの探し方」が良かった。「わかるための鍵は常に、わからないことの中にある。」、「科学に限らず、うまくいくことだけを選んでいけるほど、物事は単純ではない。まずは手を動かすことだ。」
『宙わたる教室』が良かった(ドラマも良かった)ので、手に取りました。著者特有?の科学的な話題についていけるか心配でしたが、問題なかったです。著者の新作『藍を継ぐ海』が第172回直木賞(2024年下期)候補になりました。おめでとう御座います。 -
作者の初読。
月まで3キロ?と当初SF系?とか思って躊躇っておりました。本屋さんが理系作者と前面に推しており、私も数学と理科が昔大好きだったので、興味持ち購入!
読みやすい!!
6つの短編集で全てに科学的な要素が含まれており、なんか新鮮でした。
どのお話も冒頭読んでる時の予想と最後終わる時の読後感に差があり面白い!!
最後の話は、不倫?なに?なんて思わされてたけど、全然違ったしー。笑
短編集って、割と、「あら、ここで終わりかあ、へえ〜」みたいななんか物足りないなと思う事が私は多いのですが、こちらの作品は全然違いますね★
もう一回読みたくなる^^期間空けてまた読もう。
さかえ食堂の日替わり定食食べたい!笑 -
初読みの作者なんですが理系を鼻にかけた感じが気になる短編集でした。なにかと科学的なうんちくがでてきますがどれも借り物の知識のようでブルーバックス読んだ方がためになる気がしました。
浜松のうなぎ屋で豪華2段のうな重を食べたのに鰻にあたって食べきれず店を出てしまうなんてもうこのストーリーは破綻してるし、勘繰られてなにかと月のウンチクを語るタクシードライバーの知識に関心したのですが、「月まで3キロ」のオチが科学とは言い難い内容だったのでガッカリでしたが、ストリートビューで探したら確かにこの標識があって感動しましたけど。
命拾いしたからまあいいかなって内容ですが浜松の有名うなぎ店「くろかわ」が実在するのかのほうが重要案件に思いました。ちなみにこの店も検索したのですがヒットしません。
科学的なこと言ってる割りに実証を伴わないと科学的でない気がするんですよね。
それと明るい未来が待っているような気配のないままのエンディングが歯がゆかったです。 -
6つの短編の主人公たちは、人生の岐路に立っていたり、それまでの来し方を振り返ったりと、様々である。理系の伊予原新らしく、登場人物として、天体としての月、雪の結晶、アンモナイト、水月湖の年縞、素粒子・ISS、火山学の専門家たちが絡んできて、なかなか上手いなあと思わされる。この作者は、そこのあたりが売りだよね。主人公たちの思いなども細やかに描かれている。
水月湖の年縞については、ブルーバックスの中川毅「人類と気候の10万年史」を読んで関心を持ち、水月湖に行って年縞博物館も訪れてきた。ははあ、作者もこの本を読んだか、博物館の展示解説を読んだかしたんだろうなあと思った。 -
TSUTAYAに平積みされていた。
というのも、この本は短編集なのだが、表題の月まで三キロという話は、私の住んでいるここ浜松が舞台になっていた為だ。
浜松が舞台の作品、是非読んで下さいというような手書きのポップに惹かれて購入を決めた。
この本は7つの短編が詰まった本だったのだが、どの話もとても読みやすい。
情景を思い浮かべやすい。
理系小説と言えると思うのだが、解説が全く煩いと感じない。煩わしくない程度の理系文章(笑)
どの話もほっこり温かく、背中を押してもらえるような、そんな上品な本だった。
こちらも半日で一気読みしてしまった。
誰にでもおすすめ出来る良書。 -
本屋大賞2021ノミネート作品の「八月の銀の雪」の著者、伊与原さんの短編集。「八月…」があまりに良かったので、読了後すぐに図書館に借りに走った。
オビには「科学のきらめきが人の気持ちを結ぶ六篇の物語」とある。
やっぱり、科学は人の心を救うんだ。
読後、「人生捨てたものじゃない」と感じさせてくれる短編集。新田次郎文学賞受賞作。
完全に伊与原さんのファンになりました。
月まで三キロ 評価5
子育ては月に似ている。
月は地球に裏側を見せない。子どもも同じように親に裏側を見せようとしない。
でも、相手を理解しようとし続けること。
もしかしたらそこに救いが見出されるのかもしれない。
星六花 評価5
美しさは生殖のためだけにあるものではない。
例えば雪の結晶、星六花(ほしろっか)の形とか。
アンモナイトの探し方 評価3
アンモナイトはイカやタコの仲間、なんだそうだ。
天王寺ハイエイタス 評価5
人生に後悔はつきもの。でも、それでいい。
エイリアンの食堂 評価3
自分の身体の一部だった原子は、体外に排出され、地球上から大気を抜けて、やがて宇宙へと散らばっていく。
自分が生きた痕跡はずっと宇宙に残る。
山を刻む 評価3
山岳小説。ずっと家族に尽くしてきた登山好きの主婦が長年の夢を叶える話。
新田次郎さんも山岳小説で有名だそうだ。
山ガールって好き。 -
表題作を含む六編の短編集。理系の著者の文章はとても読みやすく、普段触れることのない理科系の小説なので、読み終わると何だか頭が良くなったような気分になれる。この作品集は余韻に浸れるものばかりなので、とても良かった。
著者プロフィール
伊与原新の作品





