消えない月

著者 :
  • 新潮社
3.54
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本棚登録 : 308
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103394822

作品紹介・あらすじ

どうすれば、気持ちが伝わるのだろう? 出会ったことは、運命だったのか? この感情は、恋なのか、ストーカーなのか――。なぜ、さくらは、僕から離れようとするのだろう。どうして、松原さんは、別れてくれないの。婚約までした二人の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない――。緊張感に満ちた文体で、加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」を描いた価値観を揺さぶる衝撃作。本から顔を上げた時、あなたは「愛」を信じられなくなる。

感想・レビュー・書評

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  • ストーカー被害者と加害者それぞれの視点でものを見ているので、ストーカーになっていく流れがわかりやすかった。読み進めると被害者の甘さにイライラし、加害者の思い込みに気持ち悪さを感じる人が多いのではないかと思う。でも人間の深層心理など誰も正確に理解できるわけがないのだから、この加害者の思い込みも人によっては共感できるのかもと思うと少し怖くなった。ストーカー事件がなくならない現実、何ともやるせない作品だった。

  • 前回読んだ作品がちょっと合わなかったので
    もう読まないかなぁと思っていたけれど
    読友さんのレビューを読んだら、
    読まずにはいられない。

    怖いわぁ、これ!怖い。
    ストーカーの心理って
    淡々とどこかでねじ曲がっていく感じだった。

    加害者も怖いんだけど、
    それはもちろん。
    しかし、この女性ははいろいろ間違える。

    いやぁ、間違えてるよ。

    取り替えない鍵とか、貰ったものを返せないでいるとか・・
    被害者が正常な感覚でいられなくなるのが
    怖いしそういう心理にさせてしまう何かって。。。
    ホント怖い。
    得体が知れなくて怖い。

    加害者を加害者にしたのは
    何だったのだろうか。

  • 結末から語るのは好きじゃないけれどそれはもう鳥肌ものだった。
    最近まで付き合っていた恋人がまさにこの松原タイプだった。逃げたし警察にまでお世話になったけど、松原との違いは相手の親がまだマシだったこと、そしてここまで執着する気力も金もなかったということ。
    本当にこの手のタイプ意外にゴロゴロいる。
    最初のさくらの優柔不断っぷりにはイラっとしたし、隙があるからとか思ってしまったし、受付の木崎さんの気持ちのが寄り添えたけど、なんかもう全てがうまい具合に合わさってすごい本だった。最初から最後まで心酔しきっていて、記憶の捏造がやばい。頭おかしいやたってどうしてこう、自分の都合のいいように記憶を改善してしまうんだろ。ハッピーエンドだと思っていたのに。
    松原の会社で働く契約社員の田沢が案外サイコパスでやばかったな。ほんと、結末が救いようがなくて、意地悪くて、最高に面白かった

  • 怖いとは聞いていたけれど、本当に怖い。
    一気に眠いの我慢してビクビクしながら読んだ。
    松原の思考が本当に理解に苦しむ。一定数こういう男性っているのだろうか?私もこの手の方と過去付き合った事あったので思い出して怖かった。すごく似ている。
    本当の話のようでリアルですごく怖い。
    ストーカーと化していくこと、さくらの恐怖、こんな風に事件が本当に起きているだろうなと思った。

  • <内容紹介より>
    出版社に勤務する松原とマッサージ師のさくら、二人は、付き合いはじめ、やがて別れる。それで終わりのはずだった。婚約までした男と女の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない。
    なぜ、さくらは、僕から離れようとするのだろう。
    どうして、松原さんは、わかってくれないの。

    ーーーー
    最初に付き合い始めるときから、周りが見えていないというか、フワフワした不安感を感じさせる二人でした。
    案の定、すぐにお別れとなったのですが、双方ともに問題のあるメンタルをしています。
    ストーカーの男に、被害者としての自覚が足りない(ストーカーを助長するような)女。
    もっとも、実際にストーカー被害に遭われた方の体験談なども存じ上げないので、大きな事は言えないのですが。

    なかでも、さくらが警察官に言われる、
    「警戒し過ぎるということはない」
    「ストーカーは尋常ではない努力をし、その努力に対して「運」が味方する。「運」を自分の味方にするため、ストーカーよりも努力してください。」
    という言葉は非常に説得力がありました。

    読後感は決して爽やかなものではありませんが、非常によく練られた作品だと感じました。
    ストーカーとなる人の思考回路も、凡そこういったものなのだろう、と説得力のある描写であったと思います。

  • ゾワゾワとする怖さと気味の悪さを終始感じながら、目をそらしたいのに目が離せない。気が付けば一気読み。

    自分を正当化して、都合の良い思い込みで突き進む。
    ストーカーをする人間の心理が、すごくリアルに感じられた。

    確かに絶対的に悪いのは松原だけど、きちんと「NO」が言えないはっきりしないさくらもつけこまれる所があったとは思う。
    でも自分がもしも彼女の立場になったら、強くいられるかというとそれも心許ない。

    ラストの展開は予想出来たものの、月をバックにベランダに立つ松原の登場には鳥肌が立った。
    もう完全にホラー。怖過ぎる。

    私としては、その後幸い命を取りとめて、松原の影に怯えながらも池田先生と幸せに暮らすという結末を望んでいただけに、ひたすら後味の悪さが残った。
    これ弟は一生、あの時一人にしてしまった事を後悔するんだろうなと思うと辛い。

    苦しくて、苦しくて、救いも何もない。
    読み終わって、どっと疲れた。
    この強烈さはしばらく自分の中で尾を引きそうな気がする。

  • ストーカー加害者、被害者両面からのストーリー。加害者である男性がひどく、読んでてうんざりしてくるが、それだけうまく書かれている。最後には加害者の独白があるが、それがお見事。女性の心情も書かれているが、男性のがより深く描かれていた。ストーカーの心情がわかりました。怖いですなあ。女性の方は優しいというか弱いのかなあ、主体性がない人? 自分では考えられないなあ。男性も家庭の状況でああ歪んでしまったんだろうし、成長の中で信じられる、頼れる人が現れなかったのね。それはかわいそうでした。

  • ストーカーという言葉を初めて聞いたのはいつ頃でしょうか。小学生の時は間違いなく聞いたこと無かった。中学校の頃も聞いたこと無かった。高校の頃に言葉を認識したような気がします。そうすると大体25年位前に概念が浸透し始めた感じでしょうか。ストーカー規制法が2000年施行のようなので大外れではなさそうです。

    嫌だと言っているのに「俺の事好きなのにその事に気がついていないだけだ」パターンと「俺の事嫌いだろうがなんだろうが関係ない」およそ2パターンありますが、この本では前者です。強くNoを言えない主人公タイプはどんどん押し込まれてしまうので、事態が次第に悪い方へ・・・。

  • ストーカー犯罪の被害者と加害者を描いた物語。

    最初の方が一番に記憶に残りました。

    序盤は加害者との出会いや付き合うまでの淡い恋模様が描かれていて、
    唐突に、だけど淡々と自然とこぼれるように、加害者側の異常な心理の一片が出てきて、不気味でした。
    それまで幸せそうな恋の始まりを描いていたから尚更に。それがとても、「異常なことをごく平常だと思っている加害者の心」を、如実に表していたように思えて、感嘆です。

    あとは、主人公のさくらと私はまるで性格が違うので、ダメだよ〜逃げようよ〜そこは徹底抗戦だよ〜しっかりして〜!と突っ込み突っ込み、読み終えました。

    一番は、家族に被害が及ぶことを懸念して、上辺だけでも再び付き合ってしまったところですかね…
    そういった背景と理由があるのだとしても、これじゃあ今の警察じゃ、今後に何があっても痴話喧嘩だと一蹴されてしまうかも知れない!と、心配したのですが、最後にお世話になった警察がしっかりしていて安心しました。
    しかし、報われない最後。
    さくらを守ろうとした弟や家族、現恋人を思うと涙が出そうです。でも、バッドエンド好きなので美味しくいただけました。

  • どこで間違えたのか?
    女性の選択。
    1番気になったのはやっぱりアパートの鍵。交換して、気持ち悪いから。
    でも男をストーカーにさせちゃう(表現が適切かわかりません)行動のどれを避けるべきだったのか?
    どうすれば嫌われてでもすんなり別れられたのか?
    全然答えが見つけられない。

    この女性がたまたまだったのか?
    どんな女性でもこの男をストーカーに変身(?)させちゃうのか?

    いっぱい疑問ばっかり。

    でもとにかく怖かった。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年『国道沿いのファミレス』で第23回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。13年に『海の見える街』が、14年に『南部芸能事務所』がそれぞれ吉川英治文学新人賞候補となる。ほかの著書に『夏のバスプール』『感情8号線』『罪のあとさき』『タイムマシンでは、行けない明日』『家と庭』『消えない月』『シネマコンプレックス』『大人になったら、』などがある。

「2018年 『水槽の中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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