月まで三キロ

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  • 新潮社 (2018年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784103362128

作品紹介・あらすじ

この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

多様な科学的テーマを織り込んだ短編集は、短いながらも主人公たちの人生の岐路や考察を丁寧に描写し、読者に深い余韻をもたらします。各短編は独立しているものの、月や雪の結晶、アンモナイトなどの物理的存在と人...

感想・レビュー・書評

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  • 宙わたる教室がとてもよかったので
    こちらも読んでみることに
    とてもいい短編集でした


    科学のことはほとんど無知ですが
    日常に上手く混じって
    いい役割を果たしていました

    どの話も私生活に苦しみを伴ってる人がいて
    科学の力(というと仰々しくなってしまうけど)で
    少し救われるんですが
    その様子がとても好きでした。


    でもどの話もとても良かっただけに
    もったいない気がしてしまうー!!

    もっと続きが読みたかった。
    短編だとしても、
    もう少し先を読みたかったです


    アンモナイトの少年のその後も気になるし
    山を刻むの家族の反応も知りたい。
    もっともっとと思わせられた作品でした。


    読み足りなさでは星は3つなんですが
    それにしてもよかったから4つにしました
    エイリアンの食堂の鈴花が空気を撫でるところとか
    とてもよかった。。


    また長編も書いて欲しいです(^^)

  • 6篇からなる短編集。各短篇は独立したものだが、科学的な話題(理解は難しくない)が編み込まれている。①月②雪の結晶③化石④地球温暖化⑤素粒子⑥火山。「アンモナイトの探し方」が良かった。「わかるための鍵は常に、わからないことの中にある。」、「科学に限らず、うまくいくことだけを選んでいけるほど、物事は単純ではない。まずは手を動かすことだ。」
    『宙わたる教室』が良かった(ドラマも良かった)ので、手に取りました。著者特有?の科学的な話題についていけるか心配でしたが、問題なかったです。著者の新作『藍を継ぐ海』が第172回直木賞(2024年下期)候補になりました。おめでとう御座います。

  • 作者の初読。
    月まで3キロ?と当初SF系?とか思って躊躇っておりました。本屋さんが理系作者と前面に推しており、私も数学と理科が昔大好きだったので、興味持ち購入!

    読みやすい!!
    6つの短編集で全てに科学的な要素が含まれており、なんか新鮮でした。
    どのお話も冒頭読んでる時の予想と最後終わる時の読後感に差があり面白い!!
    最後の話は、不倫?なに?なんて思わされてたけど、全然違ったしー。笑

    短編集って、割と、「あら、ここで終わりかあ、へえ〜」みたいななんか物足りないなと思う事が私は多いのですが、こちらの作品は全然違いますね★
    もう一回読みたくなる^^期間空けてまた読もう。

    さかえ食堂の日替わり定食食べたい!笑

  • 「月まで三キロ」
    えっ、月、行ってみたい!そう思って手に取ったら思ったのと全然違う話でした。(まあそれが初読みの醍醐味ですね。)
    仕事も家族も失い「負けがこんだ」男がタクシーにのる。これまた辛い過去を持つタクシーの運転手がなぜか月の専門家。「世の中には乗り越えられない悲しみってあるんですね。」運転手の言葉には計り知れない重みがありました。二人で月をみながら、その138億年前の成り立ちや地球の公転と同じ速度の自転について話は進んでいきます。(だから私たちは月の裏側は見ることが出来ない。)全体的にどこか和み系の運転手の話に引き込まれていきます。
    最後には心に光が灯されたようでよかったです。どうしたって人の世には答えの無い「悲しみ」があって、時間が薬なんだなと思いました。そして人に話して分かち合うことができたら、それだけで心に灯がともるな、幸運だな、そう思いました。もちろん聞く側は共感疲労しない程度に。
    今度月をゆっくりみたいなと思いました。月の裏側、いつかみられるとよいです(^o^)

    「星六花」
    星六花をはじめ、雪の結晶には一つ一つ名前があります。結晶の形は完璧ですがそれ自体に意味はありません。不思議です。
    本作は気象予報士、奥平と「私」の不思議な恋の物話です。
    恋話でありながら雪の結晶とつながるストーリーが秀逸でした。
    植物は生存戦略として多様性が大事といいます。それは色とりどりの花の中から自分を選んでもらうためです。それにより、様々な自然の変化が起きても子孫を残せるからです。人間もまた同じく、生存戦略として多様性を維持している。その一つが顔立ちなのかと若き日の自分と比べ「私」は悩みます。
    奥平は美人ということはただ単に生存率が高くなるからある、そのための平均的な顔に過ぎないと言います。美という感覚は単なる錯覚、方便に過ぎないと。
    確かにお国柄や時代によって美の定義って全然違います。
    雪の結晶は、そんなこととは関係なしに、多様な幾何学模様を描きます。あの美しい形に励まされます。
    そんな奥平もまた、乗り越えられない痛みや悩みを抱えている。
    降水確率は実は様々なデータを四捨五入して発表されている。だから降水確率は10%刻み。0%とでていても、実は5%未満ということもある。結構適当ですね。だから降水確率はしばしば外れるのもわかりました。
    降水確率0%は絶対に雨が降らないと言うわけではありません。奥平と「私」がよいパートナーになれたらいいなと思いました。

    「アンモナイトの探し方」
    地学、アンモナイト✕お受験。
    家庭、塾のストレスから逃れるために北海道にきた小学6年生。知識だけでなく、本物の魅力に心奪われアンモナイトを掘り続けます。
    中学受験。小学校5年くらいから土日も4時間以上勉強するのが普通だそうです。私の住まいも田舎なのですが今受験勉強の真っ只中です。それが合う人もいるし合わない人もいると思います。ただ、ここから選別が始まっていることを知りました。人生の選択肢が突き付けられるのだと思います。目指すは医者や弁護士。ただただすごいなと思いました。私は平々凡々が一番です。

    「天王寺ハイエスタス」
    伝説のギタリストである主人公「健」のおっちゃん。夢を諦めてからは右肩下がり。そんなおっちゃんに遠くはなれた娘が会いに来ます。一から十まで後悔しているおっちゃん。切なすぎる…。私も年頃の娘と過ごすなかで迷うばかり。なんか気持ち、わかる気がします。自分のしてきたこととえいば図書館をハシゴして、絵本は千冊ちかく読み聞かせをしたくらいかなぁ。ほんと飽きもせす何度もリクエストしてくれました。レビューしたい作品がいっぱいあります。
    さて、夢を叶えることって難しく、その多くは叶えられず、一握りの人以外は別の道を見つけます。でも、夢や目標に向かった思いや技はのこるものであって、人生を支えてほしい、そう思います。

    「エイリアンの食堂」
    小さな食堂を経営する謙介とその娘、鈴花の物語。家族の絆✕素粒子というまるで関係なさそうな二つの因子が織り成すストーリーが秀逸でした。繋がっていく生命について感動しました。138億年前に宇宙ができ、ヘリウムや水素が生まれました。人間の体の6割は水素であり、体の原子は数年で入れ替わっている。だから、いま体を形成している原子はかつて誰かが使っていた原子であり、更には138億年前から連綿と繋がってきた生命の源なんだと言えます。
    亡き妻を想い涙する謙介、鈴花の心に灯が点る。そのシーンに釘付けになりました。
    あたたかい読後感でした。

    「山を刻む」
    夫が定年を迎え、子育ても終わった専業主婦。これまで押さえていた登山への夢がこみ上げてきます。家族のたがを握っているその手を放す思いきったことを決断します。
    登場する火山学者が面白い。自分が心底好きなことを仕事にしています。そんな姿に主人公の心に火が着きます。「私」は山小屋を経営する決心をするのです。
    私も自分の好きな道を選ばせてもらってきたと思う方です。それには家族や周囲の人の後押しがあったからできたことなのですね。本書を読んでたくさんの出会いがあったことに自分も気付きました。何か停滞している自分自身の心に響くいい話でした。


  • 初読みの作者なんですが理系を鼻にかけた感じが気になる短編集でした。なにかと科学的なうんちくがでてきますがどれも借り物の知識のようでブルーバックス読んだ方がためになる気がしました。

    浜松のうなぎ屋で豪華2段のうな重を食べたのに鰻にあたって食べきれず店を出てしまうなんてもうこのストーリーは破綻してるし、勘繰られてなにかと月のウンチクを語るタクシードライバーの知識に関心したのですが、「月まで3キロ」のオチが科学とは言い難い内容だったのでガッカリでしたが、ストリートビューで探したら確かにこの標識があって感動しましたけど。
    命拾いしたからまあいいかなって内容ですが浜松の有名うなぎ店「くろかわ」が実在するのかのほうが重要案件に思いました。ちなみにこの店も検索したのですがヒットしません。
    科学的なこと言ってる割りに実証を伴わないと科学的でない気がするんですよね。
    それと明るい未来が待っているような気配のないままのエンディングが歯がゆかったです。

  • 伊与原新さんの『八月の銀の雪』がとてもよくて、土瓶さんにこちらの作品もよかったよと教えてもらってから、読める日を楽しみにしていた。

    哀しみや苦しみを抱えた人たちの物語。
    月、雪の結晶、アンモナイトなどの科学と、人間のあたたかさが、いい感じに掛け合わされている。
    科学エッセンスは少なめな印象で読みやすかった。

    どの短篇もほんとに良かったけど、「星六花」がいちばん好きかな。雪の幾何学模様の結晶が美しくて、そういうことに励まされることもあるんだなぁって。

    かすかな光を感じられるくらいの終わりかたも絶妙だった。
    短篇って、どこまでを描くかの塩梅が難しいと思うのだけど、
    その余韻が爽やかで心地よかったなぁ。

    どんちゃん、素敵な作品を教えてくれてありがとう♪

    • 土瓶さん
      ひろちゃん。
      良かったのならよかった^^
      教えて教えられてなんぼのブグログでございます。
      読みたいのに「宙わたる教室」がぜんぜん借りら...
      ひろちゃん。
      良かったのならよかった^^
      教えて教えられてなんぼのブグログでございます。
      読みたいのに「宙わたる教室」がぜんぜん借りられそうになくてー。
      ( ノД`)シクシク…
      あと300人も予約が。
      もう買うしかないのか。
      2025/09/19
    • ひろさん
      どんちゃん♪
      300人待ちかぁ~!やっぱり都会の図書館はすごいなぁ。。
      かといって、図書館で借りるために田舎に引っ越すわけにもいかないしねぇ...
      どんちゃん♪
      300人待ちかぁ~!やっぱり都会の図書館はすごいなぁ。。
      かといって、図書館で借りるために田舎に引っ越すわけにもいかないしねぇ。タイムマシンでもあれば、順番が回ってくる頃の未来へ行けちゃうんだけどねぇ。
      待ち続けるか、買っちゃうか、どちらにしても、どんちゃんも「宙わたる教室」を読める日が来るといいな( ´ ` *)♪
      2025/09/19
  • みなさんのレビューから伊与原さん初読み♪
    6つのお話は科学や気象、宇宙などなどを絡めた
    ストーリー。
    小学校の理科の授業から大嫌いだけど…
    とりあえず楽しめました笑

    「星六花」「山を刻む」が好き
    最近女性が何かを決断する話に惹かれます。
    わたし何か迷ってるのかしら?笑笑

    「アンモナイトの探し方」もよかったな…


    どの話も先が気になる終わり方で想像が膨らみます

    次は伊与原さんの長編を読んでみたい╰(*´︶`*)╯




    • どんぐりさん
      読みました〜!

      どれもよかっただけに
      ひとつひとつをもっと読みたかったです(´∀`)
      読みました〜!

      どれもよかっただけに
      ひとつひとつをもっと読みたかったです(´∀`)
      2025/10/27
    • ゆーき本さん
      「宙わたる教室」よかったよ ´▽`)ノ‧⁺ ⊹˚.

      この本は頭良くなくてもよめる?
      なんだけ良さげ〜
      「宙わたる教室」よかったよ ´▽`)ノ‧⁺ ⊹˚.

      この本は頭良くなくてもよめる?
      なんだけ良さげ〜
      2025/10/28
    • みんみんさん
      理科2のわたしでも読めた〜‹‹\(´ω` )/››
      理科2のわたしでも読めた〜‹‹\(´ω` )/››
      2025/10/28
  • 多くの読友さんのお薦めの本。図書館本、待った甲斐があった。登場人物それぞれが辛い過去を有し、それを傍らに一緒に生きていく。これと対峙する方法が異なり、個性なんだなと思う。この辛さとともに生きることで成長できるし、一人では生きてはいけない。タイトルもあるが月やオリオン座、夜空を見上げてのカタルシスもとても良い。「エイリアンの食堂」が一番良かった。母を亡くした父・娘の鈴花。経営する食堂に研究者・本庄が毎日食べる定食。本庄と鈴花の会話は鈴花、父親のカタルシスに繋がった。時々夜空を見上げて、月星の観察もいいね。

  • 6つの短編の主人公たちは、人生の岐路に立っていたり、それまでの来し方を振り返ったりと、様々である。理系の伊予原新らしく、登場人物として、天体としての月、雪の結晶、アンモナイト、水月湖の年縞、素粒子・ISS、火山学の専門家たちが絡んできて、なかなか上手いなあと思わされる。この作者は、そこのあたりが売りだよね。主人公たちの思いなども細やかに描かれている。
    水月湖の年縞については、ブルーバックスの中川毅「人類と気候の10万年史」を読んで関心を持ち、水月湖に行って年縞博物館も訪れてきた。ははあ、作者もこの本を読んだか、博物館の展示解説を読んだかしたんだろうなあと思った。

  • 科学情報が随所に散りばめられた短編集。天文、気象、地質学。素人に分かりやすく説明されている。また、収められている六編の中には、大阪生まれの作者らしい、関西独特のテンポ感を感じる作品も。

    月の話がとても面白いのです。小天体の衝突を受けた地球から月が生まれた、という仮説があるそうです。そして当時の月の自転は、もっとずっと早かったとか。「赤ん坊の月は地球のそばにいて、無邪気にくるくる回って色々な顔を見せてくれた。でも、時が経つにつれて、だんだん地球から離れていって、あんまり回ってくれなくなって、地球には見せない顔を持つようになった」とタクシーの運転手。息子を思いながら語る想い、ジーンと伝わってきました。

    ただ、40億年以上昔に地球から見えた月は、今の六倍の大きさがあったとか。とてつもなく迫力のある赤ちゃんだった?! 巨大な月がくるくる回る夜って、想像しただけでもゾクゾクします。でも、それを見た人類はいなかったわけですが。
    さらに、月は一年に3.8センチずつ地球から遠ざかっているのだとか。これは、青山美智子さんの『月の立つ林で』にも載っていて、驚いた覚えがあります。ということは、地球の子である月は、そっと密かに親から離れて行っているということ? 距離ができるということは、少―しずつ小さくなっていくのかな。ちょっと切ない。

    また、人間の身体の六割が水素でできている、という話も興味深いものでした。138億年前に宇宙と一緒に生まれた水素。その水素が連綿と受け継がれ、「わたし」が死んだ後も繰り返し繰り返し受け継がれていくのだとか。そんなふうに考えると、自分も宇宙の生命体の一つなのだと妙に納得。

    遠くを眺め、悠久の時に想いを馳せる。伊予原氏ならではの世界観でした。

  • TSUTAYAに平積みされていた。

    というのも、この本は短編集なのだが、表題の月まで三キロという話は、私の住んでいるここ浜松が舞台になっていた為だ。

    浜松が舞台の作品、是非読んで下さいというような手書きのポップに惹かれて購入を決めた。

    この本は7つの短編が詰まった本だったのだが、どの話もとても読みやすい。
    情景を思い浮かべやすい。

    理系小説と言えると思うのだが、解説が全く煩いと感じない。煩わしくない程度の理系文章(笑)

    どの話もほっこり温かく、背中を押してもらえるような、そんな上品な本だった。

    こちらも半日で一気読みしてしまった。
    誰にでもおすすめ出来る良書。

  • 本屋大賞2021ノミネート作品の「八月の銀の雪」の著者、伊与原さんの短編集。「八月…」があまりに良かったので、読了後すぐに図書館に借りに走った。

    オビには「科学のきらめきが人の気持ちを結ぶ六篇の物語」とある。
    やっぱり、科学は人の心を救うんだ。
    読後、「人生捨てたものじゃない」と感じさせてくれる短編集。新田次郎文学賞受賞作。
    完全に伊与原さんのファンになりました。

    月まで三キロ 評価5
    子育ては月に似ている。
    月は地球に裏側を見せない。子どもも同じように親に裏側を見せようとしない。
    でも、相手を理解しようとし続けること。
    もしかしたらそこに救いが見出されるのかもしれない。

    星六花 評価5
    美しさは生殖のためだけにあるものではない。
    例えば雪の結晶、星六花(ほしろっか)の形とか。

    アンモナイトの探し方 評価3
    アンモナイトはイカやタコの仲間、なんだそうだ。

    天王寺ハイエイタス 評価5
    人生に後悔はつきもの。でも、それでいい。

    エイリアンの食堂 評価3
    自分の身体の一部だった原子は、体外に排出され、地球上から大気を抜けて、やがて宇宙へと散らばっていく。
    自分が生きた痕跡はずっと宇宙に残る。

    山を刻む 評価3
    山岳小説。ずっと家族に尽くしてきた登山好きの主婦が長年の夢を叶える話。
    新田次郎さんも山岳小説で有名だそうだ。
    山ガールって好き。

  • 著者の作品は初読みとなりますが、タイトルに惹かれ手にしてみました。

    表題作を含む6篇のストーリーがおさめられています。

    「月まで三キロ」も良かったですが、個人的には最後の「山を刻む」が一番好きかもしれません。

    余談ですが、「山を刻む」を読みながら、山に関する作品を思い出し、何度も読み返した「八甲田山死の彷徨」(新田次郎著)をブクログに登録していない事に気づき、慌てて登録しました。

    人と人の繋がり、温もりを感じられるステキな一冊。

    片意地張らずに気楽に読める作品でした。


    説明
    内容紹介
    この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

    内容(「BOOK」データベースより)
    「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。―月まで三キロ。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性が、小学生の娘に伝えたかったこと。―エイリアンの食堂。「僕ら火山学者は、できるだけ細かく、山を刻むんです」。姑の誕生日に家を出て、ひとりで山に登った主婦。出会った研究者に触発され、ある決意をする―。―山を刻む。折れそうな心に寄り添う六つの物語。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    伊与原/新
    1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 理系文学の短編集。100%文系の私に最後まで読めるだろうか?とちょっと心配だったけど、この本は何ともロマンチック。宇宙や科学ってロマンチックなんだなぁ。どのお話も爽やかな読後感で気持ちよく読み終えました。好きな一冊です。

  • 〜あなたもわたしも、一三八億年前の水素でできている。だから、わたしたちはみんな、宇宙人。
    みんなつながっている。〜

    ずっと気になっていた一冊。
    作者の伊与原さんは理学部で地球惑星科を専攻された、見事なまでに理系作家さん。
    その伊与原さんが綴る、壮大な宇宙の中に生きる
    小さな人間たちのいろいろな物語、短編集。

    タイトルにもなった「月まで三キロ」。
    生きる希望をなくした主人公とつらい過去を乗り越えて生きるタクシー運転手。
    月の、惑星の様子や変化と人の心情が、うまく表現されていて、根っから文系脳の私は感服です。
    分からない惑星や月や宇宙の話が
    誰でもわかりやすいように書き綴られている上、
    ストーリーがまた素晴らしいです!
    「理」を極めるには、「文」からなのかもしれません。

    短編集の中で、私が一番好きだった物語は、
    「アンモナイトの探し方」でした。
    親の不仲、受験などによる苦しみや悲しみが、
    心、身体にまで染み渡る朋樹くんの描写は、
    読んでいて本当に苦しくもありますが、
    戸川さんとの出会いで、
    (分からない)ことを(分かっていく)ために(分ける)ことを学び、成長する姿。
    心に残りました。

    読書をしていて、いつも私が思うこと。
    子どもはいつまで子どもではなく、
    だけど、大人とはいえず、
    心の中で大人たちをしっかりみていて、
    喜びや幸せはストレートに表現しても、
    苦しみや悲しみは心の中で堰き止めている。

    大人の都合で、あれこれあっても、
    子どもだけは幸せに、、とは決していかない。
    必ず子どもは大人以上に苦しみ、悲しむ。
    子どもは大人以上に、親を愛している存在だということを忘れてはいけないと痛感します。


    戸川さんが、朋樹くんに語る、素敵な言葉を
    備忘録で残します。
    悩み苦しむ子どもたちの、
    そして大人の私たちの気づきになることを願います。


    〜(わかる)は、(わける)だ。正しくわけるというのは、人が思うほど簡単ではない。〜

    〜(わかる)ための鍵は常に、
    (わからない)ことの中にある。
    その鍵を見つけるためには、
    まず(何がわからないか)を知らなければならない。
    つまり、(わかる)と(わからない)を、きちんとわけるんだ。〜

    • 傍らに珈琲を。さん
      nyaさん、こちらにもこんばんは。
      この作品、私も好きでした。
      “ほんのり自然科学”なところが爽やかで、心地よくて、最後はどのお話も清々しく...
      nyaさん、こちらにもこんばんは。
      この作品、私も好きでした。
      “ほんのり自然科学”なところが爽やかで、心地よくて、最後はどのお話も清々しくて。
      2025/05/24
    • nyaさん
      傍らに珈琲を。 さん。
      こんばんは!こちらもありがとうございます。
      とても穏やかな気持ちで読めた一冊でしたね!
      他の作品も読んでみたいと思っ...
      傍らに珈琲を。 さん。
      こんばんは!こちらもありがとうございます。
      とても穏やかな気持ちで読めた一冊でしたね!
      他の作品も読んでみたいと思ってます!
      2025/05/24
  • 読んでよかった。
    地球惑星科学の専門家の作家さんが書いた小説。
    月、雪の結晶、アンモナイト、ハイエイタス、素粒子など勉強になった。
    毎日毎日、それなりに悩んだり落ち込んだり、不条理な日々に怒りを覚え、心の痛みを感じながら生きている。
    この本を読んでいると、それでいいんだと思え、ほっとして、優しい気持ちになれる。
    時間をおいて、再読したいと思える一冊。
    アンモナイトの探し方、山を刻む、天王寺ハイエイタスが心に刺さった。
    エイリアンの食堂みたいな定食屋さんが近所にできたらいいのにな。
    人との出会いは偶然だけど大切だと、つくづく感じた。そして私と出会ってくれるみんなのお役に立てる出会い人になれたらいいな。

  • 短編集
    もっと読みたい感覚が残って、何となく物足りない気持ちになっちゃうので、長編の方が好きなのだが、これはいい!

    特にエイリアン食堂のやり取りが好き。

    1年に何度かある、何気なく読んだらとても当たりだった1冊

  • 短編集。

    月、雪、化石、年縞、素粒子、火山。
    理系や科学的分野を好む人物が、必ず登場。
    その熱量や、普通の人とちょっとずれた感じが、独特の雰囲気を作り出す。

    あたたかさのあるやわらかなやり取りの中、心を揺さぶるシーンがあり、切なかったり、ほっこりしたり。
    何度も泣けた。

    「月まで三キロ」「星六花」「アンモナイトの探し方」「エイリアンの食堂」が、特によかった。

    • KOROPPYさん
      >goya626さん
      こんにちは。
      この作家さん初読みで、とてもよかったので、他の作品も読んでみようかなと思っていたのですが、これが一番...
      >goya626さん
      こんにちは。
      この作家さん初読みで、とてもよかったので、他の作品も読んでみようかなと思っていたのですが、これが一番のできなんですね(^^;
      2020/10/22
    • goya626さん
      「これは個人の感想です」なんてテレビコマーシャルみたいですが、まあ読んでみてください。ヒットするものがあるかもしれませんよ。
      「これは個人の感想です」なんてテレビコマーシャルみたいですが、まあ読んでみてください。ヒットするものがあるかもしれませんよ。
      2020/10/22
    • KOROPPYさん
      >goya626さん
      考えておきます(^^ゞ
      >goya626さん
      考えておきます(^^ゞ
      2020/10/22
  • 前回読んだ『八月の銀の雪』で伊与原さんの虜になり、早速本作も読了。

    以下あらすじと感想をレビューします。
    ※ネタバレ注意

    ・月まで三キロ
    事業に失敗し、認知症の父の介護にも疲れ果て、自殺を決意してタクシーに乗った主人公が、タクシーの運転手に連れられて向かった先は、月まで3キロの場所だったーー。
    この場所というのは正しくは「浜松市天竜区月」という地名であり、月まで三キロとは案内標識で、天体の月とは関係ないのだが、タクシー運転手がこの標識を見つけた経緯もまた、かつて自殺を考えて車で彷徨っていた時のことだった。
    息子を自殺で亡くしたタクシー運転手の語りが、切なくも温かい愛に溢れ、胸に響く。
    親子関係が良くも悪くも、心を通わすことができないとしても、会えるなら生きているうち、と背中を押してくれる作品。
     
    ・星六花
    食事会で出逢った気象オタクの男性に恋をしたが、彼は同性愛者だったーー。
    奥平さんの高校時代の片想いの語りに胸が痛む。仲間内で手を伸ばせば届く距離にいるのに、好きと伝えることができない虚しさ、好きな人の好きな人は目が覚めるような美人であるという仕打ち。奥平さんの胸の痛みがこちらにまでキリキリと伝わってくる。
    これだけ「美」というものに囚われてきたにも関わらず、自然界に存在する無機質な美に気づき、それを愛する心を持つ奥平さんは真の強い人だなと思った。

    ・天王寺ハイエイタス
    無職で親族にお金をせびる哲おっちゃんは、伝説のブルースバンドのギタリストだったーー。
    大阪湾に沈められた哲おっちゃんの20年分の音楽の歴史を紐解く中で見えてきた1年分のハイエイタス(大元の意味は『中断』、地質学では『無堆積』)
    は、家族の経済危機を救うためにギブソンを売るという優しさ。
    フラフラしているように見えて、家族想いの男気溢れる哲おっちゃんの人柄が伝わってくる。

    ・エイリアンの食堂
    食堂を営む父娘と、その食堂に通う素粒子物理学の研究をしている女性のお話。
    素粒子物理学というザ・理系の分野で、その道一筋で研究してきたブレアさんの芯の強さが、鈴花への接し方(子どもにあからさまに媚を売るような話し方をせず、自分の持つ知識を淡々と説明する様子)に表れていて、読んでいても居心地の良さを感じた。
    この世に存在する人も動物もモノも全て素粒子、と考えると、物理学は冷たいもののようにも感じるが、モノも大気も素粒子となって地球と歴史を循環し繋がっていると考えれば温かく感じられる。
    ふと、臓器提供の賛否に似ているなと感じた。残酷に感じる人もいるけれど、他人の命を救い、自分も他人の身体の一部として生き続けることができるとポジティブに考えることもできる。ものは捉え方次第。
    宇宙のロマンと、ブレアさんの優しさに、胸がジーンと温まった。

    ・山を刻む
    本作の中で一番お気に入り。
    長年家族に尽くし、身を削ってきた母は、ある日大きな決断をするーー。
    母と娘が衝突した部分は、私自身もつい最近似たような形で母と衝突してしまったこともあり、つい自己投影して胸が苦しくなった。
    子どもにとって、親がイキイキしている姿は、それだけで人生の手本、指標になる。この作品の中で母が気づいたように、私の母も気づいてくれたら良いな…と期待も込めて、早速母に本作紹介しよう。

    伊与原さんの作品は本作で2冊目。
    とにかく分野が幅広く、かつ、どの章も心に響くものがあり、大好きな作家さんになりました。思わず誰かに教えたくなる理系の豆知識も蓄えることができるのも◎
    引き続き他の過去作もローリングしていきたいです。

  • 人生に悩み、いきづまった人が、科学に触れ、感じることで少しだけ前に進むことができるようになる。大学院で地球惑星科学を専攻した伊与原新さんの短編集。

    著者の『八月の銀の雪』という短編集を先に読んでいたのだが、基本的に作りは同じなので、正直それほど目新しさはない(刊行はこちらの方が先のようだが)。疲れたときにちょっと気分転換をするような感じで読むのにちょうどよいように思う。

    本書には6編の短編を収めるが、表題作『月まで三キロ』と『アンモナイトの探し方』がよかった。
    『月まで三キロ』は、独立に失敗して仕事も家庭も失い、折り合いの悪かった父の介護に疲れ果て、死ぬつもりで富士山の樹海に向かおうとする主人公が、タクシーの運転手に連れられて、「月まで三キロ」の地まで行く話。
    先日読んだ末井昭さんの『自殺』という本の中で、富士山の樹海の中で死のうと思っていた人が「富士山は噴火していずれなくなる」と言ったら興味を示して死にたくなくなっちゃった、といったエピソードがあったのを読んだばかりだったので、宇宙規模のスケールの大きい話を聞くと、人はふと我に返るのかもしれないな、と物語にリアリティを感じた。

    『アンモナイトの探し方』は、離婚寸前の父母に気を使い、自分の行きたい進路を言えずに円形脱毛症になってしまった小学生の朋樹が、北海道の小さな町で自然博物館の元館長とともにアンモナイトの化石を探す話。
    水中の炭酸カルシウムが生物の死骸を覆うように沈殿して形成される「ノジュール」という石を探しては、ひたすらハンマーで割って中に化石がないか確認する、という地味な作業を繰り返し行ううち、いつの間にか朋樹の頭の中からもやもやした気持ちが抜けていく。
    アンモナイトに興味を持っていることもあり、他の短編の中で一番感覚的に主人公の心情に共感しやすかった。

    今度はこの著者の長編にチャレンジしてみようと思う。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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