サナキの森

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103380115

感想・レビュー・書評

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  • 新潮ミステリー大賞受賞作。一見ライトな文体で、さくさくと読み進める印象なのですが。作中作「サナキの森」の古めかしくおどろおどろした雰囲気の文章がいい意味で異質です。
    ホラー的な要素が絡んではくるけれど、ミステリとしてはしごくまっとう。あくまでも雰囲気のためのホラーだなあ。「サナキの森」に隠された、事件の真相に至るあの言葉は、あまりにあからさまなのに気づかなかった~。あれが一番驚愕だったかも。

  • 対人関係に難があり教師の仕事を辞したヒロインが、村で出逢った少女と共に祖父の遺した小説に関わる80年前の密室殺人の謎を解決せんとするミステリ+ちょっと成長譚。夏の情景が香る文章に乗せて悩みへの決別、新たな一歩を踏み出すまでを綴る作風は彩坂美月に近しいです。が、作中作を用いた伏線の提示がかろうじて光っているとはいえ、選考委員の名前で構えておくべきか、イマドキこのトリックでデビューさせたのは信じられないというレベル。特段の不備があるわけではないにしろ、新設のミステリ系新人賞の受賞作が改稿を加えてこれはまずいでしょう。

  • 祖父が可愛がっていた女孫に自分の死後のことを託す、というのだから、おどろおどろしい話の筈がない。ということで安心して読めはする。でも、真相がわかってみると、それって孫に託すことか? とも。微笑ましい話ではないし。
    自意識過剰のニートヒロインがややうっとうしく、彼女のヒーロー?の思わせぶりな存在感がわざとらしい。女子高生のほうはいいキャラだけど、無防備すぎる。日常から逸脱しないからいいのか。曾祖母のことだけど。
    ミステリとしては平易。恋愛もどきとの二本立てと読める。読んだ感触は、森 晶麿さんの「黒猫」シリーズに似ている。

  • 作家であった祖父の遺した著作と挟まれていた手紙から、かつてあった事件の謎にこじらせニート女子が挑む。

    作中作は旧字体と昭和の雰囲気を漂わせながらも、とても読みやすい怪奇譚で面白かった。

    こじらせ女子と聡明女子中学生コンビのやりとりは軽快で可愛い。若いな!

    タイトルの意味が過去と現代に繋がる時、そこはかとなく物憂げな気持ちになりますね。

  • 伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介という大人気作家三人を選考委員として新しく生まれたミステリー作品の新人賞
    新潮ミステリー大賞第一回受賞作品であります

    名もないミステリー作家であった祖父の遺品から80年前の殺人事件の解明に携わることになるひきこもり系女子のお話

    祖父によって創作された怪奇譚的物語とそれとリンクするように80年前に実際に起こった密室殺人事件
    この事件の謎解きに挑む現在進行系の物語が平行して進みます

    祖父が創作した怪奇譚的物語は旧字体で書かれたとても雰囲気のある作品
    それに対して謎解きに挑む女子は中学教師を退職後に実家に引きこもるオタク系でライトノベ系文体で描かれてます
    雰囲気のギップに一人の作家さんが描いたものとは思えない感覚があって、感心もしたけど個人的にはこれがマイナス点
    80年前に起こった密室殺人事件と被害者の子孫である女の子との係わりが軽いイメージで描かれてしまって緊迫感がそがれちゃった・・・・・
    特に祖父の想いがね・・・・・・・・
    密室のトリックも「まぁーこんなか・・・」って感じで
    ならば80年という長い時間をもっと感傷的にまとめた作品になっていた方が好みではあったかな

    題名からもっと「ブルッ」とくる怖ーい話を期待してしまった・・・・ちょっと心残り

  • 旧仮名遣いと、ラノベ的というかケータイ小説風(?)語り口の使い分け&書体の変化に戸惑うも、なかなか面白かった。
    ただやっぱり現代と過去の部分が水と油、交じり合わない感は否めず、これは大人の意見ということになるのかなあ。
    次の作品も読んでみたいと思う。

  • 売れない小説家だった祖父の小説と手紙
    から話が動く
    80年前の殺人事件と小説がリンクして怪しげな雰囲気でおもしろく読みました

  • 祖父が遺した怪奇小説『サナキの森』に挟まれていた手紙に導かれ遠野を訪れた27歳の荊庭紅は、旧家でかつて実際に起こった密室殺人事件の真相を、その家に住む中学生の東条泪子と一緒に探ることになる。遠野を舞台に「冥婚」という風習を絡めながら、事件の謎を解決していく。

  • 作家の出身地の岩手県が舞台の話。
    主人公の紅の祖父が書いた小説。その小説を持っていたある村の祖母の孫娘泪。二人で過去の事件を追う。
    過去の小説や手紙とのリンクは綺麗に繋がっていた。
    綺麗繋がり過ぎかも?
    昔の漢字は難しい!

  • 小説家の祖父が遺した手紙に従って遠野を訪れた私は、旧家の屋敷で起きた難事件の解決に乗り出す。旧字体を駆使した昭和怪奇譚的テイストとラノベ的文体を併せもった新鮮な表現力に、選考委員の伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介も脱帽。第一回新潮ミステリー大賞を受賞した、25歳の新鋭登場!
    帯留めを探して欲しい―売れない小説家だった祖父が遺した手紙に従い、仕事を辞めてひきこもっていた私は、遠野を訪れる。この地の旧家で起こった80年前の不可解な殺人事件。それは祖父の怪奇小説『サナキの森』に描かれていた「呪いによる殺人」に酷似していた…。これは偶然の一致か?祖父は何を知っていたのか?時空を超えた謎解きが始まる

    紅の祖父(売れない作家)の本を整理。封筒を発見。遠野の祠に隠した帯留めを探して欲しい。祠を探すと女子中学生と知り合いになる。祖父の作品の読者。祖母と祖父が文通をしたいた。死んだ男と結婚する女の話。近親者の葬式以外は外出できない。

    密室の謎は鍵の入れ替え。姑の食事への異物混入は自作自演。娘と祖父の友人小野の駆け落ちをじゃましたのが祖父。
    祖父が書いたラブレターが利用された。

    高校時代の美術予備校先生が謎をとく。
    中学教師をやめた27才の紅は告白するが失恋。

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