- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103368311
作品紹介・あらすじ
夭折したはずの画家から届いた絵葉書――。寂れゆく町に赴任した学芸員パパと娘が、絵画に込められた過去の謎を解く美術ミステリー。
感想・レビュー・書評
-
香瀬町に越してきたかえでとパパ。ママは頭の中でよく会話しているんだけれど・・?
香瀬町の保育園に勤務するカヲリ。父サブローと二人暮らし。母が亡くなり、兄のヒカリも不慮の事故で亡くなる。そんなヒカリから届いた謎の手紙。ヒカリが生きている内に出したもの?ヒカリを追ってたどり着いた結果があれやこれやと結びつく。
最後はなんだかほろ苦い終わり方。カヲリにとって、これでよかったのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵画の解釈なんて、
そんな小難しい事には縁がないけれど、
自由に感じていいんだな、
とちょっと高尚な気分になりつつ、
小さな謎解きが展開されていく、
の通奏低音として何やら大きな謎と恋模様が。
5歳のかえでちゃんとパパのほのぼのでソフトな展開なのに、謎も気になる。
上手いな、と思わせてくれる作品でした。
絵に関わる仕事がしたいかな、
なんて言い出した高校生の娘の参考になるかと思って美術館やら学芸員が出てくる本が目に止まる様になって出会った本。
娘が想像してるのは多分こんなんじゃないけど、
お陰様で楽しい時間を過ごせた母でした。
ありがとね。
この後、原田マハさんに手を出そうと計画中。
他にもお勧めあったら教えて。 -
香瀬町で生まれ育ち、町の保育園で働きながら父と2人で暮らすカホリ。
そんな彼女の家の隣に、町の外から父と娘が越してきました。
町の美術館の館長として赴任してきた佐久間と、彼の5歳の娘・かえで。
ふんわりとした独特の雰囲気をまとった親子が、18年前に香瀬町で起こった不可解な出来事の謎をほどいていきます。
今回は絵画の解体がテーマです。
18年前に謎の死を遂げたカホリの兄は、有名な絵画を下敷きに香瀬町の風景や人々を描いていました。
兄の絵と芸術家の絵、両方の作品の解体は、やがて隠された過去の真実にたどり着きます。
すべての謎が解けたとき、明るみに出た真実の不愉快さにお腹のあたりがもやもや。
でも、切ない気持ちを清い風がさらっていくようなエピローグがすてきで、明るい気持ちで読了しました。
また、さまざまな芸術家の作品の解体により、作品を観る角度が変わるおもしろさも本作の魅力です。
特にシャガールの解体が新鮮でした。
著者が描くちびっこが、とてもかわいらしいです。
今後の成長が楽しみな女の子だな~。 -
2015年2月23日読了。
第一話だけ読むと「ん?」と肩すかしを食らう感じだけれども、一冊全体としての完成度が良かった。
森晶麿先生はおそらく、モテる文系男子だったんだろうな、と著書を読み続けていくうちに思うようになったり・・・(笑) -
かぜまちの18年前の事件を、カリスマ学芸員の佐久間と保育士のカホリがひも解く美術ミステリ。絵画への様々な解釈を用いて、人々の中にある心の中の氷を溶かしていく。その様子は、かぜまちの自然豊かで長閑な雰囲気とが重なって、心温まります。それは氷が解けたところに心地よい風がそよそよと流れていく様です。次々と起こる出来事に18年前の真相へ近づいていく。田舎の閉鎖的な部分はあるのだろうけれど、私もかぜまちに住みたくなりました。
この作家さんの作品には恋愛要素も多く、今回も胸キュンになりながら読みましたが、エピローグを読み、やはりそうなのかとちょっとがっくりしました。もしや佐久間は面倒な男なんじゃ....と思いました(笑) -
面白かったです。絵画に対する知識が何もない私でも絵から読み解くことの楽しさを発見することができました。最後はそーきたかー!と思わず本に向かって叫んじゃいました。
-
図書館でたまたま手に取った。
初めて読む作家さん。
後半になるにつれ、おもしろかった。
ゆったりと時間が流れる中で、1話1話プチトラブルを謎解き、解決していくのかと思いきや、殺人事件の解決まで。
きな臭くなってきたころから、それでそれで?と読む手が止まらなくなった。
少しずつ登場人物が増えていくので、読みやすく。
田舎特有の閉塞感や、悠久さが感じられた。
絵画についての解釈もとても興味深かった。
こういう視点で絵画鑑賞できたらもっともっと美術館が楽しいだろうな。参考文献の本などを読んでみてもおもしろいかも。
かえでちゃんがとてもかわいい。
自由な発想、子供の目線、いいね。
視点が変われば、世界が変わる。
エピローグにはがっかり。
そっかー。カオリは知ってたかー。
淡い恋心を、私が抱いていた!
ピカソ/母の肖像、パイプを持つ少年
シャガール/私と村
ミレー/種をまく人
ゴッホ/種をまく人
マティス/ダンス
セザンヌ/大水浴図、リンゴの籠のある静物
ゴーギャン/我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか -
軽くて
飄々としていて
まあ押さえるところはあって
面白かったです