消えない月

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 588
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103394822

作品紹介・あらすじ

どうすれば、気持ちが伝わるのだろう? 出会ったことは、運命だったのか? この感情は、恋なのか、ストーカーなのか――。なぜ、さくらは、僕から離れようとするのだろう。どうして、松原さんは、別れてくれないの。婚約までした二人の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない――。緊張感に満ちた文体で、加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」を描いた価値観を揺さぶる衝撃作。本から顔を上げた時、あなたは「愛」を信じられなくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 出版社に勤める松原と、マッサージ師のさくら。
    さくらの客として出会い、二人は付き合い始める。

    ストーカーという加害者と、被害者のふたつの視点から物語は進んで行く。
    ふたつの視点がこんなにも違うものかと、徐々に追い詰められていく怖さがあった。
    現実にもストーカー殺人と言われる事件はあるし、こんな風にちょっとしたことで歯車が狂って行くのかも知れない。

  • 結果は割と予想がつく話なんですが
    松原のストーカーっぷりや
    リベンジポルノ 仕事場への嫌がらせ
    ゆがんだ思考が
    とにかく怖いです

    レイプもそうですが
    女性側が圧倒的に傷ついているのに
    どうして守ることができないのか
    やったもん勝ちな世の中に
    納得いきませんね

  • ストーカー被害者と加害者それぞれの視点でものを見ているので、ストーカーになっていく流れがわかりやすかった。読み進めると被害者の甘さにイライラし、加害者の思い込みに気持ち悪さを感じる人が多いのではないかと思う。でも人間の深層心理など誰も正確に理解できるわけがないのだから、この加害者の思い込みも人によっては共感できるのかもと思うと少し怖くなった。ストーカー事件がなくならない現実、何ともやるせない作品だった。

  • 今まで何度もストーカーに関する事件などを目にしてきたが、被害者加害者の両者の視点から語られるものを初めて読んで戦慄した。
    それだけ衝撃的でのめり込んでしまう一冊だった。
    加害者の持つ歪んだあまりにも一方的な思考回路は理解に苦しむが、誰しも何か些細なきっかけでもあれば一線を越えてしまうことがあるかもしれない。
    自分の思考や行動が「正しい」のだと、決めつけ信じてしまえば、
    必然的に相手が間違っていることになってしまう。
    「愛」があれば何をしても許されるものではないということ、相手には相手の生活や人生があり、感情もそれぞれが持っているものだということ。
    恋愛において、一方的に別れを告げられることは悲しいし苦しいことだけれど、話し合いがもう出来ないのであれば尊重してあげることしか道はないのではないだろうか。
    現在の法律や警察によるストーカー対策の遅れや当事者に対する対応に関して憤りを感じると共に、一日でも早く整備改善されることを願うばかり。

  • 加害者、被害者目線で綴られるストーカー小説。

    これは愛か!?

    衝撃的な作品だった。
    非常に読みやすく、被害者、加害者の立場から事実が交互に語られていく。

    若干主人公の女性が自分と似ていて感情移入していまう。

    自分の思っていることを上手く伝えられず、つい逃げてしまう。
    その態度も誤解を生みこのような事態に。

    世の中の怖い一面を知ることが出来た。
    怖い小説だ。。。


  • いつも読む速度はスローペースで何日もかかるのに頁をめくる手が止まらなかった。
    あっという間に読み終えました。
    怖かった、、、読み終わってもまだなお怖い。
    ストーカーの加害者と被害者のお話。
    それぞれの過去や1つの出来事の時のお互いの思い、どんどん歪んでいく気持ち、逃れられない怖さ。一方的だったり交差したり、とにかくゾクゾクしました。面白かった!!

  • はーーー怖かった。
    さくらの優柔不断な態度とか、
    隙がある感じにやきもきしたけど、
    追いつめてもいい理由にはならないからね、、
    事件に巻き込まれたのは、絶対に彼女のせいじゃない。
    思い返せば「法律は誰かが死ぬまで変わらない」とか
    「どっちかが死ぬまで終わらない」とか、
    伏線はあったんだよなあ。
    ショックすぎる結末にしばらく落ち込んだ。

  • 前回読んだ作品がちょっと合わなかったので
    もう読まないかなぁと思っていたけれど
    読友さんのレビューを読んだら、
    読まずにはいられない。

    怖いわぁ、これ!怖い。
    ストーカーの心理って
    淡々とどこかでねじ曲がっていく感じだった。

    加害者も怖いんだけど、
    それはもちろん。
    しかし、この女性ははいろいろ間違える。

    いやぁ、間違えてるよ。

    取り替えない鍵とか、貰ったものを返せないでいるとか・・
    被害者が正常な感覚でいられなくなるのが
    怖いしそういう心理にさせてしまう何かって。。。
    ホント怖い。
    得体が知れなくて怖い。

    加害者を加害者にしたのは
    何だったのだろうか。

  • このようなストーカー被害が現実にも起きていると思うとおそろしい。
    このストーカーはどこでどう育成に失敗して誕生した化け物なのか。
    母親も祖母もまともではなく、こんな風に育ってしまったストーカー野郎がいっそ哀れに思える。ストーカーの加害者視点で語られる物語は珍しいが、1µmも共感できず、さくらが不憫でならない。
    部屋の鍵を替えないことや、一度よりを戻したこと等、さくらの行動にも落ち度はあるように思えるが、ストーカー野郎が逆上する可能性を考えると、こうするよりほかなかったのかもしれない。
    ストーカー野郎に関しては速やかに一人で地獄に落ちてほしいという感想しかない。

  • 結末から語るのは好きじゃないけれどそれはもう鳥肌ものだった。
    最近まで付き合っていた恋人がまさにこの松原タイプだった。逃げたし警察にまでお世話になったけど、松原との違いは相手の親がまだマシだったこと、そしてここまで執着する気力も金もなかったということ。
    本当にこの手のタイプ意外にゴロゴロいる。
    最初のさくらの優柔不断っぷりにはイラっとしたし、隙があるからとか思ってしまったし、受付の木崎さんの気持ちのが寄り添えたけど、なんかもう全てがうまい具合に合わさってすごい本だった。最初から最後まで心酔しきっていて、記憶の捏造がやばい。頭おかしいやたってどうしてこう、自分の都合のいいように記憶を改善してしまうんだろ。ハッピーエンドだと思っていたのに。
    松原の会社で働く契約社員の田沢が案外サイコパスでやばかったな。ほんと、結末が救いようがなくて、意地悪くて、最高に面白かった

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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