夜の木の下で

著者 : 湯本香樹実
  • 新潮社 (2014年11月27日発売)
3.57
  • (12)
  • (38)
  • (32)
  • (5)
  • (3)
  • 本棚登録 :265
  • レビュー :52
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103367116

夜の木の下での感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「緑の洞窟」「焼却炉」「私のサドル」「リターン・マッチ」「マジック・フルート」「夜の木の下で」の6編。
    これまでの湯本さんの作品、例えば「夏の庭」のように少年・少女を主人公に置くのではなく、多くは既に大人になった主人公が自分の子供から青春時代に感じた怒りや理不尽さ、未来への諦念などを思い起こす形で描かれています。
    そこに登場するのは純粋で繊細で儚い者たちです(対照として異常な母親が出てくるのも特徴かもしれません)。
    ですから筆致はやや暗く重い。そしてどこか哀しみが含まれてます。
    それにしても引き込まれていく文章です。静寂。小川洋子さんの硬質な静謐感とは少し違い、どこか柔らかさのある静寂感の中で語られる物語です。

  • 久々の湯本 香樹実さん。
    時を置いてゆっくりと語られる記憶だったり、
    自転車のサドルが突然話しかけてきたり、
    交通事故で意識不明の弟を思う姉の気持ちとその姉を“あいだのとこ”で見つめる弟だったり。

    なんて書くとファンタジー? OR オカルト? なんて言われそうだけど、
    いえいえ、普通の人たちの話なんですよ、と。

    それぞれ、ひっそりした語り口が優しくて気持ちがとても静かになったし、
    一度読んで、ちょっと間をおいて再読したら、
    なおさら、その面白さが沁みてきて、うん、よかった!
    いい出会いができて嬉しいです。(#^.^#)

  • 解決はしない不思議な感じの話
    透明な雰囲気を感じさせるのに、意図的にどろっとした気配を混ぜ込んであるみたいな物語

  • 過ぎ去った時間は取り戻せない。悔やんでみてもどうにもならない。時の流れは、なんて残酷なのでしょう。
    6つの短編は、それぞれ趣の異なる内容なのですが、静かな語り口に心の奥底がそっと揺さぶられるような気がしました。哀しいでもなく、せつないでもなく、やるせないでもなく、それやこれやをすべてひっくるめて平らかにしたような、なんともいえない余韻の漂うお話でした。




    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 緑の洞窟
    男の双子。子供の頃の兄と大人になった兄に特に変化はないのに、これまでの自分はいなくなり代わりに死んだ弟になったという比喩オチがよくわからなかった。弟の思い出を忘れず生きていくという話ともまた違うようだし、家族の描写も今一歩足りない印象で中途半端な感想だけ残った。

    夜の木の下で
    途中まで。大人が野良猫に餌付けする感傷的なシーンが苦手。

  • 913

  • 青春期のほろ苦さ、自分の気持ちを上手く言い表せないもどかしさやジレンマ…大人の誰もがかつて辿ってきた道が6本の短編のあちらこちらに、静かに淡々と描かれている。
    ふと胸が苦しくなり切なくなって泣けてくる。
    人はみな色んなものを亡くし、それを振り返り思いを馳せながら、それでも生きていく。

    湯本さんの描く物語にはよく大きな木が出てくる。
    青春真っ只中の彼らをそっと見守ってきた木。本人が大人になっても、木だけは何ら変わることなく同じ所にそっと佇んでくれている。
    どっしりとした大きな木があるだけでほっと安らぐみたい。
    あの頃の焦れったい自分を思い出させてくれる優しい短編集だった。

  • この本の装丁にぴったりの
    短編が詰まった一冊でした。

    大切な記憶の欠片を、
    どこか薄暗く濃密な場所から
    呼び戻してくるような。

  • 小説らしい小説だと思う。作者が丁寧に言葉を選んでいるのがわかる。
    そのため、濃密な、気配のある小説になった。

  • 「緑の洞窟」、「焼却炉」、「私のサドル」、「リターン・マッチ」、「マジック・フルート」、「夜の木の下で」
    登場人物もストーリーも無関係だけれどなんとなく共通のトーンを感じる6つの短編。
    思春期の心の痛みだとか、友達や家族への思い、取り戻すことのできない時間。せつなく辛い物語の中にも、どこか愛情が感じられたり可笑しみもあって‥人と関わること、生きることに希望を感じる読後感。

全52件中 1 - 10件を表示

湯本香樹実の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

夜の木の下でを本棚に登録しているひと

ツイートする